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「荷造りは完璧ですわね。お土産の『激辛麻婆豆腐の素』も忘れずに」
王都への出発を翌日に控えた夜。
屋敷は戦場のような慌ただしさに包まれていました。
私は指揮官としてテキパキと指示を飛ばし、使用人たちが蟻のように働いています。
一方、ミューア様は「やっと都会に帰れるぅ!」と歓喜していましたが、私が「帰りの馬車は肥料運搬用の荷台になります」と告げると、泡を吹いて気絶しました。
今は客室で大人しく寝かされています。
「……ふぅ。これで準備万端かしら」
私はバルコニーに出て、夜風に当たりました。
ここでの生活は短いものでしたが、とても濃密でした。
領民たちとの絆、新しい事業の立ち上げ、そして……。
「……眠れないのか?」
背後から、低い声がかかりました。
振り返ると、ギルバート様が立っていました。
月明かりに照らされたその姿は、一枚の絵画のように様になっています。
ただ、手に持っているのがワイングラスではなく、ジョッキに入ったホットミルクだという点を除けば。
「ギルバート様こそ。遠足前の子供みたいに興奮して眠れないのではなくて?」
「……否定はしない」
彼は苦笑して、私の隣に並びました。
「明日からまた、あの伏魔殿のような王宮に戻るのかと思うとな。胃が痛くなりそうだ」
「あら、氷の騎士様でも胃薬が必要なのですか?」
「対魔獣戦なら平気だが、対貴族戦は苦手でな。腹の探り合いやら、嫌味の応酬やら……考えただけで蕁麻疹が出る」
彼はげんなりとした顔でミルクを一口飲みました。
その口元に白い髭ができているのを見て、私はクスッと笑いました。
「大丈夫ですわ。私がついていますもの」
「……え?」
「貴族同士の口喧嘩なら、私に任せてください。相手が再起不能になるまで論破して差し上げますわ。貴方は後ろで腕を組んで、時々『フンッ』と鼻を鳴らして威圧してくだされば結構です」
「……それは心強いな」
ギルバート様は笑いましたが、すぐに真面目な顔に戻りました。
そして、ジョッキを欄干に置き、私の方へ向き直ります。
「だが、ニナリー嬢。いつまでも貴殿に守られているわけにはいかない」
「はい?」
「王都に戻れば、アレン殿下は必ず貴殿に接触してくるだろう。復縁を迫るか、あるいは嫌がらせをするか……。国王陛下の介入があるとはいえ、王太子の権力は侮れない」
彼の瞳が、剣呑な光を帯びました。
「貴殿を守るためには、私にも『大義名分』が必要だ」
「大義名分、ですか?」
「ああ。単なる『護衛騎士』では、王族の命令に逆らえない場面が出てくる。殿下が『下がれ』と言えば、私は従わなければならない」
「……確かに、そうですわね」
身分社会の壁は厚いものです。
いくら彼が騎士団長でも、王太子の命令は絶対。
私が強制的に連れて行かれそうになった時、彼が割って入るには正当な理由がいります。
「ですので、提案がある」
ギルバート様は、懐から何かを取り出しました。
それは、小さなベルベットの箱でした。
(……え? ま、まさか?)
