Voo Doo Child

夜桜一献

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The killer of paranoid Ⅲ

第三話

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   挨拶を交わした後、ハクと名乗る物体は昼寝をしていたらいつの間にかここに居たと言う。夢の世界の住人との事だがいまいち理解に苦しむ。それでも、妹の話し相手になってくれているみたいで笑顔が増えたのも事実だった。危害を加えないか観察し暫くしてから、寝息を立てている妹を見てハクが告げる。

「貴方に見せたいものがあります」

「なんだよ、改まって」

(ここからは、聞こえると不味いので直接念話します。貴方も念じて下さい)

(で、俺に見せたいものってなんだよ)

そういうと、妹の頭上に炎の数字が浮かび上がる。

172と見える。嫌な予感しかしなかった。

(これが、死神から姫さんに与えられた余命です)

(・・・は?死神?急に何なんだよ。冗談じゃないぞ!!)

(死神は時として、死者を選別して魂を持っていく。変えられぬ運命だとしても抗いたいと思いませんか)

(ハクじゃなんとか出来ないのかよ!!)

(私が出来るのは力の譲渡だけです。死神を退けるだけの強い生きる意思の力があれば或いは)

(どうすりゃいいんだよ)

(死神が現れるその瞬間、彼女の生きる意思の思いを増幅させます。死神は生きる意思の目映い光に手出し出来ません。彼女自身のご病気自体は無理ですが、死神によって選ばれた彼女の死亡予定を無効に出来るとは思います。私は姫に生きていて欲しいのです)

ハクの真剣さは伝わってくる。

炎の数字がゆらゆらと揺らいでいるのが見え

更に詳しく尋ねる事となった。

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