怪奇 ひろし

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「次は〇〇駅~ 〇〇駅~」電車のアナウンスが鳴る。男子学生はその駅で降りる予定だ。到着して、扉が開く。男子学生は降りると、違和感を感じた。いつも降りてる駅なのに、何か違うような感じがした。ホームの階段を上がる。階段を上がってる途中男子学生はあることに気付いた。駅に降りてから、人の足音や声がしていないことに。改札に近づくと何処からか、風の通り抜ける音が聞こえてきた。階段を上がって、ここまで誰にも会わなかった。改札辺りに駅員も立っていない。そして、気づけば男子学生はいつものように改札に定期券をかざしていた。

男子学生はここで引き返しておくべきだったのだ。

改札を出て風の音がする方へ、向かう。駅の中は誰もいない。男子学生だけが歩いている。その光景を男子学生は不気味に感じた。風の音はシャッターの下の隙間からだった。男子学生はおかしいと感じた。そのシャッターの場所は、駅から外に出るための出口だからだ。なぜこんなところにシャッターが下ろされているんだ?男子学生は疑問に思いながらも、シャッターを上げようとするが、手を止めた。シャッターの下を通り抜けてる風の音が、だんだんとうめき声に変わっていくのが聞こえた。外に動物がいるのか?男子学生は初めそう思ったが、そのうめき声を聞いてるうちに、違うと思ったのと同時にこの声の正体を突き止めてはいけない気がした。男子学生はシャッターから離れ、駅のホームに戻ろうとした瞬間、ガラガラと大きな音を立ててシャッターが開き、外の濃い霧の中から無数の灰色をした手が伸びてきて、男子学生を掴んだ。男子学生は必死に抵抗するが、シャッターの外の濃い霧の中に引きずり込まれて行った。

                 終

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