私の心臓がトクンと鳴りました。
彼はその箱を開きます。
中に入っていたのは、大きなサファイアの指輪でした。
月光を受けて、彼の瞳と同じ深い青色に輝いています。
「ニナリー・ベルンシュタイン嬢。……私と、結婚してほしい」
「……っ!」
予想はしていましたが、実際に言われると衝撃が走ります。
私は扇を持つ手が震えないように、ギュッと握り締めました。
「……それは、私を守るための『契約』としての結婚、ということですの?」
私は努めて冷静な声を装いました。
「辺境伯家の次期当主である貴方の婚約者となれば、いくらアレン様でも手出しはできませんものね。合理的で、素晴らしい戦略ですわ」
「……」
「私の領地改革の才能と、貴方の武力。それに実家の政治力を合わせれば、最強の夫婦になれますわ。ビジネスパートナーとして、これ以上の相手はいません」
私はペラペラと喋り続けました。
沈黙が怖かったからです。
もし彼が「そうだ、これは契約だ」と言ったら、私は傷つかずに済む。
ビジネスなら割り切れる。
期待なんてしちゃいけない。
でも。
「……違う」
ギルバート様が、私の言葉を遮りました。
「戦略など、どうでもいい」
「え?」
「確かに最初は、貴殿を助けるために婚約者のフリでもしようかと考えた。だが……今は違う」
彼は一歩踏み出し、私の手を取りました。
その手は熱く、そして微かに震えていました。
「私は、ただ……貴殿が好きなんだ」
「……」
「貴殿の、その強気な笑顔が好きだ。どんな逆境でも高笑いして跳ね返す、その不屈の魂が美しいと思う」
彼は私の目を覗き込みました。
「俺は不器用で、気の利いた言葉も言えない。ダンスも下手だし、甘いものが好きだし、壁ドンをすれば壁を壊すような男だ」
「……ふふっ、そうですわね」
「だが、貴殿を想う気持ちだけは、誰にも負けない自信がある。アレン殿下のように、貴殿を都合のいい道具として扱ったりは絶対にしない」
彼は指輪を箱から取り出し、私の指先に触れました。
「ニナリー。……俺の人生に、君というスパイスが欲しい。一生、俺の隣で高笑いしていてくれないか?」
なんて、独特なプロポーズ。
「スパイス」だなんて。
でも、それが彼らしくて、涙が出るほど嬉しくて。
私は扇で顔を隠すのをやめました。
隠す必要なんてないほど、今の私は幸せそうな顔をしているはずだから。
「……後悔しますわよ?」
私は涙で潤んだ瞳で、彼を見上げました。
「私はワガママで、浪費家で、悪巧みが大好きですのよ? 毎日激辛料理が出るかもしれませんし、屋敷を改造して遊園地にするかもしれませんわ」
「望むところだ」
彼はニカっと笑いました。
「退屈な人生より、刺激的な毎日の方が好みだ」
「……バカな人」
私は左手を差し出しました。
「謹んで、お受けいたしますわ。……私の専属騎士様」
ギルバート様は震える手で、私の薬指に指輪を嵌めました。
サイズはぴったりでした。
「……いつの間にサイズを?」
「寝ている時に……いや、その、目測だ」
「怪しいですわね」
「と、とにかく! これで契約成立だ!」
彼は照れ隠しのように大声を出して、私を抱きしめました。
今度は壁ドンではなく、優しく、壊れ物を扱うように。
「ありがとう、ニナリー」
「こちらこそ、ギルバート様」
彼の胸の中で、私はサファイアの指輪を見つめました。
その青い輝きは、私の新しい未来を照らしているようでした。
こうして、私たちは「恋人」兼「婚約者」としての契約を結びました。
それは、単なる政略結婚ではありません。
お互いの欠点を補い合い、美味しいものを共有し、共に悪(主に元婚約者)に立ち向かうための、最強の同盟です。
「……さて、ギルバート様。もう寝ませんと、明日に響きますわよ」
しばらく抱き合った後、私は彼の胸をトンと押しました。
「ああ、そうだな。……名残惜しいが」
「王都に着いたら、忙しくなりますからね。まずは国王陛下への謁見、そして……アレン様への引導渡しですわ」
私の瞳が怪しく光りました。
「覚悟はよろしくて? 私の婚約者になったからには、共犯者になっていただきますわよ」
「ああ。地獄の底まで付き合おう」
ギルバート様もまた、悪党のような(でも嬉しそうな)笑みを浮かべました。
翌朝。
晴れ渡る空の下、私たちは王都へ向けて出発しました。
馬車の中には、指輪を嵌めてご機嫌な私と、それをデレデレと見守るギルバート様。
そして荷台には、土袋に挟まれて「ガタガタ揺れるぅ~!」と白目を剥いているミューア様。
役者は揃いました。
さあ、王都の皆様。
悪役令嬢の帰還ですわよ!
