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EMG19:vs特別大災害級怪獣№2 決戦
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六代伊吹はいつも通り軽トラで伯朧神社へ向かっていた。その信号待ちでは白龍神が伊吹へ呼びかけた。
「お主。」
「何ですかい?」
「富士の山の方向から我と同じ気を感じる。」
「どういうことです?富士山の方に神がいると?」
「うむ……これは恐らく山の祟神の気じゃ。確かに前はこの時期になると祟り神が近くの村や集落から忌み子の生贄をもらい喰らっておったな…この気の乱れ方は、相当怒っておるな……」
「……そんな風習って本当にあったんですね……」
「もちろんじゃ、忌み子は妖になる可能性があったからな。それで村が一個なくなったのも見たことあるし。今の時代だとそんなこともなくなってきただろう?」
「そうですね……で、どうします?このまま富士山に行きます?俺は構いませんけど、怒っているですよね?」
「むー……そうじゃの……じゃが仕事は……」
「まぁ、言い訳したら許してくれるでしょ。」
「お主。人生そんなに甘くないぞ。」
六代は軽トラを近くの有料駐車場へ停めて変身した。
「それでは、お久しぶりに……我龍転身!」
変身を終えた六代はビルの間を縫うように飛び富士山を目指した。
「ここからどのくらいだっけ?」
「大体30里くらいじゃな。」
「30里?遠い……のか?」
「我の力を持ってすればそんな距離あっと言う間じゃ。計算する前に動け。」
「……ッス!」
─────────
富士山均衡。MDCAは形態変化した№2へ砲撃を浴びせる。だが、俊敏になった№2は攻撃を避けてその方向へ金切り声交じりの咆哮をぶつけガス弾を連続で発射する。その攻撃に皆は満身創痍になりながら体を動かしガス弾の雨を避ける。辺りに充満している有害物質のガスは一帯の草木を枯らして腐らせている。隊員達も新装備のマスクをしているが、テスト段階の物で常に不安が頭の中を駆け巡っている。そんな彼らが不安とリスクを度外視して戦っているのには理由があった。№2へ飛ばされたMDCA一隊 隊長 九重 一の帰還の為だ。MDCAで一番強い隊長。その九重が戻るまでの間№2をここから絶対に動かさない。九重が戻ってきたら№2を倒せる確証がある。ただそれだけの為だった。
「ここまで俊敏になるとはな……杉山。いつもみたいにゆっくりと射撃はできないぞ…」
「分かってますよ。氷室隊長…俺らは死なずに№2をこの場で食い止めれればいいんですから……だからって適当に射撃はしませんよ。」
砲撃の嵐に№2はだんだんと体力がなくなってきているようで肩で息をしている。通信機が壊れている中でもこの場にいるMDCAの全員は悟る。
「九重が来たら確実に勝てる」と。
ガス弾の雨が止むとMDCA隊員達はまた一斉に砲撃を始める。無差別にだが、№2への照準はぶらさずに砲撃していく。幾度目の砲撃のあと、№2は大きく息を吸い込む。そして、砲撃の中、今までの大きな咆哮を上げて一帯へ衝撃波を与えて吹き飛ばす。隊員は全員持っている大銃型兵器を地面に突き刺して衝撃波に備えて耳を塞ぐ。数秒後、衝撃波で身体が震えて立っていられなくなる。耳を塞いでいるが金切り声交じりの咆哮は内側まで響いてくる。極めつけは脳内に直接意味のないノイズを送り込んで来る攻撃だ。今までやってこなかった手段で隊員は全員その場で悶絶し始める。このノイズは№2が持っているテレパシーを応用した攻撃だった。その場の隊長は皆気づきどうにか攻略しようと頭を回転させようとしたが、ノイズが邪魔でうまく考えがまとまらない。
『咆哮に衝撃波にテレパシーによる思考の妨害……どうする……!?』
それぞれがノイズ交じりの頭を回転させながら同時にたどり着いた答えは……
塞いだ耳を開けて咆哮を聞くことだった。
