18 / 74
第18話:忘れられた聖域と石の番人
しおりを挟む
血の匂いが染みついた森の道は、まるで私とモモちゃんを歓迎しているかのように、奥へ奥へと続いていた。
生き残った騎士たちは、もはや私の言葉に一切の疑問を挟むことなく、ただ黙々と、そして怯えながら私の後に続く。
彼らの目には、かつての聖女への敬愛など欠片もなく、ただ絶対的な恐怖と、いつ自分が「処理」されるかという不安だけが色濃く浮かんでいる。フフ、実にいい表情だわ。
「嘆きの森」の深部は、これまでの区域とは比較にならないほど異様で、禍々しい気に満ちていた
。空は鉛色に濁り、木々は奇怪な形にねじ曲がり、地面からは硫黄のような鼻を突く臭いが立ち上っている。
時折、正体不明の呻き声や、何かが蠢くような音が聞こえ、その度に騎士たちの肩がビクリと震える。
「聖女様……本当に、このような場所に聖遺物があるのでしょうか……?」
一人の若い騎士が、か細い声で尋ねてきた。その顔は恐怖で引きつっている。
「もちろんですわ。神の試練とは、常に厳しく、そして常人の理解を超えるものなのですから」
私は慈愛に満ちた(ように見える)微笑みを浮かべて答える。
内心では、この絶望的な雰囲気がたまらなくスリリングで、私のサイコパスな魂をくすぐっていた。
モモちゃんは、私の肩の上で警戒を怠らず、周囲の気配を探っている。
その瑠璃色と銀色の混じった体は、この陰鬱な森の中で唯一の美しい輝きを放っていた。
時折、モモちゃんが特定の方向をじっと見つめ、微かに唸り声を上げることがあった。
どうやら、見えない「何か」が私たちを監視しているらしい。
おそらく、「影の評議会」の残党か、あるいはこの森そのものの意思か。
どちらにしても、私の楽しみを増やしてくれる存在でしかないわ。
数時間歩き続けた頃だろうか。不意に、目の前の空間が歪んだように感じられ、次の瞬間、私たちは苔むした石畳が広がる、開けた場所へと足を踏み入れていた。
そこは、明らかに人工的な建造物の跡だった。崩れかけた石柱、風化した祭壇らしきもの、そして、地面には薄っすらと、しかし広範囲に渡って、あの鳥の翼のような紋様が描かれている。
「ここが……『忘れられた聖域』……」
騎士の一人が、息をのんで呟いた。
空気は淀み、まるで長年封印されていた悪意が解放されたかのように、濃密なプレッシャーが私たちを包み込む。
そして、その聖域の中央、ひときわ大きな祭壇の上に、それはあった。
鈍い銀色の光を放つ、人の頭ほどの大きさの宝玉。
表面には複雑な模様が浮かび上がり、まるで月そのものを閉じ込めたかのように、妖しい魅力を放っている。
「『虚ろなる月の瞳』……間違いないわね」
私の胸が高鳴る。あれを手に入れれば、私はさらに強大な力を得ることができる。
私が宝玉に一歩近づこうとした、その時だった。
ゴゴゴゴゴゴ……!
地面が激しく揺れ、祭壇の背後にあった巨大な岩塊が動き始めた。
土砂を落としながら、それはゆっくりと人型を形成していく。
苔むした全身、空洞のような両目からは赤い光が漏れ、その手には巨大な石の戦斧が握られている。
「石の番人……!」
刺客の男が言っていた通りだわ。その威圧感は、これまでに遭遇したどんな魔獣よりも強大だった。
「騎士の皆さん、出番ですわよ」
私は優雅に微笑み、後ろに控える騎士たちに命じた。
「神聖なる聖遺物を手に入れるため、あの番人を打ち倒しなさい。聖女の名において、あなたたちに神のご加護があらんことを!」
もちろん、ご加護なんてありはしないけれど。
騎士たちは、恐怖に顔を引きつらせながらも、私の命令に逆らうことはできない。彼らは剣を抜き、雄叫びを上げて石の番人へと突撃していく。
「うおおおお!」「聖女様のために!」
哀れな子羊たち。彼らの勇気(あるいは絶望)は、私にとって最高のエンターテイメントだわ。
石の番人は、その巨体に見合わぬ俊敏さで騎士たちの攻撃を避け、巨大な戦斧を振り下ろした。
ドゴォォン!
