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互いに精魂尽き果てて、桑嶋が我に返った時にはすっかり夜は明け切っていた。よく時間を見ると、既に出勤時間だった。
桑嶋は局長に連絡を入れると、今回の潜入捜査中におきた統久のヒートの事と、簡単に事情を話して休暇を貰った。
局長には、オレが副局長としたことがバレてしまったような気がする。
かなり不機嫌そうだったのがその証拠だろう。
自分の兄だし、そんなことを聞かされたらあまり気分はよくないよな。
ぐったりとした様子でベッドに横になっていた統久は、桑嶋が身体を拭っているのを、眺めて不思議がるように首を傾げる。
「……なあ、オマエは警察に通報しないのか。俺は、オマエをレイプした。前科はあるし、手間なくすぐ逮捕になるはずだぞ」
確かに、あの時無理矢理馬乗りになってきたのは、統久ではあった。
「……レイプって。人聞き悪いからやめてください。あんなのはアンタが悪いわけじゃないです」
桑嶋は冷蔵庫から、水を取り出してコップに注いで統久に手渡す。
「どうかなあ。俺、子供ほしいし」
ありがとうとコップを受け取って水を飲む統久を見返す。
そういえば、避妊とかしなかったのに今更ながらに気がついた。
発情期のオメガは妊娠しやすいと聞いている。
不思議とそれなら責任をとる気持ちもある。
それでもいいかなと思っている自分を意外に思い桑嶋は肩をそびやかせる。
あれほど嫌っていた相手に対して、こうも違う思いを抱けるとは考えてもいなかった。
「オレ、スタンガン持ってたし、イヤなら逃げられました」
「ヒートに当てられてたらなあ、ラットのアルファはイヤって思わねえよ……。オマエ、俺のことが嫌いなんだと思ってたからさ」
目を伏せてコップを近くの棚に置くと、桑嶋の言葉を聞いて統久が意外そうな表情で見返した。
「……まあ、実際嫌いでしたけど。なあ、こんな辛そうなのずっと続くんすか?」
素直に嫌っていたことを認めた桑嶋は、ふっと吐息を吐き出しながら問いかけた。
オメガ自体が希少であまりみたことがないが、普段はクスリで抑えて生活しているというのは聞く。
副作用もあり飲み続けるのは辛いので、外出する時にだけ飲む人が多いらしい。
「あ?ヒートのことか。俺は抑制剤がきかねえからな。番ができりゃ収まるってよ。辺境じゃ、ベータの仲間しかいなかったから何とか精神力で抑えられたけど、こりゃヒデェ。アルファのフェロモンヤバすぎ。訴えられる前にオヤジに言って、また辺境に戻してもらうかな」
肩を揺らして笑いを浮かべ、巻き込んでごめんなと謝罪しながら桑嶋の頭を撫でる男に、彼は拳を強く握った。
なぜ、謝るんだ。自分のせいじゃない、癖に。あの人も、コイツもなんで謝るんだ。
「アンタ、オメガって分かった時どう思った?絶望した?」
「最初はオメガーってなんか強そう?くらいな感覚だったな。発情期を迎えると、体力が落ちたり知力が落ちたりするとか聞いてたけど、発情期も遅かったからこんなに発育も良くて、有能になっちまったし」
大体十五までには発情期を迎えるオメガが普通である。
第二次性徴期の前に発情期を迎えると影響を受けて、男性だとしてもそれ以降成長しない。
脳の発達も止まってしまい、性的な感情ばかりに左右されるようになるという。
ここまでしっかりした体つきのオメガは殆どいないが、発情期が遅かったというならば理解できることだ。
「自分で有能っていっちゃうのが、なんか残念だけどな」
「最初のヒートは十八で、大学院も卒業前だった。クスリが効かないなんて分からなかったからな。大事な人を傷つけたことに、絶望したかな」
すっかり成人といってもいい歳まで発情期がなかったというなら、それもクスリが効かない原因のひとつかもしれない。
「クスリが効かないんじゃ、しょうがないんじゃ……」
「俺は、力がある分、人を傷つけちまうからな。精神どんだけ鍛えても……今日みたいになっちまうし、ゴメン」