佐伯、才牙、氷室は近くの隊員につたないハンドサインや目配せで耳を開けることを伝えて衝撃波の中三人は違う場所でそれぞれほぼ同時に耳を開けて立ち上がった。
金切り声交じりの咆哮を耳に入れる。
『これで幾分かはマシになる……』
隊長三人は衝撃波の中、力強く地面を踏み前に進んでいく。射程距離まで来ると三人はそれぞれ構えて一斉に射撃する。そのすべては№2の顔面へ飛びその視界を塞ぐ。
そして、三人は一斉に声を上げて合図した。
「今だ、九重!」
「ぶちかましちゃれ!!」
「行けぇ!!」
「……十二単【獣討ち】……一刀横断」
咆哮が止み、辺りは静寂に包まれた。ボロボロの【ヤタガラス】に乗った九重が、ふさがれた視界の中から一気に№2の顔面にその刃を叩き入れる。煙が晴れ№2と九重の様子がどうなったかスコープで覗く全員は驚愕する。№2の皮膚には傷が一切ついてないのだ。九重は急いでその場から退却しようと【ヤタガラス】を動かすが、№2はすでにガス弾を発射する準備を終えており口を大きく開いていた。
「ここまでか……」
九重は諦めたように脱力する。目の前にスローモーションでガス弾が迫ってくる。だが、ここからでは負傷している九重では避けられなかった。寸前、九重は最後に攻撃を考えたが腕は上がらなかった。
「ま、僕がいなくてもMDCAは大丈夫でしょ。」
「いや、一番強い者がいなくなったらダメだろ。」
その声が聞こえたと思えば、九重の前に白い壁が現れる。いや、壁と言うにはあまりにも小さい。だが、分厚く安心できる壁だ。九重は改めて前を確認する。そこには、№4……白い悪魔がいた。
「白い、悪魔……」
「悪魔…ねぇ……ま、どっちでもいいがね。二発目が来るから逃げた方がいいぜ?」
九重は白い悪魔の後ろにいる№2が二発目の準備をしていることを確認すると急いで降下していった。六代は№2と目を合わせると口を開けた瞬間、拳で口を無理やり閉めてガス弾を口の中で爆発させた。
「厄介な奴ですね。祟り神ってのは……」
『うむ……厄介じゃ。しかしここまで怒っておるのは初めて見た。何やら訳アリと見る。』
しばらくもだえた№2は六代と目を合わせると六代の頭の中にテレパシーで話しかけてきた。
『白龍神!何しに来た!ここは僕の領域だ!』
六代の中の白龍神は№2へ答えた。
『貴様が荒れておるから様子を見に来たら人間に攻撃しておったからな……止めただけじゃ。』
『どいつも……こいつも……人間も怨者とか言う紛い物も……うんざりだ。僕は寝ていただけなのに……数十年前からだ……ゆっくり寝ていたら起こされて腹が減って死にそうなのに人間がいなくなってるし……』
『そうじゃな。食えんのなら寝た方がマシになるな。』
『お前だって、僕を邪魔しに来たんだろ!』
№2は息を大きく吸い込みガス弾を吐き出す。六代はそのガス弾を上に向けて弾く。白龍神が話しかけようとするも№2は効く耳を持たず次々に攻撃を仕掛けてくる。
「どうする?」
『むー、もう、いっそのこと許しを請うまで殴りつけるか……』
『ごちゃごちゃとうるさい!!』
六代は再びガス弾をレシーブする。だが、№2もバカではない。レシーブをして隙ができた六代に向けて大きく後ろへ振り向き尻尾で攻撃をする。六代はその尻尾を受け止めて白龍神が再び№2を説得する。
『いい加減にせんか!翠晶!我らは話を聞きに来ただけじゃ。』
『うるさい!誰も眠らせてくれないし、誰も食べさせてくれない!』
『わかった、わかった。我……いや、我の依り代が説得する。だから一旦落ち着け!』
その言葉を聞くと№2翠晶は尻尾を降ろして体色を元の深緑に戻してジッと見つめる。
『本当か?本当に眠らせてくれるのか?』
『約束しよう。少し待っとれい。』
様子を見ていた九重と各隊長は№2の様子が戻ったことに警戒する。さらに白い悪魔が降りてきて集まってきていた隊長たちの前に来た。隊長たちは武器を構えるが六代はその中に氷室アンナを見つけて戸惑うも説得するという約束の元口を開いた。
「待ってくれ。武器を降ろしてくれ。こちらは攻撃する意思はない。向こうの大きい奴にも一旦待ってもらってる。」
