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「いらっしゃいませ、お嬢様方。本日は『王妃の微笑み(ブリオッシュ)』が焼き上がっておりますぞ」
「きゃあ! 執事様よ! 素敵!」
「その紅茶、私がいただくわ!」
『ベーカリー・シナモン』に、新たな名物が誕生していた。
銀髪の美形店員(クラウス)に続き、ロマンスグレーの完璧な紳士(セバス)がホールに立ったのだ。
彼の接客は洗練を極めていた。
農家のおばちゃん相手でも、まるで王族に仕えるかのように恭(うやうや)しくトレイを差し出す。
「奥様、こちらのパンは焼きたてでございます。火傷なさらぬよう、私の手でお包みしましょう」
「あ、あらやだ……ポッ」
おばちゃんが乙女の顔になった。
私はレジの奥で、カチャカチャと金貨を数えながら呟いた。
「すごいわセバスさん。客単価が三割増しよ」
「恐縮です、オーナー。しかし、このブリオッシュ……バターの含有量が絶妙ですな。紅茶との相性が計算し尽くされている」
セバスは優雅に微笑んだが、そのポケットにはちゃっかり賄(まかな)いのパンがねじ込まれているのを見逃さなかった。
この主従、揃いも揃ってパン中毒である。
「おいセバス。あまり愛想を振りまくな。俺の(パンを食べる)時間が減るだろう」
厨房から、不機嫌そうなクラウスが顔を出した。
彼は今、黒縁眼鏡をかけて変装している。
一応、王都からの捜索を警戒してのことだが、その眼鏡姿が逆に「知的なイケメン」として人気を博していることに本人は気づいていない。
「おやクラウス様。嫉妬ですか? ご安心を、一番人気の座は譲りますよ」
「誰が人気争いなどするか。俺が守りたいのは、シナモンのパンと、平穏な試食タイムだけだ」
そんな平和な(?)営業風景が繰り広げられていた時だった。
店の外から、蹄(ひづめ)の音と、仰々しいラッパの音が聞こえてきた。
パパラパー!
「な、なんだ?」
お客さんたちがざわつく。
私は嫌な予感がして、窓の外を覗いた。
そこには、王家の紋章が入った豪華絢爛な馬車が止まっていた。
「……嘘でしょ」
最悪の客が来てしまった。
馬車の扉が開き、キラキラとしたオーラを纏(まと)って降りてきたのは、金髪碧眼の王子様――エドワード殿下だ。
彼は店の看板『ベーカリー・シナモン』を見上げると、フッと哀れむように笑った。
「こんな煤(すす)けた小屋で……。シナモン、どれほど惨めな思いをしていることか」
大きな独り言が、風に乗って店内まで聞こえてくる。
「皆様! 営業妨害になりそうな予感がするので、本日はこれにて閉店とさせていただきます!」
私は即座に叫んだ。
お客さんを裏口から逃がし、扉の鍵を閉めようとする。
しかし、一足遅かった。
バンッ!
