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彼女は悪くないけど 2
それからの私はどう二人を別れさせるかを考えた。
私に彼女ほどの魅力はない。
彼女しか見ていない人、エリソン侯爵令息を籠絡させることは無理だろう。
なら強制的に籠絡するしかない。
でも媚薬を盛って襲わせるしかないが、それでは私が捕まって終わってしまう。
疑われても私の言い分が通り、尚且つ子供が身籠った可能性があるという状態にしなければならない。
眠らせるだけでは、少し刺激させれば起きてしまう。
目覚めても身体の自由が効かず、尚且つ性欲も出る薬…
そんな魔法のような薬なんて聞いたことも見たこともない。
魔法…呪い…おまじない…
御伽話の中の話。
先ずは薬を探した。
普通の店、少し大人な店、怪しい店、買いはしないがどんな物があるのかを見て回った。
怪しい店は、表向きの商品しか分からないので、何回か通い、店員と仲良くなった。
そんな店の店員をやってるくらいだ。
身体を差し出せばすぐに知りたい事を教えてくれた。
初めてだった事に酷く驚いていたが。
その店にも、他の怪しい店にも目当てのものはなかった。
ただ、国外に似た薬があったかもと教えてくれたのは、私と何回か寝た、あの店員だった。
「そんなに必死になって探してるなら、外国の取引先に使えそうな薬送ってもらうけど、どうする?」
と言われた。
私が頷くと、「少し時間かかるけど待ってろ」と言われた。
その間にエリソン侯爵令息と顔見知りにならなければと、騎士団御用達の飲み屋を調べて、そこの給仕の仕事を、その店に酒を卸してる業者の男をまた身体で堕とし、“実家の借金のため働かなければならない男爵令嬢”と紹介してもらい、なんとかもぎ取った。
その後はなにも出来ない貴族令嬢を演じた。
でもエリソン侯爵令息は、店に来ることはなかった。
そうこうしてる間に、あの薬屋の男から連絡があった。
「探してたのとは違うけど、使えそうかなと思って。」
とある薬を渡された。
「これはちょっと変わった睡眠薬だ。飲んでからきっちり30分後に目が覚める。それだけじゃない、身体の自由がきかなくなる。
正しく言えば、身体が重く感じるだけなんだがな。ちなみに媚薬は入ってない。
媚薬は塗るタイプの方がバレにくいんじゃないか?」
この男には私の計画は何も話してはいないし、薬をどう使うかも話してない。
なのに、私がどんな薬を探しているのかを正確に当てた。
「使ってみたいんだけど。」
「じゃあ特別に俺が相手してやるよ」
その薬を男に飲ませると、すぐに眠った。
なんとか服を脱がせ、股間に媚薬を塗ると、
勃ち上がったそこに自分の陰部を擦り付け、濡れると、ゆっくり男のソレを入れた。
上に乗り腰を振っていると、いつの間にか男は目覚めていた。
「良い眺めだが、動けねえのは物足りねえな。」
本当に動けないようだ。
動けなかったのは15分ほど。
ひたすら自分だけが動くのはしんどいが、これなら誤魔化せそうだ。
「これにするわ。いくら?」
「やるよ。失敗したらまた来い。」
「・・・上手くいったら…もう会わないわ。」
「俺と初めて寝たときから、抜け道からの出入だったから、薬の出処もお前と俺の事もバレはしないだろう。上手くいくと良いな。」
少し…ほんの少し寂しく思うが、これからが本番だ。
本当はもうどうでも良いと思っている部分もある。
でも、私はもう普通の結婚なんか出来ない身体だ。
どうせなら高位貴族の妻になるのも悪くない。
あの優しく美しい人は、私のような地味で目立たない女に男を寝取られるのだ。
結婚間近での破局を迎える貴女は、私と同じに嫉妬し、美麗な婚約者を恨み、絶望するのだろう。
かなりスッキリする。
あの優しく美しい人は何もしていないのに、私にただ目をつけられただけで、目も当てられないほどの絶望を味わう。
私も自分がこんなに性悪だったなんて知らなかった。
見た目も中身もすっかり醜くなった自分は、もうどうでもいいのだ。
あの時の絶望感を払拭するにはこれしかないのだから。
そして、私は実行し、成功した。
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