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第1話:初めての魔道具と小さな成功
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誠也はリムドの町の門をくぐり、
石畳の道を歩き始めた。
ガルドとの別れ際に見つけた
商業ギルドの看板を目指して、
少しワクワクしながら進む。
「とりあえず生活の基盤を作らないとな…」
そう呟きつつ、
ポケットの中で光る枝を握り直した。
「物体に魔力を付与する能力」は、
まだ制御が甘いものの、
魔道具作りに活かせそうな予感がしていた。
ただし、
「絶対にバレないようにしないと」と
自分に言い聞かせる。
町の中は賑やかだった。
市場では商人たちが大声で呼び込み、
冒険者らしき剣士や魔法使いが歩き回る。
木造の建物が並び、
屋根には色とりどりの布が飾られている。
誠也は商業ギルドの建物に到着。
木と石でできた素朴な外観だが、
中からは活気のある声が漏れてくる。
扉を開けると、
受付に立つ若い女性が笑顔で迎えた。
「おや、新顔だね。
何か用かい?」
誠也は少し緊張しつつ、
「えっと、登録したいんですけど…」と答える。
「商業ギルドへようこそ!
名前と特技を教えてくれれば、
すぐ手続きするよ。
登録料は銅貨5枚ね」
誠也はガルドにもらった
わずかな銅貨を握り潰さないよう渡し、
「誠也です。特技は…道具作りです」と伝えた。
能力を隠すため、
曖昧に「道具作り」とだけ言う。
受付嬢は「道具作りかぁ、
いいね!魔道具なら需要あるよ」と笑う。
登録証を受け取り、
小さな作業場を案内された。
そこはギルドの裏にある
簡素な小屋で、
木の机と棚、
そして基本的な工具が揃っている。
「ここで好きに商売していいよ。
市場で売るならギルドに申請してね」
そう言って受付嬢は去った。
誠也は小屋の中を見回し、
「意外と悪くないな」と呟く。
まずは何か作ってみようと決意。
ポケットから光る枝を取り出し、
机に置いて観察する。
「これ、夜道で便利そうだよな…
でも、バレないようにするには
普通の道具っぽくしないと」
市場で見た
ガルドの簡易ランタンを思い出す。
あれは魔石に魔法をかけたものだった。
誠也は「魔石なら自然に見えるかも」とひらめく。
作業場の棚に
小さな魔石が転がっているのを見つけ、
手に取ってみる。
普通の石ころみたいだが、
ほのかに力を感じる。
「これに能力を込めてみよう」
目を閉じ、
「光れ」とイメージしながら力を込める。
すると、魔石が淡く輝き始めた。
枝と同じような光だが、
より安定している。
「よし、成功!」
誠也は小さくガッツポーズ。
ただ、
「これだけじゃ普通の魔道具と変わらないな…
もう一工夫欲しい」と考える。
机の上の工具を見ると、
小さな鉄の棒があった。
それに魔石をくっつけて、
簡易ランタンっぽくしてみようと決めた。
鉄棒に魔石を固定し、
「触ると光る」ように能力を調整。
試しに触ると、
ぱっと光が灯り、
離すと消えた。
「おお、便利じゃん!」
自分で感動しつつ、
「これなら売れるかも」とニヤリ。
名前は「タッチランタン」と命名。
能力を隠すため、
「魔石の性質を利用しただけ」と説明するつもりだ。
翌日、
市場で売るためにギルドに申請。
許可をもらい、
小さな机を借りてタッチランタンを並べた。
「便利なランタンですよ~
触るだけで光ります!」と
控えめに呼び込みを始める。
最初は誰も寄ってこなかったが、
通りがかりの冒険者が興味を示した。
「へえ、触るだけ?
どれどれ」と手に取る。
光が灯ると、
「おお、こりゃ楽だな!
いくらだ?」
「銅貨10枚でどうですか?」
誠也が適当に言うと、
「安いな、買うよ」と即決。
その後も、
商人や旅人が次々に購入。
夕方には5個売れ、
銅貨50枚を手にしていた。
「初日でこれなら上出来だな」
誠也は満足げに笑う。
そこへ、
見覚えのある顔が近づいてきた。
ガルドだ。
「おお、誠也じゃないか!
