猫ドラゴン物語

猫ドラゴン

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猫ドラゴン物語

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~~~魔法使いオズワルド~~~

古代の魔法使いたちは、薄暗い石造りの塔の中に集まっていた。彼らの目は、未来への希望と過去への敬意に満ちている。 

彼らの指先からは、微かな魔法の光が踊り、空気は期待でざわめいていた。古代の魔法使いたちが、猫とドラゴンの力を組み合わせることで、強力な生物を創り出そうと試んでいたのだ。

彼らは猫の俊敏さや魔法的な感受性と、ドラゴンの力強さや知恵を持つ生物を作り出すことを目指していた。

最初の試みでは、猫とドラゴンを単純に合成することは出来なかった。

しかし、長い研究と多くの実験の後、魔法使いたちは、まず猫とドラゴンそれぞれから魔法のエッセンスを抽出し、それを結晶化させる事に成功した。


魔法使いオズワルドは、エッセンスの結晶を手に取り、その輝きに目を細める。


オズワルド:「この結晶は、我々の夢を形にする鍵だ。猫とドラゴンの魔法が一つになる時、新たな伝説が始まる。」

オズワルドは周りの魔法使いに誇示するように結晶を高く掲げ、高説を続ける。
「我々は新たな時代の幕開けを目の当たりにしている。猫の敏捷性とドラゴンの力を結合させることで、世界に未曾有の守護者をもたらそう。」

回りの魔法使い達から「おお」っと感嘆の声が漏れる。そして、それらの結晶を融合させる儀式を行った。

オズワルドは祭壇上に描かれた円環の中心に結晶を置き、魔法使いたちは古代の呪文を唱え始めた。彼らの声は、力強くも祈りのように響き渡り、結晶は徐々に輝きを増していった。

オズワルド:「古の力よ、我々の願いを叶えたまえ。猫とドラゴンの精髄を一つに結びつけよ。この融合が、世界に平和と調和をもたらすことを。」

オズワルドがそう叫ぶと双方のエッセンス結晶が互いに調和し、新たな生命を創り出す力を引き出し、猫とドラゴンの本質が融合し、

新たな生物「猫ドラゴン」が誕生した。
 


猫ドラゴンは、猫の優雅さや狩猟の技術を持ちながら、ドラゴンの力強さと知恵も兼ね備えている。そして融合により新たな性質と能力も得ていた。

その外見は猫のようなしなやかさと、ドラゴンのような威厳という、驚異的な融合で、その魔法の力は絶大であり、猫ドラゴンは魔法の乱用から世界を守護する守護聖獣として崇められた。

猫ドラゴンの魔法の力の一つに、(魔法が正しく使用されることを世界に強要する)と言う物が有り、その力が世界に禍をもたらすことを防いでいたのだ。

猫ドラゴンは魔法の守護者として、古代の世界を守るために人知れず活躍していた。


猫ドラゴンの誕生は、古代の魔法使いたちにとって最高の成果だったが、その力は同時に彼らの最大の恐怖でもあった。

猫ドラゴンが持つ力は、世界の均衡を保つために必要不可欠である一方で、誤って使われた場合には計り知れない破壊をもたらす可能性があったからだ。

そのため、オズワルドたちは猫ドラゴンを厳重に守り、その秘密を外界から隠すことに努めたのだ。


しかし、猫ドラゴンの存在はやがて噂となって知れ渡り、その力を恐れた者、欲望に目がくらんだ者たちの間で話題となっていった。その中の一つの一団のリーダーがガレスであった。

ガレスはがっしりとした体格に、威圧感のある顔つき。 軍事国家の将軍であり、力による支配を信じて疑わない人物であった。

彼らは猫ドラゴンを自分たちの支配下にする事を企て、そのためにはどんな手段も辞さないと決意していた。彼の目は野望に燃え、その立ち姿は圧倒的な存在感を放っている。

ガレス:「猫ドラゴンの力を我が手中に収めるのだ。そのためには、どんな手段も辞さない。我々の時代が、今、始まる。」

猫ドラゴンを捕らえるために、禁断の儀式さえも行った。
そしてとうとう猫ドラゴンが一度そのエキスに触れると思考が混濁しゴロゴロと喉を鳴らし、全く抵抗できなくなると言う謎の粉を巧みに利用して彼らを捕獲することに成功した。

