ゆけゆけ!スペース☆ハンター

怜悧(サトシ)

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Misson 2 未開惑星の罠

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渾身の力を出して繰り出した拳は簡単に跳ね除けられた。
何だ……こいつ。
ボロボロになった状態でも、彼はなお余裕をみせて構えている。オールバックに固めた髪には乱れひとつみえない。
カートは自分の拳をじっと見つめた。
隙がないのだ。
「へえ。こんなところで面白い人物に会うものだな。賞金稼ぎなどしなくとも、アンタは金に困るような人間じゃないだろう。傑家の長男のエドリア·デューン様」
含み笑いを漏らして、彼はエドの反応を伺うような目を向ける。
エドは、軽く肩をあげてつかつかと男の近くへ歩みを寄せる。
「俺様が誰であろうと、お前には関係のない話だろう。お前にとって俺は狩人で、お前は獲物だ。それ以上の情報は要らないな」
「ふうん。傑家も財政難といったところか。今や家督継承順が1番上の次期当主候補に、狩人なんてやらせてるようじゃ、没落間近だろうな」
傑家といえば、この世界で権力を持つ一族のことだ。
カートは話の内容に眉を寄せた。
エドリア·デューン。それがエドの本名なのだろう。
傑家のデューンは、学府を牛耳るドンであり、その長は全ての医療施設を束ねる病院の長だ。
何年も一緒にいて、そんなことすら知らなかったことが寂しく思える。
確かにドクターはエドをエドリアと呼んでいるし、きっとこの話は本当のことだろう。
「……エド」
問いかけに、頭を軽く向けたエドの表情はヘルメットに遮断されて見えない。
否定する返事もないところを見ると、その話はきっと真実だろう。
「は、お仲間なのにお前は知らないのか。こいつが何者なのかを」
更に揺さぶりをかけるのが楽しくてしかたがないかのように、ガディの言葉が弾む。
「関係ねえ。エドが昔何してたかなんて。どんなに偉いやつかなんて、俺には関係ねえな。俺のすることは、アンタを捕まえるだけだぜ」
振り切るように、剣を引き抜くとカートは男に向けて振り下ろす。
エドは、俺の過去を知っても否定もなにもせず受け入れてくれた。剣闘奴隷なんて、侮蔑の対象でしかないものなのに。
だったら、エドの正体がなにものでも受け入れることが、フェアだろう。
こっちも受け入れるのが筋ってものだ。
剣の間をするりするりと躱して、まったくこちらの攻撃など意に介さない様子でニヤニヤと笑っている。
レベルが違いすぎる。
「動きが丸見えすぎだぜ、ボウヤ」
ガディの左手に金属の光反射が見える。
光線銃、か!!
シュビッ、ビーッ
光がチカチカと視界に映る。
避けられない。
暗殺者の動きについていくのに精一杯だった。
万事休すと、覚悟を決めた瞬間空気を裂くように二条の線を描いて、ガディの左腕に突き刺さり、光線銃が地面に落ちて、光の筋の軌道が変わる。
かーとは振り返り、エドの姿を探すと彼は地面に伏して、背中を上下に動かしている。
「……バカか、隙をみせん、な。さっさと仕留めろ!」
駆け寄ろうとすると、体を起こしたエドは、吠えるように声をあげた。
たしかに、カートにはエドに構う余裕はない。
声に生気がない。
何かにやられているようだ、早く仕留めないと、ヤバいのはわかる。
「ふははは、おぼっちゃまにはこの環境は耐えられないよな。殺人虫がうようよいるしな」
虫。
あの時虫に刺されたと言っていたエドの様子はおかしかった。
毒虫の類いだろう。
カートは身体を翻して、剣を持ち直すと男の背後に一瞬で回り込んで、ブンッと振り払う。
「お前なんかが、エドのことを色々知ってたって、俺はそれ以上にエドのことを知ってんだからな、あーだこーだうるせえんだよ!!」
剣先はガディの右腕を切り裂き、血しぶきが飛び散る。
「ッくそ、やりやがったな!!ガキが」
ガディは地面に転がっていた光線銃を拾いあげて、照準をカートにではなく、別の方向に向ける。
そちらは、エドが倒れ伏していた方向だ。
ビッと放った光線銃の光は動けないエドの身体に命中して、衝撃に弾けてバウンドする。
「エドォォ!!!!」
声をあげて、カートは手にした剣をそのまま、男をグッと強くつかみ寄せ素早く突き刺す。
コロシテシマエ。
コイツをコロシ、ヒキサイテ……。
何度も剣を突き刺して、血が飛び散る。
「オマエハ、シネ」
「があぁぁぁあッ……た、た、たすけ……ぐああああ」
大剣がまるでナイフのような手軽さのような動きで、男の身体を千々に引き裂いていく。
許さない。
血飛沫に塗れたカートは、ピクピクと動く肉片が散らばる状況になり漸く、手を止めてごくりと息をのんだ。
血が逆流していき、頭がハッキリしてくる。
スーツ……あらわなきゃ。
それに、はやく、エドを……。
「そうだ。はやく、エドを船にはこばなくちゃいけない」
倒れたままのエドに近寄ると抱き上げて担ぎ、船の方へ走り始めた。
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