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「開けてよぉ! ここ、蚊が多いのよぉ!」
門の外では、まだミアが騒いでいました。
太陽が傾き、空が茜色に染まり始めても、彼女の体力(というより執念)は尽きる気配がありません。
私は執務室で、耳栓をして帳簿をつけていました。
「……しぶといわね。そろそろ近所迷惑で通報レベルよ」
「お嬢様、ご安心を。先ほど、裏山のオオカミたちが遠吠えを上げていましたが、ミア様の金切り声を聞いて『勝てない』と判断したのか、尻尾を巻いて逃げていきました」
「野生動物よりタチが悪いのね」
私がため息をついた、その時です。
ズズズ……と、地面が微かに揺れ始めました。
地震? いいえ。
蹄(ひづめ)の音です。それも、一頭や二頭ではありません。軍隊規模の馬蹄の響きが、地響きとなってこの屋敷に迫ってきているのです。
「……敵襲か?」
庭で掃除をしていたギルバート(雑用係)が、箒を構えて警戒態勢に入りました。
腐っても元騎士団長補佐(名ばかり)、こういう時の勘は働くようです。
「リズナ様ぁ! やっとお迎えが来たわ! ギルバート様が近衛騎士団を連れて……あれ?」
門にしがみついていたミアが、歓喜の声を上げかけ、凍りつきました。
現れたのは、確かに我が国の近衛騎士団でした。
黄金の鎧に、王家の紋章が入ったマント。
しかし、その中心にあるのは、王子用の白馬ではなく、国王専用の巨大な『六頭立て馬車』だったからです。
「こ、国王陛下……!?」
ミアが腰を抜かしました。
馬車がリズナ商会の門前で停車します。
重厚な扉が開き、降り立ったのは、髭を蓄えた厳格な初老の男性――国王陛下その人でした。
その後ろから、青ざめた顔の財務大臣と、胃薬の瓶を握りしめた宰相が続きます。
「へ、陛下! 私です、ミアです! リズナ様が私をいじめて……」
ミアが泥だらけのドレスで駆け寄ろうとしました。
しかし。
「ええい、退け! 薄汚い娘め!」
国王は手で払いのけました。
視界にすら入っていないようです。
「余は忙しいのだ! 国家の存亡がかかっているのだぞ! ……おい、リズナ嬢はどこだ! アークライト公爵令嬢は!」
国王の怒鳴り声に、門番をしていたゴードン(元山賊)がビビって道を空けました。
「あ、あっちの屋敷っす! 2階の執務室っす!」
「うむ! 行くぞ大臣たちよ! 這ってでも連れ戻すのだ!」
国王一行が、ズカズカと敷地内へ入ってきました。
その途中。
国王は、庭の隅で呆然と立っている「雑用係」と目が合いました。
「……ん? なんだあの汚い男は。どこかで見たような目つきだが……まあよい、今は構っている暇はない」
国王はギルバートを素通りしました。
あまりにも変貌しすぎていて、実の息子だと気づかなかったのです。
「ち、父上……?」
ギルバートの手から、箒がパタリと落ちました。
父に見捨てられた(気づかれなかった)ショックよりも、父があまりにも憔悴(しょうすい)し、なりふり構わぬ形相だったことに、彼は衝撃を受けていました。
◇
数分後。
リズナ商会・応接室。
私は上座に座り、目の前に座る国のトップ3人(国王、財務大臣、宰相)を見下ろしていました。
セオドアが、わざと少しぬるい紅茶を出します。
「……ようこそ、陛下。本日はどのようなご用件で? まさか、当店自慢の『スターライト・パウダー』を業務用サイズでご購入とか?」
「リズナ嬢……! 冗談を言っている場合ではない!」
国王がテーブルに身を乗り出しました。
「戻ってきてくれ! 今すぐにだ!」
「お断りします」
私は即答しました。
0.1秒の迷いもありません。
「なっ……! 条件も聞かずに即答か!」
「条件など聞かずとも分かります。どうせ『ギルバートとの婚約を戻す』とか『王太子妃の地位を約束する』とかでしょう? そんな不良債権(ギルバート)とのセット販売、お断りです」
「ぐぬぬ……!」
図星だったらしく、国王が言葉を詰まらせました。
「それに、私は今、非常に充実しております。自分の才覚で稼ぎ、自分の城(会社)を持ち、優秀な部下たちに囲まれている。なぜわざわざ、破産寸前の泥船に戻らねばならないのです?」
「そ、それは……国のため、民のため……」
「精神論は聞き飽きました」
私は冷たく切り捨てました。
「私が去った後の惨状は聞いております。国庫は空、執務は停滞、外交は決裂。すべて貴方方が『経営努力』を怠った結果です。それを私一人に押し付けようなど、虫が良すぎます」
正論の雨あられに、大臣たちが項垂(うなだ)れます。
国王の額に脂汗が滲みました。
