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The killer of paranoid I
第八話
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丁度、日が落ちて辺りが真っ暗になり、街灯の明かりが一斉に灯る。周囲に人影はベンチに居る男性のみとなり夏樹は、二人の前に姿を見せると、挨拶を交わした。
「こんばんわ、取り込み中のトコ悪いんだけど、ちょっといいかな」
男性は、夏樹と、目の前に居る夏樹を見比べて吃驚している。
「夏樹ちゃんが二人?妹さんかな?」
「いえ、私一人っ子なんで妹は居ませんね、ついでに言うとそいつ偽物なんで私とは無関係です」
化け物は、現れた夏樹に敵意を向けたが夏樹は続けて言った。
「好意を寄せてくれるのはいいんですけど、タイプじゃないしお付き合いは出来ないってまず、ハッキリ言っときますね」
ストレートに、お断りしてとりあえず、相手の勘違いを正す事にした。ひょっとしたらこれで化け物も消えるかもしれない。しかし、流石は化け物を産み出した張本人、斜め上の返答が返って来る。
「違う、俺の夏樹はそんな事言ったりしない・・・・・・偽物はお前だ!!」
犯人を名指しするかの様にビシッと夏樹を指さす。
「ーーーハァ!?ちょっと、何言ってんのよ!!」
「煩い!!夏樹はな、俺に従順なんだ!!可愛くて、バブみがあって、アイドル目指してて料理が上手くて、俺の為なら何でもしてくれる天使なんだよおおおおおおおおお!!」
「知るか!!あたしはお前の玩具じゃねえんだよ!!」
言葉が通じると信じた方が馬鹿だったのか、流石に夏樹も予想しない展開になった。同時に、化け物はにやりと顔に笑みを浮かべて男性に告げた。
「ご主人様、申し訳ありませんが少し寝ていて下さい。すぐに済みます」
「流石は俺の夏樹だ。後で可愛がってやるからな」
キスをして化け物は男性の意識を奪うと、だらんと力なく倒れる。ベンチから離れて夏樹と対峙した。
「後はお前を殺して私は鈴鳴夏樹として生きていく。この方と死を分かつまで!!」
また、夏樹の首を取ろうと手を伸ばしてきた。
「背筋が凍るわ。気持ち悪いその妄想、私が今からぶっ壊す!!」
自分に手が触れる前に、夏樹は小さくしたハンマーを片手で振り回して叩く。すると、叩いた箇所から化け物が消滅している。手首の先が削り取られたかのように無くなっていた。再生も出来ないらしく流石に化け物も驚いたのか、距離を取る。
「思う様に大きさが調節出来るのは、使い勝手が良いねこの力」
先手必勝と夏樹は距離を詰めてハンマーで攻撃を仕掛けると相手は防戦一方になり、削られながらも体を守るように徹している。
「お前は、一体・・・・」
両手は既になく、攻撃手段は既に限られる。不利と見て跳躍して蹴りを繰り出してきたので、夏樹は尚も蹴ってきた足を叩き割る。当てた箇所から四散するように消滅していく。
「そんな・・・・・・!?」
達磨のようになって地面に転げ落ち、上を仰ぐ。夏樹はゆっくりと近づいて力を調節し最初の巨大ハンマーを肩に乗せた。一切目が笑っておらず顔に凄みがある。
「分かった!!、もうお前を狙ったりしない!!あの人とひっそり生きていく。それならいいだろうが!!お前に迷惑掛けないって約束する!!」
この場を乗りきりたい一心で口に出た嘘。しかし、夏樹に見透かされているのか鼻で笑われる。
「あたしさ、ゴキブリを見たら気になって仕方ない性質なんだよね、殺すまで安心出来ないっていうか」
「あひっ・・・・・・ゴキッ!?」
夏樹は、ニッコリ笑みを浮かべて、巨大ハンマーを化け物に降り下ろした。消えて尚何度もハンマーを降り下ろして息も激しく肩でしている。
「ハァ、ハァ、ハァ、終わった?」
