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CASE I SAVE ME.
最終話 僕だけのストーリー
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「「「「「あの子はそんな子じゃありません!!」」」」」
僕はハッと顔を上げた。
お母さん……。お母さんだ……。
「あの子は優しい子です。きっと何か訳があるんです!!」
お母さんは、親族の強い圧力にも屈せず、大声を張り上げて、僕を守ってくれる。
お母さんの立場は親族の中でも弱い。
生まれも、家柄も良くなく、貧乏な家の出自。
父親が、議員の仕事で、偶然立ち寄った田舎のスーパーでパートをしていた美人なお母さんを見初めて結婚したようだ。
だが、親族の猛反対があったらしい。
お母さんは優しい人だ。
僕は学校でイジメを受けているのを、家族に話せなかった。だが、お母さんは、いつも声をかけてくれた。
「大丈夫? 学校で何か辛いことない?」
「辛かったら辞めていいんだよ?」
加世子の元に通って時でも、
「好きな女の子でもできた? お母さん、あんまり夜遅く帰ってくるのは感心しないなあ」
「でも、流、私はその恋、応援するからね……」
何も僕を咎めることなく、優しく接してくれる……。
だんだん、目頭が熱くなる。
「あの子は、一樹の面倒も小さい頃から良くみて、ちゃんと叱ったり、優しくできる子です。今の一樹が勉強できるも、大きくなれたのも、全部あの子のお陰です! きっと、辛いことがあったんだと思います!」
「私はあの子を、お母さんに預けません。ちゃんとこの家で立派に育てるんです!」
「駄目だ! アイツに罰を与える」
「そんな酷いことさせません! どうしてもというなら、私にしなさい。私はあの子の母親です。私に責任があります」
――そうだ。もしかしたら、お母さんも大変な目にあっているかもしれない。助けないと! 僕がお母さんを守る。僕にはお母さんがいるっっ!!
そう決意した時、僕のズボンのポケットから、光が、光が広がった。
紫色の光。
お母さんの大好きな色だ。
お母さんの身につけている物の多くに、紫色がちりばめられている。
光はどんどん、大きくなり、僕の周り、この暗闇の中、そして、この世界にあまねく光を広げていく。
そして、アメジストの輝きに共鳴するがごとく、他の二つの宝石にも変化が起った。
アメジストの紫色の光に照らされたことで、自らの本来の色を思い出したように、闇を捨て、自身の輝きを取り戻す。
赤く、燃え上がるようで、情熱的で、立ち向かう勇気をくれるルビーの輝き。
優しく、冷静で、見る者に癒やしを与える、美しいサファイア。
それらが同時に輝くことで、彼らの光は紫になり、紫の光が、この世界を闇のない世界に変えてくれる。
気がつけば、僕は工場にいた。
もう、紫色には世界は輝いていない。
だが、本当に美しすぎるぐらい、アメジストもルビーもサファイも美しく、透き通るような宝石になっている。
「そうだよ! 赤と青が混ざれば、紫になる。だから、全てキミなんだよ。赤い情熱的なところも、青い、癒やしを生む輝きも、そしてキミが大事に思っている紫の輝きも、全てキミを構成しているんだ……」
パートナーが目に涙を浮かべて僕を見ている。
「キミに懸けてきてよかったよ。私の仕事はもう終わりだね」
僕は後ろに振り返り、パートナーを呼び止める。
「待って! 置いていかないで!!」
僕はいつだって、パートナーに勇気をもらってきた。
いつも眠たそうな顔してるけど、大きな美しい瞳はいつも僕を心配してくれていた。
「大丈夫、私がもういなくてもキミは大丈夫、キミは人を知った。人の大切さを知った。本当の卓、加世子と接することでね。たとえ二人がいなくなっても、キミの心の中で生きている。それもまたキミなんだよ。キミというかけがえのない存在なんだ……」
「ま……」
そこで僕は、出た言葉を飲み込んだ。
そうだ、これは、この世界は僕のストーリー。僕そのものなんだ。
きっと、パートナーは僕に試練を課して、僕が強くなれるように導いてくれた。
スピリチャルモンスターとはきっと、僕自身のことなんだ。
僕は目の前の、僕を見る。
そして、僕が僕に与えた痣や傷を見る。
みるみる、痣はなくなって、前よりも強く、逞しく僕の身体の一部になっている。
目の前には、もう一人の僕がいる。
彼は、僕に無表情に近づいてくる。
僕は身構えた。
今度こそ、負けない。
卓、加世子、パートナー、そしてお母さん。
大切な人と出会っても、僕は誰にも負けない力を得た。
だから、もう〝自分〟に負けない。
これから、どんな試練が待ち受けてこようと、僕は逃げずに立ち向かう。それが〝生きる〟ということなんだっっ!!
