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第五章:境界の守り人の孤独と「癖」
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― 姦姦蛇螺(カンカンダラ)の秘められた愉悦―
女性怨霊協会の会議室で、冷徹な正論を吐き、貞子や執行部をゴミクズ呼ばわりしていた良識派の雄である姦姦蛇螺。
銀縁眼鏡の奥に理知的な光を宿し、巫女装束を纏って霊界含む四界の境界を守る彼女には、幼馴染である花子さんやアクロバティックサラサラですら呆れ果てる「絶対的な秘密」があった。
彼女は天界・地獄・霊界・現世を分かつ強固な結界を、一人で守り抜く清廉潔白な元巫女である。
その霊力は凄まじく、有刺鉄線と注連縄で厳重に封印された現世の慰霊碑には、今も彼女の威厳が満ちている。
だが、あまりにも長く、清く正しく、そして「一人」で頑張り過ぎた反動だろうか。
彼女の性癖は、結界が歪むほどに捻じ曲がっていた。
「……ハァハァ…。(……ああ。なんて……なんて破廉恥で、不潔で、素晴らしいのかしら……)」
自室に戻り、重厚な結界を幾重にも張って完全な密室を作った後。
彼女は会議の証拠資料として「密かにダビング」しておいた呪いのDVDを再生した。
―秘密の鑑賞会と録音データ―
大蛇の尾をソワソワと揺らしながら、彼女が凝視するのは貞子の姿ではない。その腕の中で「お嫁にいけない」と泣き喚き、ショタ声を出す川里健一だ。
実は彼女、極度の「ショタ・年下少年好き」の
腐女子であった。健一の童顔で情けない顔立ちは、まさに彼女のストライクゾーンのど真ん中だったのである。
「……っ、この『ヌプヌプして気持ちいいね~おねぇさん』というセリフ……。なんて不謹慎な、なんて……なんて私の脳髄を震わせる響きなの……ッ!!」
姦姦蛇螺は、健一の甘ったるい声を個別に抽出・録音したデバイスを耳に当て、悶絶していた。
『よーしいくぞ~!(駅弁時)』
『はいちゅー♡』
『えへへ~おねぇさん優しいんだね~』
「はぁ、はぁっ……! 健一……っ。あなたという男は、どうしてこうも私の結界を土足で踏み荒らすような声を出すの……!」
眼鏡は曇り、顔は真っ赤に上気している。会議での「不潔なゴミクズ」発言はどこへやら。今や彼女自身が、誰よりも不潔(欲望に忠実)な妄想の泥沼に浸かっていた。
彼女の慰霊碑は、現世では厳重な立ち入り禁止区域となっている。たまに不法侵入してくる悪ガキを「お仕置き」で驚かせることは、特例として天界からも認められている。
(……もし。もしも彼が、あのアパートから迷い出して、私の慰霊碑に迷い込んで……間違ってあの封印を解いちゃって……。)
有刺鉄線を乗り越えて、震えながら入ってくる健一。それを大蛇の尾で絡め取り、「イタズラはいけないわね?」と、合法的に、かつ徹底的に「お仕置き(性的)」に処す。
そんな妄想が脳内を駆け巡る。
「……ダメよ、姦姦蛇螺。あなたは守り人なのよ。……でも、あのショタ声で『カンカンダラおねぇさん、やめてよぉ(涙声)』なんて言われた日には、私は……自分を抑えられる自信が……。」
自室の床を大蛇の尾で激しく叩き(のたうち回り)、悶え苦しむ境界の守り人。
彼女が会議で過激派を厳しく断罪するのは、自らの内に潜む、誰よりも過激で破廉恥な「健一への欲望」を隠すための必死な防衛本能でもあった。
翌日、良識派の施設内で顔を合わせたアクロバティックサラサラが、寝不足で目の下にクマを作っている姦姦蛇螺を見て、小声で囁いた。
「……また、あの動画(証拠資料)見てたんでしょう?」
「……な、何を仰るの。精査よ、執行部の罪を暴くための、厳正な精査をしていただけよ……っ!」
