セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

今卓&

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本編

84話 貴人の虜囚 その100

「こちらが市場ですねー」

とライニールが振り返ると、

「冬場だからな、活気は今一つなのだ」

ムフンとレアンが胸を張る、タロウは細かく通訳し、キャーキャーと楽しそうなアージェン族達、この繰り返しであった、ガラス鏡店を後にし、ライニールに任せてモニケンダムの街中をフラフラと歩き回る事になったのであるが、タロウが知る限りそれほど見るものも無いだろうなと思うが、そこそこあったようで、この市場とされる街の中心部にある広場に至るまでにかなり歩く事になってしまった、ライニールもそれなりに順路を考えていたらしく、行きつ戻りつした訳では無かったが、少なくとも昨日の遠足よりは歩いている感がある、それでもアージェン族達は楽しそうであるし、子供達もまだまだ元気で駆け回るのを抑えつけなければならないほどで、彼らが楽しんでいるのであればまぁいいかと微笑むタロウであった、

「確かに、店が少ない」

「少し寂しい」

「この時期は帝都も似たようなものだったでしょー」

「冬はどこも一緒でしょうに」

男達が若干辛辣な意見を口にすれば、それは仕方ないと奥様達が即座に反論している、タロウがレアンとライニールに通訳すれば、その通りと微笑む二人である、マリレーナもどこぞも同じなのねーとその足元にアージェン族の子供を抱いて微笑む、もうすっかり子供達に懐かれてしまったマリレーナである、その母親も嬉しそうにマリレーナに話しかけており、言葉は通じなくても意味はなんとなくわかるもので、ニコニコと楽しそうなマリレーナであった、

「見ていいか?」

サッとタロウを見上げる奥様の一人、

「いいよ、あっ、ついでだからゆっくりと買い物をしてみてよ、お金はあるから、順繰りに見て行こうか」

とタロウがライニールに目配せし、ライニールがコクンと頷き近くの屋台へ足を向けゾロゾロと続く一行、道行く買い物帰りの奥様達がギョッと振り返るも、レアンがすぐ側にいる為、それに気付いて軽く会釈をしなければならず、しかし初めて見るアージェン族の姿はやはり目を引かれてしまうようで、視線を外せずにコソコソと囁き合う者や呆然と見つめる者、あからさまに嫌悪の視線を向ける者等様々であった、この市場だからではない、道中もすれ違った者達からは奇異の視線を向けられている、タロウは一応とアージェン族達には失礼があるかもしれないと話していたが、アージェン族達にすれば帝都でも似たような感じだったとの事で、無視する事にしているとあっけらかんとしたものであった、しかし不愉快な事は不愉快であろうし、子供達は母親とマリレーナの側から離れず、それでも駆け出しそうになるのを母親が押さえつける有様でなんとも可哀そうに見えてしまう、彼らにすればこの地はどうあっても異国であり、王国民からすれば見慣れない上に奇妙な異民族であった、アージェン族達の姿が当たり前の事と受け入れられるようになるには時間がかかるのであろうなとタロウは考える、こればかりは現時点に於いてなんともしようがなかったりする、

「蕎麦がある、蕎麦は美味い」

ピョンと跳ねる奥様達、

「あっ、そっか、帝国だと蕎麦は珍しいよね」

「うん、故郷でも珍しい、蕎麦は美味い、団子にして食べてる」

「だねー、あっ・・・胡麻とかはどう?」

「胡麻もあるのか?」

「ありますよ、名物なのです」

「よく採れるのだ、胡麻は痩せた土地でも良く育つからな」

「こっちではあまり育てていなかった、そうなのか、知らなかった」

タロウが細かく通訳すれば目を輝かせる奥様達、得意そうに微笑むレアンとライニール、

「こっちではイモは少ないと聞いたが本当に無いな・・・」

「そうだねー、ジャガもサツマもないからね、ほら、帝国から奪ったからさ、こっちにも広まると思うよ」

「そうなのか、うん、あれは便利だ、それに美味しい」

「確かに便利だね、あっ、良ければ好きなのを買っていいよ、持ち帰るのが大変かもだけど」

「いいのか?嬉しい」

といよいよ真面目に商品を覗き込む奥様達、店主が訝し気にアージェン族達を見つめるも、ライニールとレアンが楽しそうに微笑んでいる為文句も言えないようで、しかしなんだかんだと買い込めばこれはやはり上客であったと頬を緩めた、会計をしながらライニールが事情を簡単に説明すると、なんとと目を丸くし、これはおまけだと胡麻を一袋差し出す店主、すっかりと明るく見事な笑顔を浮かべている、