言葉を発した白い悪魔に隊長たちは困惑しつつ殺気がないことを感じ取り武器を降ろす。声が届くところまで近づく。
「それで?何だ?」
「話し合い……いや、説得させてくれ。あのでかい怪獣は無理やり起こされていただけなんだ。」
白い悪魔の言葉に隊長たちはさらに困惑する。白い悪魔の言葉に才牙は前に出てその言葉を否定する。
「でたらめ言ってんじゃねぇ……こちとら数十年前から被害を受けてんだ。無理やり起こされたのなんだのってそんな言い訳今更信じるか!」
白い悪魔はその言葉に言葉に詰まる。
「一理ある……だが、あいつは元々この辺一帯を守護していた祟り神で生贄を必要としなくなった今、眠るだけの存在なんだ。それを怨者とか言うやつが無理やり起こして人間を襲わせていたんだ。」
怨者という言葉に九重は引っ掛かり才牙を遮り質問する。
「その怨者ってなんだい?君らとは違うのかい?」
『って、言ってますけどどうする?』
『正直言って我もあの紛いもののことは知らん。だが、古くからこの国にいる我ら神と操らを一緒にされては困るな。』
六代はどうにか誤解を与えないように考えて口を開いた。
「怨者と我々神は違う。我々は古くからこの土地を収めて守ってきた。あの怨者とかいうやつはこちらでも調査している。」
九重は六代の言葉に嘘偽りがないことをその様子から感じ取り、そのまま武器を下げて六代へさらに接近した。
「信じるよ?君が人間の味方だって……」
「あぁ、信じてくれ。それじゃ、今からあいつ元の場所に寝かせてくるけど攻撃はさせないでくれ。」
「わかった、こちらも急いで指示しよう。それで……これからあいつは寝るけど、その後の対策はあるの?また、怨者に睡眠を妨害されたらやばいよね?」
『って、言ってますけど……』
『それは安心せい、我の力で結界を作ってやる。もう翠晶は起きないだろう。』
『わかった。』
「これからあいつが寝たあとに結界を作るから大丈夫だ。」
「わかった。では……佐伯、才牙、氷室、急いで全員に攻撃はしないように伝えてきてくれ。」
「はぁ?イッちゃん、こいつの言うこと信じるのかよ!?」
「あぁ、信じる。信じる以外にないでしょ。何より、攻撃してこないのがその証だと思うよ?ほら、佐伯も氷室も向かったよ?オウちゃんも行ってきて。」
才牙は苦虫を嚙み潰したような顔で渋々了承して向かった。
「さて、僕らは役目を果たす。君もお願いね?」
「あぁ、ありがとう。」
踵を返し№2のところまで跳躍した六代に九重は笑顔で叫んだ。
「こちらこそ、ありがとう六代元一・三隊隊長!」
六代は小さくなる九重を見たが九重すでに他の隊員の方へ向かったのかいなくなっていた。
「あいつ……気づいてたんなら言えっての……」
『なんじゃ、知り合いだったのか。』
「ちょっと昔に……そんなことはどうでもいいんで、次は白龍さまお願いしますよ?」
『任せろ。』
№2翠晶のところまで来ると№2は再びテレパシーを送って白龍神と話始める。
『またせたの。さぁ、元の位置に戻ろうか。』
『やっと、眠れる。』
「あの、気になったんですが、寝た後の生命維持ってどうするんです?」
『ん?大丈夫だよ。僕は植物でもあるからね。大地と一体になって雨の水分を栄養にまた時が来るまで眠るさ。』
「え、起きられると困るんですが……」
『大丈夫大丈夫。君らの一日は僕らにとっては数百年だから大丈夫。そもそも毎年起きてる状態って僕にとって悪いことだったんだよ。君らで言う睡眠障害ってやつ?まぁ、もう、どうでもいいじゃん。早く眠らせてよ。』
『わかったわかった。ほら、はよう横になれ。結界を張ってやる。』
№2はゆっくりと横になり土をかぶっていき完全に大地と一緒になったのを確認した白龍神は翠晶を包めるだけの結界を張った。
『ひとまず、これで毎年夏に起きることもなくなるじゃろ。』
「よし、今回の戦闘終了ってことで……」
六代はMDCAの隊員たちを一目見てそのまま帰っていった。
