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婚約
617日目 贈り物
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今年も、もう最後の月になってしまった。
夏を過ぎてから、アッシェが倒れたり私に付きまとう怖いおじさんが現れたりと、そりゃあもう泣きたくなるような事件が続いたせいもあってか、あっという間だった様な気がする……。
おおう。
変な事思いだしたせいで、鳥肌が……。
でも、あの事件も、もう1カ月も前の話なんだよね。
無事に終わって良かったと、今でも思う。
今月末の年越しの日には、トーラスさん達と一緒にお城の舞踏会に出席する事になる。
トーラスさんの中級貴族への昇爵と、養女にした私のお披露目が主な目的だけど、アスラーダさんとの婚約の予定がある事も一緒に周知すると言う目的も兼ねる事になっている。
アスラーダさん曰く、上級貴族家で何としてもグラムナードと縁を結びたいと言う所は、エルドランの問題が解決した今となっては無い筈らしい。
ジュリアンヌさんに理由を訊ねると、大まかな理由を教えてくれて、少し納得した。
西のフレム家。
現王妃が領主の妹なのもあって、特に権勢のテコ入れを必要としていない。
南にディナト大森林。
北に密林が広がっており、迷宮の恩恵が無くても栄えている為、無理にグラムナードとの縁を作る必要性もない。
東のディブロン家。
卵生で有名な鱗人族だから婚姻自体がナンセンス。
領地の北にある湿原特有の産物で、十分に潤っているらしい。
王家との関係性も、良いんだそうだ。
グラムナードに求めるとしたら、戦士の鍛錬場所的なもの位らしい。
迷宮には好きに出入りできるから、その辺も問題ないよね。
鱗人族って確かに強そうだけど、脳筋系なのか。
南のスフィーダ家。
まだ1人娘のリアーナちゃんは4歳だし、婚約者は考えてないらしい。
そもそも、私とアスラーダさんが上手く行く様に色々考えたのに邪魔をする必要は無いと笑っていた。
ソレは確かに。
特産物なんかはないみたいだけど、ここは学問が産業と言ってもいいものの、最近王都の王立学園に負ける分野が現れてて困り気味。
グラムナードは距離が有りすぎるから、縁を欲するならアトモス村の方が魅力的なんだって。
ただ、もし可能なら技術指導が正式に請けられると嬉しいとは個人的に打診されている。
北のエデュラーン家。
ご存知の通り、アルンの生家だ。
跡取り問題は、一番年嵩の孫娘が婿をとった事によって解決。
年末には、婿のお披露目をしながらお祖父さんは隠居予定。
ただ、鉱業が盛んで発展した町なのに、最近採掘量が減って来ているらしい。
だから、割と近距離で鉱石の採掘も行われているグラムナードとは出来れば縁は欲しいと言う所だとか。
王家との関係は、曾孫と王子が婚約する事になった事によって強化されたそうだ。
婚姻関係以外の方法で、グラムナードと近くなると良いのかな?と思う。
これが、大貴族の簡単な内情だそうなんだけど、これだけ聞くと、アスラーダさん狙う人はもう気にしなくて良いかなって思うでしょ? ところが、そういう物でも無いんだそうで、今度は、中級貴族家がでてきてしまうんだそうだ。
その上、トーラスさんの養女に婿を送り込みたいという中級・下級貴族は、アスラーダさんを狙う家よりも大量に現れる可能性が高いんだと言われて、げんなりしてしまった。
そんなモテ期、勘弁して欲しいです。
なので、そのモテ期が来ない様に、初手で両方の勢力を牽制しようと言う事らしい。
それにしても、素のリエラはモテ無いのに、余分なオプションが付くとそういう事になるのかと半笑いしてしまった。
「リエラのドレスやアクセサリーは私達に任せる。」
「ですです~♪ 変な令嬢が現れない様な凄いの作るですよ~♪」
「え? なんか、家に沢山そういうのあるけど……。」
思わず、工房に居る時に愚痴ったら、コンカッセとアッシェが妙な事を言い出した。
私用らしいドレス、工房の半分位の広さに一杯あるんだよ?
一体いつ着るんだってレベルなんだけど。
「師兄から注文入ってる。」
「そういうパーティでは、エスコートしてくれる男性に贈られたドレスを着るものらしいですよ~?」
「え、そうなの?」
初耳!