「おまけだってさ、それと、また来てくれって」

タロウが通訳すると、おまけ?と首を傾げる奥様達、

「あー・・・今後も宜しくって意味の贈りもの?」

言い直すタロウ、ワッと嬉しそうに微笑み合い店主に頭を下げるアージェン族達、そしてすぐさま、

「帝都ではそこまでされなかった」

「うん、いつ行っても嫌そうな顔された」

「めんどくさそうで嫌だった」

キャーキャーと帝国での不満が噴き出した、

「そっか、ほら、こっちではね、少なくとも奴隷扱いはしないから、かといって・・・慣れない内は嫌な事もあるかもだけど」

「大丈夫、それは慣れてる」

「うん、鍛えられた」

「いやいや、そもそも、慣れる事も鍛えられる必要もないような事なんだけどね・・・さっ、他の店も見てみよう、あっ、あっちの野菜はどう?タマネギとかカブとか?」

「うん、気になってた」

「あれはタマネギか?初めて見る色だ」

「あー、タマネギも種類があるからねー」

と店を移る一行である、こうして丁寧に各店を覗いていき、それぞれの店でそれなりに買い込んでしまった、男達も女達も大荷物を抱える事になってしまったが、その程度は普通の事であるらしい、子供達も嫌がらず手伝うあたり、躾けもしっかり出来ている様子で、

「では、こんなもんですかね・・・他に行くとしたら神殿でしょうか・・・職人街を見ても・・・って感じですし・・・農家の方は遠いですし・・・」

さてと足を止めて首を傾げるライニール、レアンもそうだなーと市場を見渡す、

「神殿か、行ってみたい」

タロウが訳せばピョンと跳ねるエルゾ、他の男達も女達も目を輝かせる、

「あっ・・・でも、神様違うかもよ」

タロウが難しそうにエルゾを見下ろす、

「そうか?あっ、それもそうだ」

「うん、君らの神様とはまた違うでしょ」

「それは分かる、できれば、畜産の神様か、獣の神様に挨拶したい」

「あらま・・・どだろ?」

ライニールに確認するタロウ、それはと顔を曇らせるライニール、

「・・・どちらも・・・あるにはあると思いますが・・・街中には無いですし・・・聞いた事無い・・・かなー・・・どうでしょう?」

珍しい事にレアンに確認するライニール、そのレアンもムーと眉根を寄せてマリレーナを見上げた、

「・・・難しいですね、家畜と獣の神様ですか・・・モニケンダムでは確かに・・・その、郊外に出ればあるかもですが・・・小さいと思います、それこそ家門ごとの神様扱いかもしれません・・・」

マリレーナもどうやらライニールと同意見のようである、タロウはとりあえずと要約して通訳すると、

「それは残念だ・・・」

「うん・・・」

とあからさまに消沈してしまうアージェン族達、

「とりあえず豊穣の神様でいいんでない?あれがあれでしょ、農作とか全般の神様なんでしょ」

タロウがライニールに確認すると、

「はい、豊穣神様で良ければ、確かに豊作祈願の神様ですが・・・家畜となると家門の神様でも宜しいかと」

「そなの?」

「うむ、家門の神様は子宝の神様でもあるからな、家畜を増やすのであれば家門の神様だ、太らせるには豊穣の神様だ」

レアンが得意そうに声を上げた、ヘーと感心するタロウ、そのまま訳せばどっちも行きたいと色めき立つアージェン族達である、

「そっか、じゃ、折角だしね、どっちにもいこうか」

「はい、近いですからね、参りましょう」

ライニールがニコリと先に立つ、嬉しいと微笑むアージェン族達、そうして少し歩いたところで、

「あれか、こっちで我らの神を祀っても良いのか?」

と不安そうにエルゾがタロウに問いかけた、

「ん、あぁ、大丈夫だと思うけど、どう?」

とタロウがライニールに確認する、ライニールが何が?とばかりに振り返り、アッと思って訳すタロウ、ライニールはニコリと微笑み、

「えぇ、全然構いません、特にモニケンダムは神様が多い街なのです、移民が集まって出来た街ですからね、その家門ごとに神様を連れて来てしまったって言われる程なので、他の神様も気にしないでしょう・・・あっ、私がこんなことを言うと神官達に怒られますけどね」

