8 / 28
8
しおりを挟む
ガタゴトと車輪が石畳を転がる音が、心地よいリズムを刻んでいる。
王都を出発して数時間。
私たち一行は、国境の砦を目指して街道を進んでいた。
「……おい、アイビー。口元が緩んでいるぞ」
向かいの席から、呆れ声が飛んでくる。
声の主は、同乗しているキース閣下だ。
「失礼しました閣下。あまりに尊い光景が目の前に広がっているもので」
私は窓の外を指差した。
私たちの馬車のすぐ横を、二頭の馬が並走している。
白馬に跨るエリック殿下と、黒馬を駆るルーカス様だ。
「見てください、あの身長差。そして風になびくマントの対比。殿下が何か話しかけて、ルーカス様が少しだけ首を傾けて答える……この一連の動作だけで、短編が三本は書けます」
「……仕事中だ。窓に張り付いてヨダレを垂らすな」
キース閣下はピシャリと言って、手に持っていた書類で私の視界を遮った。
「むぅ……ケチ」
私は大人しく座り直した。
今回の旅の表向きは「王太子の視察」だが、私と閣下にとっては「囮作戦」の遂行中である。
(まあ、今のところ襲撃の気配はないし、平和なものですけどね)
そうこうしているうちに、馬車が速度を緩めた。
「休憩だ。少し足を伸ばすといい」
閣下の合図で、一行は街道沿いの木陰で休息を取ることになった。
私は馬車を降り、凝り固まった体を伸ばす。
「ふぅーっ! 空気が美味しい!」
「アイビー」
背後から声をかけられた。
振り返ると、そこにはなんとエリック殿下が立っていた。
しかも、なぜかお一人で。
「……殿下? どうされましたか?」
私は周囲を見渡す。
いつも影のように寄り添っているルーカス様の姿がない。
「ルーカスなら、馬の蹄鉄を確認しに行かせた。……少し、君と二人で話がしたくてね」
「私と……ですか?」
嫌な予感がする。
元婚約者に二人きりで呼び出されるシチュエーション。
通常なら「復縁の申し込み」か「更なる断罪」の二択だ。
だが、殿下の表情は深刻そうに沈んでいる。
「……少し、場所を変えよう」
殿下は私を連れて、人目のつかない林の奥へと進んだ。
(えっ、何これ。もしかして愛の告白? いやいや、まさか)
適当な切り株に腰を下ろすと、殿下は重たい口を開いた。
「実は……悩みがあるんだ」
「悩み、ですか」
「ミシェルのことだ」
あー、そっちか。
私は内心ホッとしつつ、同時に興味が湧いた。
「ミシェル様がどうかされましたか?」
「最近、彼女の様子がおかしいんだ」
殿下は眉を寄せて語り出した。
「以前は『殿下、素敵です!』と純粋な目で僕を見てくれていた。だが、最近は……何というか、視線がいやらしい」
「いやらしい?」
「ああ。僕が執務をしていると、背後からじっと見つめてくる。しかも、僕の顔ではなく、うなじや腰のあたりを」
(グッジョブ、ミシェル様!)