地面が砕け、数人の騎士が衝撃で吹き飛ばされる。悲鳴を上げる間もなく、彼らは動かなくなった。
「あらあら、手強いわね」
私は鉄塊を肩に担ぎ、戦況を冷静に観察する。騎士たちの剣は、石の番人の硬い皮膚に傷一つ付けられない。
魔法を操れる神官も何人かいたけれど、彼らの放つ光の矢や炎も、番人にはほとんど効果がないようだった。
「モモちゃん、少し様子を見てちょうだい」
私の指示で、モモちゃんが素早く石の番人に接近し、その体から銀色の棘を放った。
しかし、棘は番人の体に弾かれ、カンカンと甲高い音を立てるだけ。
瑠璃色の粘液も、番人の動きを鈍らせるには至らない。
(やはり、物理攻撃も通常の魔法も効果が薄いようね。どうしたものかしら……)
私は『影の書』の内容を思い返してみる。確か、古代のゴーレムに関する記述があったはず……。
その間にも、騎士たちは次々と倒れていく。残るは数人。彼らの顔には、もはや絶望の色しかない。
「聖女様……お助けを……!」
一人の騎士が、涙ながらに私に助けを求めてきた。
「もちろん、助けてあげますわ。あなたたちは、私の大切な駒なのだから」
私はにっこりと微笑み、鉄塊を構え直す。そして、脳裏に閃いた「ある方法」を実行に移すことにした。
「皆さま、よく聞いて。あの番人には、おそらく核となる部分があるはず。そこを破壊すれば……」
私はそう言いながら、ある一点、石の番人の胸の中心、微かに異なる色の石が埋め込まれている部分を指さした。
「あそこを集中して攻撃するのです!私が隙を作るわ!」
私はそう叫ぶと、石の番人に向かって突進した。もちろん、本当に私が隙を作るわけではない。私が狙うのは、別の「効果」だ。
石の番人が、私に向かって巨大な戦斧を振り下ろそうとする。その瞬間、私はわざとらしく足を滑らせ、大きく体勢を崩してみせた。
「きゃっ!」
聖女らしい(?)可愛らしい悲鳴を上げる私。
そして、私のすぐ後ろにいた、先ほど助けを求めてきた騎士が、私の「盾」となった。
「ぐあああああっ!」
騎士は、私を庇うような形で、石の番人の戦斧をまともに受けてしまった。鎧は砕け散り、彼の体は無残な肉塊へと変わる。
「……まあ、お可哀想に。でも、あなたの犠牲は無駄にはしませんわ」
私は心の中で呟き、騎士の死を利用して、石の番人の懐へと潜り込む。そして、モモちゃんに囁いた。
「モモちゃん、あの胸の石……あなたの『アレ』なら、いけるんじゃないかしら?」
モモちゃんは私の意図を即座に理解したようだった。その瑠璃色と銀色の体が、まるで液体金属のように変化し、鋭いドリルのような形状になる。
そして、石の番人が次の攻撃に移る一瞬の隙を突き、モモちゃんは猛烈な勢いで回転しながら、番人の胸の中心にある、あの異なる色の石へと突っ込んでいった!
