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夜桜一献

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Revenge tragedy of agent Ⅱ

第十話

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 3人が、音を立てないようにゆっくりと屈んで配置に着く。窓から様子を伺い前田が、指でカウントを取る。3・2・1・0。ジョンも含めた4人が引き金を引いて銃声とガラスの割れる音が周囲に響く。突然の銃弾の嵐に蜂の巣になる化け物。緑色の血を撒き散らし、後方に追いやられ、大の字になって後頭部から倒れた。教室に入って知佳が吊るされた男性の縄をナイフで切り前田と平間が男性を支える。

「急いで救急車を呼ばないと」

「マッテクダサイ。まだオワッテマセン」

そう言われて、3人が後ろを振り向くと化け物がゆっくりと立ち上がり、こちらを睨んでいる。

「へへへ、今楽にしたるさかい、往生しいや」

平間が男性を前田に任せて、霊子銃を構える。化け物が距離を詰めて爪を伸ばし銃を破壊した。同時に知佳が射撃する。

「ちょっと、油断し過ぎよ!!離れて!!」

「大丈夫やって。せやったら、首を跳ねたるわ!!」

男性を前田に任せて、平間が霊剣を取り出した。化け物が爪を伸ばしてもドラゴンの鱗から作られたスーツに傷は付かない。平間が大降りになった所で、化け物が距離を縮め平間のヘルメットを鷲掴みにする。次いで思い切り床に叩きつけると衝撃で爆風が生まれた。床の板が吹き飛び大きな穴が生まれ直下には平間が倒れている。埃が晴れると、お楽しみの時間を邪魔された怒りに満ちた化け物が睨んでいた。


「偵察から定時の連絡がないとは聞いていたけど 、これはどういう状況かしら」

五鬼真義が、す巻きにされた者を発見し、縄をほどく。妖怪に遭遇したなら、殺されているか、捕まっていてもおかしくはない。意識の確認を行ったが意識はないが息がある事に安堵し廃校になった校舎を眺めた。 静寂が周囲を包み、前田は唾を飲み込んだ。鬼は穴から跳躍して上の階にいる3人と対峙する。狂暴性、残虐性を持った怪物を前にするのは初めてで、昨日の演習でここまで積極的に攻撃をしてきた奴は居なかった。よくよく見れば傷口も回復しているように見える。

「知佳!!」

「言われなくても分かってます。先に脱出して下さい。下の馬鹿も回収お願いします」

知佳が霊子銃を構え、引き金を引く。肉片が飛び散り、化け物の動きが鈍る。視線を前田に移して彼がこの場を離れた事を確認する。被害者を外に出して馬鹿も連れだす必要がある。頭の痛い問題だ。威力が弱まり、ジョンに声をかける。

「一瞬お願い!!」

「了解シマシタ!!」

ジョンが一人で化け物に攻撃を浴びせる。その隙に知佳がパックの交換を終えた。再びクロスファイアを浴びせて化け物の肉片を削っていく。しかし浴びせた直後からかの肉体は再生を始めている。呻き、耐えているのも驚きだが、滅する事が出来ない妖怪なんて先日の訓練では確認していない。

(時間稼ぎが精一杯。私も距離を置かないと)

 ジョンが、前に出て四角い箱を化け物の前に置いた。

「コイツはココデ封印シマス!!」

十字架を構えて、神に祈りを捧げる。

「神ノ威光ヲ知らぬ者に救いヲ!!」

そういうと、四角い箱が開いて、化け物がその箱に吸い込まれていく。物理を無視して、空間が歪んでみえる。化け物も驚愕の表情を浮かべ抵抗をしているが封印の力が強く抗う事は出来ない。数秒の後完全に吸い込まれ四角い箱は蓋が閉じられた。周囲に静寂が戻る。霊子銃を降ろして、知佳がジョンに訪ねる。

「奴はその箱の中に?」

「ソーデス!!」

得意げにジョンが床にある箱を掴んで手の平に乗せた。

「奴はコノママ霊子エネルギートシテ利用するか永久に封印サレマ・・・?ファ?」

急に、箱が開いてジョンの顔を鷲掴みにする。ゆっくりと、化け物が顔を出しジョンと正面で向かい合う。空間が歪んだまま彼は笑顔を見せていた。そして、そのまま両方の腕で首を一回転捻る。ジョンが倒れ、化け物がゆっくりと箱から脱出するとすでに知佳の姿はなかった。穴を覗いたが倒れた1人も回収されている。急いで校舎の中を探し回ろうとしたが、丁度運動場の辺りで捕らえていた二人が走っているのが窓から見えた。窓を突き破って、羽を生やして空から追いかける。二人もこちらに気づいたようで恐怖の表情を浮かべた。あと少しの距離で何者かに羽を斬られる。勢いよく地面に転がり、砂埃を巻き上げ一馬達は呆然として目の前の女性を見つめた。巫女服に刀を帯刀している黒髪の女性。

「ぼさっとしないで、逃げますよ。貴女方を
守りながら戦える自信はありませんから」

(封印も無理となると・・・)

距離を置いて戦闘を観察していたがダメージを追わせても回復していた事に加え、封印を破る程の桁違いの化け物の強さに単独での戦闘は危険と判断せざるを得なかった。二人を諭して、真義も二人を守るように最後尾で化け物を警戒する。霊子銃のダメージかまだ動きはない事を確認して真義もその場を後にした。





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