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「…………」
ナーナリアは、自室のベッドの上で、膝を抱えていた。
時刻は、もう、おやつの時間(ゴールデンタイム)をとうに過ぎている。
しかし、彼女の目の前には、パフェも、タルトも、愛犬ケルベロスすらなかった。
「(……北の、辺境)」
昨日、兄アレクシスから聞いた、衝撃の事実。
カイ・ランバートの、異動。
(……わたくしには、関係のないことですわ)
(そうですわ。あの氷人形が、雪山で凍えようが、魔獣に(間違えて)パフェのように食われようが)
(わたくしの『自由』には、何の関係もありません)
「……」
だが。
胸の奥が、昨日からずっと、冷たくて、重い。
大好きだった『オペラ』の味すら、思い出せない。
コンコン。
「お嬢様。入りますわよ」
侍女のアマンダが、心配そうに、顔を覗かせた。
手には、温かいミルクティーが乗ったトレー。
「アマンダ……わたくし、食欲がありませんの」
「(……!)」
アマンダは、トレーを落としそうになるほど、驚愕した。
「お、お嬢様が! 食欲が、ないと!?」
「(まさか、恋の病……!? いや、相手は、あのカイ様……?)」
「失礼な! アマンダ! 心の声が聞こえておりますわ!」
ナーナリアは、ベッドから、ガバッと起き上がった。
「わたくし、恋などしておりません! ただ……!」
「ただ?」
「……イライラしているだけですの!」
「イライラ、でございますか」
「そうですわ! あの、氷人形め!」
ナーナリアは、床を(無意味に)踏み鳴らした。
「わたくしに、あれだけ『職務だ』と、偉そうに、つきまとっておきながら!」
「(……お嬢様が、引き連れていたのでは)」
「わたくしが淹れた、あの特製ブレンドティーを! 『悪くない』などと、上から目線で評価しておきながら!」
「(……カイ様、満面の笑み(幻)でしたのに)」
「『オペラ』を横取りした借りも! まだ、返しておりませんのに!」
「(……そこが一番ですのね)」
「そうですわ!」
ナーナリアは、ついに、結論に達した(と、彼女は思った)。
「わたくし、あの男に『逃げられる』のが、許せないのですわ!」
「……はあ」
「北の辺境ですって? わたくしから、逃げるために? 笑わせますわ!」
(※カイは、まったく、逃げたつもりはない)
「アマンダ!」
「は、はい!」
「支度を! 王宮へ行きますわ!」
「ええええ!?」
アマンダは、今日、何度目かの驚愕に見舞われた。
「お、お嬢様! まさか、カイ様の異動を、阻止しに……!?」
「(ギクッ!)」
ナーナリアの肩が、一瞬、跳ねた。
「ち、違いますわ! そんな、個人的な感情(?)で、王家のご命令に、口出しなど!」
「では、何をしに……」
「決まっておりますわ!」
ナーナリアは、戦闘に行く騎士のような、勇ましい(?)顔つきで、宣言した。
「国王陛下に、抗議しに、行くのですわ!」
「(……それが、口出し、というのでは……?)」
---
王宮、国王執務室。
「(はあ……疲れた)」
国王アデルベルトは、リリアとエドワード王子が起こした、一連の騒動の後処理で、疲労困憊していた。
(ようやく、静かになった。これで、しばらくは、あの規格外令嬢(ナーナリア)の、顔も見なくて済むだろう)
(……カイ・ランバートも、北へやった。あれで、良かったのだ。あの二人が、これ以上、王都で噂になっても、面倒だ)
国王が、ようやく、一息つこうと、お気に入りの紅茶に口をつけた、その瞬間。
ダアアアアアン!!!