私は心の中でガッツポーズをした。
私の教育的指導(第7話参照)が、着実に成果を上げているようだ。
「それに、独り言も増えた。『尊い……』とか『これが公式……』とか、意味の分からない呪文を呟いている。……アイビー、君は女同士だ。何か心当たりはないか?」
「そうですねぇ……」
私は顎に手を当てて、もっともらしい顔を作った。
「それは、ミシェル様が殿下の『新たな魅力』に気づかれたからではないでしょうか」
「新たな魅力?」
「ええ。今までのような『王子様』という記号ではなく、殿下という人間そのものの……肉体的な美しさや、儚さに惹かれているのです」
「は、儚さ……? 僕がか?」
殿下は自分の鍛え上げられた腕を見て首を傾げる。
「ええ、そうですとも。そしてここからが重要です、殿下」
私は一歩踏み出した。
ここだ。
ここで私の誘導尋問(アドバイス)をねじ込むチャンスだ。
「ミシェル様が不安に思われているのは、殿下の心が『誰に向いているか』ということです」
「誰って……ミシェルに決まっているだろう」
「本当にそうですか? 殿下には、ミシェル様よりも長く、深く時間を共有している相手がいらっしゃるではありませんか」
「……? 誰のことだ?」
鈍い。
この鈍感さこそが、エリック殿下の罪であり魅力だ。
私は指を一本立てて、ゆっくりと告げた。
「ルーカス様ですよ」
「ルーカス? あいつは幼馴染で、従者だぞ。比較対象になるわけがない」
「そこです! その『当たり前すぎて意識もしない』という関係性こそが、ミシェル様を不安にさせているのです!」
私は熱弁を振るう。
「ミシェル様は感じているのです。殿下とルーカス様の間にある、入り込む隙のない絆を。だからこそ、殿下を観察し、その関係性を必死に理解しようとしているのです(腐った意味で)」
「……そうだったのか」
殿下は目から鱗が落ちたような顔をした。
「僕は、ミシェルを不安にさせていたのか……」
「はい。ですから殿下、解決策は一つです」
「教えてくれ、アイビー! どうすればいい!?」
殿下が私の肩を掴む。
その必死な顔。
ああ、なんて可愛い受け顔だろうか。
私はニッコリと微笑んで、悪魔の囁きを吹き込んだ。
「もっと、ルーカス様を頼ってください」
「え?」
「ミシェル様の前で、ルーカス様との仲の良さを見せつけるのです。『僕たちには隠し事なんてない』『僕の全てをルーカスは知っている』とアピールすることで、逆にミシェル様を安心させるのです!」
「なるほど……!」
殿下がポンと手を打つ。
「あえて絆を強調することで、ミシェルの疑念を晴らすわけか! さすがアイビー、元婚約者だけあって僕の扱いがうまいな!」
「お役に立てて光栄ですわ(違う、そうじゃないけど結果オーライ)」
完全に論理が破綻しているが、殿下は納得してくれたようだ。
これで今後、殿下からルーカス様へのスキンシップが増えることは間違いない。
私の眼福ライフが捗るというものだ。
「ありがとう、アイビー。少し気が楽になったよ」
爽やかな笑顔を見せる殿下。
その時だった。
ガサッ。
茂みの向こうから音がした。
「誰だ!?」
殿下が鋭く反応し、剣の柄に手をかける。
現れたのは、蹄鉄の確認を終えたルーカス様……ではなく。
「……お取込み中、失礼する」
氷点下の視線を携えた、キース閣下だった。
「兄上!? なぜここに……?」
殿下が驚愕の声を上げる。
キース閣下は、私と殿下の距離(かなり近い)を一瞥し、不機嫌そうに眉をひそめた。
「休憩時間が終わるぞ、エリック。それに、元婚約者と二人きりで密会とは感心しないな。ミシェル嬢がまた泣くぞ」
「あ、いや、これは相談に乗ってもらっていただけで……」
「相談? アイビーにか?」
閣下の視線が私に向けられる。
『また余計なことを吹き込んだな』という無言の圧力が凄い。
私はサッと目を逸らした。
「そ、それでは私は失礼いたします! 殿下、アドバイスをお忘れなく!」
「ああ、助かったよ!」
私は逃げるようにその場を去った。
背後で、キース閣下が殿下に何か小言を言っているのが聞こえる。
馬車に戻ると、私は座席に倒れ込んで足をバタバタさせた。
「聞いた!? 聞いた今の会話!? ……あ、誰もいなかったわ」
独り言だ。
しかし、興奮は収まらない。
(これで殿下は『積極的受け』へとジョブチェンジするはず! 次の展開が楽しみすぎるわ!)
ニヤニヤが止まらない私の元へ、しばらくしてキース閣下が戻ってきた。
ドカッと対面の席に座るなり、彼は深い溜息をついた。
「……おい、アイビー」
「は、はい!」
「お前、エリックに何を言った」
「えっと……円満な人間関係の秘訣を少々」
「……嘘をつけ」
閣下はジロリと私を睨んだが、それ以上追及はしなかった。
その代わり、ポツリと漏らした。
「エリックが戻るなり、ルーカスの肩に手を回して『今日の夕食は僕の分も食べてくれ』などと言い出したぞ。ルーカスが困惑して固まっていた」
「ブフォッ!!!!」
仕事が早い!
さすが殿下、素直すぎる!
