【完結】エリナの物語

シマセイ

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番外編2 -マリアとアリスの虚栄の果て-

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マリウス王国、公爵デュラン家の長女マリアと次女アリスは、正妻の子として生まれ、幼い頃から公爵家の豪華な屋敷で甘やかされて育った。エリナが側室の娘として虐げられる一方、二人は美しいドレスと宝石に囲まれ、貴族の娘としての地位を鼻にかけていた。だが、その傲慢さと我儘が、やがて彼女たちを破滅へと導く。

第一幕:幼少期の傲慢な姉妹

マリアが8歳、アリスが6歳の頃、公爵家の庭園で二人は豪華なティーパーティーを開いていた。色とりどりの花が咲く中、小さなテーブルには銀のティーセットとケーキが並ぶ。マリアは赤いドレスに金のリボンを結び、アリスは青いドレスにレースの飾りをつけて、まるで小さな女王のようだった。

「ねえ、アリス、このケーキ、私に似合うくらい上品よね」とマリアがフォークを手に自慢げに言う。アリスは「うん、マリア姉様にぴったりだよ。私のはもっと可愛いけどね!」と笑い、二人は使用人たちに囲まれて得意げだった。そこへ、エリナが母リリアナに手を引かれ、庭の隅に現れた。エリナは粗末な灰色の服を着て、小さな花束を抱えている。

「あら、エリナじゃない。あんな汚い子が庭に来るなんて気分悪いわ」とマリアが顔をしかめる。「本当にね、マリア姉様。あの子、側室の娘でしょ? 私たちとは全然違うんだから」とアリスが鼻で笑った。エリナが「お花、摘んできたの…」と小さな声で言うと、マリアは「ふん、そんな雑草みたいな花、私たちにはいらないわ。捨てなさいよ」と冷たく言い放つ。

「ねえ、マリア姉様、あの子に何かお仕置きした方がいいんじゃない?」とアリスが囁くと、マリアはニヤリと笑い、「いい考えね。エリナ、ここの掃除でもしなさい。汚い子は働いてればいいわ」と命令した。エリナは黙って俯き、リリアナが「マリア様、アリス様、そんな言い方は…」と止めようとしたが、マリアは「黙っててよ、側室のくせに生意気ね!」と一喝し、二人は笑いながら去っていった。

この日から、マリアとアリスはエリナを「下賤な妹」として見下し、幼少期から我儘と傲慢さを育んでいった。

第二幕:青春期の野心

マリアが16歳、アリスが14歳になると、二人は公爵家の舞踏会で注目を集める美貌の令嬢に成長していた。マリアは長い金髪を優雅に巻き、深紅のドレスをまとい、アリスは栗色の髪を編み込んで淡い青のドレスを着る。貴族の令息たちが二人に言い寄り、二人はますます高慢になっていった。

ある日、屋敷の広間でマリアが鏡を見ながら言う。「見てよ、アリス、私って本当に完璧よね。王都一の美人って言われてもおかしくないわ」「うん、マリア姉様は最高だよ。でも、私だって負けてないよね? 子爵の息子が昨日、私にダンスを申し込んできたんだから」とアリスが得意げに応えた。

そこへ、エリナが古びたドレスで現れ、「お姉様たち、父上が今夜の舞踏会の準備を…」と声をかけると、マリアは振り返り、「あんた、何!? そんなみすぼらしい格好で私たちの前に出てくるとか恥ずかしいわ!」と遮った。アリスも「そうよ、エリナ。厨房で皿でも洗ってなさい。貴族の令嬢の話に口出すんじゃないわ」と笑う。

「私はただ、父上の言づてを…」とエリナが言いかけると、マリアは「うるさい! あんたなんか妹でもなんでもないんだから。側室の娘は黙ってればいいの!」と怒鳴り、エリナは黙って下がった。二人は「本当にあの子、目障りよね」「早く追い出したいわ」と顔を見合わせて笑った。

この頃、マリアは「王太子と婚約して王太子妃になるのが私の運命よ」と夢見、アリスも「私は隣国の王子でもいいわ。華やかな生活が似合うもの」と野心を膨らませていた。だが、エリナの存在を軽視したことが、後に大きな過ちとなる。

第三幕:最初の破滅

エリナが「聖なる契約の証」を手にし、公爵家の後継者となった王都の舞踏会の日。マリアとアリスは華やかなドレスで王太子に近づこうとしたが、エリナの逆転劇に敗れ、公爵である父から別荘へ追いやられた。「何!? エリナが後継者!? ありえないわ、私の方がふさわしいのに!」とマリアが喚き、アリスも「父上、間違ってる! 私だってエリナより立派なのに!」と泣き叫んだ。

別荘に着いた二人は、狭い部屋と粗末な食事に愕然とした。「こんなみじめな場所で暮らすなんて耐えられない!」「エリナのせいよ、絶対に許さない!」と互いに責任をなじり合う。使用人すら「ざまぁみろ」と陰で笑い、二人のプライドはズタズタになった。

「ねえ、マリア姉様、どうにかして戻れない?」「王都に味方がいれば…」と二人が話していると、そこへ侯爵家の次男ヴィクターが現れた。「お二人、お困りのようですね。私が手を貸しましょう。エリナ様を追い出せば、公爵家はまたお二人のものになりますよ」と甘い言葉をかける。「本当!? ヴィクター様、頼りにしてるわ!」「私たちを助けてくれるなら何でもする!」と二人はすがりつき、再起を夢見た。

第四幕:最後の賭けと完全な破滅

ヴィクターの支援を受け、マリアとアリスは王都の貴族会議でエリナに挑んだ。マリアは「私が長女として公爵家を継ぐべきです! エリナは偽物よ!」と主張し、アリスも「そうです、私だって次女としてふさわしいわ!」と声を張った。だが、エリナがヴィクターの陰謀を暴き、証拠を突きつけたことで形勢は逆転。

「何!? ヴィクターが裏で…!?」「あんた、私たちを騙したの!?」と二人が叫ぶが、ヴィクターは「私はただ提案しただけだ。お前たちが勝手に乗っただけさ」と冷たく言い放ち、王都から追放された。国王が「マリア、アリス、お前たちは公爵家の名を汚した」と叱責し、エリナが後継者として認められると、二人は完全に敗北した。

再び別荘に戻されたマリアとアリスは、貴族社会から見放され、互いを責め合う日々を送った。「あんたがもっと賢ければ負けなかったのに!」「あんたのせいで私がこんな目に!」と罵り合い、使用人にすら「あの姉妹、落ちぶれて当然ね」と嘲笑される。「私、こんなはずじゃなかった…王太子妃になるはずだったのに…」とマリアが呻き、アリスも「王子と踊る夢が…全部エリナのせいよ…」と涙を流した。

エピローグ:虚栄の残骸

マリアとアリスは別荘でみじめな生活を続け、かつての美貌も輝きを失った。エリナが公爵家を繁栄させる中、二人は「もしエリナを認めていたら…」と後悔するが、時すでに遅し。幼少期の傲慢さから始まった虚栄の道は、破滅という果てにたどり着いた。彼女たちの物語は、エリナの栄光を引き立てる影として、マリウス王国に語り継がれたのだった。
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