震えてお待ちあそばせ!
王都への出発を翌日に控えた夜。
屋敷は戦場のような慌ただしさに包まれていました。
私は指揮官としてテキパキと指示を飛ばし、使用人たちが蟻のように働いています。
一方、ミューア様は「やっと都会に帰れるぅ!」と歓喜していましたが、私が「帰りの馬車は肥料運搬用の荷台になります」と告げると、泡を吹いて気絶しました。
今は客室で大人しく寝かされています。
「……ふぅ。これで準備万端かしら」
私はバルコニーに出て、夜風に当たりました。
ここでの生活は短いものでしたが、とても濃密でした。
領民たちとの絆、新しい事業の立ち上げ、そして……。
「……眠れないのか?」
背後から、低い声がかかりました。
振り返ると、ギルバート様が立っていました。
月明かりに照らされたその姿は、一枚の絵画のように様になっています。
ただ、手に持っているのがワイングラスではなく、ジョッキに入ったホットミルクだという点を除けば。
「ギルバート様こそ。遠足前の子供みたいに興奮して眠れないのではなくて?」
「……否定はしない」
彼は苦笑して、私の隣に並びました。
「明日からまた、あの伏魔殿のような王宮に戻るのかと思うとな。胃が痛くなりそうだ」
「あら、氷の騎士様でも胃薬が必要なのですか?」
「対魔獣戦なら平気だが、対貴族戦は苦手でな。腹の探り合いやら、嫌味の応酬やら……考えただけで蕁麻疹が出る」
彼はげんなりとした顔でミルクを一口飲みました。
その口元に白い髭ができているのを見て、私はクスッと笑いました。
「大丈夫ですわ。私がついていますもの」
「……え?」
「貴族同士の口喧嘩なら、私に任せてください。相手が再起不能になるまで論破して差し上げますわ。貴方は後ろで腕を組んで、時々『フンッ』と鼻を鳴らして威圧してくだされば結構です」
「……それは心強いな」
ギルバート様は笑いましたが、すぐに真面目な顔に戻りました。
そして、ジョッキを欄干に置き、私の方へ向き直ります。
「だが、ニナリー嬢。いつまでも貴殿に守られているわけにはいかない」
「はい?」
「王都に戻れば、アレン殿下は必ず貴殿に接触してくるだろう。復縁を迫るか、あるいは嫌がらせをするか……。国王陛下の介入があるとはいえ、王太子の権力は侮れない」
彼の瞳が、剣呑な光を帯びました。
「貴殿を守るためには、私にも『大義名分』が必要だ」
「大義名分、ですか?」
「ああ。単なる『護衛騎士』では、王族の命令に逆らえない場面が出てくる。殿下が『下がれ』と言えば、私は従わなければならない」
「……確かに、そうですわね」
身分社会の壁は厚いものです。
いくら彼が騎士団長でも、王太子の命令は絶対。
私が強制的に連れて行かれそうになった時、彼が割って入るには正当な理由がいります。
「ですので、提案がある」
ギルバート様は、懐から何かを取り出しました。
それは、小さなベルベットの箱でした。
(……え? ま、まさか?)
