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The killer of paranoid Ⅶ
第五話
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東京
幾つかの会社がフロアを貸し切りにしている高層階ビルの1階受付。
赤い髪の男はエレベーターで降りて来た青年に声を掛ける。
「ヨォ、羽振りが良さそうじゃねえか」
青年は彼を自社のフロアまで案内して、社長室のソファに座らせる。
「急に戻って来たと思ったらアポ無しで会いにくるなんて」
「別に良いだろォ?色々手伝ってやった仲じゃねえか」
彼が日本で仕事を始めたばかりの頃、彼の仕事を度々引き受けていた。非合法で何でも有りの何でも屋みたいなものであったが、報酬は良い。奪われたデータの奪還、敵対組織からの護衛等、幾つかの仕事を引き受けた。どの件にも裏社会の人間が絡んでいて大抵血を見る殺し合い。大口の仕事を紹介するクライアントとの仲介を担っている会社であった。坂上銀次は日本に生を受けた人狼である。その中でもとりわけ能力の高いレッドフルフと呼ばれる炎を操る事が出来る。そのせいか喧嘩が強く野性味溢れる生き方に焦がれていた。元々人狼という種族は荒くれ者が多く、血の気が多い為裏社会で生きる者も多数居る。人間との共存を乱さぬ様に行き過ぎた蛮行等の抑制の為人狼を粛正すべく牙狼会が設立されており、半妖は半妖を管理するという暗黙の了解が存在する。
「ギブアンドテイク。依頼を頼んでくれる代わりに君は法外な報酬を得ただろうに。それで、僕に何を要求するつもりだ?」
「当面の宿を手配して貰いたい。後仕事があればこっちの用事が済んだら受けてやっても良い。代わりにいつもの情報を寄越せ」
「アジアでもトップクラスの呪術組織 死焔。邪神を崇拝する事で尋常ざらなる力を得ている邪教の徒だっけか。まだ追いかけているのか?」
「呪われちまったからな。あれだけは死んでも果たさにゃならんのよ」
そう言って銀次は苦笑した。
「丁度、元牙王の君が上海から姿を消して日本に戻ってくるって噂が流れていてね。君に依頼したいクライアントが数人居るよ」
「決まりだな」
「後、君が日本に入る数日前に【死焔】らしき存在の噂が東京で流れて来ている。仕事を引き受けたヤクザの敵対組織の事務所が血塗れって話だ。中国の幽玄舎(日本で言う陰陽庁の様な組織)も聖道士を日本に寄越して様子を見に来るかもしれないって話もある。君、相当中国各地で暴れたらしいな?聖道士と事を構える事の無いようにだけお願いするよ」
京都にある、とある中学校の風景。バレンタインが目前になって話題はそれに染まりつつある。昼休みの雑談にも話題にも良く上る。特に女子は思いを伝えられる機会でもあり、学生の一大イベントとも言えるかもしれない。
「ねえ、綾乃ちゃんって誰かチョコ贈る人居るの?」
「居ないかな。お父さんに毎年上げてるけど。後洵ちゃん」
「そういうんじゃなくてさ、気になる男子とか居ないの?」
「綾乃は黙ってりゃ可愛いけど、喋らせたらボロが出るからね」
「洵さん。あー確かに、オカルトの話良くするもんね」
「それでもA組の桜井君、綾乃ちゃんの事好きって噂だけど」
「え?あのイケメンの?」
「そうそう、サッカー部の部長もやってた」
「いいなー。一回チョコ贈ってみたら?義理から始まるかもだし」
横から、洵がずいと話に割り込む
「A組の桜井君ね?ちょっと今から行ってくるわ。どんな男の子か私が見定めてくる。どんだけ本気かも知りたいしね。もし腰掛程度に考えてたらギッタギタにしてやるわ」
腕を捲り上げて、笑顔で教室を出ていく洵を見送る。
「綾乃さんの場合、他に問題があるかもだね・・」
「ね・・・」
「????」
綾乃はぼんやりと、窓から空を眺める。
(好きな男の子ーーーーーいつか私にも出来るのかな?)
