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盛大な結婚披露宴が終わり、私たち新郎新婦は、王都の最高級ホテルにあるスイートルームへと案内されました。
天蓋付きの巨大なベッド、床を覆う深紅の絨毯、そして窓の外に広がる王都の夜景。
まさに、愛し合う二人のための完璧な舞台です。
しかし。
現在の室内の空気は、ロマンチックとは程遠い、張り詰めた緊張感に支配されていました。
「……異常なし」
「……クリア」
ギルバート様が、剣を構えるような姿勢(丸腰ですが)で、部屋中をチェックして回っています。
カーテンの裏、クローゼットの中、果てはベッドの下まで。
「ギルバート様。さっきから何をしていらっしゃいますの?」
私が化粧台の前で髪飾りを外しながら尋ねると、彼は真剣な顔で答えました。
「暗殺者の確認だ。幸せの絶頂にある時こそ、人は隙を見せるものだからな」
「ここ、王家御用達のホテルでしてよ? 警備は万全ですわ」
「信用ならん。……特に、あのベッドの下は怪しい」
彼は這いつくばって、まだベッドの下を覗き込んでいます。
その巨大な背中が、なんだか可愛らしくて、私はクスリと笑いました。
「誰もいませんわよ。いるとしたら、ここには『臆病な騎士様』が一人だけですわ」
「む……臆病ではない。慎重なだけだ」
彼は埃を払いながら立ち上がりましたが、その顔は赤く、額には脂汗が滲んでいました。
どうやら、暗殺者を警戒しているというのは建前で、本当の敵は『これから起こること』への緊張感のようです。
「さて、私は先にシャワーを浴びてきますわね」
私がバスルームへ向かおうとすると、ギルバート様がビクッと反応しました。
「あ、ああ。行ってらっしゃい。……私はここで、精神統一をしている」
「座禅でも組むおつもり?」
「……それに近い」
私がバスルームに入り、一時間ほどかけて身支度を整えました。
今夜のために用意した、少し透け感のあるシルクのネグリジェ。
鏡の前でポーズを取り、「よし、決まったわ」と気合を入れます。
悪役令嬢たるもの、ベッドの上でも最強でなければなりません。
「お待たせしました、あなた」
少し甘い声を出して、バスルームから出ました。
すると。
「……」
ギルバート様は、部屋の隅にある一人掛けのソファに、借りてきた猫のように小さくなって座っていました。
手には聖書のような分厚い本を持っています。
「……何を読んでいらっしゃいますの?」
「『騎士道精神とは何か』だ」
「今読む本ではありませんわね」
私が近づくと、彼はバタンと本を閉じ、直立不動で立ち上がりました。
その視線は、私の顔からデコルテあたりを彷徨い、そして明後日の方向へと逃げていきます。
「ニ、ニナリー。その、格好は……」
「似合いまして?」
「……刺激が強すぎる。直視すれば、網膜が焼けるかもしれん」
「まあ、大袈裟な」
私は彼の腕を取り、ベッドの方へと誘導しました。
ギルバート様の体は、鋼鉄のようにガチガチに硬直しています。
「さあ、座ってくださいな。今日はずっと立ちっぱなしで疲れたでしょう?」
「あ、ああ。……失礼する」
彼はベッドの縁に、まるで壊れ物を扱うようにそっと腰を下ろしました。
スプリングが沈むと同時に、彼の背筋がピンと伸びます。
私はその隣に座り、彼の肩に頭を預けました。
「……ふぅ。やっと二人きりになれましたわね」
「……そうだな」
「ギルバート様?」
「は、はい!」
裏返った声。
「……どうしてそんなに離れますの?」
私が寄りかかると、彼はその分だけジリジリと横に逃げていくのです。
気がつけば、彼はベッドの端ギリギリまで追い詰められていました。
「逃げないでくださいな。落ちますわよ」
「い、いや、逃げているわけではない! ただ、その……貴殿があまりにも美しくて、神々しくて、触れるのが恐れ多いというか……!」
彼は早口で言い訳を並べ立てました。
「私は武骨な軍人だ。力加減もわからん。もし貴殿のような白磁の肌を傷つけてしまったらと思うと……指一本動かせないのだ!」
「……」
なるほど。
大切に思ってくれているのはわかりますが、これでは話が進みません。
このままでは朝まで「騎士道精神」の講義を聞かされる羽目になります。
(……仕方ありませんわね)
私は心の中で溜息をつき、そしてニヤリと笑いました。
攻め手が来ないなら、こちらから攻め落とすまで。
「ギルバート様」
「な、何だ」
「貴方は戦場で、敵を前にして逃げ出しますか?」
「まさか! 一歩も退かん!」
「では、ここでも退かないでください。……これは、夫婦としての『最初の共同任務』ですわよ」
私は彼に向かって、四つん這いで詰め寄りました。
ネグリジェの裾が乱れ、私の顔が彼の目の前に迫ります。
「に、ニナリーっ!?」
「覚悟を決めてくださいな。……それとも、私にリードされたい?」
挑発的な上目遣い。
ギルバート様の顔が、沸騰したヤカンのように真っ赤になりました。
「う、ううっ……! こ、こんな試練は、ドラゴン討伐よりも過酷だ……!」
「あら、私がドラゴンより怖いと?」
「違う! 可愛すぎて心臓が持たないと言っているんだ!」
彼は叫びましたが、逃げ場はもうありません。
「……ええい、ままよ!」
ギルバート様は意を決したように、両手を広げました。
そして、私を抱きしめようと……したのですが。
バフッ!