生き残った騎士たちは、もはや私の言葉に一切の疑問を挟むことなく、ただ黙々と、そして怯えながら私の後に続く。
彼らの目には、かつての聖女への敬愛など欠片もなく、ただ絶対的な恐怖と、いつ自分が「処理」されるかという不安だけが色濃く浮かんでいる。フフ、実にいい表情だわ。
「嘆きの森」の深部は、これまでの区域とは比較にならないほど異様で、禍々しい気に満ちていた
。空は鉛色に濁り、木々は奇怪な形にねじ曲がり、地面からは硫黄のような鼻を突く臭いが立ち上っている。
時折、正体不明の呻き声や、何かが蠢くような音が聞こえ、その度に騎士たちの肩がビクリと震える。
「聖女様……本当に、このような場所に聖遺物があるのでしょうか……?」
一人の若い騎士が、か細い声で尋ねてきた。その顔は恐怖で引きつっている。
「もちろんですわ。神の試練とは、常に厳しく、そして常人の理解を超えるものなのですから」
私は慈愛に満ちた(ように見える)微笑みを浮かべて答える。
内心では、この絶望的な雰囲気がたまらなくスリリングで、私のサイコパスな魂をくすぐっていた。
モモちゃんは、私の肩の上で警戒を怠らず、周囲の気配を探っている。
その瑠璃色と銀色の混じった体は、この陰鬱な森の中で唯一の美しい輝きを放っていた。
時折、モモちゃんが特定の方向をじっと見つめ、微かに唸り声を上げることがあった。
どうやら、見えない「何か」が私たちを監視しているらしい。
おそらく、「影の評議会」の残党か、あるいはこの森そのものの意思か。
どちらにしても、私の楽しみを増やしてくれる存在でしかないわ。
数時間歩き続けた頃だろうか。不意に、目の前の空間が歪んだように感じられ、次の瞬間、私たちは苔むした石畳が広がる、開けた場所へと足を踏み入れていた。
そこは、明らかに人工的な建造物の跡だった。崩れかけた石柱、風化した祭壇らしきもの、そして、地面には薄っすらと、しかし広範囲に渡って、あの鳥の翼のような紋様が描かれている。
「ここが……『忘れられた聖域』……」
騎士の一人が、息をのんで呟いた。
空気は淀み、まるで長年封印されていた悪意が解放されたかのように、濃密なプレッシャーが私たちを包み込む。
そして、その聖域の中央、ひときわ大きな祭壇の上に、それはあった。
鈍い銀色の光を放つ、人の頭ほどの大きさの宝玉。
表面には複雑な模様が浮かび上がり、まるで月そのものを閉じ込めたかのように、妖しい魅力を放っている。
「『虚ろなる月の瞳』……間違いないわね」
私の胸が高鳴る。あれを手に入れれば、私はさらに強大な力を得ることができる。
私が宝玉に一歩近づこうとした、その時だった。
ゴゴゴゴゴゴ……!
地面が激しく揺れ、祭壇の背後にあった巨大な岩塊が動き始めた。
土砂を落としながら、それはゆっくりと人型を形成していく。
苔むした全身、空洞のような両目からは赤い光が漏れ、その手には巨大な石の戦斧が握られている。
「石の番人……!」
刺客の男が言っていた通りだわ。その威圧感は、これまでに遭遇したどんな魔獣よりも強大だった。
「騎士の皆さん、出番ですわよ」
私は優雅に微笑み、後ろに控える騎士たちに命じた。
「神聖なる聖遺物を手に入れるため、あの番人を打ち倒しなさい。聖女の名において、あなたたちに神のご加護があらんことを!」
もちろん、ご加護なんてありはしないけれど。
騎士たちは、恐怖に顔を引きつらせながらも、私の命令に逆らうことはできない。彼らは剣を抜き、雄叫びを上げて石の番人へと突撃していく。
「うおおおお!」「聖女様のために!」
哀れな子羊たち。彼らの勇気(あるいは絶望)は、私にとって最高のエンターテイメントだわ。
石の番人は、その巨体に見合わぬ俊敏さで騎士たちの攻撃を避け、巨大な戦斧を振り下ろした。
ドゴォォン!