「……お前の差し金だな」
「ぐふふ……想像しただけで白飯がいけます……」
「気持ち悪い笑い方をするな」
キース閣下は呆れつつも、どこか楽しげに口元を緩めた。
「まあいい。エリックが精神的に安定するなら、多少の奇行には目を瞑ろう。……だが」
閣下は身を乗り出し、私の額を指で弾いた。
「痛っ!」
「あまり調子に乗るなよ。……お前がエリックと二人きりでいるのを見て、少し……不愉快だった」
「へ?」
私はおでこを押さえて、閣下を見た。
不愉快?
それは、弟の貞操を心配して?
それとも、任務に集中していないことへの叱責?
閣下はフンと顔を背けてしまった。
窓の外を見つめるその横顔が、心なしか拗ねているように見えたのは、私の都合の良い妄想だろうか。
「……さあ、出発するぞ。目的地まであと少しだ」
馬車が再び動き出す。
私の「推し活」と、閣下の「害虫駆除」。
そして、ほんの少しの「恋の予感(?)」を乗せて、旅は続く。
王都を出発して数時間。
私たち一行は、国境の砦を目指して街道を進んでいた。
「……おい、アイビー。口元が緩んでいるぞ」
向かいの席から、呆れ声が飛んでくる。
声の主は、同乗しているキース閣下だ。
「失礼しました閣下。あまりに尊い光景が目の前に広がっているもので」
私は窓の外を指差した。
私たちの馬車のすぐ横を、二頭の馬が並走している。
白馬に跨るエリック殿下と、黒馬を駆るルーカス様だ。
「見てください、あの身長差。そして風になびくマントの対比。殿下が何か話しかけて、ルーカス様が少しだけ首を傾けて答える……この一連の動作だけで、短編が三本は書けます」
「……仕事中だ。窓に張り付いてヨダレを垂らすな」
キース閣下はピシャリと言って、手に持っていた書類で私の視界を遮った。
「むぅ……ケチ」
私は大人しく座り直した。
今回の旅の表向きは「王太子の視察」だが、私と閣下にとっては「囮作戦」の遂行中である。
(まあ、今のところ襲撃の気配はないし、平和なものですけどね)
そうこうしているうちに、馬車が速度を緩めた。
「休憩だ。少し足を伸ばすといい」
閣下の合図で、一行は街道沿いの木陰で休息を取ることになった。
私は馬車を降り、凝り固まった体を伸ばす。
「ふぅーっ! 空気が美味しい!」
「アイビー」
背後から声をかけられた。
振り返ると、そこにはなんとエリック殿下が立っていた。
しかも、なぜかお一人で。
「……殿下? どうされましたか?」
私は周囲を見渡す。
いつも影のように寄り添っているルーカス様の姿がない。
「ルーカスなら、馬の蹄鉄を確認しに行かせた。……少し、君と二人で話がしたくてね」
「私と……ですか?」
嫌な予感がする。
元婚約者に二人きりで呼び出されるシチュエーション。
通常なら「復縁の申し込み」か「更なる断罪」の二択だ。
だが、殿下の表情は深刻そうに沈んでいる。
「……少し、場所を変えよう」
殿下は私を連れて、人目のつかない林の奥へと進んだ。
(えっ、何これ。もしかして愛の告白? いやいや、まさか)
適当な切り株に腰を下ろすと、殿下は重たい口を開いた。
「実は……悩みがあるんだ」
「悩み、ですか」
「ミシェルのことだ」
あー、そっちか。
私は内心ホッとしつつ、同時に興味が湧いた。
「ミシェル様がどうかされましたか?」
「最近、彼女の様子がおかしいんだ」
殿下は眉を寄せて語り出した。
「以前は『殿下、素敵です!』と純粋な目で僕を見てくれていた。だが、最近は……何というか、視線がいやらしい」
「いやらしい?」
「ああ。僕が執務をしていると、背後からじっと見つめてくる。しかも、僕の顔ではなく、うなじや腰のあたりを」
(グッジョブ、ミシェル様!)