銀縁眼鏡を必死に直す姦姦蛇螺。その指先が微かに震えているのを、親友である彼女は生温かい目で見守るのだった。
女性怨霊協会の会議室で、冷徹な正論を吐き、貞子や執行部をゴミクズ呼ばわりしていた良識派の雄である姦姦蛇螺。
銀縁眼鏡の奥に理知的な光を宿し、巫女装束を纏って霊界含む四界の境界を守る彼女には、幼馴染である花子さんやアクロバティックサラサラですら呆れ果てる「絶対的な秘密」があった。
彼女は天界・地獄・霊界・現世を分かつ強固な結界を、一人で守り抜く清廉潔白な元巫女である。
その霊力は凄まじく、有刺鉄線と注連縄で厳重に封印された現世の慰霊碑には、今も彼女の威厳が満ちている。
だが、あまりにも長く、清く正しく、そして「一人」で頑張り過ぎた反動だろうか。
彼女の性癖は、結界が歪むほどに捻じ曲がっていた。
「……ハァハァ…。(……ああ。なんて……なんて破廉恥で、不潔で、素晴らしいのかしら……)」
自室に戻り、重厚な結界を幾重にも張って完全な密室を作った後。
彼女は会議の証拠資料として「密かにダビング」しておいた呪いのDVDを再生した。
―秘密の鑑賞会と録音データ―
大蛇の尾をソワソワと揺らしながら、彼女が凝視するのは貞子の姿ではない。その腕の中で「お嫁にいけない」と泣き喚き、ショタ声を出す川里健一だ。
実は彼女、極度の「ショタ・年下少年好き」の
腐女子であった。健一の童顔で情けない顔立ちは、まさに彼女のストライクゾーンのど真ん中だったのである。
「……っ、この『ヌプヌプして気持ちいいね~おねぇさん』というセリフ……。なんて不謹慎な、なんて……なんて私の脳髄を震わせる響きなの……ッ!!」
姦姦蛇螺は、健一の甘ったるい声を個別に抽出・録音したデバイスを耳に当て、悶絶していた。
『よーしいくぞ~!(駅弁時)』
『はいちゅー♡』
『えへへ~おねぇさん優しいんだね~』
「はぁ、はぁっ……! 健一……っ。あなたという男は、どうしてこうも私の結界を土足で踏み荒らすような声を出すの……!」
眼鏡は曇り、顔は真っ赤に上気している。会議での「不潔なゴミクズ」発言はどこへやら。今や彼女自身が、誰よりも不潔(欲望に忠実)な妄想の泥沼に浸かっていた。
彼女の慰霊碑は、現世では厳重な立ち入り禁止区域となっている。たまに不法侵入してくる悪ガキを「お仕置き」で驚かせることは、特例として天界からも認められている。
(……もし。もしも彼が、あのアパートから迷い出して、私の慰霊碑に迷い込んで……間違ってあの封印を解いちゃって……。)
有刺鉄線を乗り越えて、震えながら入ってくる健一。それを大蛇の尾で絡め取り、「イタズラはいけないわね?」と、合法的に、かつ徹底的に「お仕置き(性的)」に処す。
そんな妄想が脳内を駆け巡る。
「……ダメよ、姦姦蛇螺。あなたは守り人なのよ。……でも、あのショタ声で『カンカンダラおねぇさん、やめてよぉ(涙声)』なんて言われた日には、私は……自分を抑えられる自信が……。」
自室の床を大蛇の尾で激しく叩き(のたうち回り)、悶え苦しむ境界の守り人。
彼女が会議で過激派を厳しく断罪するのは、自らの内に潜む、誰よりも過激で破廉恥な「健一への欲望」を隠すための必死な防衛本能でもあった。
翌日、良識派の施設内で顔を合わせたアクロバティックサラサラが、寝不足で目の下にクマを作っている姦姦蛇螺を見て、小声で囁いた。
「……また、あの動画(証拠資料)見てたんでしょう?」
「……な、何を仰るの。精査よ、執行部の罪を暴くための、厳正な精査をしていただけよ……っ!」
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