私の心臓がトクンと鳴りました。
彼はその箱を開きます。
中に入っていたのは、大きなサファイアの指輪でした。
月光を受けて、彼の瞳と同じ深い青色に輝いています。
「ニナリー・ベルンシュタイン嬢。……私と、結婚してほしい」
「……っ!」
予想はしていましたが、実際に言われると衝撃が走ります。
私は扇を持つ手が震えないように、ギュッと握り締めました。
「……それは、私を守るための『契約』としての結婚、ということですの?」
私は努めて冷静な声を装いました。
「辺境伯家の次期当主である貴方の婚約者となれば、いくらアレン様でも手出しはできませんものね。合理的で、素晴らしい戦略ですわ」
「……」
「私の領地改革の才能と、貴方の武力。それに実家の政治力を合わせれば、最強の夫婦になれますわ。ビジネスパートナーとして、これ以上の相手はいません」
私はペラペラと喋り続けました。
沈黙が怖かったからです。
もし彼が「そうだ、これは契約だ」と言ったら、私は傷つかずに済む。
ビジネスなら割り切れる。
期待なんてしちゃいけない。
でも。
「……違う」
ギルバート様が、私の言葉を遮りました。
「戦略など、どうでもいい」
「え?」
「確かに最初は、貴殿を助けるために婚約者のフリでもしようかと考えた。だが……今は違う」
彼は一歩踏み出し、私の手を取りました。
その手は熱く、そして微かに震えていました。
「私は、ただ……貴殿が好きなんだ」
「……」
「貴殿の、その強気な笑顔が好きだ。どんな逆境でも高笑いして跳ね返す、その不屈の魂が美しいと思う」
彼は私の目を覗き込みました。
「俺は不器用で、気の利いた言葉も言えない。ダンスも下手だし、甘いものが好きだし、壁ドンをすれば壁を壊すような男だ」
「……ふふっ、そうですわね」
「だが、貴殿を想う気持ちだけは、誰にも負けない自信がある。アレン殿下のように、貴殿を都合のいい道具として扱ったりは絶対にしない」
彼は指輪を箱から取り出し、私の指先に触れました。
「ニナリー。……俺の人生に、君というスパイスが欲しい。一生、俺の隣で高笑いしていてくれないか?」
なんて、独特なプロポーズ。
「スパイス」だなんて。
でも、それが彼らしくて、涙が出るほど嬉しくて。
私は扇で顔を隠すのをやめました。
隠す必要なんてないほど、今の私は幸せそうな顔をしているはずだから。
「……後悔しますわよ?」
私は涙で潤んだ瞳で、彼を見上げました。
「私はワガママで、浪費家で、悪巧みが大好きですのよ? 毎日激辛料理が出るかもしれませんし、屋敷を改造して遊園地にするかもしれませんわ」
「望むところだ」
彼はニカっと笑いました。
「退屈な人生より、刺激的な毎日の方が好みだ」
「……バカな人」
私は左手を差し出しました。
「謹んで、お受けいたしますわ。……私の専属騎士様」
ギルバート様は震える手で、私の薬指に指輪を嵌めました。
サイズはぴったりでした。
「……いつの間にサイズを?」
「寝ている時に……いや、その、目測だ」
「怪しいですわね」
「と、とにかく! これで契約成立だ!」
彼は照れ隠しのように大声を出して、私を抱きしめました。
今度は壁ドンではなく、優しく、壊れ物を扱うように。
「ありがとう、ニナリー」
「こちらこそ、ギルバート様」
彼の胸の中で、私はサファイアの指輪を見つめました。
その青い輝きは、私の新しい未来を照らしているようでした。
こうして、私たちは「恋人」兼「婚約者」としての契約を結びました。
それは、単なる政略結婚ではありません。
お互いの欠点を補い合い、美味しいものを共有し、共に悪(主に元婚約者)に立ち向かうための、最強の同盟です。
「……さて、ギルバート様。もう寝ませんと、明日に響きますわよ」
しばらく抱き合った後、私は彼の胸をトンと押しました。
「ああ、そうだな。……名残惜しいが」
「王都に着いたら、忙しくなりますからね。まずは国王陛下への謁見、そして……アレン様への引導渡しですわ」
私の瞳が怪しく光りました。
「覚悟はよろしくて? 私の婚約者になったからには、共犯者になっていただきますわよ」
「ああ。地獄の底まで付き合おう」
ギルバート様もまた、悪党のような(でも嬉しそうな)笑みを浮かべました。
翌朝。
晴れ渡る空の下、私たちは王都へ向けて出発しました。
馬車の中には、指輪を嵌めてご機嫌な私と、それをデレデレと見守るギルバート様。
そして荷台には、土袋に挟まれて「ガタガタ揺れるぅ~!」と白目を剥いているミューア様。
役者は揃いました。
さあ、王都の皆様。
悪役令嬢の帰還ですわよ!
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