私は心の中でガッツポーズをした。
私の教育的指導(第7話参照)が、着実に成果を上げているようだ。
「それに、独り言も増えた。『尊い……』とか『これが公式……』とか、意味の分からない呪文を呟いている。……アイビー、君は女同士だ。何か心当たりはないか?」
「そうですねぇ……」
私は顎に手を当てて、もっともらしい顔を作った。
「それは、ミシェル様が殿下の『新たな魅力』に気づかれたからではないでしょうか」
「新たな魅力?」
「ええ。今までのような『王子様』という記号ではなく、殿下という人間そのものの……肉体的な美しさや、儚さに惹かれているのです」
「は、儚さ……? 僕がか?」
殿下は自分の鍛え上げられた腕を見て首を傾げる。
「ええ、そうですとも。そしてここからが重要です、殿下」
私は一歩踏み出した。
ここだ。
ここで私の誘導尋問(アドバイス)をねじ込むチャンスだ。
「ミシェル様が不安に思われているのは、殿下の心が『誰に向いているか』ということです」
「誰って……ミシェルに決まっているだろう」
「本当にそうですか? 殿下には、ミシェル様よりも長く、深く時間を共有している相手がいらっしゃるではありませんか」
「……? 誰のことだ?」
鈍い。
この鈍感さこそが、エリック殿下の罪であり魅力だ。
私は指を一本立てて、ゆっくりと告げた。
「ルーカス様ですよ」
「ルーカス? あいつは幼馴染で、従者だぞ。比較対象になるわけがない」
「そこです! その『当たり前すぎて意識もしない』という関係性こそが、ミシェル様を不安にさせているのです!」
私は熱弁を振るう。
「ミシェル様は感じているのです。殿下とルーカス様の間にある、入り込む隙のない絆を。だからこそ、殿下を観察し、その関係性を必死に理解しようとしているのです(腐った意味で)」
「……そうだったのか」
殿下は目から鱗が落ちたような顔をした。
「僕は、ミシェルを不安にさせていたのか……」
「はい。ですから殿下、解決策は一つです」
「教えてくれ、アイビー! どうすればいい!?」
殿下が私の肩を掴む。
その必死な顔。
ああ、なんて可愛い受け顔だろうか。
私はニッコリと微笑んで、悪魔の囁きを吹き込んだ。
「もっと、ルーカス様を頼ってください」
「え?」
「ミシェル様の前で、ルーカス様との仲の良さを見せつけるのです。『僕たちには隠し事なんてない』『僕の全てをルーカスは知っている』とアピールすることで、逆にミシェル様を安心させるのです!」
「なるほど……!」
殿下がポンと手を打つ。
「あえて絆を強調することで、ミシェルの疑念を晴らすわけか! さすがアイビー、元婚約者だけあって僕の扱いがうまいな!」
「お役に立てて光栄ですわ(違う、そうじゃないけど結果オーライ)」
完全に論理が破綻しているが、殿下は納得してくれたようだ。
これで今後、殿下からルーカス様へのスキンシップが増えることは間違いない。
私の眼福ライフが捗るというものだ。
「ありがとう、アイビー。少し気が楽になったよ」
爽やかな笑顔を見せる殿下。
その時だった。
ガサッ。
茂みの向こうから音がした。
「誰だ!?」
殿下が鋭く反応し、剣の柄に手をかける。
現れたのは、蹄鉄の確認を終えたルーカス様……ではなく。
「……お取込み中、失礼する」
氷点下の視線を携えた、キース閣下だった。
「兄上!? なぜここに……?」
殿下が驚愕の声を上げる。
キース閣下は、私と殿下の距離(かなり近い)を一瞥し、不機嫌そうに眉をひそめた。
「休憩時間が終わるぞ、エリック。それに、元婚約者と二人きりで密会とは感心しないな。ミシェル嬢がまた泣くぞ」
「あ、いや、これは相談に乗ってもらっていただけで……」
「相談? アイビーにか?」
閣下の視線が私に向けられる。
『また余計なことを吹き込んだな』という無言の圧力が凄い。
私はサッと目を逸らした。
「そ、それでは私は失礼いたします! 殿下、アドバイスをお忘れなく!」
「ああ、助かったよ!」
私は逃げるようにその場を去った。
背後で、キース閣下が殿下に何か小言を言っているのが聞こえる。
馬車に戻ると、私は座席に倒れ込んで足をバタバタさせた。
「聞いた!? 聞いた今の会話!? ……あ、誰もいなかったわ」
独り言だ。
しかし、興奮は収まらない。
(これで殿下は『積極的受け』へとジョブチェンジするはず! 次の展開が楽しみすぎるわ!)