№2討伐作戦は白い悪魔の乱入により、討伐ではなく№2を眠らせて作戦は終了した。
EMG19:VS特別大災害級怪獣 №2 決戦
次回 EMG20:作戦終了報告書
「お主。」
「何ですかい?」
「富士の山の方向から我と同じ気を感じる。」
「どういうことです?富士山の方に神がいると?」
「うむ……これは恐らく山の祟神の気じゃ。確かに前はこの時期になると祟り神が近くの村や集落から忌み子の生贄をもらい喰らっておったな…この気の乱れ方は、相当怒っておるな……」
「……そんな風習って本当にあったんですね……」
「もちろんじゃ、忌み子は妖になる可能性があったからな。それで村が一個なくなったのも見たことあるし。今の時代だとそんなこともなくなってきただろう?」
「そうですね……で、どうします?このまま富士山に行きます?俺は構いませんけど、怒っているですよね?」
「むー……そうじゃの……じゃが仕事は……」
「まぁ、言い訳したら許してくれるでしょ。」
「お主。人生そんなに甘くないぞ。」
六代は軽トラを近くの有料駐車場へ停めて変身した。
「それでは、お久しぶりに……我龍転身!」
変身を終えた六代はビルの間を縫うように飛び富士山を目指した。
「ここからどのくらいだっけ?」
「大体30里くらいじゃな。」
「30里?遠い……のか?」
「我の力を持ってすればそんな距離あっと言う間じゃ。計算する前に動け。」
「……ッス!」
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富士山均衡。MDCAは形態変化した№2へ砲撃を浴びせる。だが、俊敏になった№2は攻撃を避けてその方向へ金切り声交じりの咆哮をぶつけガス弾を連続で発射する。その攻撃に皆は満身創痍になりながら体を動かしガス弾の雨を避ける。辺りに充満している有害物質のガスは一帯の草木を枯らして腐らせている。隊員達も新装備のマスクをしているが、テスト段階の物で常に不安が頭の中を駆け巡っている。そんな彼らが不安とリスクを度外視して戦っているのには理由があった。№2へ飛ばされたMDCA一隊 隊長 九重 一の帰還の為だ。MDCAで一番強い隊長。その九重が戻るまでの間№2をここから絶対に動かさない。九重が戻ってきたら№2を倒せる確証がある。ただそれだけの為だった。
「ここまで俊敏になるとはな……杉山。いつもみたいにゆっくりと射撃はできないぞ…」
「分かってますよ。氷室隊長…俺らは死なずに№2をこの場で食い止めれればいいんですから……だからって適当に射撃はしませんよ。」
砲撃の嵐に№2はだんだんと体力がなくなってきているようで肩で息をしている。通信機が壊れている中でもこの場にいるMDCAの全員は悟る。
「九重が来たら確実に勝てる」と。
ガス弾の雨が止むとMDCA隊員達はまた一斉に砲撃を始める。無差別にだが、№2への照準はぶらさずに砲撃していく。幾度目の砲撃のあと、№2は大きく息を吸い込む。そして、砲撃の中、今までの大きな咆哮を上げて一帯へ衝撃波を与えて吹き飛ばす。隊員は全員持っている大銃型兵器を地面に突き刺して衝撃波に備えて耳を塞ぐ。数秒後、衝撃波で身体が震えて立っていられなくなる。耳を塞いでいるが金切り声交じりの咆哮は内側まで響いてくる。極めつけは脳内に直接意味のないノイズを送り込んで来る攻撃だ。今までやってこなかった手段で隊員は全員その場で悶絶し始める。このノイズは№2が持っているテレパシーを応用した攻撃だった。その場の隊長は皆気づきどうにか攻略しようと頭を回転させようとしたが、ノイズが邪魔でうまく考えがまとまらない。
『咆哮に衝撃波にテレパシーによる思考の妨害……どうする……!?』
それぞれがノイズ交じりの頭を回転させながら同時にたどり着いた答えは……
塞いだ耳を開けて咆哮を聞くことだった。
佐伯、才牙、氷室は近くの隊員につたないハンドサインや目配せで耳を開けることを伝えて衝撃波の中三人は違う場所でそれぞれほぼ同時に耳を開けて立ち上がった。
金切り声交じりの咆哮を耳に入れる。