そしてガレスたちは日々丁寧に猫ドラゴンの毛繕いをし、謎の粉を与えチュールンと言う名の好物を与え献身的にご機嫌取りを行っていたのであった。

なので捕獲後の猫ドラゴンはご満悦の様子で大人しかった。


猫ドラゴンが捕らえられた時、オズワルドを筆頭に猫ドラゴンを誕生させた魔法使いたちの間には、悲しみと恐怖が広がった。

悲しみは人類が猫ドラゴンを支配しようと考える程傲慢で、愚かな事に対する悲しみ。

恐怖は猫ドラゴンの力の強大さを考えても有り得ない事だが、万が一にも支配に成功してしまった場合に対する恐怖であった。

猫ドラゴンの捕縛を知ったオズワルドは、仲間たちを集める。彼の声は、夜明け前の静寂を切り裂くように響き渡る。

オズワルド:「仲間たちよ、今こそ立ち上がる時だ。首謀者は軍事国家バルタザールの将軍ガレスだ。猫ドラゴンを救出し、ガレスの野望を打ち砕くのだ。」

オズワルドらは猫ドラゴンを救出しようと試み、猫ドラゴンを捕獲したガレス達と激しい戦闘を行った。
 


しかし戦闘に敗れその僅かな生き残りを残し、ほとんどが命を失しなってしまった。相手は軍事国家の将軍とその配下。単純な戦闘で対抗するには無理があったのだ。

しかしガレスはこの戦闘のおかげで、ある危機感を覚えた。今回の戦闘は今まで行ってきた国家間の利権争いのただの戦闘とは違う。

世界のほとんどの平民が猫ドラゴンを溺愛し崇拝している昨今。オズワルドらの今回の行動は他の人間へ飛び火する。ガレスはそう考えて言った「時間が無いな、急がなければ」

ガレスはこの実験用地下施設を守護する存在が必要と考え、まずはその問題に着手した

魔法使いたちは祭壇の前で、古の儀式を執り行っていた。彼の声は、時を超える響きを持ち、祭壇に集まる光を一点に集中させる。

「オーラム・スピリトゥス・アルマーダ...」神官の唱える言葉は、空間に響き渡り、光が形を成す。

その光は徐々に人の形を取り、光を纏った精霊戦士へと変わっていく。彼の姿は、夜空に輝く星のように純粋で、同時に戦士としての威厳を放っていた。

「我が命、古の誓いに従い、この祭壇を守る者となれ。」神官は厳かに命じる。

精霊戦士の目は、新たな意識に目覚めたかのように輝き、神官の言葉を内に秘める。

「神官よ、我はここに誓う。命の祭壇を守り、その秘密を永遠に守ることを。」精霊戦士の声は、風に乗り、遺跡全体に響き渡る。

魔法使いは満足げに微笑み、手を振ると、精霊戦士は光と共に祭壇の周囲に溶け込む。彼の存在は、祭壇を取り巻く空気の一部となり、その場所の守護者としての役割を静かに果たし始めた。

このようにして、命の祭壇は光を纏う精霊戦士によって守られ、時を超えてその使命を全うするのであった。

これは祭壇を守ると言う目的であったため猫ドラゴンの力である(魔法が正しく使用されることを世界に強要する)に反するものでは無かった。

ガレスの心は、砂時計の最後の粒が落ちるような焦りに駆られていた。また何時オズワルドのような者たちが牙を剥くのか解った物では無かったからだ。

彼の軍事国家バルタザールは、再びオズワルドのような者たちが猫ドラゴンを奪還しに来ることを恐れていた。

次は、世界中が彼らに呼応するかもしれないという危惧が、彼らの心を暗い影で覆っていたからだ。

「時間がない。オズワルドの野郎が、今度は大軍を引き連れてくるかもしれん、その前に猫ドラゴンの力を我が物にしなければ。」ガレスは実験を急いだ。

通常ならば何か月、あるいは何年もの歳月を要する実験を、ガレスは急ピッチで進めた。猫ドラゴンの力は強大で制御できないうえに、その逆鱗に触れれば災いが起こるという制約が、彼の行動を縛っていた。

しかしある日ガレスはとうとうしびれを切らし、不完全なままの儀式を強行してしまった。オズワルドが再び戦闘を仕掛けて来たからだ。

オズワルドは、前回の戦いで生き残った者たちと共に、前回とは比較にならないほどの大規模な有志を集め、ガレスに再び戦いを挑んでいた。彼らの足音は、遠雷のようにバルタザールの地を揺るがせていた。
 
オズワルド:「今度こそ、猫ドラゴンを解放し、我々の仲間たちの犠牲を無駄にしないために戦うのだ!」

焦ったガレスが強行した不完全な儀式は、猫ドラゴンの魔力を制御することができず、猫ドラゴン自身も制御できないほどの魔力暴走を始めた。
ガレス:「これが... 猫ドラゴンの力か... しかし、こんなはずでは...!」

猫ドラゴンの周りには、制御不能な魔力嵐が巻き起こり、バルタザールの城は地下施設と共に、その力に飲み込まれていった。
 


この嵐は、神話の中の怒れる神々の戦いのように、周囲の土地を荒廃させた。

そして、その嵐に巻き込まれ、支配を企てた者、ガレス、そして周辺の多くの者、オズワルドの引き連れた多くの者が、運命の糸が切れるかのように命を落とした。

嵐の影響はその時だけに止まらず、その後数十年にわたり、世界中で雷鳴は止まず、地は裂け、時に隆起し、地図を塗り替えるほどの地殻変動を起こし、多くの者の命を奪い、驚異的な力を示した。
 


そして猫ドラゴンは、魔力暴走の後遺症で、深い眠りに落ちた。彼の姿は、伝説の中の幻のように、この世から消えていった。

その後数百年、徐々に人々の記憶からは猫ドラゴンの伝説は失われていたが、魔法使いたちの間では物語として語られ、依然として尊敬され、そして畏怖されていた。

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