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2話 2大神の魂を持つ少年 〜2〜

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リューグが1年、また1年と成長していく度に未だ原因不明な不可解な現象が現れ、村人から奇異な視線を向けられる。
それはリューグに留まらず、リューグの両親にも当然の様に向けられた。


『気持ち悪い』


『化け物』


『この村から出て行け』


毎日、罵詈雑言が飛び交う。
酷い日には石を投げられ、家の扉に心許ない暴言を書かれ、窓ガラスを割られたりと村人の行動がエスカレートしていった。

まだ5歳と幼いリューグであってもこの現状を理解していた。


どうすれば良いのか


村人達に謝ればいいのか


そうすればこんな苦しい日々を終わらせる事が出来るのか


終わらせたい


こんな憎しみに満ちた世界を終わらせて、笑顔と幸せが溢れた生活に戻りたい。


そう考え、願う様になった。


そしてその日は突然、何の知らせも予兆もなく訪れた。


思い描いた願いとは違い


最悪な終わり方を迎えたのだ





♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


あれから月日は流れ、リューグは8歳の誕生日を迎えた。

しかし、そこにはリューグの誕生日を祝ってくれる人影は存在してはいない。

周りは緑に溢れた木々が立ち並び、時折吹く新鮮な風が木々の隙間を駆け抜け、カサカサと耳障りのいい音と共にリューグの全身に優しく触れる。

「……すぅぅぅ、はぁぁぁ…」

1つ大きな深呼吸をし、新鮮な空気を肺に送り、吐き出す。

「………服がボロボロだ…。おまけに水浴びも最近出来ていない…」

視線を下に向ける。
そこには土で汚れ、所々破けている服を着ているリューグ。
いや、服とは呼べないんじゃないかとすら思えてくる。
そんなリューグの腰の辺りには2つの刀がかけられ、いつでも抜刀出来る様に装備されていた。

「……どこか水浴びが出来る所はないかな…。それに喉も渇いたし、お腹も空いてる…」

キョロキョロと水場がないか視線を彷徨わせながら、リューグは森の中を進んでいく。

太陽の木漏れ日が当たりを照らし、幻想的な風景を醸し出す中、リューグはそんな光景すら眼中になく、ただひたすら水場を探す為に迷いなく足を進めると


『きゃぁぁぁぁぁぁっ!!!』




突如として前方から女性の悲鳴がリューグの耳に飛び込んできた。


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