『これで幾分かはマシになる……』
隊長三人は衝撃波の中、力強く地面を踏み前に進んでいく。射程距離まで来ると三人はそれぞれ構えて一斉に射撃する。そのすべては№2の顔面へ飛びその視界を塞ぐ。
そして、三人は一斉に声を上げて合図した。
「今だ、九重!」
「ぶちかましちゃれ!!」
「行けぇ!!」
「……十二単【獣討ち】……一刀横断」
咆哮が止み、辺りは静寂に包まれた。ボロボロの【ヤタガラス】に乗った九重が、ふさがれた視界の中から一気に№2の顔面にその刃を叩き入れる。煙が晴れ№2と九重の様子がどうなったかスコープで覗く全員は驚愕する。№2の皮膚には傷が一切ついてないのだ。九重は急いでその場から退却しようと【ヤタガラス】を動かすが、№2はすでにガス弾を発射する準備を終えており口を大きく開いていた。
「ここまでか……」
九重は諦めたように脱力する。目の前にスローモーションでガス弾が迫ってくる。だが、ここからでは負傷している九重では避けられなかった。寸前、九重は最後に攻撃を考えたが腕は上がらなかった。
「ま、僕がいなくてもMDCAは大丈夫でしょ。」
「いや、一番強い者がいなくなったらダメだろ。」
その声が聞こえたと思えば、九重の前に白い壁が現れる。いや、壁と言うにはあまりにも小さい。だが、分厚く安心できる壁だ。九重は改めて前を確認する。そこには、№4……白い悪魔がいた。
「白い、悪魔……」
「悪魔…ねぇ……ま、どっちでもいいがね。二発目が来るから逃げた方がいいぜ?」
九重は白い悪魔の後ろにいる№2が二発目の準備をしていることを確認すると急いで降下していった。六代は№2と目を合わせると口を開けた瞬間、拳で口を無理やり閉めてガス弾を口の中で爆発させた。
「厄介な奴ですね。祟り神ってのは……」
『うむ……厄介じゃ。しかしここまで怒っておるのは初めて見た。何やら訳アリと見る。』
しばらくもだえた№2は六代と目を合わせると六代の頭の中にテレパシーで話しかけてきた。
『白龍神!何しに来た!ここは僕の領域だ!』
六代の中の白龍神は№2へ答えた。
『貴様が荒れておるから様子を見に来たら人間に攻撃しておったからな……止めただけじゃ。』
『どいつも……こいつも……人間も怨者とか言う紛い物も……うんざりだ。僕は寝ていただけなのに……数十年前からだ……ゆっくり寝ていたら起こされて腹が減って死にそうなのに人間がいなくなってるし……』
『そうじゃな。食えんのなら寝た方がマシになるな。』
『お前だって、僕を邪魔しに来たんだろ!』
№2は息を大きく吸い込みガス弾を吐き出す。六代はそのガス弾を上に向けて弾く。白龍神が話しかけようとするも№2は効く耳を持たず次々に攻撃を仕掛けてくる。
「どうする?」
『むー、もう、いっそのこと許しを請うまで殴りつけるか……』
『ごちゃごちゃとうるさい!!』
六代は再びガス弾をレシーブする。だが、№2もバカではない。レシーブをして隙ができた六代に向けて大きく後ろへ振り向き尻尾で攻撃をする。六代はその尻尾を受け止めて白龍神が再び№2を説得する。
『いい加減にせんか!翠晶!我らは話を聞きに来ただけじゃ。』
『うるさい!誰も眠らせてくれないし、誰も食べさせてくれない!』
『わかった、わかった。我……いや、我の依り代が説得する。だから一旦落ち着け!』
その言葉を聞くと№2翠晶は尻尾を降ろして体色を元の深緑に戻してジッと見つめる。
『本当か?本当に眠らせてくれるのか?』
『約束しよう。少し待っとれい。』
様子を見ていた九重と各隊長は№2の様子が戻ったことに警戒する。さらに白い悪魔が降りてきて集まってきていた隊長たちの前に来た。隊長たちは武器を構えるが六代はその中に氷室アンナを見つけて戸惑うも説得するという約束の元口を開いた。
「待ってくれ。武器を降ろしてくれ。こちらは攻撃する意思はない。向こうの大きい奴にも一旦待ってもらってる。」
言葉を発した白い悪魔に隊長たちは困惑しつつ殺気がないことを感じ取り武器を降ろす。声が届くところまで近づく。