ニヤニヤが止まらない私の元へ、しばらくしてキース閣下が戻ってきた。
ドカッと対面の席に座るなり、彼は深い溜息をついた。
「……おい、アイビー」
「は、はい!」
「お前、エリックに何を言った」
「えっと……円満な人間関係の秘訣を少々」
「……嘘をつけ」
閣下はジロリと私を睨んだが、それ以上追及はしなかった。
その代わり、ポツリと漏らした。
「エリックが戻るなり、ルーカスの肩に手を回して『今日の夕食は僕の分も食べてくれ』などと言い出したぞ。ルーカスが困惑して固まっていた」
「ブフォッ!!!!」
仕事が早い!
さすが殿下、素直すぎる!
「……お前の差し金だな」
「ぐふふ……想像しただけで白飯がいけます……」
「気持ち悪い笑い方をするな」
キース閣下は呆れつつも、どこか楽しげに口元を緩めた。
「まあいい。エリックが精神的に安定するなら、多少の奇行には目を瞑ろう。……だが」
閣下は身を乗り出し、私の額を指で弾いた。
「痛っ!」
「あまり調子に乗るなよ。……お前がエリックと二人きりでいるのを見て、少し……不愉快だった」
「へ?」
私はおでこを押さえて、閣下を見た。
不愉快?
それは、弟の貞操を心配して?
それとも、任務に集中していないことへの叱責?
閣下はフンと顔を背けてしまった。
窓の外を見つめるその横顔が、心なしか拗ねているように見えたのは、私の都合の良い妄想だろうか。
「……さあ、出発するぞ。目的地まであと少しだ」
馬車が再び動き出す。
私の「推し活」と、閣下の「害虫駆除」。
そして、ほんの少しの「恋の予感(?)」を乗せて、旅は続く。
97
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
《完結》氷の侯爵令息 あなたが子供はいらないと言ったから
ヴァンドール
恋愛
氷の侯爵令息と言われたアラン。彼は結婚相手の伯爵令嬢にとにかく冷たい態度で接する。
彼女は義姉イライザから夫が子供はいらないと言ったと聞き、衝撃を受けるが気持ちを切り替え生きていく。
白い結婚なので無効にします。持参金は全額回収いたします
鷹 綾
恋愛
「白い結婚」であることを理由に、夫から離縁を突きつけられた公爵夫人エリシア。
だが彼女は泣かなかった。
なぜなら――その結婚は、最初から“成立していなかった”から。
教会法に基づき婚姻無効を申請。持参金を全額回収し、彼女が選んだ新たな居場所は修道院だった。
それは逃避ではない。
男の支配から離れ、国家の外側に立つという戦略的選択。
やがて彼女は修道院長として、教育制度の整備、女性領主の育成、商業と医療の再編に関わり、王と王妃を外から支える存在となる。
王冠を欲さず、しかし王冠に影響を与える――白の領域。
一方、かつての夫は地位を失い、制度の中で静かに贖罪の道を歩む。
これは、愛を巡る物語ではない。
「選ばなかった未来」を守り続けた一人の女性の物語。
白は弱さではない。
白は、均衡を保つ力。
白い結婚から始まる、静かなリーガル・リベンジと国家再編の物語。
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
冷徹王子に捨てられた令嬢、今ではその兄王に溺愛されています
ゆっこ
恋愛
――「お前のような女に、俺の隣は似合わない」
その言葉を最後に、婚約者であった第二王子レオンハルト殿下は私を冷たく突き放した。
私、クラリス・エルデンは侯爵家の令嬢として、幼い頃から王子の婚約者として育てられた。
しかし、ある日突然彼は平民出の侍女に恋をしたと言い出し、私を「冷酷で打算的な女」だと罵ったのだ。
涙も出なかった。
あまりに理不尽で、あまりに一方的で、怒りも悲しみも通り越して、ただ虚しさだけが残った。
悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?
いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー
これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。
「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」
「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」
冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。
あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。
ショックで熱をだし寝込むこと1週間。
目覚めると夫がなぜか豹変していて…!?
「君から話し掛けてくれないのか?」
「もう君が隣にいないのは考えられない」
無口不器用夫×優しい鈍感妻
すれ違いから始まる両片思いストーリー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる