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2/36:玲央
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深緑をかき分けて第三班は森の奥へとたどり着く。歩いていく中で一心はある違和感に気づきその場で膝をつく。覇々滝はその様子に首をかしげながら一心へ近づく。一心の手元には加工されたような木片が見えた。
「はんちょーそれって…」
「さぁな。だが、ここで純血の少数魔族が慎ましやかに生活していたのはわかる。あとは、最近に破壊されたくらいだなわかるのは。」
一心は再び無言で歩いていく。さらに奥へたどり着くと、覇々滝はその惨状を見て口元を覆う。二人の眼前には羽音を不快に奏でながら飛び回る銀色の蚊の魔族たちがいた。何よりその手元に目が行く。血の付いた体は分解したであろう肉塊を持っており一斉にどこかへ運んでいる様子だった。
「銀色…てことは例の宗教うたった魔族テロをしている奴らの仕業か。」
一匹が気づくと威嚇の羽音を鳴らして周りにいる仲間たちへ知らせる。羽音が伝播して魔族たちはだんだんと集まりだす。一心と覇々滝はすぐに刀を取り出して臨戦態勢に入る。
「行くぞ、朱晴」
「りょーかいッス…」
二人が構えると同時に魔族たちはすぐに向かって攻撃を仕掛けてくる。一心は刀を横に倒して構えると、覇々滝はそれに巻き込まれないように移動しながら攻撃をする。一心の刀からは切れる熱が飛び、魔族たちの体を切り刻んで行く。
「灼薬!!」
覇々滝は切り損ねた魔族たちに向かって風の斬撃を放つ。
「百風繚乱!!」
風の斬撃はそのまま後ろの魔族たちも切り刻んでいく。しかし、そんな広範囲の攻撃をもろともせず魔族たちはどんどん前に出てくる。
「虫どもが…」
「いやぁ、とんでもないッスね。」
「……次が来るぞ」
二人は魔力全開で魔族たちを切り伏せていく。戦い始めて数分で二人は数百体を斬り伏せることができた。魔族たちもこれ以上戦力を減らすのはまずいと察したのか一斉に退散し始める。
「行ったか?」
「…みたいッスね。」
二人は納刀すると、後ろから足音が聞こえてきた。警戒しながら睨んでいるとボロボロの玲央が足を引きずりながら歩いてきた。二人を見つけると痛む足を必死に我慢しながら駆け寄る。
「お前…その怪我、それと晴山はどうした?」
「優吾は今、複数出た銀色の魔族と戦っている…オレは逃がされて今ここにいる。」
「というか、お二方どこに…」
「この先、分かれ道になっているだろう?あんたたちは左の方へ進んで行っただろう?オレたちは右に進んだんだ。そしたら虫の魔族が無数にいてな…」
二人は顔を見合わせてうなずき、急いで優吾のもとへ向かう。玲央もそのあとに続く。
───────────────
無数の魔族を相手にしている優吾は元いた場所よりもさらに奥へと来てしまい、追い詰められていた。
『まずいな…しかし、こいつら、俺の中に元教祖がいることがわかってねぇみたいだな。動きを見るにも俺の回収を目的としているわけでもない…戦力の補強目的か?まぁどちらにせよってところだな…』
優吾は膝をついて足元にあった池に手を入れて池の水を魔力へ変換する。そのまま水の詠唱をして青の鎧をまとう。
「水化魔装!」
優吾が水の魔装をした瞬間、手をつけていた池の中へ引きずりこまれる。水中へ入り、目を開けると眼前には成人男性サイズの無数のボウフラがこちらを見つめていた。
「嘘だろ…」
必死に泳いで這い上がろうとしたが、ボウフラたちは優吾を餌と思いまとわりついてくる。だんだんと重くなっていく優吾の体は水底に沈んでいく。だんだんと鎧内の酸素濃度も薄くなり、とうとう鎧内に水が入ってくる。
「まずいまずいまずい……どうするどうするどうする………」
