メリー苦しむ二人

新浜 星路

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くぅりぃすまぁすきゃろるは

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「冬だね、凍える冬がきたね」
「止めてくれ、萩野。死にたくなってくる」
外はホワイトグラデーション。白き天空から降り注ぐ白雪は、青黒いコンクリートを白く白く
染めていた。
「恋愛否定組……」
「やめてくれその話は! その話はすんじゃねえ!」
俺は部室の机を叩き、静止させる。
恋愛否定組とは、夏に俺たちが開き直る為の口実として急遽立ち上げ、夏をエンジョイした。
そのはずだったが、やはり萩野は女として見れない。つまり意味がない。
「こんなことなら夏開き治らなきゃよかったなぁ」
萩野はそんなことをぼやきながら机に項垂れてながら、「彼氏」だの「プレゼント」だの「キス」だの
挙げていたらキリがないのだが言いまくる。
「俺たちは何を間違えたのだろうか」
俺は天を見上げ、そして夏の愚かしさを口にした。
「ひぃとぉりでぇ、感傷しないでぇ」
萩野は下らない呟きをする。リアルツイッターだな、いま思えば。どうでもいいけど。
「俺だって、俺だってなぁ! 一緒にクリスマスおくりてえよ!」
「私とおくります?」
「お前じゃ恋愛感情が沸かない……」
「パンツ脱いだらわきます?」
「……お前のパンツ今更見ても喜ばない。ミニスカでいつも飛び跳ねてるだろ」
「きゃっ、いつも見てたんですね」
「みてたんじゃない、見えるんだよ。もうお前のローテーションもあきた。水曜だけ日替わりメニュー」
「水曜だけは、気分で選ぶようにしてるのバレてるー」
「パンツローテなんざきいたことねーよ」
「女子高生はいつだって意識高いんです」
「パンツだけ意識高くてもなぁー、はぁー」
「顔を見てため息つくのやめてください」
クリスマスイブは結局二人で過ごしたのだった。
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