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しおりを挟む夕飯を食べてから、オレたちは、ダラダラしてそのまま一緒に寝てしまった。なんだか、優しくて心地いい時間だったので、エッチはしなくてもそれだけで満足だった。
起き上がってカーテンから陽の光が漏れている。
きっと今日はいい天気だ。どこにいこう。
今日は土曜日だし、一日中、士龍と一緒にいれるんだなと思うとウキウキして、すげえ嬉しくなってくる。
朝食は、いつも食わせてもらってっし、オレも一緒に作ろうかな。士龍の手際の良さにはかなわないけど。
横でぐっすりと眠る士龍のごわごわする金色の髪を、そっと指先を通して撫でる。
唇に軽く吸い付いて、舌先でペロペロ舐めても死んだように眠っていてちっとも起きる気配はない。
あまり辛そうな顔はしてなかったが、ムリさせちまったしな。
ピーンポーン
滅多に鳴ることのないチャイムが鳴る
新聞屋か、インターネット回線の勧誘かなんかだろうな。
朝っぱらからだるいと思いながらついでに飯作る用意でもかなと、士龍の身体を離してベッドから体を起こすと、寝室を出て廊下のインカムのボタンを押す。
「ふぁい、誰っすか?」
寝室を出てインターフォンごしに声を返すと、玄関前の画像が映って、オレは暫し固まる。
「おはよう。私だ。虎王」
インターフォンごしの声と画面に映る顔は、父親である。
既に髪の毛は白髪混じりの金髪でハーフ感が満載である。
父親はおふくろと再婚しているが、オレは一緒には暮らしていない。いまさら一緒に暮らす気もない。
オレは、しぶしぶ玄関のドアを開けた。
「アンタがくるなんて珍しいっすね」
ドアを開くと、スーツ姿で今日も仕事なんだなと、思う。
「息子のところに来て何が悪い」
無駄にダンディ感を出してるし、スカしたとこも嫌いだ。
実の父親だが、こいつのせいで母親が愛人扱いされてずっと泣いていたのをオレは今でも許すことができないでいる。
本妻と離婚して漸く母親と一緒になった時には、オレは父親をお父さんなど呼べないくらいに、すっかりグレていた。
「別に悪ィなんて言ってねーし。今日も仕事?」
「午後に学会にいくだけだ。何が茶とかないか」
ずかずかと部屋に入り、リビングの椅子に当然のように腰を下ろす。
確かにこのマンションは父親のもので、我が物顔なのは当然だ。
「烏龍茶でいいか?話ってナニ?オレも恋人来てっから忙しい」
冷蔵庫から烏龍茶を出してコップに注ぐと、言外に早く帰れ感を出してソファに座った父親の前に置く。
「いいかげんに、私の籍に入ってくれないか」
オレはまだ、母親の実家の籍のままである。
中学生の時に名前を変えろと言われて、色々周りに言われたくないから嫌だと突っぱねたが、もう子どもじゃないのだからと最近は煩く言われるようになった。
「なんで?オレなんかいらねえだろ。……満鷹が産まれたし、跡取りもいらねえだろ」
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弟は生まれた時から父親がいるので、特に父親とはわだかまりなどはないはずだ。きっと素直に育ってくれるだろう。
「……見てわかるだろうけど、オレは落ちこぼれだし、勉強だってできねえ。前の奥さんトコに天才の息子さんがいるんだって聞いたぜ?ソイツに病院継がせればいいだろ?」
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それに前の奥さんのところにも息子がいるって話で、その息子はオレとは違ってかなりの天才児なのだと病院のスタッフが言っているのを聞いたことがある。
病院のスタッフにも受けがいいらしく、父親に似ていて愛嬌があると聞いた。オレなんかは見た目からしてヤンキーで、病院の奴らからは馬鹿にされているのも分かっている。
「……そうできればいいが、私は彼を捨てたのだから、そんな虫のいい話はできない。オマエは私の息子なのだから」
オレのことなんか最初から捨ててた癖に、よく言うもんだ。
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「ふざけんなッ、あんなにおふくろを泣かせておいて、どの口で言ってやがる!オレのことはもう構うな。これからは、満鷹を大事にしていけばいいだろ!」
思わず大声でがなってテーブルを拳でガチャンと叩き、烏龍茶を入れていたグラスが横倒しになって床に落ちた。
ガチャンッ。
床に激しく叩きつけられて砕けたグラスが、パーンと飛び散った。
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