扉が勢いよく開かれた。
「シナモン! 迎えに来たぞ!」
エドワード殿下が、無駄にポーズを決めて立っていた。
逆光で無駄に輝いている。
私はため息をつき、持っていた麺棒を構えた。
「いらっしゃいませ。当店は売り切れです」
「強がるな。報告は聞いているぞ。毎日、粉まみれになって泣いているそうじゃないか」
「泣いてません。粉が目に入っただけです」
「嘘をつくな! 寂しかったのだろう? 辛かったのだろう? かつての婚約者が、こうして救いの手を差し伸べてやったのだ。さあ、その胸に飛び込んでくるがいい!」
殿下は両手を広げた。
私は真顔で一歩下がった。
「お断りします。今、酵母の機嫌が悪いので」
「酵母だと? そんなカビの話より、我々の愛の話をしよう!」
「カビですって!?」
私のこめかみに青筋が浮かんだ。
私の可愛い酵母ちゃんを、またしても愚弄したわね。
「殿下。二度と言わないでください。酵母はカビではありません。真菌です。そして、私の大切なビジネスパートナーです」
「なっ……! お前、まだそんなことを……!」
殿下は顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。
「なぜ分からん! 私は、お前のためにわざわざ来てやったのだぞ! 本来なら処刑されてもおかしくない悪役令嬢を、許してやると言っているのだ!」
「頼んでません」
「ええい、黙れ! とにかく帰るぞ! お前がいないと、王都のパンが不味くて仕方がないのだ!」
あ、本音が出た。
結局、美味しいパンが食べたいだけじゃないか。
「嫌です。私はここで、自分の城(パン屋)を築くのです。お引き取りください」
「き、貴様……! 王族の命令に逆らう気か! 衛兵! この女を縛り上げろ!」
殿下の合図で、後ろに控えていた衛兵たちがジャラジャラと入ってきた。
「ちょっと! 土足で上がらないで! 床を磨いたばかりなのよ!」
私が叫んだその時。
「……私の店で、乱暴な真似は許さん」
ドスの利いた低い声が響いた。
厨房の奥から、眼鏡をかけたクラウスがゆっくりと姿を現した。
その手には、焼き上がったばかりのフランスパン(極太)が握られている。
「なんだ貴様は! ただの店員風情が!」
殿下が怒鳴る。
クラウスは無言のまま、フランスパンを剣のように構えた。
「下がれ、シナモン。……こいつらの相手は、俺がする」
「クラウスさん! でも相手は王族ですよ!?」
「関係ない。俺の平穏なパン生活(ライフ)を脅かす奴は、誰であろうと敵だ」
クラウスの眼鏡の奥の瞳が、青白く光った気がした。
「いけっ、衛兵! その無礼者を捕らえろ!」
衛兵たちが剣を抜いて襲いかかる。
対するクラウスの武器は、フランスパン一本。
どう見ても不利だ。
「危ない!」
私が叫んだ瞬間。
カァンッ!!
硬質な音が響いた。
衛兵の剣が、フランスパンに弾かれたのだ。
「なっ……!?」
衛兵が目を見開く。
「馬鹿な……パンが、剣を弾いた!?」
「当然だ」
クラウスは冷ややかに言った。
「シナモンが焼いたバゲットのクラスト(皮)は、鋼鉄より硬く、そして粘り強い。貴様らのなまくらな剣で斬れるものか」
「そんな理屈があるかー!!」
ツッコミが入るが、現実は非情だ。
クラウスは目にも止まらぬ速さでバゲットを振るった。
バシッ! ゴスッ! ドカッ!
「ぐわあぁ!」「い、いい匂いがするのに痛いぃ!」「鼻が! 鼻が折れた気がする!」
次々と薙ぎ倒される衛兵たち。
それはまさに、パン無双だった。
「ひ、ひいいっ! なんだその強さは!」
殿下が腰を抜かした。
クラウスは、先端が少しかけたバゲットを肩に担ぎ、殿下に歩み寄る。
「……王子。一つ忠告しておく」
「ひっ、な、なんだ!?」
「シナモンを連れて行くなら、俺を倒してからにしろ。……あと、この店のパンを食べたいなら、ちゃんと行列に並べ」
「は、はい……!」