完全に消滅して消えていくのを確認すると、スッキリした笑みを浮かる。呆けて眠っている男性に背を向けてその場を後にした。街灯の上で、二股の黒猫がその様子を伺っていた。すでに化け物が消失したのを確認してそこから降りて、一人の少女の元へと向かった。
「終わったみたいですね、社長」
「ニャー」
彼女と接触しないのか、とそんな表情。
「京都で今立て続けに起きている不可解な事件の全容はまだ不透明ですしもう少し泳がせておきましょう。彼女の立ち位置や素性を調べて改めて会いにいきます。待機させているスタッフに連絡して、見回りに戻るように伝えないと」
「ニャッ!!」
抱っこされ、黒猫と少女は京都の町の中へと消えていった。
夏樹は自転車を漕ぎながら、家に向かいながらバクに尋ねる。近所なので速度はゆっくり目。化け物は消えたし消滅したので二度と現れないだろう。今はとても気分が良く、少し冷たい風も心地よく感じられた。
「で、あんたは何で私にまだついてくる訳?」
「あれ、力の一部を譲渡する代わりに手伝って貰うっていいませんでしたっけ」
「聞いてない。私の用事は済んだし、助かったよありがとう、じゃあ、さよなら」
じゃあね、と手を振る。
それを聞いて、バクが目を大きくした。
「ちょっ!!それは酷くないっすか!!」
「何がよ」
「言ったっすよね、妹を探してるって」
「聞いたけど・・・他の人に当たりなよ。私は目的達成出来たし」
これ以上危険な目に合うのは御免だ。
「こっちの目的はまだ達成してないっす!!世の中はギブアンドテイクっすよ!!さっきの男性の夢の入り口に入ったら、夢の世界の種が植えられていたんすが。あれが育って木になると妄想が育ちやすくなるんすよ」
「ふーん、つまり?」
「妹がご迷惑をおかけした可能性が微弱に存在するかもしれないっす」
「犯人確定でしょそれ。これ以上面倒事は御免だからじゃあね!!」
今度は勢いを付けて、バクを振り払う。
「あっ!!ちょっと!!こっちは諦めないっすよ!!」
肌寒い空気が漂う、10月の夜空。
見上げれば満点の星空が輝いている。
これがーーーーーーーーーーーー夏樹の遭遇する事件の始まりでもあった。
「こんばんわ、取り込み中のトコ悪いんだけど、ちょっといいかな」
男性は、夏樹と、目の前に居る夏樹を見比べて吃驚している。
「夏樹ちゃんが二人?妹さんかな?」
「いえ、私一人っ子なんで妹は居ませんね、ついでに言うとそいつ偽物なんで私とは無関係です」
化け物は、現れた夏樹に敵意を向けたが夏樹は続けて言った。
「好意を寄せてくれるのはいいんですけど、タイプじゃないしお付き合いは出来ないってまず、ハッキリ言っときますね」
ストレートに、お断りしてとりあえず、相手の勘違いを正す事にした。ひょっとしたらこれで化け物も消えるかもしれない。しかし、流石は化け物を産み出した張本人、斜め上の返答が返って来る。
「違う、俺の夏樹はそんな事言ったりしない・・・・・・偽物はお前だ!!」
犯人を名指しするかの様にビシッと夏樹を指さす。
「ーーーハァ!?ちょっと、何言ってんのよ!!」
「煩い!!夏樹はな、俺に従順なんだ!!可愛くて、バブみがあって、アイドル目指してて料理が上手くて、俺の為なら何でもしてくれる天使なんだよおおおおおおおおお!!」
「知るか!!あたしはお前の玩具じゃねえんだよ!!」
言葉が通じると信じた方が馬鹿だったのか、流石に夏樹も予想しない展開になった。同時に、化け物はにやりと顔に笑みを浮かべて男性に告げた。
「ご主人様、申し訳ありませんが少し寝ていて下さい。すぐに済みます」
「流石は俺の夏樹だ。後で可愛がってやるからな」
キスをして化け物は男性の意識を奪うと、だらんと力なく倒れる。ベンチから離れて夏樹と対峙した。
「後はお前を殺して私は鈴鳴夏樹として生きていく。この方と死を分かつまで!!」
また、夏樹の首を取ろうと手を伸ばしてきた。