執務室の、重厚な扉が、まるで、魔獣の体当たりでも受けたかのように、凄まじい音を立てて、開かれた。
「(ブーーーッ!)」
国王は、熱い紅茶を、盛大に、噴き出した。
「陛下あああああ!」
そこに立っていたのは。
国王が、今、一番、会いたくなかった人物。
「ご無礼を! 承知の上で! 申し上げますわ!」
鬼の形相の、ナーナリア・フォン・グランツ。
「(……げっ! なぜ、君が、ここに!)」
「衛兵! 衛兵は何をしておる!」
「(わたくしの『気迫』に、全員、道を開けましたわ!)」
「な、なんだ! ナーナリア嬢! 今日は、何の用だ!」
国王は、紅茶(と威厳)まみれの顔で、叫び返した。
「新作パフェの、税率についてか!?」
「違いますわ!」
ナーナリアは、国王の机(高価な執務机)を、両手で、バンッ! と、叩いた。
その衝撃で、積み上がっていた書類の山が、バサバサと崩れ落ちる。
「(ああ! アレクシスの報告書が……!)」
「陛下!」
「な、なんだ!」
「これ! これについて、ご説明願いますわ!」
ナーナリアは、机の上に散らばった書類の中から、一枚の紙(昨日、国王がサインしたばかりの)を、ひったくった。
それは、カイ・ランバートの『北の砦への異動辞令書(控え)』だった。
「ああ、それか」
国王は、ナーナリアの剣幕に、一瞬、たじろいだ。
「カイ・ランバートのことだな。彼は、優秀な騎士だ。北の守りは、彼にしか任せられん」
「(……やっぱり、本当ですのね)」
ナーナリアは、その辞令書を、握りつぶしそうになるのを、必死でこらえた。
「違います! わたくしが、申し上げたいのは、そういうことでは、ございません!」
「では、なんだ!?」
(まさか、この娘……本当に、あの氷人形に、惚れたのか!?)
(それは、面倒だぞ! グランツ侯爵家(主に兄と父)が、黙っていない!)
国王が、最悪の事態(グランツ家による王宮襲撃)を、想定した、その時。
ナーナリアは、深呼吸を一つすると。
人生で、最も、悲痛な(?)声で、叫んだ。
「わたくしの! 監視役は! どうしたのですか!」
「…………」
シーン……。
国王は、噴き出した紅茶が、鼻から逆流しそうになった。
「…………は?」
国王は、自分の耳を、疑った。
「え……き、君……今、なんと言った?」
「ですから! わたくしの、監視役ですわ!」
「(しまった! 思っていた言葉と、違う言葉が、口から滑り出ましたわ!)」
ナーナリアは、顔が、カッと熱くなるのを感じた。
「い、いや! そうではございません! そうではなくて!」
「(いや、でも、もう、引き返せませんわ!)」
ナーナリアは、開き直った。
「そ、そうですわ! わたくしという、こんなに『規格外』で、いつ、何をしでかすか、わからない危険人物(主にパフェ的な意味で)を!」
「(……パフェ?)」
「監視もなしに、野に放って! よろしいのですか!?」
「……」
「王都の、平和が! 秩序が! 乱れたら、どうしてくださいますの!」
「……なあ、ナーナリア嬢」
国王は、こめかみを、ぐりぐりと押さえながら、尋ねた。
「君は、監視されている間、カイ・ランバートと、何をしていた?」
「(……!)」
「パフェを、食べていたな?」
「(うっ……!)」
「タルトも、食べていたな?」
「(くっ……!)」
「紅茶研究(という名の味音痴いびり)も、していたな?」
「(な、なぜ、そこまで、ご存知で……!)」
「君は、もう『自由』だ、と。そう、言ったはずだ」
国王は、心底、疲れた顔で、ため息をついた。
「君は……もしかして」
「…………」
「……監視、されたいのか?」
「(……!)」
ナーナリアは、国王の、その、あまりにも、核心を突きすぎた(?)質問に。
「(そ、そんなわけ……!)」
(わたくしは、ただ、あの氷人形が、寒い場所で、マズい草の茶を飲んでいるのが、許せないだけで……!)
(わたくしが、いなければ、あの人の、食生活が、心配で……!)
