アーゴットの鍛冶暮らし(お気に入り数が増えると続編でます)

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ミリアムの父鍛冶マスタージル

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港町ブカレアは港湾部に対しても壁の張り巡らされた
全周囲がたの城塞都市だ、大陸においてもこの戦乱の時代
この方式による町は多い、海風も防ぐこの壁のせいで町の中は思われるよりも静かだ。
ミリアムの父ジルはギルドマスターとして、
ジルの鉄窯を町の港湾部への出口近い東門のそばに構える鍛冶師でもある。
先代光明のリアムの一番弟子であり、そのすべての技術を受け継いでおり。
言うまでもなく腕はジキルと並んで頂点にいるのだがギルドマスターという雑務が多いせいで、
鍛冶仕事は騎士団絡み以外はめったに引き受けないのが実情だ。
ブラックスミス、つまり武器防具専門の鍛冶職人と言えるのは彼だけかもしれない。

街は賑やかで周辺海域からの魚介類、交易船による大陸からの物資と人、
ノーアの森のから得られる資源や食料、
南部遊牧民から持ち込まれる衣類や家畜、
などが大陸の玄関港ガーブとの間を往復する連絡船にいつも満載され
テランに匹敵する商取引量もあって、
国の重要拠点とされ。
灯台街との利権争いの火種にもなっている。
街の中央には石畳の横3mにもなる大通りがあり
左右には大小の露店や店舗がひしめきあっている
街の中央の酒場には朝方まで明かりと喧騒が在り、
島の玄関口の機能をテランから完全に奪っている。

(アーゴットがあんなに強いなんて・・・)
ミリアムにしてみれば魔獣をわずか二太刀で倒してしまう15歳の少年は驚異的である、
それが幼馴染で、今まで手をつないだこともない大好きな幼馴染で、
急場とはいえ抱き合ったのは今日が初めてである、
思い出すだけで顔が赤くなる。
ギルドマスタージル「どうしたんだそんな恋する乙女みたいな顔して」
鍛冶師としてギルドマスターまで上り詰めたジルの観察眼は伊達ではない、
娘を鑑定する事も出来るが、するまでもないほど顔に出ている。
ジル「まさか ジキルのとこの小倅じゃねえだろうな?」
ミリアム「そ。。そんなわけないでしょ」
顔にそうですと書いてある。
ジルはミリアムが今日採取してきた野菜スープにパンを浸しながら回想している、
数年前初めて打った剣をジルの元に見せに来たあの少年を。
ジル「たしかに筋は良いが、まだまだひよっこだ」
ミリアム「そんな事ないわよ、今日だってワークボアを一人で・・」
ミリアムはそこでくちをつぐむ。
ジル「ワークボアをどうしたって?あれはワイヤーにかかったって聞いたぞ?」
ミリアムは押し黙っている
ジル「ミリアム、父さんに隠し事をするのか?」
ミリアム「あのね。。父さんっ。。アーゴットには黙ってて欲しいの」
ジル「良いから話してみなさい」
ミリアムはジルに今日の出来事を全部話した
今食べているスープの山菜を森でとった事、その時襲われたワークボアをアーゴットが斧で切り裂いた事を。
ジルは話を整理しはじめた。
あいつはただの平民の鍛冶見習いだ、正規軍の剣術をマスターしているわけでもないのに
ワークボアの首を落とせるわけがない、しかも斧で・・・。
ジル「まさかあの小僧・・・」
ジル「ミリアム今から彼を家に連れてきなさい」
ミリアム「でももう遅いし明日でも・・・」
ジル「良いから今すぐにだ!」
夜21時
アーゴットとジキルの話がひといきついた時ミリアムがノックをする。
アーゴット「ミリアム、今日はパンはいらないぜ、親父がワークボアの祝いに羊肉を夕食にくれたからな」
ミリアム「そうじゃないの。父さんが、、今すぐ呼んで来いって」
アーゴット「まさか話したのか?」
ミリアム「だって隠し通せないよ」
たしかにミリアムの父ジルはギルドマスターになるほどの人物だ、
ミリアムの異変に気づいてもおかしくはない。
アーゴット「とにかく行くしかないみたいだな」
ミリアム「ごめんなさい」
アーゴット「いいさ、親父に声だけかけてくる、ここで待ってろ」
鍛冶ギルドの隣にあるジルの家につくまで二人は黙ったままだった。
ジル「やあアーゴット、今日は娘のミリアムを守ってくれだそうだな」
アーゴット「すいません俺のせいで危険な目に」
ジル「ミリアムは部屋にもどっていなさい」
ミリアム「でも・・」
ジルが目配せをするとあきらめたように部屋にミリアムは行った。
ジル「その斧か、少し見せてもらうかな?」
そういうとアーゴットの返事をまたずに目が青く光る
ジル「やはり聖錬鋼か・・・」
アーゴット「知っているんですか!?」
ジル「ああ。ここの鍛冶ギルドの初代マスター、俺の師匠もそれを打っていたからな」
ジル「師匠はこれを使って作った剣を収めたのさ王教会の先代司教様にな、
その切れ味から今は聖剣としてリグレア大陸にある王協会首都ルーファスで祀られている」
アーゴット「まさか聖剣リグレアですか?」
ジル「ああそうだ」
大陸の名を与えられた聖剣リグレア、鍛冶師なら知らぬものの無い聖剣だ。
ジル「聖剣は鑑定眼で見ても素材や製法がわからない特殊な加護がかけられている、何故だかわかるか?」
アーゴット「戦争に利用されるからでしょうか?」
ジル「あれが大量生産されれば戦争は苛烈さを増し、持つものが持たざる者を一方的に虐殺する事になるからだ」
製法からも鍛冶師を酷使することになるのは言うまでもない。
ジル「その斧を捨てろ、捨てねばお前の未来はない、そうして二度とそれを作るな」
アーゴット「わかりました」
ジル「物分かりが良くて良かった、だがお前の鉄に対する思いと努力は良く分かった、よってお前を鍛冶ギルドの正式なメンバーにしてやる」
それは鍛冶神バッカスの加護を受け取るという事である。
アーゴット「でもうちは親父が加護持ちで一家に二人の加護持ちなんて聞いたことが無いですが」
王教会の鍛冶3名のほかは5件の鍛冶屋の代表しか持っていないものだ
ジル「お前がうちに婿に来るんだよ、ミリアムのな、そうして俺の加護を継承しろ」
アーゴット「えええ!?」
ジル「嫌とは言わさんぞ?」
アーゴット「でもミリアムの気持ちは・・」
ジル「そんなの俺はずっと気づいていたぞ、それに俺が決めたんだお前らに拒否権はない」
アーゴット「そんな・・・」
ジルは真面目な顔でアーゴットを見つめている。
ジル「ミリアムそこで聞き耳を立てていないで出てきなさい」
ミリアムは驚いて物陰から出てくる。
ミリアム「お父様・・・」
ジル「良いな?お前たち」
2人は見つめあい少し間を置いて声をそろえてうなずき返事をした。
「はいっ」
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