「それで?何だ?」
「話し合い……いや、説得させてくれ。あのでかい怪獣は無理やり起こされていただけなんだ。」
白い悪魔の言葉に隊長たちはさらに困惑する。白い悪魔の言葉に才牙は前に出てその言葉を否定する。
「でたらめ言ってんじゃねぇ……こちとら数十年前から被害を受けてんだ。無理やり起こされたのなんだのってそんな言い訳今更信じるか!」
白い悪魔はその言葉に言葉に詰まる。
「一理ある……だが、あいつは元々この辺一帯を守護していた祟り神で生贄を必要としなくなった今、眠るだけの存在なんだ。それを怨者とか言うやつが無理やり起こして人間を襲わせていたんだ。」
怨者という言葉に九重は引っ掛かり才牙を遮り質問する。
「その怨者ってなんだい?君らとは違うのかい?」
『って、言ってますけどどうする?』
『正直言って我もあの紛いもののことは知らん。だが、古くからこの国にいる我ら神と操らを一緒にされては困るな。』
六代はどうにか誤解を与えないように考えて口を開いた。
「怨者と我々神は違う。我々は古くからこの土地を収めて守ってきた。あの怨者とかいうやつはこちらでも調査している。」
九重は六代の言葉に嘘偽りがないことをその様子から感じ取り、そのまま武器を下げて六代へさらに接近した。
「信じるよ?君が人間の味方だって……」
「あぁ、信じてくれ。それじゃ、今からあいつ元の場所に寝かせてくるけど攻撃はさせないでくれ。」
「わかった、こちらも急いで指示しよう。それで……これからあいつは寝るけど、その後の対策はあるの?また、怨者に睡眠を妨害されたらやばいよね?」
『って、言ってますけど……』
『それは安心せい、我の力で結界を作ってやる。もう翠晶は起きないだろう。』
『わかった。』
「これからあいつが寝たあとに結界を作るから大丈夫だ。」
「わかった。では……佐伯、才牙、氷室、急いで全員に攻撃はしないように伝えてきてくれ。」
「はぁ?イッちゃん、こいつの言うこと信じるのかよ!?」
「あぁ、信じる。信じる以外にないでしょ。何より、攻撃してこないのがその証だと思うよ?ほら、佐伯も氷室も向かったよ?オウちゃんも行ってきて。」
才牙は苦虫を嚙み潰したような顔で渋々了承して向かった。
「さて、僕らは役目を果たす。君もお願いね?」
「あぁ、ありがとう。」
踵を返し№2のところまで跳躍した六代に九重は笑顔で叫んだ。
「こちらこそ、ありがとう六代元一・三隊隊長!」
六代は小さくなる九重を見たが九重すでに他の隊員の方へ向かったのかいなくなっていた。
「あいつ……気づいてたんなら言えっての……」
『なんじゃ、知り合いだったのか。』
「ちょっと昔に……そんなことはどうでもいいんで、次は白龍さまお願いしますよ?」
『任せろ。』
№2翠晶のところまで来ると№2は再びテレパシーを送って白龍神と話始める。
『またせたの。さぁ、元の位置に戻ろうか。』
『やっと、眠れる。』
「あの、気になったんですが、寝た後の生命維持ってどうするんです?」
『ん?大丈夫だよ。僕は植物でもあるからね。大地と一体になって雨の水分を栄養にまた時が来るまで眠るさ。』
「え、起きられると困るんですが……」
『大丈夫大丈夫。君らの一日は僕らにとっては数百年だから大丈夫。そもそも毎年起きてる状態って僕にとって悪いことだったんだよ。君らで言う睡眠障害ってやつ?まぁ、もう、どうでもいいじゃん。早く眠らせてよ。』
『わかったわかった。ほら、はよう横になれ。結界を張ってやる。』
№2はゆっくりと横になり土をかぶっていき完全に大地と一緒になったのを確認した白龍神は翠晶を包めるだけの結界を張った。
『ひとまず、これで毎年夏に起きることもなくなるじゃろ。』
「よし、今回の戦闘終了ってことで……」
六代はMDCAの隊員たちを一目見てそのまま帰っていった。
№2討伐作戦は白い悪魔の乱入により、討伐ではなく№2を眠らせて作戦は終了した。
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