「あ」
「へ?」
極度の緊張で手足の動きがバラバラになったのか、彼は私を抱きしめるのではなく、私の背後にあった枕を全力で抱きしめてしまいました。
そして、その勢いのままバランスを崩し、後ろにひっくり返ります。
「うわっ!」
「きゃっ!」
ドスーン!!
ベッドの上で、私たちはもつれ合って転がりました。
気がつくと、私が上、ギルバート様が下という体勢になっていました。
彼の顔面には、大きな枕が押し付けられています。
「……っぷはっ!」
彼が枕をどけると、そこには情けない顔がありました。
「……一生の不覚だ。新妻を抱こうとして、枕を抱くとは」
そのあまりの間抜けさに、私はこらえきれず吹き出しました。
「あはははは! 何ですのそれ! 新しい格闘技?」
「わ、笑うな! こっちは必死なんだ!」
「だって、おかしいんですもの! あの『氷の騎士』が、枕と相撲を取って負けるなんて!」
私はお腹を抱えて笑い転げました。
色気もムードも台無しです。
でも、私が笑い続けると、ギルバート様の強張っていた表情も、次第に緩んでいきました。
「……ははっ。確かに、酷い様だな」
彼も観念したように笑い始めました。
「俺は本当にダメな男だ。こんな大事な夜に、カッコつけることもできない」
「いいえ。最高ですわ」
私は笑い涙を拭いながら、彼を見下ろしました。
「完璧な王子様なんていりません。私は、この不器用で人間くさい貴方がいいのです」
私は彼の上に覆いかぶさったまま、彼の頬を手で包みました。
「ねえ、ギルバート様」
「……なんだ」
「緊張するのはやめましょう。どうせ私たちは、似た者同士の不器用カップルですもの」
「……そうだな」
「失敗しても、笑い飛ばせばいいんです。……これからも、ずっと」
私の言葉に、彼は深く頷きました。
そして、今度は迷うことなく、私の腰に手を回しました。
「……ありがとう、ニナリー。……愛している」
「私もです」
彼がゆっくりと顔を上げ、私たちの唇が重なりました。
今度は、枕が邪魔することもなく。
震えも止まっていました。
ただ、優しく、深く。
長いキスの後、彼は悪戯っぽく笑いました。
「……しかし、この体勢は」
「あら、私が上ですわね」
「……悪くない。貴殿には『支配者』の座が似合う」
「ふふっ、では今夜は私が指揮を執らせていただきますわ。……覚悟はよろしくて?」
「お手柔らかに頼む」
私たちは再び笑い合い、そして朝が来るまで、愛と笑いに満ちた時間を過ごしました。
結局、色っぽい展開になったのかどうかは、二人だけの秘密です。
ただ一つ言えることは、翌朝、私たちが部屋から出てきた時、二人とも少し寝不足で、でも最高に幸せそうな顔をしていたということです。
(……ふふっ。ベッドの脚が一本折れてしまったのは、内緒にしておかなくてはなりませんわね)
請求書は、こっそりと私のへそくりから支払うことにしましょう。
こうして、私たちの波乱万丈な新婚生活は、ベッドの破壊と共に幕を開けたのでした。
天蓋付きの巨大なベッド、床を覆う深紅の絨毯、そして窓の外に広がる王都の夜景。
まさに、愛し合う二人のための完璧な舞台です。
しかし。
現在の室内の空気は、ロマンチックとは程遠い、張り詰めた緊張感に支配されていました。
「……異常なし」
「……クリア」
ギルバート様が、剣を構えるような姿勢(丸腰ですが)で、部屋中をチェックして回っています。
カーテンの裏、クローゼットの中、果てはベッドの下まで。
「ギルバート様。さっきから何をしていらっしゃいますの?」
私が化粧台の前で髪飾りを外しながら尋ねると、彼は真剣な顔で答えました。
「暗殺者の確認だ。幸せの絶頂にある時こそ、人は隙を見せるものだからな」
「ここ、王家御用達のホテルでしてよ? 警備は万全ですわ」
「信用ならん。……特に、あのベッドの下は怪しい」
彼は這いつくばって、まだベッドの下を覗き込んでいます。
その巨大な背中が、なんだか可愛らしくて、私はクスリと笑いました。
「誰もいませんわよ。いるとしたら、ここには『臆病な騎士様』が一人だけですわ」
