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牽制
牽制③
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楠ノ瀬の家を辞した俺はそのまま帰る気にもなれず、山の中をふらついていた。
――楠ノ瀬の台詞が耳について離れない。
何もできない自分が嫌になる。
あいつが泣いているのに。
俺に救けを求めているのに。
「くそっ……」
何もできない自分が嫌になる。
どこにぶつけていいのかわからない苛立ちを発散させるように……俺はろくに整備もされていない山道を歩き回った。
「痛っ……」
闇雲に彷徨っていたら、飛び出た枝に頬を引っ掻かれた。かすかに痛む左頬に手を当てると血が滲んでいる。
「何やってんだ、俺……」
血の付いた掌をみつめて呟く。
沈みかけた陽が掌を照らして、血の赤と夕陽の赤が混じりあう。
その色は楠ノ瀬の濡れた唇を思い出させた。
カサカサ――……。
自分の掌を見つめて立ち止まる俺の前方を白い人影が横切った。
白い上衣に朱い袴。
風に揺られて靡く馬の尾のような髪の束が目に残った。
「楠ノ瀬……?」
見覚えのあるシルエットに、俺の足は無意識のうちにその後を追っていた。
この道に慣れているのか、その影の足は速かった。
縦横無尽に生える木々と腰の高さほどに伸びた草が邪魔をして、何度か見失いそうになる。
「どこに行った……?」
視界から消えた人影を探してきょろきょろ辺りを見回すと、
「――……ったんだ?」
カサカサ、と草の触れ合う音に紛れて人の話し声が聞こえた。
「……どうしてか、と聞いている」
静かに、しかし責めるような男の声。
「情でもわいたか?」
――この声は……。
「清乃に? それとも……高遠の息子に?」
その男のバカにしたような嗤い声には聞き覚えがあった。
徳堂直之――楠ノ瀬の婚約者だ。
「そんなことっ……!」
答えた女の声は――
「あやちゃん……?」
追ってきた影は楠ノ瀬じゃなかった。
俺は近くの木の影に隠れて、徳堂とあやちゃんの様子を伺った。
「僕の言う通りにできないのなら、お前はもう要らない」
「……嫌っ! そんなこと、言わないで……」
あやちゃんが今にも泣き出しそうな声で徳堂に縋りついた。
いつもの勝気なあやちゃんからは想像できないような声だ。
徳堂は彼女を背後の大木に凭れさせると、長い人差し指であやちゃんの胸元をツー……っとなぞった。白衣を盛り上げる膨らみの、その頂を……ゆっくりと、執拗に。
「……んっ」
焦らすような触り方に、あやちゃんの息が徐々に荒くなってくる。
男を見上げる目が潤んでいるようだ。
「あぁ……もっと……」
あやちゃんが熱に浮かされたように口走ると、
「子供のくせに、とんだ淫乱だな」
徳堂は鼻で嗤って、乱暴に彼女の白衣をずり下げた。
あやちゃんの白い胸元が露わになる。
徳堂は彼女の背中に手をまわしてホックを外すと下着を剥ぎ取って草むらに投げ捨てた。楠ノ瀬と比べるとやや小ぶりなあやちゃんの乳房がむき出しになる。
外気に晒されて今にも弾けそうに膨らんだ彼女の胸の先端を、徳堂は指先で弄ぶ。
「……んんっ……」
あやちゃんの薄く開いた口から、鼻にかかった声が漏れる。
男は口を歪めて意地の悪い笑みを浮かべると、あやちゃんの固く膨らんだ蕾をぴんっ、と弾いた。
「あぁ…んっ……!」
仰け反ったあやちゃんの高い声が、夕暮れの空に響いた。
――楠ノ瀬の台詞が耳について離れない。
何もできない自分が嫌になる。
あいつが泣いているのに。
俺に救けを求めているのに。
「くそっ……」
何もできない自分が嫌になる。
どこにぶつけていいのかわからない苛立ちを発散させるように……俺はろくに整備もされていない山道を歩き回った。
「痛っ……」
闇雲に彷徨っていたら、飛び出た枝に頬を引っ掻かれた。かすかに痛む左頬に手を当てると血が滲んでいる。
「何やってんだ、俺……」
血の付いた掌をみつめて呟く。
沈みかけた陽が掌を照らして、血の赤と夕陽の赤が混じりあう。
その色は楠ノ瀬の濡れた唇を思い出させた。
カサカサ――……。
自分の掌を見つめて立ち止まる俺の前方を白い人影が横切った。
白い上衣に朱い袴。
風に揺られて靡く馬の尾のような髪の束が目に残った。
「楠ノ瀬……?」
見覚えのあるシルエットに、俺の足は無意識のうちにその後を追っていた。
この道に慣れているのか、その影の足は速かった。
縦横無尽に生える木々と腰の高さほどに伸びた草が邪魔をして、何度か見失いそうになる。
「どこに行った……?」
視界から消えた人影を探してきょろきょろ辺りを見回すと、
「――……ったんだ?」
カサカサ、と草の触れ合う音に紛れて人の話し声が聞こえた。
「……どうしてか、と聞いている」
静かに、しかし責めるような男の声。
「情でもわいたか?」
――この声は……。
「清乃に? それとも……高遠の息子に?」
その男のバカにしたような嗤い声には聞き覚えがあった。
徳堂直之――楠ノ瀬の婚約者だ。
「そんなことっ……!」
答えた女の声は――
「あやちゃん……?」
追ってきた影は楠ノ瀬じゃなかった。
俺は近くの木の影に隠れて、徳堂とあやちゃんの様子を伺った。
「僕の言う通りにできないのなら、お前はもう要らない」
「……嫌っ! そんなこと、言わないで……」
あやちゃんが今にも泣き出しそうな声で徳堂に縋りついた。
いつもの勝気なあやちゃんからは想像できないような声だ。
徳堂は彼女を背後の大木に凭れさせると、長い人差し指であやちゃんの胸元をツー……っとなぞった。白衣を盛り上げる膨らみの、その頂を……ゆっくりと、執拗に。
「……んっ」
焦らすような触り方に、あやちゃんの息が徐々に荒くなってくる。
男を見上げる目が潤んでいるようだ。
「あぁ……もっと……」
あやちゃんが熱に浮かされたように口走ると、
「子供のくせに、とんだ淫乱だな」
徳堂は鼻で嗤って、乱暴に彼女の白衣をずり下げた。
あやちゃんの白い胸元が露わになる。
徳堂は彼女の背中に手をまわしてホックを外すと下着を剥ぎ取って草むらに投げ捨てた。楠ノ瀬と比べるとやや小ぶりなあやちゃんの乳房がむき出しになる。
外気に晒されて今にも弾けそうに膨らんだ彼女の胸の先端を、徳堂は指先で弄ぶ。
「……んんっ……」
あやちゃんの薄く開いた口から、鼻にかかった声が漏れる。
男は口を歪めて意地の悪い笑みを浮かべると、あやちゃんの固く膨らんだ蕾をぴんっ、と弾いた。
「あぁ…んっ……!」
仰け反ったあやちゃんの高い声が、夕暮れの空に響いた。
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