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「ニナリー様! 素晴らしい演説でした!」
「我が領地でもぜひ、その『悪役令嬢流・財政改革』のご指導を!」
「いやいや、まずは我が家へ! 息子を紹介させてください!」
アレン王子たちの退場後、大広間は私を中心とした熱狂の渦に包まれていました。
断罪劇の興奮冷めやらぬ貴族たちが、まるで蜜に群がる蜂のように押し寄せてきます。
私は扇を片手に、絶え間なく愛想笑いを浮かべていました。
「ええ、ありがとうございます。……ご子息? あいにく婚約者がおりますので」
「まあ、今度のお茶会でぜひ。……ええ、財政再建のご相談も承りますわ(有料で)」
対応は完璧にこなしていますが、さすがに顔の筋肉が引きつってきました。
シャンパンの酔いも回ってきたのか、頭が少しクラクラします。
(……疲れましたわ。そろそろ限界ね)
私が小さなため息をついた、その時でした。
「失礼。少し道を空けていただこう」
低い声と共に、人垣が割れました。
ギルバート様が、私の腰に手を回し、強引に引き寄せたのです。
「ギルバート様?」
「ニナリー嬢は少し酔われたようだ。夜風に当たってくる」
彼は周囲の貴族たちを、あの「氷の騎士」の眼光で一瞥しました。
「……彼女を独占したいのは山々だろうが、今の彼女には休息が必要だ。これ以上の拘束は、婚約者として許可できないな」
その威圧感と、有無を言わせぬ独占欲に、貴族たちは「は、はいっ!」「失礼しました!」と慌てて道を譲りました。
「行こう、ニナリー」
「……ええ、助かりますわ」
私たちは騒がしい大広間を背に、バルコニーへと続くガラス戸をくぐり抜けました。
◇
外に出た瞬間、冷たく澄んだ夜風が頬を撫でました。
バルコニーは静寂に包まれており、聞こえるのは遠くの音楽と、庭園の木々が風に揺れる音だけ。
見上げれば、吸い込まれそうな満天の星空が広がっています。
「……ふぅ。生き返りましたわ」
私は手すりに寄りかかり、大きく深呼吸をしました。
「ありがとう、ギルバート様。あのままでは、人混みに圧死するところでした」
「気にするな。……それに、本音を言えば」
ギルバート様が私の隣に並び、夜景を見つめながら呟きました。
「他の男たちが、貴殿を熱っぽい目で見ているのが面白くなかっただけだ」
「あら」
私はクスリと笑いました。
「嫉妬ですか? 騎士団総長ともあろうお方が」
「……ああ、そうだ。嫉妬だ」
彼は隠そうともせず、真っ直ぐに私を見ました。
「貴殿が魅力的すぎるのが悪い。あんな凛とした姿を見せられては、誰だって心を奪われる」
素直すぎる言葉に、私の心臓がトクンと跳ねました。
以前の不器用さはどこへやら。
今日の彼は、少しだけ強引で、そして大人の色気を纏っています。
「……お上手になりましたわね、口説き文句が」
「本心だ。……寒くはないか?」
彼が自分のジャケットを脱ぎ、私の肩にかけてくれました。
残った彼の体温と、微かな香水(と焼き菓子)の匂いが私を包み込みます。
「温かい……」
「ならよかった」
彼は満足げに微笑み、私の髪を一筋、指ですくいました。
「ニナリー。……終わったな」
「ええ。終わりました」
私はアレン様たちが連行されていった方向を見つめました。
「長い戦いでしたわ。婚約破棄から始まり、領地への逃避行、そして今日の断罪劇……」
思い返せば、怒涛のような数週間でした。
でも、不思議と辛かった記憶はありません。
「最初は、ただ悔しくて。アレン様を見返してやろうという復讐心だけで動いていました。でも……」
私はギルバート様を見上げました。
「途中からは、楽しかったですわ。貴方がいてくれたから」
「……私もだ」
彼の手が、私の頬に触れました。
大きくて、少しゴツゴツとした指先。