「(…………あれ?)」
ナーナリアは、自分が、一体、何を言いに来たのか。
そして、自分が、本当に、何を望んでいるのか。
まったく、わからなくなってしまい。
王の執務室の、ど真ん中で。
完璧に、フリーズしてしまった。
ナーナリアは、自室のベッドの上で、膝を抱えていた。
時刻は、もう、おやつの時間(ゴールデンタイム)をとうに過ぎている。
しかし、彼女の目の前には、パフェも、タルトも、愛犬ケルベロスすらなかった。
「(……北の、辺境)」
昨日、兄アレクシスから聞いた、衝撃の事実。
カイ・ランバートの、異動。
(……わたくしには、関係のないことですわ)
(そうですわ。あの氷人形が、雪山で凍えようが、魔獣に(間違えて)パフェのように食われようが)
(わたくしの『自由』には、何の関係もありません)
「……」
だが。
胸の奥が、昨日からずっと、冷たくて、重い。
大好きだった『オペラ』の味すら、思い出せない。
コンコン。
「お嬢様。入りますわよ」
侍女のアマンダが、心配そうに、顔を覗かせた。
手には、温かいミルクティーが乗ったトレー。
「アマンダ……わたくし、食欲がありませんの」
「(……!)」
アマンダは、トレーを落としそうになるほど、驚愕した。
「お、お嬢様が! 食欲が、ないと!?」
「(まさか、恋の病……!? いや、相手は、あのカイ様……?)」
「失礼な! アマンダ! 心の声が聞こえておりますわ!」
ナーナリアは、ベッドから、ガバッと起き上がった。
「わたくし、恋などしておりません! ただ……!」
「ただ?」
「……イライラしているだけですの!」
「イライラ、でございますか」
「そうですわ! あの、氷人形め!」
ナーナリアは、床を(無意味に)踏み鳴らした。
「わたくしに、あれだけ『職務だ』と、偉そうに、つきまとっておきながら!」
「(……お嬢様が、引き連れていたのでは)」
「わたくしが淹れた、あの特製ブレンドティーを! 『悪くない』などと、上から目線で評価しておきながら!」
「(……カイ様、満面の笑み(幻)でしたのに)」
「『オペラ』を横取りした借りも! まだ、返しておりませんのに!」
「(……そこが一番ですのね)」
「そうですわ!」
ナーナリアは、ついに、結論に達した(と、彼女は思った)。
「わたくし、あの男に『逃げられる』のが、許せないのですわ!」
「……はあ」
「北の辺境ですって? わたくしから、逃げるために? 笑わせますわ!」
(※カイは、まったく、逃げたつもりはない)
「アマンダ!」
「は、はい!」
「支度を! 王宮へ行きますわ!」
「ええええ!?」
アマンダは、今日、何度目かの驚愕に見舞われた。
「お、お嬢様! まさか、カイ様の異動を、阻止しに……!?」
「(ギクッ!)」
ナーナリアの肩が、一瞬、跳ねた。
「ち、違いますわ! そんな、個人的な感情(?)で、王家のご命令に、口出しなど!」
「では、何をしに……」
「決まっておりますわ!」
ナーナリアは、戦闘に行く騎士のような、勇ましい(?)顔つきで、宣言した。
「国王陛下に、抗議しに、行くのですわ!」
「(……それが、口出し、というのでは……?)」
---
王宮、国王執務室。
「(はあ……疲れた)」
国王アデルベルトは、リリアとエドワード王子が起こした、一連の騒動の後処理で、疲労困憊していた。
(ようやく、静かになった。これで、しばらくは、あの規格外令嬢(ナーナリア)の、顔も見なくて済むだろう)
(……カイ・ランバートも、北へやった。あれで、良かったのだ。あの二人が、これ以上、王都で噂になっても、面倒だ)
国王が、ようやく、一息つこうと、お気に入りの紅茶に口をつけた、その瞬間。
ダアアアアアン!!!