そこで優吾は記憶に新しい例の合わせ技を使ってみることにした。闇と水を合わせて氷属性を作り出す。氷属性は普通水と風属性で作るが、闇と水属性でも氷属性が作り出すことができる。二つの例の違いは闇と水属性で作り出す氷属性は必ず-273℃の温度である。
「合わさる水と闇の魔装」
魔装を完了させた優吾は苦しい中、指をかざすと池の中の水分は一瞬で凍りつき、周りのボウフラも一瞬で凍り付いて動きを止める。優吾はそのまま氷を砕きながら池から這い上がって地上へと出る。
「抜け出せた…」
そのまま地上へ上がると体の力が抜ける。視界も揺らぎ、息も詰まる。
『いや、属性を合わせるってこんなに体に負荷がかかるのかよ……』
あたりに羽音が聞こえ始めると汗がだらだらと流れてくる。顔を上げると魔族たちがこちらを見つめておりじわりじわりと近づいてきている。また氷を作って逃げようかと魔力をためると魔族たちの背後から熱の斬撃が飛んでくる。
「晴山!何してる!さっさとこっちにこい!」
「いや、はんちょー。先輩動けないぽいッスよ。」
「あぁ?んじゃ、獅子王、あいつ連れてこい。」
「へぁ!?えぇ。了解しました。」
玲央が走り出すと三班の二人は斬撃を飛ばして玲央の通り道を作り出す。動けなくなった優吾のもとへたどり着くと玲央は優吾を担ごうと体を起こすが、優吾の全身の力が抜けているものあり、鎧自体が重いのもありなかなか動かせないでいた。
「おも、くっ!どうする…」
優吾は力を振り絞って玲央の耳元へ顔を近づける。
「まそう、つかえ…」
優吾は玲央の胸の魔石を指さしてつぶやく。玲央は魔石を見つめるが、以前の暴走の記憶がよみがえりまた自分が自分でなくなってしまうのを恐れて動きが止まる。
「…しかし……」
「だいじょうぶ、いっしんさんがとめる…くれる…ぜったい…!」
魔族が一匹二人へ迫る。玲央は不安を振り払い、石を握りしめる。
「魔装…」
玲央がつぶやくとあたりに黒い鉄の塊が現れた。
2/36:玲央
「はんちょーそれって…」
「さぁな。だが、ここで純血の少数魔族が慎ましやかに生活していたのはわかる。あとは、最近に破壊されたくらいだなわかるのは。」
一心は再び無言で歩いていく。さらに奥へたどり着くと、覇々滝はその惨状を見て口元を覆う。二人の眼前には羽音を不快に奏でながら飛び回る銀色の蚊の魔族たちがいた。何よりその手元に目が行く。血の付いた体は分解したであろう肉塊を持っており一斉にどこかへ運んでいる様子だった。
「銀色…てことは例の宗教うたった魔族テロをしている奴らの仕業か。」
一匹が気づくと威嚇の羽音を鳴らして周りにいる仲間たちへ知らせる。羽音が伝播して魔族たちはだんだんと集まりだす。一心と覇々滝はすぐに刀を取り出して臨戦態勢に入る。
「行くぞ、朱晴」
「りょーかいッス…」
二人が構えると同時に魔族たちはすぐに向かって攻撃を仕掛けてくる。一心は刀を横に倒して構えると、覇々滝はそれに巻き込まれないように移動しながら攻撃をする。一心の刀からは切れる熱が飛び、魔族たちの体を切り刻んで行く。
「灼薬!!」
覇々滝は切り損ねた魔族たちに向かって風の斬撃を放つ。
「百風繚乱!!」
風の斬撃はそのまま後ろの魔族たちも切り刻んでいく。しかし、そんな広範囲の攻撃をもろともせず魔族たちはどんどん前に出てくる。
「虫どもが…」
「いやぁ、とんでもないッスね。」
「……次が来るぞ」
二人は魔力全開で魔族たちを切り伏せていく。戦い始めて数分で二人は数百体を斬り伏せることができた。魔族たちもこれ以上戦力を減らすのはまずいと察したのか一斉に退散し始める。
「行ったか?」
「…みたいッスね。」
二人は納刀すると、後ろから足音が聞こえてきた。警戒しながら睨んでいるとボロボロの玲央が足を引きずりながら歩いてきた。二人を見つけると痛む足を必死に我慢しながら駆け寄る。
「お前…その怪我、それと晴山はどうした?」
「優吾は今、複数出た銀色の魔族と戦っている…オレは逃がされて今ここにいる。」
「というか、お二方どこに…」
「この先、分かれ道になっているだろう?あんたたちは左の方へ進んで行っただろう?オレたちは右に進んだんだ。そしたら虫の魔族が無数にいてな…」
二人は顔を見合わせてうなずき、急いで優吾のもとへ向かう。玲央もそのあとに続く。
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無数の魔族を相手にしている優吾は元いた場所よりもさらに奥へと来てしまい、追い詰められていた。
『まずいな…しかし、こいつら、俺の中に元教祖がいることがわかってねぇみたいだな。動きを見るにも俺の回収を目的としているわけでもない…戦力の補強目的か?まぁどちらにせよってところだな…』
優吾は膝をついて足元にあった池に手を入れて池の水を魔力へ変換する。そのまま水の詠唱をして青の鎧をまとう。
「水化魔装!」
優吾が水の魔装をした瞬間、手をつけていた池の中へ引きずりこまれる。水中へ入り、目を開けると眼前には成人男性サイズの無数のボウフラがこちらを見つめていた。
「嘘だろ…」
必死に泳いで這い上がろうとしたが、ボウフラたちは優吾を餌と思いまとわりついてくる。だんだんと重くなっていく優吾の体は水底に沈んでいく。だんだんと鎧内の酸素濃度も薄くなり、とうとう鎧内に水が入ってくる。
「まずいまずいまずい……どうするどうするどうする………」
そこで優吾は記憶に新しい例の合わせ技を使ってみることにした。闇と水を合わせて氷属性を作り出す。氷属性は普通水と風属性で作るが、闇と水属性でも氷属性が作り出すことができる。二つの例の違いは闇と水属性で作り出す氷属性は必ず-273℃の温度である。
「合わさる水と闇の魔装」
魔装を完了させた優吾は苦しい中、指をかざすと池の中の水分は一瞬で凍りつき、周りのボウフラも一瞬で凍り付いて動きを止める。優吾はそのまま氷を砕きながら池から這い上がって地上へと出る。
「抜け出せた…」
そのまま地上へ上がると体の力が抜ける。視界も揺らぎ、息も詰まる。
『いや、属性を合わせるってこんなに体に負荷がかかるのかよ……』
あたりに羽音が聞こえ始めると汗がだらだらと流れてくる。顔を上げると魔族たちがこちらを見つめておりじわりじわりと近づいてきている。また氷を作って逃げようかと魔力をためると魔族たちの背後から熱の斬撃が飛んでくる。
「晴山!何してる!さっさとこっちにこい!」
「いや、はんちょー。先輩動けないぽいッスよ。」
「あぁ?んじゃ、獅子王、あいつ連れてこい。」
「へぁ!?えぇ。了解しました。」
玲央が走り出すと三班の二人は斬撃を飛ばして玲央の通り道を作り出す。動けなくなった優吾のもとへたどり着くと玲央は優吾を担ごうと体を起こすが、優吾の全身の力が抜けているものあり、鎧自体が重いのもありなかなか動かせないでいた。
「おも、くっ!どうする…」
優吾は力を振り絞って玲央の耳元へ顔を近づける。
「まそう、つかえ…」
優吾は玲央の胸の魔石を指さしてつぶやく。玲央は魔石を見つめるが、以前の暴走の記憶がよみがえりまた自分が自分でなくなってしまうのを恐れて動きが止まる。
「…しかし……」
「だいじょうぶ、いっしんさんがとめる…くれる…ぜったい…!」
魔族が一匹二人へ迫る。玲央は不安を振り払い、石を握りしめる。
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玲央がつぶやくとあたりに黒い鉄の塊が現れた。
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