でも、そのタッチは羽毛のように優しいのです。
「貴殿と出会って、私の世界は変わった。ただ剣を振るうだけだった灰色の日常が、色鮮やかになったんだ」
「ギルバート様……」
「熊の木彫りを作り、激辛スパイスに悶絶し、壁を破壊し……」
「ふふっ、ろくな思い出がありませんわね」
「いや、最高の日々だ」
彼は真剣な眼差しで言いました。
「これからも、私の隣で笑っていてほしい。……貴殿のその高笑いが、私の生きる糧なんだ」
「変な糧ですこと」
私は笑い、彼のジャケットの襟を直してあげました。
「でも、いいですわ。……私も、貴方の隣が一番落ち着きますもの」
沈黙が降りました。
でも、それは気まずいものではなく、甘く、溶けるような沈黙でした。
彼の顔が、ゆっくりと近づいてきます。
月明かりに照らされた彼の瞳は、サファイアのように深く、私だけを映していました。
(……キス、されるのかしら)
私は期待半分、緊張半分で、自然と目を閉じかけました。
その時です。
「……あ」
ギルバート様が動きを止めました。
「どうしましたの?」
「……いや、その」
彼は少しバツが悪そうに視線を逸らしました。
「壁がないな、と思って」
「は?」
「以前、壁ドンに失敗しただろう? 今日こそはスマートに決めたかったのだが……ここはバルコニーだ。手すりしかない」
「……」
私は呆れて、そして吹き出しました。
「何を気にしていらっしゃるの? そんな演出、必要ありませんわ」
「だが、雰囲気が……」
「雰囲気なら、もう十分にあります。それに……」
私は一歩踏み出し、彼との距離をゼロにしました。
「壁がないなら、私が貴方の胸に飛び込めばいいだけですわ」
私はつま先立ちになり、彼に抱きつきました。
「……ッ!」
ギルバート様の体が硬直しましたが、すぐに力強い腕が私の腰に回されました。
「ニナリー……」
「愛していますわ、ギルバート様。……不器用な熊さん」
「……愛している。私の最強の悪役令嬢」
彼の唇が、私の唇に重なりました。
それはアレン様との形式的なキスとは違う、熱く、魂が触れ合うような口づけでした。
長く、甘く。
時折、彼が不慣れなせいで鼻がぶつかったりもしましたが、それさえも愛おしく感じられました。
星空の下、私たちは一つになっていました。
会場の喧騒も、過去のしがらみも、すべてが遠くへ消えていきます。
ただ、互いの体温と鼓動だけが、確かな現実としてそこにありました。
「……ん」
唇が離れた後も、私たちは額を合わせたまま見つめ合っていました。
「……悪くない」
ギルバート様が、いつかの馬車の中でクッキーを食べた時と同じ感想を漏らしました。
「それだけですの?」
「いや。……おかわりが欲しい」
「まあ、欲張りなこと」
私はクスクスと笑い、彼の首に腕を回しました。
「いいですわよ。今夜は長いですもの」
二度目の口づけを交わそうとしたその時、バルコニーの下から何やら怪しい物音が聞こえてきました。
ガサゴソ……。
「……? 何かの動物か?」
ギルバート様が騎士の顔に戻り、下を覗き込みました。
そこには、茂みの中で蠢く怪しい影。
「くそっ……まだだ……私はまだ諦めんぞ……」
聞き覚えのある、怨念めいた声。
「……アレン様?」
なんと、連行されたはずのアレン王子が、衛兵の隙を突いて脱走し、執念で戻ってきたようです。
泥だらけになりながら、彼はバルコニーを見上げました。
「ニナリー! そこにいるのか! 待ってろ、今そこへ……!」
彼はツタを掴んで登ってこようとしましたが、
「……お邪魔虫ですわね」
私は冷めた目で見下ろしました。
「ギルバート様。……お願いします」
「御意」
ギルバート様は近くにあった植木鉢(中身はサボテン)を手に取りました。
「殿下。……頭を冷やしていただきましょう」
そして、躊躇なく投下しました。
ドカッ!!
「ぎゃああああああ!!」
「……ストライクですわ」
下から聞こえる悲鳴を確認し、私たちは何事もなかったかのように向き直りました。
「さて、邪魔者も消えましたし」
「ああ。……続きをしようか」
私たちは再び、甘い夜の世界へと戻っていきました。
月だけが、私たちの共犯者として静かに輝いていました。
こうして、波乱の夜会は、最高のハッピーエンド(と、元王子のサボテンまみれの悲劇)で幕を閉じたのでした。
「我が領地でもぜひ、その『悪役令嬢流・財政改革』のご指導を!」
「いやいや、まずは我が家へ! 息子を紹介させてください!」
アレン王子たちの退場後、大広間は私を中心とした熱狂の渦に包まれていました。
断罪劇の興奮冷めやらぬ貴族たちが、まるで蜜に群がる蜂のように押し寄せてきます。
私は扇を片手に、絶え間なく愛想笑いを浮かべていました。
「ええ、ありがとうございます。……ご子息? あいにく婚約者がおりますので」
「まあ、今度のお茶会でぜひ。……ええ、財政再建のご相談も承りますわ(有料で)」
対応は完璧にこなしていますが、さすがに顔の筋肉が引きつってきました。
シャンパンの酔いも回ってきたのか、頭が少しクラクラします。
(……疲れましたわ。そろそろ限界ね)
私が小さなため息をついた、その時でした。
「失礼。少し道を空けていただこう」
低い声と共に、人垣が割れました。
ギルバート様が、私の腰に手を回し、強引に引き寄せたのです。
「ギルバート様?」
「ニナリー嬢は少し酔われたようだ。夜風に当たってくる」
彼は周囲の貴族たちを、あの「氷の騎士」の眼光で一瞥しました。
「……彼女を独占したいのは山々だろうが、今の彼女には休息が必要だ。これ以上の拘束は、婚約者として許可できないな」
その威圧感と、有無を言わせぬ独占欲に、貴族たちは「は、はいっ!」「失礼しました!」と慌てて道を譲りました。
「行こう、ニナリー」
「……ええ、助かりますわ」
私たちは騒がしい大広間を背に、バルコニーへと続くガラス戸をくぐり抜けました。
◇
外に出た瞬間、冷たく澄んだ夜風が頬を撫でました。
バルコニーは静寂に包まれており、聞こえるのは遠くの音楽と、庭園の木々が風に揺れる音だけ。
見上げれば、吸い込まれそうな満天の星空が広がっています。
「……ふぅ。生き返りましたわ」
私は手すりに寄りかかり、大きく深呼吸をしました。
「ありがとう、ギルバート様。あのままでは、人混みに圧死するところでした」
「気にするな。……それに、本音を言えば」
ギルバート様が私の隣に並び、夜景を見つめながら呟きました。
「他の男たちが、貴殿を熱っぽい目で見ているのが面白くなかっただけだ」
「あら」
私はクスリと笑いました。
「嫉妬ですか? 騎士団総長ともあろうお方が」
「……ああ、そうだ。嫉妬だ」
彼は隠そうともせず、真っ直ぐに私を見ました。
「貴殿が魅力的すぎるのが悪い。あんな凛とした姿を見せられては、誰だって心を奪われる」
素直すぎる言葉に、私の心臓がトクンと跳ねました。
以前の不器用さはどこへやら。
今日の彼は、少しだけ強引で、そして大人の色気を纏っています。
「……お上手になりましたわね、口説き文句が」
「本心だ。……寒くはないか?」
彼が自分のジャケットを脱ぎ、私の肩にかけてくれました。
残った彼の体温と、微かな香水(と焼き菓子)の匂いが私を包み込みます。
「温かい……」
「ならよかった」
彼は満足げに微笑み、私の髪を一筋、指ですくいました。
「ニナリー。……終わったな」
「ええ。終わりました」
私はアレン様たちが連行されていった方向を見つめました。
「長い戦いでしたわ。婚約破棄から始まり、領地への逃避行、そして今日の断罪劇……」
思い返せば、怒涛のような数週間でした。
でも、不思議と辛かった記憶はありません。
「最初は、ただ悔しくて。アレン様を見返してやろうという復讐心だけで動いていました。でも……」
私はギルバート様を見上げました。
「途中からは、楽しかったですわ。貴方がいてくれたから」
「……私もだ」
彼の手が、私の頬に触れました。
大きくて、少しゴツゴツとした指先。
でも、そのタッチは羽毛のように優しいのです。
「貴殿と出会って、私の世界は変わった。ただ剣を振るうだけだった灰色の日常が、色鮮やかになったんだ」
