私の役って一体何なんですか?

jun

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生徒会、ケイトに目をつける

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俺はずっと一つ下のザイルとサミーユ達を見ていた。

「おい、今の見たか、あのザイルの妹は入学式でもピンクに絡まれてたぞ。
よくピンク達が言う“悪役令嬢”はあの子じゃないか?」と会長アクセルが言うと、

「いやいや、悪役令嬢は絡まれないでしょ!」
と会計キーガン。

「違うわよ、キーガン。会長が言いたい悪役令嬢は、自称ヒロインを断罪する役の悪役令嬢の事よ。」と書記デボラ。

「なるほど、そっちか。」
そうなのだ、あのザイルの妹ケイトという子の立ち位置を決められずにいた。

「お!タイラーがあの子に興味を持ったぞ!
さてはお前がヒーローだな。」

「アクセル、止めろ!“ヒーロー”なんて言葉を出しただけで楽しみが半減する!」

「あら、楽しみって、何を楽しんでいたのかしら、タイラー。」
もう一人の副会長コリンナは面白そうに俺に言う。

「まあ!副会長に春がとうとう到来したのですか⁉︎」デボラが手を合わせ、タイラーを見て目をキラキラさせている。

「マジすか、副会長⁉︎言われて見ればあの子黒髪、赤眼でそれっぽいかも!副会長は銀髪、紫眼だから並んだらお似合いかも!」
キーガンがニヤニヤしながら言うので、何故凝視していたのか教えてやった。

「お前達は本当に好きだな、この手の話しが。俺はあの子とサミーユを見ていた。
あの子、ケイトと呼ばれていた子とサミーユがくっ付く、と想像してただけだ。
そして、ドリーと呼ばれている女子はサミーユが好きだけれど、サミーユはケイトが好きだからその気持ちをひた隠している、“見た目はクールビューティー、中身は乙女”だな、と思って見ていただけだ。」

「何それ、タイラー、妄想してたの!
じゃああのピンクの女の子は?」
アクセルが面白がって続きをせがむ。

「ピンク嬢はザイルだな。いつも一緒にいる優しい先輩、でもザイルはケイトの友達を全員“妹”として見ている。が、気付けばピンクを好きになっていたってパターンが良いと思う。」

「じゃあ副会長、ピンク君は?」キーガンも気になったようだ。

「ピンクは、マレーヌと呼ばれていた食欲旺盛な女子だ。
あの見事な食べっぷりと自然な毒舌に惹かれ始めていると見た。
マレーヌは卒業間近になって、やっと自分の気持ちに気付くな、多分。」

「どんだけ観察してたんだよ、タイラー。
じゃあ、ケイトは?」

「そこが決められなかった…。ずっと見ていたが、サミーユとも言い切れないし、ピンクではない。これからに期待、ではないだろうか?」

「タイラー、生徒会メンバーではどうなる?」

「喧嘩になるから言わない。」

「あら、聞きたいわ。私の相手は誰?」

「コリンナはアクセルと一緒になれば良いと思っている。シャルロットは視野が狭い。前しか見ないから、ああしてすぐよく知りもしないのに絡んでいる。
自分では良かれと思って注意しているつもりなのに、周りはそうは思わない。
横からも後ろからも見ていれば気付くのに、真ん前しか見えない。
そんな見方しか出来ない王太子妃などいらん。だから俺はコリンナの方が向いていると常々思っている。
でも、これを言った所で変わらないものは変わらないし、嫌な空気になるから言わない。」

「そう思っているのに言っちゃうところがタイラーだよね~。だそうだよ、コリンナ。」とアクセル。

「そんな事言われても、“じゃあ私が王太子妃やります”って立候補出来る訳ないじゃないの、バカなんですの、タイラー!」
憤慨しているコリンナだが、顔が真っ赤だ。

「じゃあじゃあデボラは?」
真っ赤な顔でキーガンが聞いてきた。

「言って良いのか、キーガン?」

「あーやっぱり良いです・・・」

「え、なんでよ!教えて下さい、副会長!」
デボラが食い付いた。

「・・・・・よく…分からないが…デボラとキーガンがくっ付けば良いなとは思っている。」

「「ハア~⁉︎」」

デボラとキーガンが同時に憤慨しているが、
デボラは真顔、キーガンは真っ赤な顔なので心の内が丸見えで、二人以外全員がキーガンを憐れんで見た。

「勘弁して下さい、副会長!どうして私がキーガンとなんて!」と怒っているが、私は絶対二人はくっ付くと思う。婚約者もいないし。
キーガンは誠実にデボラへ愛情を向けているのが分かるから。
そしてデボラも気付き始めている事も皆んな知っている。
うん、多分当たる。

「で、自分は?」

「は?」

「だからタイラーは?どうなるの?」とアクセルが問う。

「それが全く分からん。想像つかないな。」

「ふぅ~ん、“これからに期待”って事だね、タイラー。」

何故か嬉しそうに言うアクセル。
コリンナもニヤニヤしている。
デボラとキーガンは未だに騒いでいる。

「まあ、そういう事だな。」

ま、自分の事を妄想なんて出来ないし、なるようになるだけだ。
乞うご期待、だな。

「よし、今日の昼休みは面白かったな!」

アクセルが立ち上がったので全員食堂を出た。

チラッと振り返り、ザイル達を見るとケイトが目に入った。

「タイラー?どうした?」とアクセルに声をかけられたので、

「なんでもない。」と答え教室へ向かった。















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