竜攘虎搏 Side Dragon

怜悧(サトシ)

文字の大きさ
上 下
125 / 169
番外編:旅行に行こう

7

しおりを挟む
「士龍.....なあ、だいじょうぶか.....」
心配そうに顔を覗きこまれ、頬を軽くはたかれると、痛みに軽く眉を寄せ、士龍はようやく焦点をあわせ唇だけで微笑みを刻む。
「.....んーん、たけお.......まだ、だ、め.....」
「ダメってなあ」
身体を少し斜めにして後頭部を胸元に押し付けてくる士龍を虎王は背後から強く抱いて、金色の髪に鼻先を埋める。
「.....よすぎて.....しにそ.....ぉ、たけおと、そとですんの.....いいな」
まだ呂律が回らないのか、睦言のような滑り気味の口調で呟く士龍に、虎王は呆れた表情を浮かべる。
「ったく、アンタね。ホントに.....そういうの、言わんでいいし」
言われた虎王の方が照れてしまっているのか顔を赤くして、視線を逸らす。
「してるときは、言えっていうのに」
「それは、そうだけどな.....そん時は言わせたいんだよ、わかれ」
理不尽と頬を膨らます士龍に、虎王はヤッてる時のスイッチは違うからいいんだと返しながら、眼下に広がる海を眺める。
「外が好きなのかよ」
「んーー、外っていうか、いつもよりたけおのちんこがデカくて気待ち悦かった」
返ってきた即物的な答えに、虎王は額に手を置いた。
「アンタねえ.....」
振り返った士龍は、虎王を眺めてから唇をそっと押し付けてちろちろと舐めあげる。
「.....来年、卒業したら二人で.....卒業流行しよう」
「また、ここに来るのか」
唇に吸い付き返しながら、虎王が尋ねると、士龍は首を横に振る。
「無人島.....とかいきたいな、誰もこないとこ。朝から晩までたけおにハメられたいな」
「.....相当だな」
呆れを通り越して語られる士龍の願望に、もはやツッコミを入れる気力も無くして苦笑を浮かべる。
余程気に入られているのは確かなのだけど、虎王は何だか納得がいかない。
ほんの2ヶ月ちょっと前まで、この身体を抱くなどと考えたこともなかったのに。
「.......なあ、ダメか」
「駄目じゃねえけど。無人島なんてあるのかよ」
「島ごとかりれるとこ、あるらしいよ.....」
「て、ホンットにあんたって.....エッチ好きだよなあ。まあ、可愛いからいいけどさ」
「たけおが興奮してちんこデカくするなら、何でもいいな」
「ほーんと.....さいてーな言い草。それじゃモテねえよ」
ザザーと波打ち際に波が寄せるのを眺めてから、虎王は士龍の腕を抱えて立ち上がる。
「っわ、さすがに、腰にきてる」
「鍛えたし、少しはいけるかも」
腰を屈めて背中に乗れと士龍に背を差し出す。
「重いぞ」
「知ってる」
遠慮しながらも士龍は虎王の肩を掴んで背中に体重をかける。
虎王は太腿に腕をかけてぐいと身体を引き上げるように起こすと、ゆっくり歩き出す。
「たけお、ちからもち」
「限界ギリギリだけどな、つか、背中にちんこでけぇの当たってんだけど」
「たけおの背中に抱きついてるから興奮してきた」
「.....絶倫過ぎだろ」
ホテルに戻りながら、戻ってから再戦するしかないなと虎王は覚悟を決めた。
しおりを挟む

処理中です...