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お墓参り
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これは、俺がまだ実家暮らしだった頃、毎年お盆にしぶしぶ付き合わされてた、お墓参りの話だ。
うちの墓は、ちょっとした山の麓にある、古くて広い共同墓地の一角にあった。
子供の頃は、あの独特の雰囲気と、線香の匂いが苦手で、いつも早く帰りたくて仕方なかった。
その年も、親父とお袋、それと妹と四人で墓参りに行ったんだ。
お盆の真っ昼間だっていうのに、その日の墓地は妙に人が少なくて、やけに静かだったのを覚えてる。
いつものように、墓石を洗って、花を供えて、線香をあげて、手を合わせる。
まあ、滞りなく終わった。
問題は、その帰り道だった。
墓地から駐車場まで、少しだけ石段を下りて、あとは砂利道を歩く感じなんだけど。
俺が一番後ろを歩いてたら、ふと、背後から誰かの足音が聞こえてきたんだ。
サッ…サッ…って、砂利を踏む音。
あれ?と思って振り返ったけど、誰もいない。
俺たちの他には、誰もいなかったはずだ。
気のせいか、と思ってまた歩き出すと、また聞こえる。
サッ…サッ…
しかも、その足音、明らかに俺たちの後をついてきてる。
俺が止まると、足音も止まる。
俺が歩き出すと、またついてくる。
気味が悪くなって、親父に、
「なあ、なんか後ろから足音しない?」
って聞いてみたけど、親父は、
「ん?なんも聞こえんぞ?」
って言うだけ。
お袋と妹も、何も聞こえないって。
俺だけかよ…って、急に怖くなってきた。
でも、足音は相変わらずついてくる。
それも、だんだん距離が縮まってるような気がするんだ。
駐車場に着いて、車に乗り込んでも、まだ安心できなかった。
車を発進させて、墓地から離れていく。
バックミラーで後ろを見たけど、もちろん誰もいない。
なんだ、やっぱり気のせいだったのか…
そう思った瞬間。
車の後部座席の、ちょうど俺の真後ろあたりから、
「…やっと…みつけた…」
って、女のかすれた声が聞こえたんだ。
俺は悲鳴を上げて振り返ったけど、後部座席には妹しか乗ってない。
妹はキョトンとした顔で俺を見てる。
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「…いや、なんでもない…」
空耳だったのか…?
でも、あの声は、あまりにもハッキリと聞こえた。
その日はそれで終わったんだけど、次の日から、俺の部屋でおかしなことが起こり始めた。
誰もいないはずなのに、部屋の隅から、あのサッ…サッ…っていう足音が聞こえたり。
机の上に置いてあったものが、勝手に床に落ちてたり。
そして何より、常に誰かに見られてるような、まとわりつくような視線を感じるようになった。
特に、夜寝ようとすると、その気配は強くなる。
布団に入って目を閉じると、すぐそばに誰かが立ってて、じっと俺の顔を覗き込んでるような、そんな嫌な感じ。
金縛りにも頻繁にあうようになった。
体が動かない中、耳元であの女のかすれた声が、
「…ずっと…いっしょだよ…」
って囁きかけてくる。
俺はもう、精神的に限界だった。
親に泣きついて、近所の評判が良いっていう霊媒師さんのところに連れて行ってもらったんだ。
霊媒師さんは、俺を一目見るなり、
「あらら…しっかり憑いてきちゃってるねぇ…」
って言った。
そして、お祓いをしてもらった後、こう言われた。
「お墓参りの時、一番後ろを歩いちゃいけないよ。特に、感受性が強い子はね」
「あっちの人たちも、寂しいから、つい声をかけちゃうんだよ。そして、気に入られると、ついてきちゃう」
「あんたが聞いた足音も声も、その一人だね。よっぽどあんたのことが気に入ったんだろう」
お祓いのおかげか、それ以来、怪奇現象は少しずつ収まっていった。
でも、俺は今でも、お墓参りに行くのが怖い。
うちの墓は、ちょっとした山の麓にある、古くて広い共同墓地の一角にあった。
子供の頃は、あの独特の雰囲気と、線香の匂いが苦手で、いつも早く帰りたくて仕方なかった。
その年も、親父とお袋、それと妹と四人で墓参りに行ったんだ。
お盆の真っ昼間だっていうのに、その日の墓地は妙に人が少なくて、やけに静かだったのを覚えてる。
いつものように、墓石を洗って、花を供えて、線香をあげて、手を合わせる。
まあ、滞りなく終わった。
問題は、その帰り道だった。
墓地から駐車場まで、少しだけ石段を下りて、あとは砂利道を歩く感じなんだけど。
俺が一番後ろを歩いてたら、ふと、背後から誰かの足音が聞こえてきたんだ。
サッ…サッ…って、砂利を踏む音。
あれ?と思って振り返ったけど、誰もいない。
俺たちの他には、誰もいなかったはずだ。
気のせいか、と思ってまた歩き出すと、また聞こえる。
サッ…サッ…
しかも、その足音、明らかに俺たちの後をついてきてる。
俺が止まると、足音も止まる。
俺が歩き出すと、またついてくる。
気味が悪くなって、親父に、
「なあ、なんか後ろから足音しない?」
って聞いてみたけど、親父は、
「ん?なんも聞こえんぞ?」
って言うだけ。
お袋と妹も、何も聞こえないって。
俺だけかよ…って、急に怖くなってきた。
でも、足音は相変わらずついてくる。
それも、だんだん距離が縮まってるような気がするんだ。
駐車場に着いて、車に乗り込んでも、まだ安心できなかった。
車を発進させて、墓地から離れていく。
バックミラーで後ろを見たけど、もちろん誰もいない。
なんだ、やっぱり気のせいだったのか…
そう思った瞬間。
車の後部座席の、ちょうど俺の真後ろあたりから、
「…やっと…みつけた…」
って、女のかすれた声が聞こえたんだ。
俺は悲鳴を上げて振り返ったけど、後部座席には妹しか乗ってない。
妹はキョトンとした顔で俺を見てる。
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「…いや、なんでもない…」
空耳だったのか…?
でも、あの声は、あまりにもハッキリと聞こえた。
その日はそれで終わったんだけど、次の日から、俺の部屋でおかしなことが起こり始めた。
誰もいないはずなのに、部屋の隅から、あのサッ…サッ…っていう足音が聞こえたり。
机の上に置いてあったものが、勝手に床に落ちてたり。
そして何より、常に誰かに見られてるような、まとわりつくような視線を感じるようになった。
特に、夜寝ようとすると、その気配は強くなる。
布団に入って目を閉じると、すぐそばに誰かが立ってて、じっと俺の顔を覗き込んでるような、そんな嫌な感じ。
金縛りにも頻繁にあうようになった。
体が動かない中、耳元であの女のかすれた声が、
「…ずっと…いっしょだよ…」
って囁きかけてくる。
俺はもう、精神的に限界だった。
親に泣きついて、近所の評判が良いっていう霊媒師さんのところに連れて行ってもらったんだ。
霊媒師さんは、俺を一目見るなり、
「あらら…しっかり憑いてきちゃってるねぇ…」
って言った。
そして、お祓いをしてもらった後、こう言われた。
「お墓参りの時、一番後ろを歩いちゃいけないよ。特に、感受性が強い子はね」
「あっちの人たちも、寂しいから、つい声をかけちゃうんだよ。そして、気に入られると、ついてきちゃう」
「あんたが聞いた足音も声も、その一人だね。よっぽどあんたのことが気に入ったんだろう」
お祓いのおかげか、それ以来、怪奇現象は少しずつ収まっていった。
でも、俺は今でも、お墓参りに行くのが怖い。
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