竜攘虎搏 Side Tiger

怜悧(サトシ)

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オレらの縄張りである体育倉庫に、派閥の幹部三人を集めた。
士龍と恋人になったことを話すためである。
始めは隠そうかとも考えたが、士龍が仲間に言わないなんてできないと言うので、オレも話すことにした。
どこから切り出すか、どこまで話したらいいかなんて正直迷うし、かなり私情すぎるので公私混同とか言われたらその通りなので、なんとなく言い出しにくい。
隠しても仕方ないこと、と言った士龍は本当に肝が座りすぎている。あっちの方が、三年もいて厄介だろう。
「タケちゃん、どったんよ。改たまってさ」
元宮はオレの隣に座って、どこか心配そうな顔をする。
元宮には、相談にも乗ってもらったしな。
特に士龍については、今まで話していたことと真逆のことを言うのだから、勇気がいる。
とりあえず、カマをかけてどうするか探るか。
「三年になるし、テッペンとるために…………まずは眞壁のトコを潰そうと思う」
だから、真逆から始めてみようと考えた。
オレは、元々天邪鬼で捻くれものだ。
「ハァ⁈タケちゃん……本気かよ。こないだ士龍さんに助けてもらっといて、オマエ…………義理はどうすんだよ」
元宮は前に士龍に泣きついた手前、少しいきりたって立ち上がると、怒りに任せてオレの顔をじっと睨み下ろして周りの奴らも少しざわつく。
「少し落ち着けや……。士龍サンのとこは、テッペンとか考えてないだろ。こっちが手をださなきゃ、どうせ何もやっちゃこない。……タケ、あそこに手を出すのは失策じゃねーか」
派手な緑のモヒカンを揺らして派閥のナンバー2である三門一雅こと、カズはいたって冷静な口調でオレを諭そうとする。
他の二人も同意を示すように頷いて、オレを見返した。
やっぱり士龍の言うように、うちの派閥で士龍のとこを敵視していたのはオレだけだったようだ。派閥を抜けても、こいつらがどっかで士龍を尊敬はしているのだ。
ほっとしてオレは肩を落とすと、深く息を吐き出した。
ここからが、本番だ。他の奴らが敵意がないなら、問題はなにもないはずだ。
「わかった……眞壁のトコには手はださねえよ……」
「ヨカッター。全力でいけばなんとかなるかもしれねーけど、流石に怪我人続出すっし、弱体化するだろうしな。タケちゃん、ホントに冗談がすぎるぞ」
胸を撫で下ろす藤江豊ことフジに、ぽんぽんと背中をなだめるように叩かれる。
「今後一切手は出さない。オレは、士龍と、恋人として付き合うことにした」
言った瞬間に三人は大きくざわつく。

「ハァあああああ?」
「タケちゃん、それも冗談?ちょっとそりゃ冗談キツイ!」
元宮も慌てた様子でオレを激しく揺さぶる。
何気に元宮は怪力と言われるくらい力がつえーから、揺すられると頭がグラグラする。
「恋愛的な付き合う?」
念を押すように三門は、オレに身を乗り出して問いかけた。
「もちろん恋愛的なだ」
「ちょっ、マジかよ?タケ、まさかの処女喪失ですかあ」
「処女はいただいた方だが……」
三門は下世話な話が大好きだ。多分、喧嘩よりそっちの方が好きっぽいのだが、まあそれは置いておく。
「うっそ。え、士龍サン喰っちゃったの」
「こないだ言ってた好きな子って、まさか」
「ん…………ちと色々あって、そういう感じで悩んでた」
元宮はちょっと驚いたような顔をして、まあ、上手くいって良かったと返す。
「マジかよ!そっちに目覚めたとか、つか、相手が眞壁サンとかって、ガチな感じじゃんよ。どーしたの、その趣旨がえ」
ゲラゲラ笑っているが、三門には悪意はないので安堵する。
「とにかく、オレは士龍に惚れてんだよ」
全部正直話すと、俺が卑怯な真似したのとか色々あるので、かいつまんで話す。
「…………良くおっけーもらえたな」
「いまのトコは、ちんこ限定っぽいけどな」
「さすが、士龍サンだよな。相変わらず意味わからん」
「て、ことで、眞壁派には手を出さないでくれ。オレが言わなくても出さないとは思うけど」
「あ、アッチに戻るわけじゃねーのね。タケだけだぞ。ちょっかい出しにいってたの。実は好きな子に構われたくて意地悪しちゃう、タケの小学生並みの執着だったとは」
三門にからかわれるが、説得はできたようだ。
士龍にも言われたように、敵対してたのはまさにオレだけだったってことか。
あとは、多分、あっちの方が問題だな。

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