もう、目と鼻の先にいる、もう一人の自分。
そして、腕を振り上げたと思ったら、手を差し伸べてきた。
これは親愛の証、握手だ。
「僕は、キミだよ。辛い思い、苦しい思い、悲しみ、挫折、そう、全てのキミの気持ち。だが、キミは逃げようとした。僕から、キミは逃げてきた。でもね……」
そこで、もう一人の自分が僕に、屈託のない綺麗な笑顔を向ける。
「キミには僕が必要なんだ」
僕はもう一人の自分と握手して、強く握り返した。
――ごめん。キミも大事にするから……。
そう思い、僕も笑顔を返す。
やがて、彼はどんどん白い輝きを放ち始めた。
そうだ、全ての光の色を混ぜると、白色になる。
つまり、全ての僕の構成する、気持ち、色が白なんだ。
彼は皮膚、髪、爪にまでも、プラチナのように美しく鮮やかに、白く輝き、そして、放射状に全方位を照らす。たちまち、世界は一瞬にして、一色になる。
僕は周りを見渡した。その時、彼に姿はもう無くないることにようやく気がつく。
だが頭の中に声が聞こえる。
『行こう! 分かっているはずだ。もうキミの進むべき道は……』
僕は僕の声に導かれるように、目の前の扉の前に行く。
扉は、小さい入り口だった。
なんてことない、普通の木製のドア。
木目がよく分かる、木の板に、錆びた真鍮色の丸いノブがついている。
だが、皆そうなのだ。
誰かの人生だけが特別な訳ではなく、皆、特別のかけがえのない人生を歩む。
僕は大きく、そのドアを開けた。
僕はハッと顔を上げた。
お母さん……。お母さんだ……。
「あの子は優しい子です。きっと何か訳があるんです!!」
お母さんは、親族の強い圧力にも屈せず、大声を張り上げて、僕を守ってくれる。
お母さんの立場は親族の中でも弱い。
生まれも、家柄も良くなく、貧乏な家の出自。
父親が、議員の仕事で、偶然立ち寄った田舎のスーパーでパートをしていた美人なお母さんを見初めて結婚したようだ。
だが、親族の猛反対があったらしい。
お母さんは優しい人だ。
僕は学校でイジメを受けているのを、家族に話せなかった。だが、お母さんは、いつも声をかけてくれた。
「大丈夫? 学校で何か辛いことない?」
「辛かったら辞めていいんだよ?」
加世子の元に通って時でも、
「好きな女の子でもできた? お母さん、あんまり夜遅く帰ってくるのは感心しないなあ」
「でも、流、私はその恋、応援するからね……」
何も僕を咎めることなく、優しく接してくれる……。
だんだん、目頭が熱くなる。
「あの子は、一樹の面倒も小さい頃から良くみて、ちゃんと叱ったり、優しくできる子です。今の一樹が勉強できるも、大きくなれたのも、全部あの子のお陰です! きっと、辛いことがあったんだと思います!」
「私はあの子を、お母さんに預けません。ちゃんとこの家で立派に育てるんです!」
「駄目だ! アイツに罰を与える」
「そんな酷いことさせません! どうしてもというなら、私にしなさい。私はあの子の母親です。私に責任があります」
――そうだ。もしかしたら、お母さんも大変な目にあっているかもしれない。助けないと! 僕がお母さんを守る。僕にはお母さんがいるっっ!!