「なので、有難く受け取るのですよ~♪」
「……ん。」
コンカッセが一瞬何か言いたげにしたモノの、アッシェに突かれるとその言葉を肯定した。
何に躊躇ったのかは分からなかったものの、アッシェの作るドレスやコンカッセのアクセサリーにも興味があるし……。有難くお願いした方がいいのかもしれない。
2人からも、『お祝い代わりに作らせろ』と言う気持ちが伝わってくる事だし。
そう判断した私は、2人に感謝の気持ちを伝える事にした。
「ありがとう。2人の作ってくれるドレスとアクセサリー、楽しみにしてるね。」
「がんばるですよ~♪」
「ん。期待してて欲しい。」
私の言葉に、2人は嬉しそうな顔で任せろとばかりに腕を曲げてウィンクする。
ほんとに、アッシェ達は息がぴったりだなぁとそれを見ていたら、笑いが込み上げて来る。
私ってば、本当に幸せ者だなと、改めて実感した。
夏を過ぎてから、アッシェが倒れたり私に付きまとう怖いおじさんが現れたりと、そりゃあもう泣きたくなるような事件が続いたせいもあってか、あっという間だった様な気がする……。
おおう。
変な事思いだしたせいで、鳥肌が……。
でも、あの事件も、もう1カ月も前の話なんだよね。
無事に終わって良かったと、今でも思う。
今月末の年越しの日には、トーラスさん達と一緒にお城の舞踏会に出席する事になる。
トーラスさんの中級貴族への昇爵と、養女にした私のお披露目が主な目的だけど、アスラーダさんとの婚約の予定がある事も一緒に周知すると言う目的も兼ねる事になっている。
アスラーダさん曰く、上級貴族家で何としてもグラムナードと縁を結びたいと言う所は、エルドランの問題が解決した今となっては無い筈らしい。
ジュリアンヌさんに理由を訊ねると、大まかな理由を教えてくれて、少し納得した。
西のフレム家。
現王妃が領主の妹なのもあって、特に権勢のテコ入れを必要としていない。
南にディナト大森林。
北に密林が広がっており、迷宮の恩恵が無くても栄えている為、無理にグラムナードとの縁を作る必要性もない。
東のディブロン家。
卵生で有名な鱗人族だから婚姻自体がナンセンス。
領地の北にある湿原特有の産物で、十分に潤っているらしい。
王家との関係性も、良いんだそうだ。
グラムナードに求めるとしたら、戦士の鍛錬場所的なもの位らしい。
迷宮には好きに出入りできるから、その辺も問題ないよね。
鱗人族って確かに強そうだけど、脳筋系なのか。
南のスフィーダ家。
まだ1人娘のリアーナちゃんは4歳だし、婚約者は考えてないらしい。
そもそも、私とアスラーダさんが上手く行く様に色々考えたのに邪魔をする必要は無いと笑っていた。
ソレは確かに。
特産物なんかはないみたいだけど、ここは学問が産業と言ってもいいものの、最近王都の王立学園に負ける分野が現れてて困り気味。
グラムナードは距離が有りすぎるから、縁を欲するならアトモス村の方が魅力的なんだって。
ただ、もし可能なら技術指導が正式に請けられると嬉しいとは個人的に打診されている。
北のエデュラーン家。
ご存知の通り、アルンの生家だ。
跡取り問題は、一番年嵩の孫娘が婿をとった事によって解決。
年末には、婿のお披露目をしながらお祖父さんは隠居予定。
ただ、鉱業が盛んで発展した町なのに、最近採掘量が減って来ているらしい。
だから、割と近距離で鉱石の採掘も行われているグラムナードとは出来れば縁は欲しいと言う所だとか。
王家との関係は、曾孫と王子が婚約する事になった事によって強化されたそうだ。
婚姻関係以外の方法で、グラムナードと近くなると良いのかな?と思う。
これが、大貴族の簡単な内情だそうなんだけど、これだけ聞くと、アスラーダさん狙う人はもう気にしなくて良いかなって思うでしょ? ところが、そういう物でも無いんだそうで、今度は、中級貴族家がでてきてしまうんだそうだ。
その上、トーラスさんの養女に婿を送り込みたいという中級・下級貴族は、アスラーダさんを狙う家よりも大量に現れる可能性が高いんだと言われて、げんなりしてしまった。
そんなモテ期、勘弁して欲しいです。
なので、そのモテ期が来ない様に、初手で両方の勢力を牽制しようと言う事らしい。
それにしても、素のリエラはモテ無いのに、余分なオプションが付くとそういう事になるのかと半笑いしてしまった。
「リエラのドレスやアクセサリーは私達に任せる。」
「ですです~♪ 変な令嬢が現れない様な凄いの作るですよ~♪」
「え? なんか、家に沢山そういうのあるけど……。」
思わず、工房に居る時に愚痴ったら、コンカッセとアッシェが妙な事を言い出した。
私用らしいドレス、工房の半分位の広さに一杯あるんだよ?
一体いつ着るんだってレベルなんだけど。
「師兄から注文入ってる。」
「そういうパーティでは、エスコートしてくれる男性に贈られたドレスを着るものらしいですよ~?」
「え、そうなの?」
初耳!
「なので、有難く受け取るのですよ~♪」
「……ん。」
コンカッセが一瞬何か言いたげにしたモノの、アッシェに突かれるとその言葉を肯定した。
何に躊躇ったのかは分からなかったものの、アッシェの作るドレスやコンカッセのアクセサリーにも興味があるし……。有難くお願いした方がいいのかもしれない。
2人からも、『お祝い代わりに作らせろ』と言う気持ちが伝わってくる事だし。
そう判断した私は、2人に感謝の気持ちを伝える事にした。
「ありがとう。2人の作ってくれるドレスとアクセサリー、楽しみにしてるね。」
「がんばるですよ~♪」
「ん。期待してて欲しい。」
私の言葉に、2人は嬉しそうな顔で任せろとばかりに腕を曲げてウィンクする。
ほんとに、アッシェ達は息がぴったりだなぁとそれを見ていたら、笑いが込み上げて来る。
私ってば、本当に幸せ者だなと、改めて実感した。
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