彼は震える手で、懐から一枚の羊皮紙を取り出しました。
「……わかった。ギルバートとの復縁は諦めよう。あんなバカ息子、余も勘当したいぐらいだ」
「賢明なご判断です」
「だが、業務だけは! 国の財政再建だけは手伝ってくれ! この通りだ!」
ガタッ。
椅子が倒れる音がしました。
次の瞬間、私の目の前で信じられない光景が繰り広げられました。
一国の王が、床に膝をつき、額を擦り付けていたのです。
いわゆる、土下座です。
それに続き、大臣たちも平伏しました。
「お、お嬢様……これは……」
さすがのセオドアも、少し驚いています。
あのプライドの高い国王が、元婚約者の娘に頭を下げるとは。
それほどまでに、国庫の状況は切迫しているのでしょう。
「頼む……! このままでは、来月の国民への食料配給すらままならん! 余の首はどうなってもいい、だが民だけは守りたいのだ! 君の知恵を貸してくれ!」
国王の声は震えていました。
その姿を見て、私は少しだけ、ほんの少しだけ評価を修正しました。
(……無能で浪費家だけど、責任感だけは残っていたようね)
王族としてのプライドよりも、民の生活を選んで頭を下げた。
その一点においてのみ、彼はギルバートよりマシです。
「……頭をお上げください、陛下。床が汚れます。掃除係(ギルバート)の仕事が甘いので」
「リ、リズナ嬢……! では、引き受けてくれるのか!?」
「条件があります」
私は電卓を取り出し、叩き始めました。
「1.私は国には戻りません。あくまで『外部コンサルタント』として契約します」
「う、うむ。仕方あるまい」
「2.コンサルタント料は、国庫収入の5%。および、王家が保有する鉱山・港湾の運営権の一部を我が社に譲渡すること」
「なっ……!? それは国の心臓部を明け渡すようなものでは……!」
「嫌なら帰ってください。破産手続きの代行業者を紹介しましょうか?」
「……の、呑もう。その条件、すべて呑む!」
国王が涙目で叫びました。
背に腹は代えられないのです。
「3.そして最後。これが最も重要です」
私はニヤリと笑いました。
「今回の財政危機の主犯格である『バカ息子』と『お花畑令嬢』への処遇について、私に全権を委任していただきます」
「……全権? 殺してもいいと?」
「まさか。死体は利益を生みませんから。彼らには、死ぬより辛い……いえ、生きる喜び(労働)を知る機会を与えます」
「……好きにせよ。あやつらの教育に失敗したのも、余の責任だ」
国王は力なく頷き、契約書にサインしました。
王家の紋章が押されたその書類は、実質的にこの国の経済的支配権が私に移ったことを意味していました。
「契約成立ですね。毎度あり」
私は契約書を回収し、セオドアに目配せしました。
「では、さっそく業務を開始します。財務大臣、裏帳簿のコピーをすべて出しなさい。3時間で再建プランを叩き出します」
「は、はいっ!」
応接室が、一瞬にして『緊急対策本部』へと変わりました。
私はテキパキと指示を飛ばし、大臣たちをこき使い始めました。
その様子を、廊下の陰からこっそりと覗き見ている人物がいました。
ギルバートです。
「……父上が、土下座を……」
彼は震えていました。
自分が「リズナがいなくてもなんとかなる」「愛があれば大丈夫」と楽観視していた結果が、尊敬する父に床を舐めさせる事態を招いた。
その現実が、彼の胸に重くのしかかっていました。
「俺は……なんてことを……」
ギルバートの目から、初めて「悔し涙」がこぼれ落ちました。
それは、失恋の涙ではなく、己の無力さと罪の重さを知った、大人の涙でした。
「ギル」
不意に、後ろから声をかけられました。
セオドアです。
「……見ていましたか」
「ええ。情けない顔ですね」
「……ああ、情けない。俺は王子の資格なんてなかったんだ」
「自覚できたなら、第一歩です」
セオドアは珍しく、皮肉のない声で言いました。
「お嬢様は、貴方を見捨ててはいませんよ。見捨てていたら、とっくに殺処分しています。……貴方に『更生』のチャンスを与えているのです」
「更生……」
「さあ、涙を拭いて仕事に戻りなさい。お嬢様が全権を握った以上、貴方の仕事はさらに過酷になりますよ」
セオドアはポンとギルバートの肩を叩き、去っていきました。
ギルバートは袖で涙を拭いました。
その目には、今までとは違う、微かな光が宿っていました。
「……やるぞ。トイレ掃除でも、ドブさらいでも、なんでもやってやる。……この借りは、必ず俺の手で返す!」
覚醒(微弱)。
王子の成長フラグが立った瞬間でした。
しかし、その一方で。
完全に置いてけぼりを食らったミア様は、門の外でついに暴挙に出ようとしていました。