地面が砕け、数人の騎士が衝撃で吹き飛ばされる。悲鳴を上げる間もなく、彼らは動かなくなった。
「あらあら、手強いわね」
私は鉄塊を肩に担ぎ、戦況を冷静に観察する。騎士たちの剣は、石の番人の硬い皮膚に傷一つ付けられない。
魔法を操れる神官も何人かいたけれど、彼らの放つ光の矢や炎も、番人にはほとんど効果がないようだった。
「モモちゃん、少し様子を見てちょうだい」
私の指示で、モモちゃんが素早く石の番人に接近し、その体から銀色の棘を放った。
しかし、棘は番人の体に弾かれ、カンカンと甲高い音を立てるだけ。
瑠璃色の粘液も、番人の動きを鈍らせるには至らない。
(やはり、物理攻撃も通常の魔法も効果が薄いようね。どうしたものかしら……)
私は『影の書』の内容を思い返してみる。確か、古代のゴーレムに関する記述があったはず……。
その間にも、騎士たちは次々と倒れていく。残るは数人。彼らの顔には、もはや絶望の色しかない。
「聖女様……お助けを……!」
一人の騎士が、涙ながらに私に助けを求めてきた。
「もちろん、助けてあげますわ。あなたたちは、私の大切な駒なのだから」
私はにっこりと微笑み、鉄塊を構え直す。そして、脳裏に閃いた「ある方法」を実行に移すことにした。
「皆さま、よく聞いて。あの番人には、おそらく核となる部分があるはず。そこを破壊すれば……」
私はそう言いながら、ある一点、石の番人の胸の中心、微かに異なる色の石が埋め込まれている部分を指さした。
「あそこを集中して攻撃するのです!私が隙を作るわ!」
私はそう叫ぶと、石の番人に向かって突進した。もちろん、本当に私が隙を作るわけではない。私が狙うのは、別の「効果」だ。
石の番人が、私に向かって巨大な戦斧を振り下ろそうとする。その瞬間、私はわざとらしく足を滑らせ、大きく体勢を崩してみせた。
「きゃっ!」
聖女らしい(?)可愛らしい悲鳴を上げる私。
そして、私のすぐ後ろにいた、先ほど助けを求めてきた騎士が、私の「盾」となった。
「ぐあああああっ!」
騎士は、私を庇うような形で、石の番人の戦斧をまともに受けてしまった。鎧は砕け散り、彼の体は無残な肉塊へと変わる。
「……まあ、お可哀想に。でも、あなたの犠牲は無駄にはしませんわ」
私は心の中で呟き、騎士の死を利用して、石の番人の懐へと潜り込む。そして、モモちゃんに囁いた。
「モモちゃん、あの胸の石……あなたの『アレ』なら、いけるんじゃないかしら?」
モモちゃんは私の意図を即座に理解したようだった。その瑠璃色と銀色の体が、まるで液体金属のように変化し、鋭いドリルのような形状になる。
そして、石の番人が次の攻撃に移る一瞬の隙を突き、モモちゃんは猛烈な勢いで回転しながら、番人の胸の中心にある、あの異なる色の石へと突っ込んでいった!
11
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
王家の血を引いていないと判明した私は、何故か変わらず愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女であるスレリアは、自身が王家の血筋ではないことを知った。
それによって彼女は、家族との関係が終わると思っていた。父や母、兄弟の面々に事実をどう受け止められるのか、彼女は不安だったのだ。
しかしそれは、杞憂に終わった。
スレリアの家族は、彼女を家族として愛しており、排斥するつもりなどはなかったのだ。
ただその愛し方は、それぞれであった。
今まで通りの距離を保つ者、溺愛してくる者、さらには求婚してくる者、そんな家族の様々な対応に、スレリアは少々困惑するのだった。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる