信じないだろうが、愛しているのはお前だけだと貴方は言う

jun

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謝罪

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ノア視点


目が覚めた時、一瞬どこにいるのか分からず、ボォーっとしていた。
すると、
「ノア、起きたのか。」と父上の声が聞こえた。

ソファに座っている父がいた。

「父上…」

その後、頭がハッキリした。
そうだ、ララは?ララはどうなった?

「父上、ララは、ララの意識は戻ったんですか?」

「夜明け前にはまだ意識は戻っていない。
少し熱が出てきたようだ。
ここにずっとお世話にもなれないから、リアちゃんの具合が悪くなる前に病院に移送する事になった。」

「会えますか?」

「ああ、顔を見てきなさい。」


昨日着ていた服は洗って乾かしてくれたらしく自分の服に着替えた。
廊下に出ると、まだ朝早いからかとても静かだった。
リアの部屋に行き、ノックをするとパトリックが出てきた。

「ノア、大丈夫か?」

「ごめん…倒れるなんて…申し訳ない。俺は大丈夫だ。お前はずっとララに付いてたのか?」

「母上と夜中に交代してからな。」

俺を部屋に入れながら、そう言うと、

「少し熱がある。酷くなる前に病院に運ぶ事になった。もう少ししたら出発する。」と教えてくれた。

ララの近くに行くと、熱のせいか昨日よりは顔色は良く見える。
息遣いもハッキリしている。

「ララ、おはよう。昨日よりは顔色は良いよ。後で病院行こうね…」

それ以上は泣いてしまいそうで何も言えなかった。

その時、ノックがし、パトリックがドアを開けるとジャニス様が入ってきた。

「すみません…昨夜は倒れてしまい、ご迷惑をおかけしました。
もう少しでリアさんを移送するとお聞きしましたので、その前にリアさんにお会いしたかったのです…宜しいでしょうか?」

ララから少し離れ、ジャニス様に場所を譲った。

「リアさん、本当に申し訳ございませんでした・・・・・。
貴方にどう謝罪していいのか分かりません・・・痛い思いをさせてしまい・・ごめんなさい…怖い思いをさせてしまってごめんなさい・・・・貴方に…傷をつけて・・・しまい・・ごめんなさい…早く目覚めて…また…元気な姿を・・見せて下さい…お願いします…」

ジャニス様は涙を堪えながらララに話しかけていた。
もらい泣きしそうで唇を噛んだ。

「ノアさん、貴方の大切な方に怪我をさせてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
倒れたと聞きました。
体調は大丈夫ですか?」

「俺は大丈夫です。ジャニス様は大丈夫ですか?俺はさっき起きたので、体調は問題ないですが、まだジャニス様は顔色がよくないですよ!」

「私は大丈夫ですから。
パトリックさんも大事な妹さんに怪我をさせてしまい、申し訳ございませんでした。
後ほど改めて謝罪させて頂きます。
昨夜は謝罪も出来ませんでしたから。」

「そんな謝罪なんていいですから。」とパトリック。

「皆さん、食欲はないかもしれませんが、軽いものを朝食代わりに用意しましたので、良かったら召し上がって下さい。
私はこれで失礼します…。」

ジャニス様はいつもの優しい笑顔もなく俯いて出て行った。

「ジャニス様になんて声かけていいか分からなくて…。あんなに世話になったのに…」
とパトリックは苦しげに呟いた。

「俺もだ・・・ジャニス様のせいじゃないのに…恨みそうになってしまう…」

そうなんだ…。
あんなにお世話になっておいて、なんでララが、とか、ここに来なければ、とか思ってしまう。

名前だけで、ジャニス様は妻とも思っていない名前だけの“妻”が悪いのは分かっている。
けど、やっぱりジャニス様の妻だから、入って来れたわけで・・・。
怒鳴りそうなのをずっと我慢している状態が辛い。
ジャニス様は自分を責めているのが分かるから、そんな事思ってても言葉には出せない。
一言でも出してしまったら止まらないから。

ララの額にキスをすると、少し熱くて熱があるのが分かる。
早く移送しなければ。

パトリックと部屋を出て、大広間に行くと全員集まっていた。
皆、眠れなかったのか、目の下には隈が出来ている。

全員集まったのを確認して、ジャニス様が、

「昨夜はお見苦しい所をお見せしてしまい、申し訳ございませんでした。
皆さん状況も分からず混乱していたにも関わらず、説明もせず退席してしまいました。
ノアさんが説明して下さったとお聞きしました。
ノアさん、ありがとうございました。

改めて、皆様、誠に申し訳ございませんでした。
ルーロック伯爵様、御家族様、大事なお嬢様を、妹御を私の妻が大怪我をさせてしまい、申し訳ございませんでした。
謝っても許される事ではございませんが、謝罪させて下さい。
大変申し訳ございませんでした。
慰謝料、治療費などの事は後日ご相談致したいと思っております。

ノア様、エリソン侯爵、エリカ様、ジョシュア様、あなた方が大事に思っているララリア様を傷付けてしまい、申し訳ございませんでした。
エリカ様、貴方の親友を傷付けてしまい、申し訳ございませんでした。
ノア様、貴方が命よりも大切にしている女性に命の危険もある大怪我をさせてしまった事、本当に申し訳ございませんでした。

謝罪が遅くなりまして、申し訳ございませんでした。」

とジャニス様は頭を下げた。

全員、何も言えずに黙ってしまった。
その時おじさんが、

「ジャニス様、頭を上げて下さい。

私達が謝って欲しい人はジャニス様ではありません、リアを、ララリアを刺した方です。

ジャニス様、娘も私達家族もジャニス様にはお返し出来ない程の恩がございます。
娘も息子も、もちろんノアも貴方様をお慕いいたしております。
私も家内もジャニス様を信頼しておりますし、これからもそれは変わりません。
確かにこのジャニス様のお屋敷で、ジャニス様の奥様が娘を刺しました。
ですが、悪意を持つ者はどこにでもいるんです。

娘が幼い時から通っていたエリソン家で傷付けられる事などないと思っていましたが、そんなエリソン家で目に見えない傷を付けられました。
我が家にいても、気付かず私達家族が娘を傷付けてしまいました。

それを治療してくれたのはジャニス様です。
全員を癒して下さったのはジャニス様なのです。
ですから、頭など下げないでください。
娘は負けません。
娘もジャニス様のせいだなんて思っていませんよ。
気にするなと言っても気にするでしょうが、
ジャニス様、少なからずルーロック家の皆、誰もジャニス様を責めは致しません。」

「アルフレッド様・・・」

「うちも同じですよ、ジャニス殿。
ノアを救って下ったのは貴方です。
ここにいる者皆、貴方の顔色が悪い事を気にかけているのですよ。
ですから、私達が帰りましたら、どうか休んで下さい。色々やる事もございましょう。
今からすぐ移送しますので、準備の手伝いをお願い致します、ジャニス殿。」

「カルロス様・・ありがとう…ございます…」

それからはララを移送する準備にかかった。
おじさんと父上がジャニス様に言ってくれた言葉が、俺達の胸の中にあったモヤモヤを無くしてくれたから、どこか空気が変わった。

ジャニス様の顔色もだいぶ良くなったと思う。

俺もエリカもパトリックも、多分、モヤモヤしてた。
文句も言えない、でも言いたい、けど言って良いの?って思ってて、おそらくおじさんだって思ってた。
それでも多少の責任はあれど、悪いのはあの女だと、ジャニス様が悪いのではないとハッキリ言ってくれたからスッキリした。

ララを移送用の馬車に乗せ、俺とおじさんと王宮医師の人も乗った。



そして、ジャニス様に見送られ俺達はララを病院に運んだ。

ジャニス様が頭を下げて見送っていたのが見えた。





















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