「む……臆病ではない。慎重なだけだ」
彼は埃を払いながら立ち上がりましたが、その顔は赤く、額には脂汗が滲んでいました。
どうやら、暗殺者を警戒しているというのは建前で、本当の敵は『これから起こること』への緊張感のようです。
「さて、私は先にシャワーを浴びてきますわね」
私がバスルームへ向かおうとすると、ギルバート様がビクッと反応しました。
「あ、ああ。行ってらっしゃい。……私はここで、精神統一をしている」
「座禅でも組むおつもり?」
「……それに近い」
私がバスルームに入り、一時間ほどかけて身支度を整えました。
今夜のために用意した、少し透け感のあるシルクのネグリジェ。
鏡の前でポーズを取り、「よし、決まったわ」と気合を入れます。
悪役令嬢たるもの、ベッドの上でも最強でなければなりません。
「お待たせしました、あなた」
少し甘い声を出して、バスルームから出ました。
すると。
「……」
ギルバート様は、部屋の隅にある一人掛けのソファに、借りてきた猫のように小さくなって座っていました。
手には聖書のような分厚い本を持っています。
「……何を読んでいらっしゃいますの?」
「『騎士道精神とは何か』だ」
「今読む本ではありませんわね」
私が近づくと、彼はバタンと本を閉じ、直立不動で立ち上がりました。
その視線は、私の顔からデコルテあたりを彷徨い、そして明後日の方向へと逃げていきます。
「ニ、ニナリー。その、格好は……」
「似合いまして?」
「……刺激が強すぎる。直視すれば、網膜が焼けるかもしれん」
「まあ、大袈裟な」
私は彼の腕を取り、ベッドの方へと誘導しました。
ギルバート様の体は、鋼鉄のようにガチガチに硬直しています。
「さあ、座ってくださいな。今日はずっと立ちっぱなしで疲れたでしょう?」
「あ、ああ。……失礼する」
彼はベッドの縁に、まるで壊れ物を扱うようにそっと腰を下ろしました。
スプリングが沈むと同時に、彼の背筋がピンと伸びます。
私はその隣に座り、彼の肩に頭を預けました。
「……ふぅ。やっと二人きりになれましたわね」
「……そうだな」
「ギルバート様?」
「は、はい!」
裏返った声。
「……どうしてそんなに離れますの?」
私が寄りかかると、彼はその分だけジリジリと横に逃げていくのです。
気がつけば、彼はベッドの端ギリギリまで追い詰められていました。
「逃げないでくださいな。落ちますわよ」
「い、いや、逃げているわけではない! ただ、その……貴殿があまりにも美しくて、神々しくて、触れるのが恐れ多いというか……!」
彼は早口で言い訳を並べ立てました。
「私は武骨な軍人だ。力加減もわからん。もし貴殿のような白磁の肌を傷つけてしまったらと思うと……指一本動かせないのだ!」
「……」
なるほど。
大切に思ってくれているのはわかりますが、これでは話が進みません。
このままでは朝まで「騎士道精神」の講義を聞かされる羽目になります。
(……仕方ありませんわね)
私は心の中で溜息をつき、そしてニヤリと笑いました。
攻め手が来ないなら、こちらから攻め落とすまで。
「ギルバート様」
「な、何だ」
「貴方は戦場で、敵を前にして逃げ出しますか?」
「まさか! 一歩も退かん!」
「では、ここでも退かないでください。……これは、夫婦としての『最初の共同任務』ですわよ」
私は彼に向かって、四つん這いで詰め寄りました。
ネグリジェの裾が乱れ、私の顔が彼の目の前に迫ります。
「に、ニナリーっ!?」
「覚悟を決めてくださいな。……それとも、私にリードされたい?」
挑発的な上目遣い。
ギルバート様の顔が、沸騰したヤカンのように真っ赤になりました。
「う、ううっ……! こ、こんな試練は、ドラゴン討伐よりも過酷だ……!」
「あら、私がドラゴンより怖いと?」
「違う! 可愛すぎて心臓が持たないと言っているんだ!」
彼は叫びましたが、逃げ場はもうありません。
「……ええい、ままよ!」
ギルバート様は意を決したように、両手を広げました。
そして、私を抱きしめようと……したのですが。
バフッ!