そう決意した時、僕のズボンのポケットから、光が、光が広がった。
紫色の光。
お母さんの大好きな色だ。
お母さんの身につけている物の多くに、紫色がちりばめられている。
光はどんどん、大きくなり、僕の周り、この暗闇の中、そして、この世界にあまねく光を広げていく。
そして、アメジストの輝きに共鳴するがごとく、他の二つの宝石にも変化が起った。
アメジストの紫色の光に照らされたことで、自らの本来の色を思い出したように、闇を捨て、自身の輝きを取り戻す。
赤く、燃え上がるようで、情熱的で、立ち向かう勇気をくれるルビーの輝き。
優しく、冷静で、見る者に癒やしを与える、美しいサファイア。
それらが同時に輝くことで、彼らの光は紫になり、紫の光が、この世界を闇のない世界に変えてくれる。
気がつけば、僕は工場にいた。
もう、紫色には世界は輝いていない。
だが、本当に美しすぎるぐらい、アメジストもルビーもサファイも美しく、透き通るような宝石になっている。
「そうだよ! 赤と青が混ざれば、紫になる。だから、全てキミなんだよ。赤い情熱的なところも、青い、癒やしを生む輝きも、そしてキミが大事に思っている紫の輝きも、全てキミを構成しているんだ……」
パートナーが目に涙を浮かべて僕を見ている。
「キミに懸けてきてよかったよ。私の仕事はもう終わりだね」
僕は後ろに振り返り、パートナーを呼び止める。
「待って! 置いていかないで!!」
僕はいつだって、パートナーに勇気をもらってきた。
いつも眠たそうな顔してるけど、大きな美しい瞳はいつも僕を心配してくれていた。
「大丈夫、私がもういなくてもキミは大丈夫、キミは人を知った。人の大切さを知った。本当の卓、加世子と接することでね。たとえ二人がいなくなっても、キミの心の中で生きている。それもまたキミなんだよ。キミというかけがえのない存在なんだ……」
「ま……」
そこで僕は、出た言葉を飲み込んだ。
そうだ、これは、この世界は僕のストーリー。僕そのものなんだ。
きっと、パートナーは僕に試練を課して、僕が強くなれるように導いてくれた。
スピリチャルモンスターとはきっと、僕自身のことなんだ。
僕は目の前の、僕を見る。
そして、僕が僕に与えた痣や傷を見る。
みるみる、痣はなくなって、前よりも強く、逞しく僕の身体の一部になっている。
目の前には、もう一人の僕がいる。
彼は、僕に無表情に近づいてくる。
僕は身構えた。
今度こそ、負けない。
卓、加世子、パートナー、そしてお母さん。
大切な人と出会っても、僕は誰にも負けない力を得た。
だから、もう〝自分〟に負けない。
これから、どんな試練が待ち受けてこようと、僕は逃げずに立ち向かう。それが〝生きる〟ということなんだっっ!!
もう、目と鼻の先にいる、もう一人の自分。
そして、腕を振り上げたと思ったら、手を差し伸べてきた。
これは親愛の証、握手だ。
「僕は、キミだよ。辛い思い、苦しい思い、悲しみ、挫折、そう、全てのキミの気持ち。だが、キミは逃げようとした。僕から、キミは逃げてきた。でもね……」
そこで、もう一人の自分が僕に、屈託のない綺麗な笑顔を向ける。
「キミには僕が必要なんだ」
僕はもう一人の自分と握手して、強く握り返した。
――ごめん。キミも大事にするから……。
そう思い、僕も笑顔を返す。
やがて、彼はどんどん白い輝きを放ち始めた。
そうだ、全ての光の色を混ぜると、白色になる。
つまり、全ての僕の構成する、気持ち、色が白なんだ。
彼は皮膚、髪、爪にまでも、プラチナのように美しく鮮やかに、白く輝き、そして、放射状に全方位を照らす。たちまち、世界は一瞬にして、一色になる。
僕は周りを見渡した。その時、彼に姿はもう無くないることにようやく気がつく。
だが頭の中に声が聞こえる。
『行こう! 分かっているはずだ。もうキミの進むべき道は……』
僕は僕の声に導かれるように、目の前の扉の前に行く。
扉は、小さい入り口だった。
なんてことない、普通の木製のドア。
木目がよく分かる、木の板に、錆びた真鍮色の丸いノブがついている。
だが、皆そうなのだ。
誰かの人生だけが特別な訳ではなく、皆、特別のかけがえのない人生を歩む。
僕は大きく、そのドアを開けた。
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