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パトリックは監視役をしたい
しおりを挟むパトリック視点
妹のラミリアとノアとの婚約が解消されてから、イライラが治らない。
親友とも言うべきノアは妹を溺愛していた。
俺もそんなノアが義理でも家族になれる事が何より楽しみにいていた。
ノアが悪い訳ではない事は充分理解しているし、一番悪いのはあの女だが、二度はないだろうと思った。
だって自分の屋敷の中での事だぞ、そんな事出来るのか!
どうしても納得出来ずに、あれから父とおじさんが仲直りしても俺はノアとは会わなかった。
そんな時、妹から手紙が来た。
あんなにボロボロになった妹は立ち直り、冷静に状況を見、ノアの今の状況も、ちゃんと理解して、ノアを受け入れた。
罠に嵌められ、妹以上にボロボロになっていたらしいノアと仲直りしてほしいと手紙には書いてあった。
協力して、あの女が使った薬の出処を探って欲しいと懇願していた。
あれほどの事をされ、見せられ、失意の中、領地へ行った妹はただのお淑やかな令嬢ではなくなっていた。
領地で何があったのかと思いながら手紙を読み進めると、最後の方に“ジャニス・ラインハル侯爵にとてもお世話になった”と書いてあった。
“ジャニス・ラインハル侯爵”
その名は知っている。
妹とノアのゴタゴタで気付かなかったが、落ち着いた後、噂を知った。
幼馴染みを妊娠させ、別の女性と結婚しようとしたが、それを知った幼馴染みが自害しようとしたが未遂に終わり、責任を取って結婚した男。
そんな男と妹が⁉︎
最後まで読んでみると、その噂は全部出鱈目で、その噂のせいで結婚するしかなかったのだと書いてあった。
妊娠はしているが、相手は妊娠を知ると逃げてしまい、錯乱して病院で騒いだ幼馴染みとたまたま駆けつけたラインハル侯爵が噂になってしまったのだと。
まじかよ…。
とても穏やかで優しく、ノアの事も、背中を押してくれたのはラインハル侯爵なのだと、
だから決して噂されるような酷い人ではないんだという事を広めて欲しいと書いてあった。
おいおい、妹よ、お前…ひょっとして…。
でも、ノアとは仲直りしたと書いてある。
これからノアもどうなるか分からない。
そんな時、支えになる存在がいてくれたら妹も踏ん張る事が出来るかもしれない。
でも、ラインハル侯爵は既婚者かぁ…
その辺の話しは今度妹に会った時にでも聞いてみよう。
今はとりあえずノアと仲直りでもしてやるか。
そう思い、ノアに手紙を書いた。
“リアから話しは聞いた。一度会って話そう。
とにかくあの女をなんとかしよう”
と短い手紙を送った。
ノアからの返事はすぐに来た。
エリソン家に久しぶりに行ったが、随分雰囲気が暗くなったと思った。
ノアが出迎えてくれ、二階のノアの私室に入ると、ノアが土下座した。
もう二度と妹を傷付けないこと、これからあの女の薬の出処を探り、違法薬物の証拠を集めようと思っていること、なんとかしてあの女との結婚を阻止しようと思っている事を話し、協力して欲しいと土下座したまま俺に懇願している親友を、なんとか顔を上げさせソファに座らせた。
妹にも頼まれてるし、妹がノアを許してるなら協力するしかないだろと言うと、泣きながら“ありがとう”とノアは頭を下げた。
ノアが、あの女は部屋に篭り出て来ないので、部屋に監視の為に人を配置しようと思っているというので、俺にもそれをやらせて欲しいと頼んだ。
カツラとメガネでも付ければ、俺だとは思わないだろうと言い、渋々、明日頼むと了承した。
そして、俺は変装してあの女の部屋に入った。
そして、あの女が思っている以上に普通じゃない事を確証した。
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