UNLEASH

いらはらい

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呪縛

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 目覚めた時に降っていた雨は上がり、路面には幾つもの水たまりができていた。見上げた空は、雲の隙間から夜明けを知らせる色へと変わろうとしていた。
 ほんのり明るくなった空が、本堂の姿をうっすらと浮かび上がらせた。アテもなく歩いたつもりが、気づけばマコトたちが住む寺へと向かっていたのだった。
(……マサキさんがいくら過去のことを知ってるからって……なんて言えばいい?過去を知らないマコトにこの事バレたら……?)
 アキは寺へと続く質素な門を前にしばらく立ち尽くしていたが、うつむき、固く拳を握りしめ、門をくぐることなくその場を去った。

 マサキが朝の務めをしようと1枚ずつ、固くなった本堂の戸板を移動させる。ふと、寺の塀に視線がいく。赤く染まっていく朝焼けに目を細め、マサキは心配そうに呟いた。
「アキくん、昨日は急に来れないって連絡きたけど、大丈夫だろうか?まだ効力はあるとは言え……」
 マサキが見つめていた朝焼けは綺麗だったが、時間が経つにつれどんよりとした雲が空を覆っていた。
 

 遠くで雷鳴が轟く。
 そんな黒い雲を眺め、マコトは舌打ちをした。
 自分が学校で補習を受けている間にアキから急に来れない、と連絡が入っていた。理由を聞こうと送信しても返信は無く、幾つもの送信に既読はつかなかった。おまけに電話を入れるも電源が切ってあるのか、何度かけても即留守電になったままだった。
 一晩経ってもそれは変わりはなかった。

 ──直接、顔を見に行く──

 それ以外なにも考えずに家を出たが、先ほどから暗くなった空から、とうとう雨が振りだした。
 こんなことならコンビニに寄って行けば良かった。そんな事を考え、ずぶ濡れになりながら走って行くと、前から学生らしき少女二人が傘をさし、仲良く喋りながら歩いて来るのが目に入った。
 濡れて歩くマコトを笑うかのようにクスクスとおしゃべりしながら通りすぎていく。
「そう言えばさ、さっき通った公園のベンチにさ、まだいたよね!イケメンくん」
「あぁ、いたよね!ちょっと日本人離れした感じだから印象残っていたんだよね~。濡れている姿もかっこ良かった!」
「失恋でもしたのかなぁ?でもさー、あんなかっこいい男振るなんてさ……」
 思いも寄らないところから、それらしき情報を得たマコトは、自分が探す相手であってほしいと思い、止まない雨の中を駆けていった。

 
 泥水を跳ねさせながら、マコトはその公園のベンチがある方へと走っていく。公園は子供が遊ぶような遊具は少なく、木々が繁った緑地公園に近かった。その中を走りベンチがあるところを目指した。
 しばらくして目的のベンチが見えてきた。そして、そのベンチには見慣れた髪の色の男が座っていた。すぐに駆け寄ろうとしたが、上着が見たことない物だったため、足が止まった。
 間違いはないはず‥…そう思いながらもマコトの足はゆっくりとなっていた。
 
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