商売始めたのか?」
「まあ、ちょっとだけ」と誤魔化しつつ、
タッチランタンを見せる。
ガルドが触って光らせると、
「こりゃいいな!俺にも一つくれよ」と笑う。
「特別に銅貨8枚でいいですよ」
誠也が冗談っぽく言うと、
「けちだな!」と笑いながら払ってくれた。
「道具作りって言ってたが、
なかなかやるじゃないか。
また何か作ったら見せてくれよ」
ガルドはそう言って去った。
誠也は「バレてない…よな?」と少し不安に。
市場が終わり、
作業場に戻った誠也は
稼いだ銅貨を机に並べる。
「これなら飯代くらいは余裕だな。
次は何作ろうか…」
のんびりした生活への第一歩に、
彼は小さく笑った。
ただ、心の片隅で、
「能力の制御、もう少し練習しないとな」と
思うのだった。
石畳の道を歩き始めた。
ガルドとの別れ際に見つけた
商業ギルドの看板を目指して、
少しワクワクしながら進む。
「とりあえず生活の基盤を作らないとな…」
そう呟きつつ、
ポケットの中で光る枝を握り直した。
「物体に魔力を付与する能力」は、
まだ制御が甘いものの、
魔道具作りに活かせそうな予感がしていた。
ただし、
「絶対にバレないようにしないと」と
自分に言い聞かせる。
町の中は賑やかだった。
市場では商人たちが大声で呼び込み、
冒険者らしき剣士や魔法使いが歩き回る。
木造の建物が並び、
屋根には色とりどりの布が飾られている。
誠也は商業ギルドの建物に到着。
木と石でできた素朴な外観だが、
中からは活気のある声が漏れてくる。
扉を開けると、
受付に立つ若い女性が笑顔で迎えた。
「おや、新顔だね。
何か用かい?」
誠也は少し緊張しつつ、
「えっと、登録したいんですけど…」と答える。
「商業ギルドへようこそ!
名前と特技を教えてくれれば、
すぐ手続きするよ。
登録料は銅貨5枚ね」
誠也はガルドにもらった
わずかな銅貨を握り潰さないよう渡し、
「誠也です。特技は…道具作りです」と伝えた。
能力を隠すため、
曖昧に「道具作り」とだけ言う。
受付嬢は「道具作りかぁ、
いいね!魔道具なら需要あるよ」と笑う。
登録証を受け取り、
小さな作業場を案内された。
そこはギルドの裏にある
簡素な小屋で、
木の机と棚、
そして基本的な工具が揃っている。
「ここで好きに商売していいよ。
市場で売るならギルドに申請してね」
そう言って受付嬢は去った。
誠也は小屋の中を見回し、
「意外と悪くないな」と呟く。
まずは何か作ってみようと決意。
ポケットから光る枝を取り出し、
机に置いて観察する。
「これ、夜道で便利そうだよな…
でも、バレないようにするには
普通の道具っぽくしないと」
市場で見た
ガルドの簡易ランタンを思い出す。
あれは魔石に魔法をかけたものだった。
誠也は「魔石なら自然に見えるかも」とひらめく。
作業場の棚に
小さな魔石が転がっているのを見つけ、
手に取ってみる。
普通の石ころみたいだが、
ほのかに力を感じる。
「これに能力を込めてみよう」
目を閉じ、
「光れ」とイメージしながら力を込める。
すると、魔石が淡く輝き始めた。
枝と同じような光だが、
より安定している。
「よし、成功!」
誠也は小さくガッツポーズ。
ただ、
「これだけじゃ普通の魔道具と変わらないな…
もう一工夫欲しい」と考える。
机の上の工具を見ると、
小さな鉄の棒があった。
それに魔石をくっつけて、
簡易ランタンっぽくしてみようと決めた。
鉄棒に魔石を固定し、
「触ると光る」ように能力を調整。
試しに触ると、
ぱっと光が灯り、
離すと消えた。
「おお、便利じゃん!」
自分で感動しつつ、
「これなら売れるかも」とニヤリ。
名前は「タッチランタン」と命名。
能力を隠すため、
「魔石の性質を利用しただけ」と説明するつもりだ。
翌日、
市場で売るためにギルドに申請。
許可をもらい、
小さな机を借りてタッチランタンを並べた。
「便利なランタンですよ~
触るだけで光ります!」と
控えめに呼び込みを始める。
最初は誰も寄ってこなかったが、
通りがかりの冒険者が興味を示した。
「へえ、触るだけ?
どれどれ」と手に取る。
光が灯ると、
「おお、こりゃ楽だな!
いくらだ?」
「銅貨10枚でどうですか?」
誠也が適当に言うと、
「安いな、買うよ」と即決。
その後も、
商人や旅人が次々に購入。
夕方には5個売れ、
銅貨50枚を手にしていた。
「初日でこれなら上出来だな」
誠也は満足げに笑う。
そこへ、
見覚えのある顔が近づいてきた。
ガルドだ。
「おお、誠也じゃないか!
商売始めたのか?」
「まあ、ちょっとだけ」と誤魔化しつつ、
タッチランタンを見せる。
ガルドが触って光らせると、
「こりゃいいな!俺にも一つくれよ」と笑う。
「特別に銅貨8枚でいいですよ」
誠也が冗談っぽく言うと、
「けちだな!」と笑いながら払ってくれた。
「道具作りって言ってたが、
なかなかやるじゃないか。
また何か作ったら見せてくれよ」
ガルドはそう言って去った。
誠也は「バレてない…よな?」と少し不安に。
市場が終わり、
作業場に戻った誠也は
稼いだ銅貨を机に並べる。
「これなら飯代くらいは余裕だな。
次は何作ろうか…」
のんびりした生活への第一歩に、
彼は小さく笑った。
ただ、心の片隅で、
「能力の制御、もう少し練習しないとな」と
思うのだった。
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