「あ」
「へ?」
極度の緊張で手足の動きがバラバラになったのか、彼は私を抱きしめるのではなく、私の背後にあった枕を全力で抱きしめてしまいました。
そして、その勢いのままバランスを崩し、後ろにひっくり返ります。
「うわっ!」
「きゃっ!」
ドスーン!!
ベッドの上で、私たちはもつれ合って転がりました。
気がつくと、私が上、ギルバート様が下という体勢になっていました。
彼の顔面には、大きな枕が押し付けられています。
「……っぷはっ!」
彼が枕をどけると、そこには情けない顔がありました。
「……一生の不覚だ。新妻を抱こうとして、枕を抱くとは」
そのあまりの間抜けさに、私はこらえきれず吹き出しました。
「あはははは! 何ですのそれ! 新しい格闘技?」
「わ、笑うな! こっちは必死なんだ!」
「だって、おかしいんですもの! あの『氷の騎士』が、枕と相撲を取って負けるなんて!」
私はお腹を抱えて笑い転げました。
色気もムードも台無しです。
でも、私が笑い続けると、ギルバート様の強張っていた表情も、次第に緩んでいきました。
「……ははっ。確かに、酷い様だな」
彼も観念したように笑い始めました。
「俺は本当にダメな男だ。こんな大事な夜に、カッコつけることもできない」
「いいえ。最高ですわ」
私は笑い涙を拭いながら、彼を見下ろしました。
「完璧な王子様なんていりません。私は、この不器用で人間くさい貴方がいいのです」
私は彼の上に覆いかぶさったまま、彼の頬を手で包みました。
「ねえ、ギルバート様」
「……なんだ」
「緊張するのはやめましょう。どうせ私たちは、似た者同士の不器用カップルですもの」
「……そうだな」
「失敗しても、笑い飛ばせばいいんです。……これからも、ずっと」
私の言葉に、彼は深く頷きました。
そして、今度は迷うことなく、私の腰に手を回しました。
「……ありがとう、ニナリー。……愛している」
「私もです」
彼がゆっくりと顔を上げ、私たちの唇が重なりました。
今度は、枕が邪魔することもなく。
震えも止まっていました。
ただ、優しく、深く。
長いキスの後、彼は悪戯っぽく笑いました。
「……しかし、この体勢は」
「あら、私が上ですわね」
「……悪くない。貴殿には『支配者』の座が似合う」
「ふふっ、では今夜は私が指揮を執らせていただきますわ。……覚悟はよろしくて?」
「お手柔らかに頼む」
私たちは再び笑い合い、そして朝が来るまで、愛と笑いに満ちた時間を過ごしました。
結局、色っぽい展開になったのかどうかは、二人だけの秘密です。
ただ一つ言えることは、翌朝、私たちが部屋から出てきた時、二人とも少し寝不足で、でも最高に幸せそうな顔をしていたということです。
(……ふふっ。ベッドの脚が一本折れてしまったのは、内緒にしておかなくてはなりませんわね)
請求書は、こっそりと私のへそくりから支払うことにしましょう。
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