信じないだろうが、愛しているのはお前だけだと貴方は言う

jun

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ベンダーの話



ノア視点


今日は団長に復帰すると挨拶に来ているが、俺の状況を説明し、薬の使用履歴がないかを調べさせて欲しいとお願いするつもりだ。

団長の執務室に入り、挨拶した後、休んでいた理由を説明したいので、時間を頂けないかと聞いた。

「ノア、何があった。そんなに痩せて大丈夫なのか?」

「実は・・・女に嵌められました…」

団長に全てを話し、薬に違法性がないかを調べたいと言うと、

「そんな薬は一度も聞いた記憶がないが、ないのであれば国の許可を取っていないという事だ。その薬の現物があるなら早かったんだが…。」

「念の為に調べてもよろしいでしょうか?
やれる事は全部やりたいんです。」

「それは構わないが、婚約者の彼女は大丈夫なのか?」

「最初は俺に裏切られたと思って領地で静養してましたが、今は俺を信じてくれています。最後まで俺は諦めたくないんです。」

「私も出来る事は協力しよう。犯罪紛いの行為など許せるものではないからな。
でも、無理はするなよ。」

「はい、ありがとうございます。」


団長の執務室を出て、詰所に寄ると、ベンダーが駆け寄ってきた。

「ノア、大丈夫か?何があった?」

「お前は何も聞いていないのか?」

「何も聞いてない。飲みに行った後から休んでただろ、俺もあの時は酔っ払ってて、お前が着替えに行ったってとこまでは覚えてる。しばらくかかるから先に帰った方がいいんじゃないかって言われて帰ったんだと思う。気付けば自分の部屋だったから。」

「そうか…覚えてないか…。」

「何だよ、何があったんだよ!そんなに痩せてるし、俺が飲みに誘ってからだから、心配したんだよ。」

「ここでは言えない…。でも他言しないならお前を信用して、話してもいいが、極力話したくない…。」

「ごめん、俺が誘わなかったら…」

「ベンダーが悪いわけじゃないから、気にしないでほしい。」

「ありがとう。それで、話しはどこでする?飲みに行くのは嫌だろ?」

「うちに来て欲しいんだ。今、安心出来るのは自分の部屋だけだから…。」

「分かった。仕事終わったらノアんち行くよ。」

「済まない。協力してほしい事があるんだ。」

「分かった。今日はもう帰るんだろ?明日に備えて今日は帰れ。後で行くから。」

ベンダーが心配気に見送ってくれた。

俺ってそんなに見た目変わったのか?


家に帰り、父に団長には全て話し協力を仰いだと報告した。
パトリックの事を聞くと、
「パトリックはバレずに上手くやっているようだ。エリーには今日から護衛とメイドが付くと伝えたが、何の反応もなかった。
何というか、お前と何としても一緒になりたいという熱を全く感じない。
お腹の子の事も大事にしている様子もないらしい。酒まで飲んでるからな。
あの子は何をしたいんだろうか…。」

「あまり考えたくなかったので今までは考えた事がなかったんですが、俺かラミリアに恨みでもあるんでしょうか。」

「結婚にも子供にも執着がないならお前達を別れさせるのが目的だったのかもしれないな…。」

「それが本当なら、あの女、絶対許さない!」

「例えそうだったとしても結果は変わらん…。籍を入れなくてはならない事は変えられない、犯罪者でもなければな。」

「これから調べます。団長は現物がないと難しいと言っていました。
あの時、俺が冷静だったら薬の現物を見つける事が出来たかもしれなかったのに…。」

「あの時は仕方なかった。とにかく何か手がかりを見つけよう。」

パトリックは夕食後に交代らしく、俺は自室に戻り、ベンダーが来るのを待った。



そしてベンダーがやってきた。
部屋に通すと、

「なんか屋敷の雰囲気変わったか?誰か偉い人でも滞在してるか?」

「いや、偉い人はいないが一人滞在している。」

「遠目にしか見えなかったが護衛がドアの前に立っていたのが見えた。」

「…ベンダーと飲みに行った時、俺はエリーに薬を盛られた。その間に俺は襲われた。
意識を失くしてる時にな。目が覚めても身体が動かせなくて抵抗も出来なかった。
あの女は俺が襲ったと言っている。
でも媚薬を飲まされた感じではなかったのに、身体は反応していた。
だから否定したくても証拠がない。」