門の外では、まだミアが騒いでいました。
太陽が傾き、空が茜色に染まり始めても、彼女の体力(というより執念)は尽きる気配がありません。
私は執務室で、耳栓をして帳簿をつけていました。
「……しぶといわね。そろそろ近所迷惑で通報レベルよ」
「お嬢様、ご安心を。先ほど、裏山のオオカミたちが遠吠えを上げていましたが、ミア様の金切り声を聞いて『勝てない』と判断したのか、尻尾を巻いて逃げていきました」
「野生動物よりタチが悪いのね」
私がため息をついた、その時です。
ズズズ……と、地面が微かに揺れ始めました。
地震? いいえ。
蹄(ひづめ)の音です。それも、一頭や二頭ではありません。軍隊規模の馬蹄の響きが、地響きとなってこの屋敷に迫ってきているのです。
「……敵襲か?」
庭で掃除をしていたギルバート(雑用係)が、箒を構えて警戒態勢に入りました。
腐っても元騎士団長補佐(名ばかり)、こういう時の勘は働くようです。
「リズナ様ぁ! やっとお迎えが来たわ! ギルバート様が近衛騎士団を連れて……あれ?」
門にしがみついていたミアが、歓喜の声を上げかけ、凍りつきました。
現れたのは、確かに我が国の近衛騎士団でした。
黄金の鎧に、王家の紋章が入ったマント。
しかし、その中心にあるのは、王子用の白馬ではなく、国王専用の巨大な『六頭立て馬車』だったからです。
「こ、国王陛下……!?」
ミアが腰を抜かしました。
馬車がリズナ商会の門前で停車します。
重厚な扉が開き、降り立ったのは、髭を蓄えた厳格な初老の男性――国王陛下その人でした。
その後ろから、青ざめた顔の財務大臣と、胃薬の瓶を握りしめた宰相が続きます。
「へ、陛下! 私です、ミアです! リズナ様が私をいじめて……」
ミアが泥だらけのドレスで駆け寄ろうとしました。
しかし。
「ええい、退け! 薄汚い娘め!」
国王は手で払いのけました。
視界にすら入っていないようです。
「余は忙しいのだ! 国家の存亡がかかっているのだぞ! ……おい、リズナ嬢はどこだ! アークライト公爵令嬢は!」
国王の怒鳴り声に、門番をしていたゴードン(元山賊)がビビって道を空けました。
「あ、あっちの屋敷っす! 2階の執務室っす!」
「うむ! 行くぞ大臣たちよ! 這ってでも連れ戻すのだ!」
国王一行が、ズカズカと敷地内へ入ってきました。
その途中。
国王は、庭の隅で呆然と立っている「雑用係」と目が合いました。
「……ん? なんだあの汚い男は。どこかで見たような目つきだが……まあよい、今は構っている暇はない」
国王はギルバートを素通りしました。
あまりにも変貌しすぎていて、実の息子だと気づかなかったのです。
「ち、父上……?」
ギルバートの手から、箒がパタリと落ちました。
父に見捨てられた(気づかれなかった)ショックよりも、父があまりにも憔悴(しょうすい)し、なりふり構わぬ形相だったことに、彼は衝撃を受けていました。
◇
数分後。
リズナ商会・応接室。
私は上座に座り、目の前に座る国のトップ3人(国王、財務大臣、宰相)を見下ろしていました。
セオドアが、わざと少しぬるい紅茶を出します。
「……ようこそ、陛下。本日はどのようなご用件で? まさか、当店自慢の『スターライト・パウダー』を業務用サイズでご購入とか?」
「リズナ嬢……! 冗談を言っている場合ではない!」
国王がテーブルに身を乗り出しました。
「戻ってきてくれ! 今すぐにだ!」
「お断りします」
私は即答しました。
0.1秒の迷いもありません。
「なっ……! 条件も聞かずに即答か!」
「条件など聞かずとも分かります。どうせ『ギルバートとの婚約を戻す』とか『王太子妃の地位を約束する』とかでしょう? そんな不良債権(ギルバート)とのセット販売、お断りです」
「ぐぬぬ……!」
図星だったらしく、国王が言葉を詰まらせました。
「それに、私は今、非常に充実しております。自分の才覚で稼ぎ、自分の城(会社)を持ち、優秀な部下たちに囲まれている。なぜわざわざ、破産寸前の泥船に戻らねばならないのです?」
「そ、それは……国のため、民のため……」
「精神論は聞き飽きました」
私は冷たく切り捨てました。
「私が去った後の惨状は聞いております。国庫は空、執務は停滞、外交は決裂。すべて貴方方が『経営努力』を怠った結果です。それを私一人に押し付けようなど、虫が良すぎます」
正論の雨あられに、大臣たちが項垂(うなだ)れます。
国王の額に脂汗が滲みました。
彼は震える手で、懐から一枚の羊皮紙を取り出しました。
「……わかった。ギルバートとの復縁は諦めよう。あんなバカ息子、余も勘当したいぐらいだ」
「賢明なご判断です」
「だが、業務だけは! 国の財政再建だけは手伝ってくれ! この通りだ!」
ガタッ。
椅子が倒れる音がしました。
次の瞬間、私の目の前で信じられない光景が繰り広げられました。
一国の王が、床に膝をつき、額を擦り付けていたのです。
いわゆる、土下座です。
それに続き、大臣たちも平伏しました。
「お、お嬢様……これは……」
さすがのセオドアも、少し驚いています。
あのプライドの高い国王が、元婚約者の娘に頭を下げるとは。
それほどまでに、国庫の状況は切迫しているのでしょう。
「頼む……! このままでは、来月の国民への食料配給すらままならん! 余の首はどうなってもいい、だが民だけは守りたいのだ! 君の知恵を貸してくれ!」
国王の声は震えていました。
その姿を見て、私は少しだけ、ほんの少しだけ評価を修正しました。
(……無能で浪費家だけど、責任感だけは残っていたようね)
王族としてのプライドよりも、民の生活を選んで頭を下げた。
その一点においてのみ、彼はギルバートよりマシです。
「……頭をお上げください、陛下。床が汚れます。掃除係(ギルバート)の仕事が甘いので」
「リ、リズナ嬢……! では、引き受けてくれるのか!?」
「条件があります」
私は電卓を取り出し、叩き始めました。
「1.私は国には戻りません。あくまで『外部コンサルタント』として契約します」
「う、うむ。仕方あるまい」
「2.コンサルタント料は、国庫収入の5%。および、王家が保有する鉱山・港湾の運営権の一部を我が社に譲渡すること」
「なっ……!? それは国の心臓部を明け渡すようなものでは……!」
「嫌なら帰ってください。破産手続きの代行業者を紹介しましょうか?」
「……の、呑もう。その条件、すべて呑む!」
国王が涙目で叫びました。
背に腹は代えられないのです。
「3.そして最後。これが最も重要です」
私はニヤリと笑いました。
「今回の財政危機の主犯格である『バカ息子』と『お花畑令嬢』への処遇について、私に全権を委任していただきます」
「……全権? 殺してもいいと?」
「まさか。死体は利益を生みませんから。彼らには、死ぬより辛い……いえ、生きる喜び(労働)を知る機会を与えます」
「……好きにせよ。あやつらの教育に失敗したのも、余の責任だ」
国王は力なく頷き、契約書にサインしました。
王家の紋章が押されたその書類は、実質的にこの国の経済的支配権が私に移ったことを意味していました。
「契約成立ですね。毎度あり」
私は契約書を回収し、セオドアに目配せしました。
「では、さっそく業務を開始します。財務大臣、裏帳簿のコピーをすべて出しなさい。3時間で再建プランを叩き出します」
「は、はいっ!」
応接室が、一瞬にして『緊急対策本部』へと変わりました。
私はテキパキと指示を飛ばし、大臣たちをこき使い始めました。
その様子を、廊下の陰からこっそりと覗き見ている人物がいました。
ギルバートです。
「……父上が、土下座を……」
彼は震えていました。
自分が「リズナがいなくてもなんとかなる」「愛があれば大丈夫」と楽観視していた結果が、尊敬する父に床を舐めさせる事態を招いた。
その現実が、彼の胸に重くのしかかっていました。
「俺は……なんてことを……」
ギルバートの目から、初めて「悔し涙」がこぼれ落ちました。
それは、失恋の涙ではなく、己の無力さと罪の重さを知った、大人の涙でした。
「ギル」
不意に、後ろから声をかけられました。
セオドアです。
「……見ていましたか」
「ええ。情けない顔ですね」
「……ああ、情けない。俺は王子の資格なんてなかったんだ」
「自覚できたなら、第一歩です」
セオドアは珍しく、皮肉のない声で言いました。
「お嬢様は、貴方を見捨ててはいませんよ。見捨てていたら、とっくに殺処分しています。……貴方に『更生』のチャンスを与えているのです」
「更生……」
「さあ、涙を拭いて仕事に戻りなさい。お嬢様が全権を握った以上、貴方の仕事はさらに過酷になりますよ」
セオドアはポンとギルバートの肩を叩き、去っていきました。
ギルバートは袖で涙を拭いました。
その目には、今までとは違う、微かな光が宿っていました。
「……やるぞ。トイレ掃除でも、ドブさらいでも、なんでもやってやる。……この借りは、必ず俺の手で返す!」
覚醒(微弱)。
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しかし、その一方で。
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