先の見えない未来の中で、誰か一人と運命的な出会いを果たすなんて
(・・・ちょっと今は考えられないや)
別の中学校にて
「ーーーっくしゅ!!」
「どうした、転校生」
「風邪かなぁ。後いい加減転校生やめろ」
「すまん、橘。時期外れ過ぎて面白過ぎるよな」
「好きでこうなった訳じゃないんだって!!」
「午前中見かけなかったけど、サボりだったのか?」
「んにゃ、ちょっと転校とかの手続きで市役所までちょっと」
適当に嘘を吐く。
「短い付き合いになると思うけど、宜しくな橘」
「おう、こっちこそ」
と、言って挨拶を交わしたら高校で二人は再開を果たして3年間同じクラスになったという。
幾つかの会社がフロアを貸し切りにしている高層階ビルの1階受付。
赤い髪の男はエレベーターで降りて来た青年に声を掛ける。
「ヨォ、羽振りが良さそうじゃねえか」
青年は彼を自社のフロアまで案内して、社長室のソファに座らせる。
「急に戻って来たと思ったらアポ無しで会いにくるなんて」
「別に良いだろォ?色々手伝ってやった仲じゃねえか」
彼が日本で仕事を始めたばかりの頃、彼の仕事を度々引き受けていた。非合法で何でも有りの何でも屋みたいなものであったが、報酬は良い。奪われたデータの奪還、敵対組織からの護衛等、幾つかの仕事を引き受けた。どの件にも裏社会の人間が絡んでいて大抵血を見る殺し合い。大口の仕事を紹介するクライアントとの仲介を担っている会社であった。坂上銀次は日本に生を受けた人狼である。その中でもとりわけ能力の高いレッドフルフと呼ばれる炎を操る事が出来る。そのせいか喧嘩が強く野性味溢れる生き方に焦がれていた。元々人狼という種族は荒くれ者が多く、血の気が多い為裏社会で生きる者も多数居る。人間との共存を乱さぬ様に行き過ぎた蛮行等の抑制の為人狼を粛正すべく牙狼会が設立されており、半妖は半妖を管理するという暗黙の了解が存在する。
「ギブアンドテイク。依頼を頼んでくれる代わりに君は法外な報酬を得ただろうに。それで、僕に何を要求するつもりだ?」
「当面の宿を手配して貰いたい。後仕事があればこっちの用事が済んだら受けてやっても良い。代わりにいつもの情報を寄越せ」
「アジアでもトップクラスの呪術組織 死焔。邪神を崇拝する事で尋常ざらなる力を得ている邪教の徒だっけか。まだ追いかけているのか?」
「呪われちまったからな。あれだけは死んでも果たさにゃならんのよ」
そう言って銀次は苦笑した。
「丁度、元牙王の君が上海から姿を消して日本に戻ってくるって噂が流れていてね。君に依頼したいクライアントが数人居るよ」
「決まりだな」
「後、君が日本に入る数日前に【死焔】らしき存在の噂が東京で流れて来ている。仕事を引き受けたヤクザの敵対組織の事務所が血塗れって話だ。中国の幽玄舎(日本で言う陰陽庁の様な組織)も聖道士を日本に寄越して様子を見に来るかもしれないって話もある。君、相当中国各地で暴れたらしいな?聖道士と事を構える事の無いようにだけお願いするよ」
京都にある、とある中学校の風景。バレンタインが目前になって話題はそれに染まりつつある。昼休みの雑談にも話題にも良く上る。特に女子は思いを伝えられる機会でもあり、学生の一大イベントとも言えるかもしれない。
「ねえ、綾乃ちゃんって誰かチョコ贈る人居るの?」
「居ないかな。お父さんに毎年上げてるけど。後洵ちゃん」
「そういうんじゃなくてさ、気になる男子とか居ないの?」
「綾乃は黙ってりゃ可愛いけど、喋らせたらボロが出るからね」
「洵さん。あー確かに、オカルトの話良くするもんね」
「それでもA組の桜井君、綾乃ちゃんの事好きって噂だけど」
「え?あのイケメンの?」
「そうそう、サッカー部の部長もやってた」
「いいなー。一回チョコ贈ってみたら?義理から始まるかもだし」
横から、洵がずいと話に割り込む
「A組の桜井君ね?ちょっと今から行ってくるわ。どんな男の子か私が見定めてくる。どんだけ本気かも知りたいしね。もし腰掛程度に考えてたらギッタギタにしてやるわ」
腕を捲り上げて、笑顔で教室を出ていく洵を見送る。
「綾乃さんの場合、他に問題があるかもだね・・」
「ね・・・」
「????」
綾乃はぼんやりと、窓から空を眺める。
(好きな男の子ーーーーーいつか私にも出来るのかな?)
先の見えない未来の中で、誰か一人と運命的な出会いを果たすなんて
(・・・ちょっと今は考えられないや)
別の中学校にて
「ーーーっくしゅ!!」
「どうした、転校生」
「風邪かなぁ。後いい加減転校生やめろ」
「すまん、橘。時期外れ過ぎて面白過ぎるよな」
「好きでこうなった訳じゃないんだって!!」
「午前中見かけなかったけど、サボりだったのか?」
「んにゃ、ちょっと転校とかの手続きで市役所までちょっと」
適当に嘘を吐く。
「短い付き合いになると思うけど、宜しくな橘」
「おう、こっちこそ」
と、言って挨拶を交わしたら高校で二人は再開を果たして3年間同じクラスになったという。
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