「ギルバート様……」
「熊の木彫りを作り、激辛スパイスに悶絶し、壁を破壊し……」
「ふふっ、ろくな思い出がありませんわね」
「いや、最高の日々だ」
彼は真剣な眼差しで言いました。
「これからも、私の隣で笑っていてほしい。……貴殿のその高笑いが、私の生きる糧なんだ」
「変な糧ですこと」
私は笑い、彼のジャケットの襟を直してあげました。
「でも、いいですわ。……私も、貴方の隣が一番落ち着きますもの」
沈黙が降りました。
でも、それは気まずいものではなく、甘く、溶けるような沈黙でした。
彼の顔が、ゆっくりと近づいてきます。
月明かりに照らされた彼の瞳は、サファイアのように深く、私だけを映していました。
(……キス、されるのかしら)
私は期待半分、緊張半分で、自然と目を閉じかけました。
その時です。
「……あ」
ギルバート様が動きを止めました。
「どうしましたの?」
「……いや、その」
彼は少しバツが悪そうに視線を逸らしました。
「壁がないな、と思って」
「は?」
「以前、壁ドンに失敗しただろう? 今日こそはスマートに決めたかったのだが……ここはバルコニーだ。手すりしかない」
「……」
私は呆れて、そして吹き出しました。
「何を気にしていらっしゃるの? そんな演出、必要ありませんわ」
「だが、雰囲気が……」
「雰囲気なら、もう十分にあります。それに……」
私は一歩踏み出し、彼との距離をゼロにしました。
「壁がないなら、私が貴方の胸に飛び込めばいいだけですわ」
私はつま先立ちになり、彼に抱きつきました。
「……ッ!」
ギルバート様の体が硬直しましたが、すぐに力強い腕が私の腰に回されました。
「ニナリー……」
「愛していますわ、ギルバート様。……不器用な熊さん」
「……愛している。私の最強の悪役令嬢」
彼の唇が、私の唇に重なりました。
それはアレン様との形式的なキスとは違う、熱く、魂が触れ合うような口づけでした。
長く、甘く。
時折、彼が不慣れなせいで鼻がぶつかったりもしましたが、それさえも愛おしく感じられました。
星空の下、私たちは一つになっていました。
会場の喧騒も、過去のしがらみも、すべてが遠くへ消えていきます。
ただ、互いの体温と鼓動だけが、確かな現実としてそこにありました。
「……ん」
唇が離れた後も、私たちは額を合わせたまま見つめ合っていました。
「……悪くない」
ギルバート様が、いつかの馬車の中でクッキーを食べた時と同じ感想を漏らしました。
「それだけですの?」
「いや。……おかわりが欲しい」
「まあ、欲張りなこと」
私はクスクスと笑い、彼の首に腕を回しました。
「いいですわよ。今夜は長いですもの」
二度目の口づけを交わそうとしたその時、バルコニーの下から何やら怪しい物音が聞こえてきました。
ガサゴソ……。
「……? 何かの動物か?」
ギルバート様が騎士の顔に戻り、下を覗き込みました。
そこには、茂みの中で蠢く怪しい影。
「くそっ……まだだ……私はまだ諦めんぞ……」
聞き覚えのある、怨念めいた声。
「……アレン様?」
なんと、連行されたはずのアレン王子が、衛兵の隙を突いて脱走し、執念で戻ってきたようです。
泥だらけになりながら、彼はバルコニーを見上げました。
「ニナリー! そこにいるのか! 待ってろ、今そこへ……!」
彼はツタを掴んで登ってこようとしましたが、
「……お邪魔虫ですわね」
私は冷めた目で見下ろしました。
「ギルバート様。……お願いします」
「御意」
ギルバート様は近くにあった植木鉢(中身はサボテン)を手に取りました。
「殿下。……頭を冷やしていただきましょう」
そして、躊躇なく投下しました。
ドカッ!!
「ぎゃああああああ!!」
「……ストライクですわ」
下から聞こえる悲鳴を確認し、私たちは何事もなかったかのように向き直りました。
「さて、邪魔者も消えましたし」
「ああ。……続きをしようか」
私たちは再び、甘い夜の世界へと戻っていきました。
月だけが、私たちの共犯者として静かに輝いていました。
こうして、波乱の夜会は、最高のハッピーエンド(と、元王子のサボテンまみれの悲劇)で幕を閉じたのでした。
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