「背筋が凍るわ。気持ち悪いその妄想、私が今からぶっ壊す!!」
自分に手が触れる前に、夏樹は小さくしたハンマーを片手で振り回して叩く。すると、叩いた箇所から化け物が消滅している。手首の先が削り取られたかのように無くなっていた。再生も出来ないらしく流石に化け物も驚いたのか、距離を取る。
「思う様に大きさが調節出来るのは、使い勝手が良いねこの力」
先手必勝と夏樹は距離を詰めてハンマーで攻撃を仕掛けると相手は防戦一方になり、削られながらも体を守るように徹している。
「お前は、一体・・・・」
両手は既になく、攻撃手段は既に限られる。不利と見て跳躍して蹴りを繰り出してきたので、夏樹は尚も蹴ってきた足を叩き割る。当てた箇所から四散するように消滅していく。
「そんな・・・・・・!?」
達磨のようになって地面に転げ落ち、上を仰ぐ。夏樹はゆっくりと近づいて力を調節し最初の巨大ハンマーを肩に乗せた。一切目が笑っておらず顔に凄みがある。
「分かった!!、もうお前を狙ったりしない!!あの人とひっそり生きていく。それならいいだろうが!!お前に迷惑掛けないって約束する!!」
この場を乗りきりたい一心で口に出た嘘。しかし、夏樹に見透かされているのか鼻で笑われる。
「あたしさ、ゴキブリを見たら気になって仕方ない性質なんだよね、殺すまで安心出来ないっていうか」
「あひっ・・・・・・ゴキッ!?」
夏樹は、ニッコリ笑みを浮かべて、巨大ハンマーを化け物に降り下ろした。消えて尚何度もハンマーを降り下ろして息も激しく肩でしている。
「ハァ、ハァ、ハァ、終わった?」
完全に消滅して消えていくのを確認すると、スッキリした笑みを浮かる。呆けて眠っている男性に背を向けてその場を後にした。街灯の上で、二股の黒猫がその様子を伺っていた。すでに化け物が消失したのを確認してそこから降りて、一人の少女の元へと向かった。
「終わったみたいですね、社長」
「ニャー」
彼女と接触しないのか、とそんな表情。
「京都で今立て続けに起きている不可解な事件の全容はまだ不透明ですしもう少し泳がせておきましょう。彼女の立ち位置や素性を調べて改めて会いにいきます。待機させているスタッフに連絡して、見回りに戻るように伝えないと」
「ニャッ!!」
抱っこされ、黒猫と少女は京都の町の中へと消えていった。
夏樹は自転車を漕ぎながら、家に向かいながらバクに尋ねる。近所なので速度はゆっくり目。化け物は消えたし消滅したので二度と現れないだろう。今はとても気分が良く、少し冷たい風も心地よく感じられた。
「で、あんたは何で私にまだついてくる訳?」
「あれ、力の一部を譲渡する代わりに手伝って貰うっていいませんでしたっけ」
「聞いてない。私の用事は済んだし、助かったよありがとう、じゃあ、さよなら」
じゃあね、と手を振る。
それを聞いて、バクが目を大きくした。
「ちょっ!!それは酷くないっすか!!」
「何がよ」
「言ったっすよね、妹を探してるって」
「聞いたけど・・・他の人に当たりなよ。私は目的達成出来たし」
これ以上危険な目に合うのは御免だ。
「こっちの目的はまだ達成してないっす!!世の中はギブアンドテイクっすよ!!さっきの男性の夢の入り口に入ったら、夢の世界の種が植えられていたんすが。あれが育って木になると妄想が育ちやすくなるんすよ」
「ふーん、つまり?」
「妹がご迷惑をおかけした可能性が微弱に存在するかもしれないっす」
「犯人確定でしょそれ。これ以上面倒事は御免だからじゃあね!!」
今度は勢いを付けて、バクを振り払う。
「あっ!!ちょっと!!こっちは諦めないっすよ!!」
肌寒い空気が漂う、10月の夜空。
見上げれば満点の星空が輝いている。
これがーーーーーーーーーーーー夏樹の遭遇する事件の始まりでもあった。
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