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夜会の翌日、私は親友であるソフィアを屋敷に招き、お茶を共にしていた。昨夜の出来事が、まだ頭の中でぐるぐると回っている。
「それで、どうだったの?氷の公爵子息様との初夜会は」
ソフィアは、淹れたての紅茶を一口飲むと、興味津々といった様子で身を乗り出してきた。
「どう、と言われても……。いつも通りよ。婚約者としての務めを果たしただけ」
私は努めて冷静に、ポーカーフェイスを保って答える。
「ふーん?でも、会場では噂になっていたわよ。『アンテル様が、あんな風に女性をエスコートするなんて』って」
「それは、私が彼の婚約者だから。体面を保つためでしょう」
「本当にそうかしら?」
ソフィアは、探るような目で私を見つめる。「あなたのことだから、どうせ『これは契約だから』なんて自分に言い聞かせているんでしょうけど」
「……事実だもの」
図星を突かれて、思わず視線を逸らす。ソフィアは、そんな私の様子を見て、やれやれと肩をすくめた。
「レノア。あなた、本当にそれでいいの?」
「何が?」
「その結婚よ。アンテル様って、確かに素敵だけど、何を考えているのか全然分からないじゃない。愛のない結婚なんて、あなた、本当に耐えられるの?」
ソフィアの言葉は、いつもまっすぐだ。だからこそ、時に胸に突き刺さる。
「……大丈夫よ、ソフィア。これは政略結婚だもの。最初から、愛なんて期待していないわ」
気丈に振る舞う。それが、ラングハイム伯爵令嬢としての私のプライドだった。
「でもね、レノア。昨日の夜会で、あなたたちがワルツを踊っているのを見て、私、思ったの」
「何を?」
「すごく、お似合いだった」
「……!」
予想外の言葉に、息を呑む。
「二人とも、なんだか不器用そうで、ぎこちなくて。でも、だからこそ、なんだか目が離せなかったわ。他のどのカップルよりも、印象的だった」
ソフィアは楽しそうに笑う。
「もしかしたら、氷の公爵様も、あなたの前ではただの不器用な男の人なのかもしれないわよ?」
「まさか……」
そんなはずはない。彼は、私を契約相手としか見ていない。
けれど、ソフィアの言葉が、私の心に小さなさざ波を立てた。
『大丈夫か』
耳元で囁かれた、彼の心配する声。私を支えてくれた、力強い腕。
「……ありがとう、ソフィア。でも、本当に大丈夫よ」
私は友人の心配を笑顔で遮った。これ以上、この話を続けたくなかった。
自分の心が、アンテル様という存在によって、少しずつ乱されている。その事実を認めるのが、まだ怖かったのだ。
「それで、どうだったの?氷の公爵子息様との初夜会は」
ソフィアは、淹れたての紅茶を一口飲むと、興味津々といった様子で身を乗り出してきた。
「どう、と言われても……。いつも通りよ。婚約者としての務めを果たしただけ」
私は努めて冷静に、ポーカーフェイスを保って答える。
「ふーん?でも、会場では噂になっていたわよ。『アンテル様が、あんな風に女性をエスコートするなんて』って」
「それは、私が彼の婚約者だから。体面を保つためでしょう」
「本当にそうかしら?」
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「何が?」
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ソフィアの言葉は、いつもまっすぐだ。だからこそ、時に胸に突き刺さる。
「……大丈夫よ、ソフィア。これは政略結婚だもの。最初から、愛なんて期待していないわ」
気丈に振る舞う。それが、ラングハイム伯爵令嬢としての私のプライドだった。
「でもね、レノア。昨日の夜会で、あなたたちがワルツを踊っているのを見て、私、思ったの」
「何を?」
「すごく、お似合いだった」
「……!」
予想外の言葉に、息を呑む。
「二人とも、なんだか不器用そうで、ぎこちなくて。でも、だからこそ、なんだか目が離せなかったわ。他のどのカップルよりも、印象的だった」
ソフィアは楽しそうに笑う。
「もしかしたら、氷の公爵様も、あなたの前ではただの不器用な男の人なのかもしれないわよ?」
「まさか……」
そんなはずはない。彼は、私を契約相手としか見ていない。
けれど、ソフィアの言葉が、私の心に小さなさざ波を立てた。
『大丈夫か』
耳元で囁かれた、彼の心配する声。私を支えてくれた、力強い腕。
「……ありがとう、ソフィア。でも、本当に大丈夫よ」
私は友人の心配を笑顔で遮った。これ以上、この話を続けたくなかった。
自分の心が、アンテル様という存在によって、少しずつ乱されている。その事実を認めるのが、まだ怖かったのだ。
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