まずいかなと周囲を見渡すライニール、しかし振り返ってアージェン族達を見つめている顔はあってもライニールの言葉が届いている者はいない様子である、

「よいよい、気にするな」

レアンがムフンと口を挟む、

「そうですか、だそうです」

タロウが丁寧に訳すと、

「そうなのか、それは凄い」

「うん、嬉しい、じゃ、じゃ、あれか、祭壇を作っても良いのか?」

「ちゃんと祈祷も上げたい」

「供養もしてやりたい」

「ちゃんと祈ってあげたい」

キャッキャッとはしゃぐアージェン族達、

「あっ、待って、内容と規模によるかもだね、詳しく聞いていい?」

タロウは今日はどうやら宗教づいているなと思いつつ、詳細を聞き出す、レインにも言われたが確かにアージェン族達の宗教までは確認していなかった、これがもし王国民から見て残酷だの汚らわしいだの邪教だのと言われるような祭儀が必要となるのであれば少しばかり自粛させる必要があるであろう、逆に微笑ましいものであれば受け入れられるような気はする、

「なるほど・・・ごめん、ライニールさん、こういう感じなんだけど・・・」

とタロウがかいつまんで説明する、アージェン族達も四つの神様を主神としているらしい、しかしどうやら王国のそれとも帝国のそれとも違い、家畜、獣、天候、豊穣を司るものとなり、これはまた全然違うなとタロウは感心してしまった、この辺の文化論的な違いは学園長が飛び付きそうなテーマになるであろうが、そうなるとまた面倒そうである、その上でとなるが、その神々を祀るのは帝都では禁止されていたそうで、これもまたアージェン族達にとっては不満の種であったであろう、アージェン族達は家畜と獣の神については是非にも祀りたいそうで、本来であれば大きな神殿や慰霊碑を建立したいらしいがそれは難しい事は理解しており、となれば小さいもので良いから放牧場の敷地内か家屋の中に設置したいらしく、それも帝都では禁止されていたという、そしてそれぞれの神に年に一度は供物を捧げたいらしい、

「その・・・供物とは何になります?」

ライニールが怪訝そうに首を傾げ、確認するタロウ、

「家畜の神様には子豚か子牛、子山羊でも子羊でも子馬でもいいみたいです、獣の神様には野生の動物の臓物らしいです」

「なるほど・・・その程度あればまぁ・・・うん、この街では大丈夫そうですね」

ニコリと微笑むライニール、ホッと笑顔になるエルゾ達、

「なのですが、あくまでこの街ではですから、他の街だと分からないですけど・・・なので・・・そうですね、では、まず基本的な取り決めがありまして」

と歩きながら説明するライニール、モニケンダムでは宗教は自由であり何を祀っても構わないが、他の宗教を攻撃する事や他の神を殊更に蔑む行為は厳禁とされており、さらにこれはできればであるが最も大きな力を持つ四つの神殿とは仲良くするべきで、街が定めた祭日にも協力するようにすれば軋轢も生まず問題は無いそうである、この仲良くとは相手の権益を損ねない程度との事であるが、その相手の権益の内容が分からないとどうしようもないだろうなとタロウは考えてしまう、さらに勧誘に関しても嫌がられる事が多く、あまりに激しい勧誘行動は慎むべきであり、また祭日に関しても厳格に決められており、役所が定めた各月の祭日以外の日に祭りを執り行っても構わないが、その場合、役所勤めであったり公的な機関に勤めている場合は休んではならないとされているそうで、あーソフィアか誰かになんとなく聞いたかもと思い出すタロウであった、

「分かった、大丈夫、俺達の神様は俺達のものだ、祀れるだけでも嬉しい、他の神様とも仲良く出来る」

タロウが細かく通訳すると満面の笑みとなるエルゾである、しかし、

「あっ、でもこれ、この街の事だからね、向こうに戻ったら殿下に聞いてみないとだね・・・」

とハッと気付くタロウ、エルゾも男達もそうだったとタロウを見上げ、

「なんか・・・浮かれてた・・・」

「うん、俺、この街好き」

「だね、ちょっと臭いけど、住みやすそう」

「帝都よりも落ち着いてる」

「落書きもないし物乞いもいない」

「そうだ、全然いない」

「凄い事だ」

「でも、雪が多い」

「こっちは仕方ないよ」

「それもそうだ」

と顔を見合わせた、タロウが微笑みつつ通訳すると、

「そうか、そうであろう、そうなのだ」

レアンが自慢気に微笑み、

「はい、嬉しい限りです」

ライニールとマリレーナも嬉しそうに微笑んだ。
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