オウィディウス:リュコス乂ティグリス

河鹿 虫圭

文字の大きさ
17 / 30

【朝陽】梟へ復讐を誓う者たち

しおりを挟む
あの日、我々は共に復讐を誓った。小癪な梟を落とすために。

打倒OWLの目標を裏で掲げ、集まった三人が結成したのがLWOである。名前に意味はない。強いて言えば、いつでもOWLへの復讐心を忘れない為にOWLを逆さから読んでLWOという組織名になった。資金面ではセンチピート家に返り咲いたローズマリー=センチピートが、実行員はアクティブニートの小説家八雲 藤四郎が、そして最後、元OWL技術職員の僕がOWLへ対抗するための力を作る。

「……こんな感じかな……」

カラスマ、ローズマリー、八雲の目の前で小さくなる一狼は小さく首を縦に動かす。三人は理解してくれた一狼に安心したように各自イスに座る。

「というか、大沢さんには伝えてないんですか?この情報。」

「あ~…彼ね~…彼はね~難しい話をするとすぐ寝るから諦めた。櫻井ちゃんにはちゃんと説明しているから大丈夫だよ。」

一狼は大沢の言動を思い出し納得する。そして改めて今回の件の説明も求める。護衛で死んだ萩原はどうなったのか、店員の説得や被害にあったお客はどうなったのか。カラスマは少し考えたように見せてすぐに答えを出した。

「全部、ローズマリーさんのお金で解決したって言った方が簡単だね。でも強いて言うならば、萩原を含めた被害にあった人たちにはちゃんとそれ相応の対応をしたよ。お金じゃなくてきちんとした対応をね。」

一狼はカラスマからその言葉を聞けて安心し胸をなでおろす。そしてカラスマは一狼のこれからのことを話す。

「君には、これから藤四郎くんと実行員として時たまOWLの刺客と戦ってもらいます。」

カラスマは真っ黒なパソコンの画面を一狼の前に突き出す。そこには「一攫千金ウェブ」の文字と自分の顔写真と賞金が掛かっているということが書きだされていた。そして、動画も添付されており、ヘビ型のディウスとの戦闘が映し出されていた。

「これ、どういうことですか?」

「どうもこうも、君の首に賞金二億が掛かっている。かけているのはもちろんOWLの連中…君はこれから襲い掛かってくる敵をちぎっては投げ、投げてはちぎって、時には恋になんか落ちたりすることもなく汗と血と涙をにじませながら自分を守らなくちゃならない……わかる?」

「わかるとは言いずらいですけど…単純に僕に仕向けられた刺客たちと戦えばいいんですか?」

「そうだね~……簡単に言えばそうだね。」

二人の会話を聞いていたローズマリー・センチピートは紅茶を一口すすり懐かしむ。

「「一攫千金ウェブ」でのゲームですか……懐かしいですわね。ワタクシの時のように裏で暇人、狂人たちがお金を奪い合っているのですね。」

「情報を見る限り今回は、賭けじゃなくてキャリーオーバー式の賞金贈呈みたいだけどね~」

八雲がカラスマの紅茶を淹れて座り直す。

「相変わらず性根が腐っているようだね、OWLの会長は」

カラスマはそんな言葉に鼻で嗤って返しパソコンを操作し、今回の刺客の情報を見る。

「元々腐ってないとこんなことはやらないはずだからね……さて、今回のお相手さんはどんな狂人かな……ほうほう……」

「何かわかったのかい?」

「ん~大学生ニートで女性ってこと以外は分からないな~ただ、ライブ映像ではだんだんとこっちに向かってきていることはわかるね……ここは、隣町のあの建物で……ここは……おっと……こりゃまずいかも。」

カラスマは乾いた笑いを漏らすとパソコンの映像を三人に見せる。映像に映ったのはすぐ近くの地域。恐らく今回の刺客が変態したであろうディウスがトラのディウスと戦闘を行っているところだった。四人はトラのディウスは月下琥珀だと気づき映像を見守る。今回の刺客はアルマジロのように丸まり攻撃を防御しているところも映る。その後は優勢になった月下の攻撃を受けたと思いきや、乱入してきた何者かがその攻撃を止め逃がす。戦闘はここまでで刺客はそのままここまでの道のりをまっすぐに走っている。

「……こいつは、センザンコウだな。」

「そうですわね。この方はセンザンコウのセルを引き当てましたわね。」

「え、アルマジロじゃないの?」

「八雲さんとローズマリーさんすごいですね…」

空気が一瞬固まるがカラスマが舵をきるように一旦その話はおいておこうかと言いあくびをして紅茶をすする。

「とりあえず、昨日の今日でまた刺客がきたから遭遇した時のために、昨日渡したベルト出して。」

一狼は返事をするとベルトを取り出しカラスマから説明を受ける。

「これは、僕がOWL時代の技術をそのまま生かして作ったオウィディウスシステム。ベルトをブランクの状態で巻いたら自動で所有者のバイタルチェックができる便利機能もついている。」

「一応、使い方は知ってるんですけど……」

「そうだね。実際使ってないとここまで帰ってこれてないからね……で、そのベルトは四六時中持っていてほしいんだ。あと予備の注射器も渡しておくね。これで、いついかなる時でも戦えるよ。」

一狼は少し不安そうな顔をするが、カラスマは笑いながら一狼の肩を叩き励ますように注射器の呼びを渡す。

「大丈夫さ。何かあれば君の中の野生が頑張ってくれるから。」

一狼は気の抜けた返事をしてからになったティーポットを手に取りシンクへと持っていく。洗おうとしたとき、その手をカラスマが掴み止める。

「な、なんですか。」

「一狼くんは今日から藤四郎と実行員と言ったはずさ。だから、この洗い物は僕がやるよ。一狼くんは藤四郎と一緒に仕事行ってきてね。」

一狼が八雲の方を見るとすでに準備を終わらせた八雲が一狼のことを待っていた。

「行ってらっしゃい。」

「いってきます。」

八雲と一狼は二人に見送られながら事務所を後にした。

続く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

処理中です...