殿下は涙目で頷いた。
その威圧感は、どう見ても「ただのバイト」ではなかったが、パニック状態の殿下は気づいていないようだ。
「さあ、お帰りください。営業終了です」
セバスがニコニコしながら扉を開けた。
「く、くそー! 覚えていろシナモン! 次はもっと大軍を連れてきてやるからな!」
捨て台詞を吐いて、殿下は逃げていった。
嵐が去った店内には、静寂と、フランスパンの香ばしい匂いだけが残った。
「……はあ。疲れた」
私はへたり込んだ。
「ありがとう、クラウスさん。助かりました」
「礼には及ばない。……だが、バゲットが一本無駄になったな」
彼はボロボロになったパンを見て、悲しげに眉を下げた。
「敵を殴ったパンなど、食べるわけにはいかない」
「そうですね。じゃあ、パン粉にしてカツレツの衣にしましょう」
「……無駄がないな、君は」
クラウスはふっと笑った。
その笑顔を見て、私は思った。
(やっぱりこの人、ただの公爵様じゃないわ。パンの守護騎士(ガーディアン)ね)
こうして、王子の襲来を(物理的に)撃退した私たちだったが、これで終わるはずもなかった。
翌日。
王都中に「辺境のパン屋には、伝説の剣豪がいる」という噂が広まり、今度は武術マニアたちが押し寄せることになったのである。
私の「のんびりパン屋ライフ」は、どこへ行ってしまったのだろうか。
「きゃあ! 執事様よ! 素敵!」
「その紅茶、私がいただくわ!」
『ベーカリー・シナモン』に、新たな名物が誕生していた。
銀髪の美形店員(クラウス)に続き、ロマンスグレーの完璧な紳士(セバス)がホールに立ったのだ。
彼の接客は洗練を極めていた。
農家のおばちゃん相手でも、まるで王族に仕えるかのように恭(うやうや)しくトレイを差し出す。
「奥様、こちらのパンは焼きたてでございます。火傷なさらぬよう、私の手でお包みしましょう」
「あ、あらやだ……ポッ」
おばちゃんが乙女の顔になった。
私はレジの奥で、カチャカチャと金貨を数えながら呟いた。
「すごいわセバスさん。客単価が三割増しよ」
「恐縮です、オーナー。しかし、このブリオッシュ……バターの含有量が絶妙ですな。紅茶との相性が計算し尽くされている」
セバスは優雅に微笑んだが、そのポケットにはちゃっかり賄(まかな)いのパンがねじ込まれているのを見逃さなかった。
この主従、揃いも揃ってパン中毒である。
「おいセバス。あまり愛想を振りまくな。俺の(パンを食べる)時間が減るだろう」
厨房から、不機嫌そうなクラウスが顔を出した。
彼は今、黒縁眼鏡をかけて変装している。
一応、王都からの捜索を警戒してのことだが、その眼鏡姿が逆に「知的なイケメン」として人気を博していることに本人は気づいていない。
「おやクラウス様。嫉妬ですか? ご安心を、一番人気の座は譲りますよ」
「誰が人気争いなどするか。俺が守りたいのは、シナモンのパンと、平穏な試食タイムだけだ」
そんな平和な(?)営業風景が繰り広げられていた時だった。
店の外から、蹄(ひづめ)の音と、仰々しいラッパの音が聞こえてきた。
パパラパー!
「な、なんだ?」
お客さんたちがざわつく。
私は嫌な予感がして、窓の外を覗いた。
そこには、王家の紋章が入った豪華絢爛な馬車が止まっていた。
「……嘘でしょ」
最悪の客が来てしまった。
馬車の扉が開き、キラキラとしたオーラを纏(まと)って降りてきたのは、金髪碧眼の王子様――エドワード殿下だ。
彼は店の看板『ベーカリー・シナモン』を見上げると、フッと哀れむように笑った。
「こんな煤(すす)けた小屋で……。シナモン、どれほど惨めな思いをしていることか」
大きな独り言が、風に乗って店内まで聞こえてくる。
「皆様! 営業妨害になりそうな予感がするので、本日はこれにて閉店とさせていただきます!」
私は即座に叫んだ。
お客さんを裏口から逃がし、扉の鍵を閉めようとする。
しかし、一足遅かった。
バンッ!
扉が勢いよく開かれた。
「シナモン! 迎えに来たぞ!」
エドワード殿下が、無駄にポーズを決めて立っていた。
逆光で無駄に輝いている。
私はため息をつき、持っていた麺棒を構えた。
「いらっしゃいませ。当店は売り切れです」
「強がるな。報告は聞いているぞ。毎日、粉まみれになって泣いているそうじゃないか」
「泣いてません。粉が目に入っただけです」
「嘘をつくな! 寂しかったのだろう? 辛かったのだろう? かつての婚約者が、こうして救いの手を差し伸べてやったのだ。さあ、その胸に飛び込んでくるがいい!」
殿下は両手を広げた。
私は真顔で一歩下がった。
「お断りします。今、酵母の機嫌が悪いので」
「酵母だと? そんなカビの話より、我々の愛の話をしよう!」
「カビですって!?」
私のこめかみに青筋が浮かんだ。
私の可愛い酵母ちゃんを、またしても愚弄したわね。
「殿下。二度と言わないでください。酵母はカビではありません。真菌です。そして、私の大切なビジネスパートナーです」
「なっ……! お前、まだそんなことを……!」
殿下は顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。
「なぜ分からん! 私は、お前のためにわざわざ来てやったのだぞ! 本来なら処刑されてもおかしくない悪役令嬢を、許してやると言っているのだ!」
「頼んでません」
「ええい、黙れ! とにかく帰るぞ! お前がいないと、王都のパンが不味くて仕方がないのだ!」
あ、本音が出た。
結局、美味しいパンが食べたいだけじゃないか。
「嫌です。私はここで、自分の城(パン屋)を築くのです。お引き取りください」
「き、貴様……! 王族の命令に逆らう気か! 衛兵! この女を縛り上げろ!」
殿下の合図で、後ろに控えていた衛兵たちがジャラジャラと入ってきた。
「ちょっと! 土足で上がらないで! 床を磨いたばかりなのよ!」
私が叫んだその時。
「……私の店で、乱暴な真似は許さん」
ドスの利いた低い声が響いた。
厨房の奥から、眼鏡をかけたクラウスがゆっくりと姿を現した。
その手には、焼き上がったばかりのフランスパン(極太)が握られている。
「なんだ貴様は! ただの店員風情が!」
殿下が怒鳴る。
クラウスは無言のまま、フランスパンを剣のように構えた。
「下がれ、シナモン。……こいつらの相手は、俺がする」
「クラウスさん! でも相手は王族ですよ!?」
「関係ない。俺の平穏なパン生活(ライフ)を脅かす奴は、誰であろうと敵だ」
クラウスの眼鏡の奥の瞳が、青白く光った気がした。
「いけっ、衛兵! その無礼者を捕らえろ!」
衛兵たちが剣を抜いて襲いかかる。
対するクラウスの武器は、フランスパン一本。
どう見ても不利だ。
「危ない!」
私が叫んだ瞬間。
カァンッ!!
硬質な音が響いた。
衛兵の剣が、フランスパンに弾かれたのだ。
「なっ……!?」
衛兵が目を見開く。
「馬鹿な……パンが、剣を弾いた!?」
「当然だ」
クラウスは冷ややかに言った。
「シナモンが焼いたバゲットのクラスト(皮)は、鋼鉄より硬く、そして粘り強い。貴様らのなまくらな剣で斬れるものか」
「そんな理屈があるかー!!」
ツッコミが入るが、現実は非情だ。
クラウスは目にも止まらぬ速さでバゲットを振るった。
バシッ! ゴスッ! ドカッ!
「ぐわあぁ!」「い、いい匂いがするのに痛いぃ!」「鼻が! 鼻が折れた気がする!」
次々と薙ぎ倒される衛兵たち。
それはまさに、パン無双だった。
「ひ、ひいいっ! なんだその強さは!」
殿下が腰を抜かした。
クラウスは、先端が少しかけたバゲットを肩に担ぎ、殿下に歩み寄る。
「……王子。一つ忠告しておく」
「ひっ、な、なんだ!?」
「シナモンを連れて行くなら、俺を倒してからにしろ。……あと、この店のパンを食べたいなら、ちゃんと行列に並べ」
「は、はい……!」
殿下は涙目で頷いた。
その威圧感は、どう見ても「ただのバイト」ではなかったが、パニック状態の殿下は気づいていないようだ。
「さあ、お帰りください。営業終了です」
セバスがニコニコしながら扉を開けた。
「く、くそー! 覚えていろシナモン! 次はもっと大軍を連れてきてやるからな!」
捨て台詞を吐いて、殿下は逃げていった。
嵐が去った店内には、静寂と、フランスパンの香ばしい匂いだけが残った。
「……はあ。疲れた」
私はへたり込んだ。
「ありがとう、クラウスさん。助かりました」
「礼には及ばない。……だが、バゲットが一本無駄になったな」
彼はボロボロになったパンを見て、悲しげに眉を下げた。
「敵を殴ったパンなど、食べるわけにはいかない」
「そうですね。じゃあ、パン粉にしてカツレツの衣にしましょう」
「……無駄がないな、君は」
クラウスはふっと笑った。
その笑顔を見て、私は思った。
(やっぱりこの人、ただの公爵様じゃないわ。パンの守護騎士(ガーディアン)ね)
こうして、王子の襲来を(物理的に)撃退した私たちだったが、これで終わるはずもなかった。
翌日。
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