執務室の、重厚な扉が、まるで、魔獣の体当たりでも受けたかのように、凄まじい音を立てて、開かれた。
「(ブーーーッ!)」
国王は、熱い紅茶を、盛大に、噴き出した。
「陛下あああああ!」
そこに立っていたのは。
国王が、今、一番、会いたくなかった人物。
「ご無礼を! 承知の上で! 申し上げますわ!」
鬼の形相の、ナーナリア・フォン・グランツ。
「(……げっ! なぜ、君が、ここに!)」
「衛兵! 衛兵は何をしておる!」
「(わたくしの『気迫』に、全員、道を開けましたわ!)」
「な、なんだ! ナーナリア嬢! 今日は、何の用だ!」
国王は、紅茶(と威厳)まみれの顔で、叫び返した。
「新作パフェの、税率についてか!?」
「違いますわ!」
ナーナリアは、国王の机(高価な執務机)を、両手で、バンッ! と、叩いた。
その衝撃で、積み上がっていた書類の山が、バサバサと崩れ落ちる。
「(ああ! アレクシスの報告書が……!)」
「陛下!」
「な、なんだ!」
「これ! これについて、ご説明願いますわ!」
ナーナリアは、机の上に散らばった書類の中から、一枚の紙(昨日、国王がサインしたばかりの)を、ひったくった。
それは、カイ・ランバートの『北の砦への異動辞令書(控え)』だった。
「ああ、それか」
国王は、ナーナリアの剣幕に、一瞬、たじろいだ。
「カイ・ランバートのことだな。彼は、優秀な騎士だ。北の守りは、彼にしか任せられん」
「(……やっぱり、本当ですのね)」
ナーナリアは、その辞令書を、握りつぶしそうになるのを、必死でこらえた。
「違います! わたくしが、申し上げたいのは、そういうことでは、ございません!」
「では、なんだ!?」
(まさか、この娘……本当に、あの氷人形に、惚れたのか!?)
(それは、面倒だぞ! グランツ侯爵家(主に兄と父)が、黙っていない!)
国王が、最悪の事態(グランツ家による王宮襲撃)を、想定した、その時。
ナーナリアは、深呼吸を一つすると。
人生で、最も、悲痛な(?)声で、叫んだ。
「わたくしの! 監視役は! どうしたのですか!」
「…………」
シーン……。
国王は、噴き出した紅茶が、鼻から逆流しそうになった。
「…………は?」
国王は、自分の耳を、疑った。
「え……き、君……今、なんと言った?」
「ですから! わたくしの、監視役ですわ!」
「(しまった! 思っていた言葉と、違う言葉が、口から滑り出ましたわ!)」
ナーナリアは、顔が、カッと熱くなるのを感じた。
「い、いや! そうではございません! そうではなくて!」
「(いや、でも、もう、引き返せませんわ!)」
ナーナリアは、開き直った。
「そ、そうですわ! わたくしという、こんなに『規格外』で、いつ、何をしでかすか、わからない危険人物(主にパフェ的な意味で)を!」
「(……パフェ?)」
「監視もなしに、野に放って! よろしいのですか!?」
「……」
「王都の、平和が! 秩序が! 乱れたら、どうしてくださいますの!」
「……なあ、ナーナリア嬢」
国王は、こめかみを、ぐりぐりと押さえながら、尋ねた。
「君は、監視されている間、カイ・ランバートと、何をしていた?」
「(……!)」
「パフェを、食べていたな?」
「(うっ……!)」
「タルトも、食べていたな?」
「(くっ……!)」
「紅茶研究(という名の味音痴いびり)も、していたな?」
「(な、なぜ、そこまで、ご存知で……!)」
「君は、もう『自由』だ、と。そう、言ったはずだ」
国王は、心底、疲れた顔で、ため息をついた。
「君は……もしかして」
「…………」
「……監視、されたいのか?」
「(……!)」
ナーナリアは、国王の、その、あまりにも、核心を突きすぎた(?)質問に。
「(そ、そんなわけ……!)」
(わたくしは、ただ、あの氷人形が、寒い場所で、マズい草の茶を飲んでいるのが、許せないだけで……!)
(わたくしが、いなければ、あの人の、食生活が、心配で……!)
「(…………あれ?)」
ナーナリアは、自分が、一体、何を言いに来たのか。
そして、自分が、本当に、何を望んでいるのか。
まったく、わからなくなってしまい。
王の執務室の、ど真ん中で。
完璧に、フリーズしてしまった。
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