どうしようもねえなとふっと笑った統久の表情に、桑嶋は何故か悲しいくらい胸を掴まれて思わずグッと抱きしめた。
桑嶋は局長に連絡を入れると、今回の潜入捜査中におきた統久のヒートの事と、簡単に事情を話して休暇を貰った。
局長には、オレが副局長としたことがバレてしまったような気がする。
かなり不機嫌そうだったのがその証拠だろう。
自分の兄だし、そんなことを聞かされたらあまり気分はよくないよな。
ぐったりとした様子でベッドに横になっていた統久は、桑嶋が身体を拭っているのを、眺めて不思議がるように首を傾げる。
「……なあ、オマエは警察に通報しないのか。俺は、オマエをレイプした。前科はあるし、手間なくすぐ逮捕になるはずだぞ」
確かに、あの時無理矢理馬乗りになってきたのは、統久ではあった。
「……レイプって。人聞き悪いからやめてください。あんなのはアンタが悪いわけじゃないです」
桑嶋は冷蔵庫から、水を取り出してコップに注いで統久に手渡す。
「どうかなあ。俺、子供ほしいし」
ありがとうとコップを受け取って水を飲む統久を見返す。
そういえば、避妊とかしなかったのに今更ながらに気がついた。
発情期のオメガは妊娠しやすいと聞いている。
不思議とそれなら責任をとる気持ちもある。
それでもいいかなと思っている自分を意外に思い桑嶋は肩をそびやかせる。
あれほど嫌っていた相手に対して、こうも違う思いを抱けるとは考えてもいなかった。
「オレ、スタンガン持ってたし、イヤなら逃げられました」
「ヒートに当てられてたらなあ、ラットのアルファはイヤって思わねえよ……。オマエ、俺のことが嫌いなんだと思ってたからさ」
目を伏せてコップを近くの棚に置くと、桑嶋の言葉を聞いて統久が意外そうな表情で見返した。
「……まあ、実際嫌いでしたけど。なあ、こんな辛そうなのずっと続くんすか?」
素直に嫌っていたことを認めた桑嶋は、ふっと吐息を吐き出しながら問いかけた。
オメガ自体が希少であまりみたことがないが、普段はクスリで抑えて生活しているというのは聞く。
副作用もあり飲み続けるのは辛いので、外出する時にだけ飲む人が多いらしい。
「あ?ヒートのことか。俺は抑制剤がきかねえからな。番ができりゃ収まるってよ。辺境じゃ、ベータの仲間しかいなかったから何とか精神力で抑えられたけど、こりゃヒデェ。アルファのフェロモンヤバすぎ。訴えられる前にオヤジに言って、また辺境に戻してもらうかな」
肩を揺らして笑いを浮かべ、巻き込んでごめんなと謝罪しながら桑嶋の頭を撫でる男に、彼は拳を強く握った。
なぜ、謝るんだ。自分のせいじゃない、癖に。あの人も、コイツもなんで謝るんだ。
「アンタ、オメガって分かった時どう思った?絶望した?」
「最初はオメガーってなんか強そう?くらいな感覚だったな。発情期を迎えると、体力が落ちたり知力が落ちたりするとか聞いてたけど、発情期も遅かったからこんなに発育も良くて、有能になっちまったし」
大体十五までには発情期を迎えるオメガが普通である。
第二次性徴期の前に発情期を迎えると影響を受けて、男性だとしてもそれ以降成長しない。
脳の発達も止まってしまい、性的な感情ばかりに左右されるようになるという。
ここまでしっかりした体つきのオメガは殆どいないが、発情期が遅かったというならば理解できることだ。
「自分で有能っていっちゃうのが、なんか残念だけどな」
「最初のヒートは十八で、大学院も卒業前だった。クスリが効かないなんて分からなかったからな。大事な人を傷つけたことに、絶望したかな」
すっかり成人といってもいい歳まで発情期がなかったというなら、それもクスリが効かない原因のひとつかもしれない。
「クスリが効かないんじゃ、しょうがないんじゃ……」
「俺は、力がある分、人を傷つけちまうからな。精神どんだけ鍛えても……今日みたいになっちまうし、ゴメン」
どうしようもねえなとふっと笑った統久の表情に、桑嶋は何故か悲しいくらい胸を掴まれて思わずグッと抱きしめた。
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