「じゃああの部屋にはエリーがいるのか?
あの子がお前を襲ったと?」

「俺はララしか興味がないのは知ってるだろう?俺が襲うことなんてあり得ない。」

「じゃあラミリア嬢はどうするんだ?」

「婚約は解消された。そしてエリーは妊娠した。」

「嘘…だろ、冗談だろ?そんな…お前、だから休んでたのか⁉︎」

「ああ、あの女ララの家に行って妊娠してるって態々言いに行きやがった。
それでもララは俺と話そうとしてくれてたんだ。なのにあの女は今度こそ媚薬使って俺とアイツがベッドにいる所をララに見せつけやがった…。
それで完全に解消になった…。」

「そんな・・・」

「自暴自棄になってた俺を救ってくれたのはララだ。
だから俺は諦めない。必ずあの女の尻尾を掴んでやる!」

「あのさ、お腹の子は本当にお前の子なのか?」

「間違いないと思う…破瓜の印もあったし、医師にも見せた。」

「じゃあ見間違いか…男と宿屋に腕組んで入って行くとこ見た事があるけど、人間違いだったみたいだ。」

「それはいつ頃だ!誰と一緒だった?」

「あの店で働きだす少し前だったと思う。
だからあの店で見た時、感じが違うから驚いたんだ。宿屋に入った相手は見た事があるような…でも知り合いではなかったのは確かだ。
茶髪で薄い緑の瞳の男だ。年齢は30代くらいだったと思う。」

「ここに来てすぐ医者に見せた。
その時にはまだ妊娠の兆候がなかった。
だから1カ月以上ここで保護してた。
もし、その男と身体の関係があったとしたらその男の子供と言えるが、シーツに血の後もあったし、医者も膣から出血と確認してる。やっぱりどう足掻いても俺の子供なのは確実だ…」

「あの子、確か婚約者が前はいたんだ。
その時聞いてた印象と全然違うんだよな~。だから男と宿屋に入るのを見て驚いたから覚えてた。」

「お前エリーと知り合いだったのか?
婚約者って誰だ?」

「エリーには昔チラッと見た事があるだけだ。俺の友人が婚約者と友達だったんだ。
街でたまたま会った時にチラッと見ただけで、話した事はない。
その婚約者、シルバー子爵の嫡男のアルバートとエリーは仲が良かったらしい。
でも、いつの間にか婚約は解消してた。
理由は知らないが。」

「シルバー子爵のアルバート…。なんかその名前聞いた事があるような気がする…。」

「アルバートは真面目で良い奴だぞ。裏で何かする奴ではないと思う。」

「エリーは俺を好きだとか、俺の子供が欲しかったからとかでこんな事したわけじゃない。俺に興味もない。
だから、俺かララに恨みがあるんじゃないかと思っている。」

「好きでもないのに、子供出来るような事するか?」

「分からない…でも好きでもないのにここまでするのなら、相当恨んでるって事だ。」

「だって二人ともエリーに会った事ないんだろ?」

「ない。婚約者にも会った事はない。でも、どこで名前を聞いたんだろう…」

「お前とラミリア嬢は有名だから向こうは知っててもお前らは知らないだろうな。
俺が何か聞いとくか?何を知りたい?」

「アルバート殿に婚約解消の理由と俺達に会った事があるかを知りたい。」

「俺があの店に連れて行かなかったら、こんな事にはならなかった。
だから、出来るだけ協力する。
アルバートに聞いてみる。お前の事は言わないから安心しろ。」

「よろしく頼む。ほんの少しでも良いから何か手掛かりがほしい。」

「分かった。すぐ動く。お前は身体休めろよ。」


そう言ってベンダーは帰って行った。



ベンダーから聞いた話しは気になる所が多々あった。

エリーには男がいた?
宿屋に入ったのに本当に肉体関係はないのか?
本当に処女だったのか?
そして何故以前と今とでは変わってしまったのか?

その辺から調べていこう。
アルバート殿に話しを聞こう。
宿屋の使用者リストを見せてもらい、エリーだったのか、その相手が誰か。

ハァ…ため息が出る。

疲れたのか、気付けば眠ってしまった俺を起こしたのはパトリックだった。














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