【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

第41話：ダンジョンの鉱脈と岩の咆哮

リナが弓を抱えて部屋に入ってきた。  
「おはよう、誠也。  
ドワーフの朝飯って、  
腹にずっしりくるね。  
今日はどうするつもり？」  

「鍛冶場でも覗いてみようか。  
何か新しいアイデアが浮かぶかもしれない。」  

二人は宿を出て、  
鍛冶場へと足を向ける。  
炉の熱が空気を震わせ、  
ドワーフたちが鉱石を叩き潰す。  
その中でも、  
一人のドワーフがひときわ目を引いた。  
赤い髭が風に揺れ、  
革鎧に覆われた体はがっしり。  
肩に担ぐ巨大なハンマーが、  
朝陽に鈍く光っている。  

「おお、旅人じゃないか！  
俺はバルド、  
鍛冶師で冒険者だ。  
お前ら、  
何か企んでそうな顔してるな？」  
豪快な笑い声が響き渡る。  

誠也が応じる。  
「誠也です。  
魔道具を作ってるよ。  
ここの鍛冶、迫力ありますね。」  

バルドの目がキラリと光る。  
「魔道具だって？  
面白い奴だ！  
俺は鉱石を武器に打ち直すのが仕事だが、  
魔力を込めるなんて聞いたことねえ。  
酒でも飲まねえか？」  

リナがにやりと笑う。  
「私はリナ、猟師だ。  
一杯なら付き合ってやるよ。」  

三人は鍛冶場の片隅に腰を下ろし、  
酒を酌み交わす。  
バルドが話し始めた。  
「ノルディアのダンジョンって知ってるか？  
鉱山の奥にあるんだ。  
希少な鉱石や宝石がゴロゴロしてるが、  
最下層まで潜った奴はいねえ。  
ゴーレムって岩の魔物が  
うろついててさ。」  

誠也が興味をそそられる。  
「どんな鉱石があるんです？」  

「青い輝石や  
魔力を秘めた黒鉄だ。  
鍛冶師には夢の素材さ。  
俺はずっと潜りたくてうずうずしてた。  
お前ら、どうだ？  
一緒に捜索に行ってみねえか？」  

リナが首を振って笑う。  
「面白そうじゃないか。  
私は行きたい。  
誠也はどう思う？」  

「行くよ。  
魔道具の材料になるなら、  
絶好のチャンスだ。」  

三人は準備を整え、  
ダンジョンへと向かった。  
鉱山の奥、  
石壁にぽっかり開いた穴が入口だ。  
バルドが松明を掲げる。  
「気をつけろよ。  
ゴーレムは硬くて重いんだ。」  

ダンジョンの中へ足を踏み入れる。  
石の通路が続き、  
壁に鉱脈がキラキラ輝く。  
誠也がナイフで軽く削ると、  
青い輝石がこぼれ落ちた。  
「これ、すごい。  
魔力が脈打ってるみたいだ。」  

リナが弓に矢を番え、  
周囲を見回す。  
「静かすぎて逆に怪しいね。  
何か近づいてきてるよ。」  

通路の奥から、  
ガコン、ガコンと重々しい足音が近づく。  
ゴーレムが姿を現した。  
岩の体に苔が絡みつき、  
赤い目が不気味に光る。  
2メートルを超える巨体が、  
拳を振り上げるだけで威圧感を放つ。  

バルドがハンマーを握り直す。  
「来やがったな！  
俺がぶちかます！」  
勢いよく飛び出し、  
ハンマーをゴーレムの腕に叩きつける。  
石が砕け散るが、  
ゴーレムは微動だにしない。  

リナが素早く矢を放つ。  
「硬すぎる！  
目なら効くか？」  
矢がゴーレムの目に命中し、  
一瞬だけ動きが鈍る。  

誠也が煙幕発生器を取り出す。  
「煙で視界を塞ごう！」  
木材から灰色の煙が噴き出し、  
通路が霧に包まれる。  
ゴーレムが混乱し、  
拳を壁に叩きつけて暴れ出す。  

バルドが叫び声を上げる。  
「今だ！  
叩き潰せ！」  
ハンマーを振り下ろし、  
ゴーレムの足を砕く。  
巨体が崩れ落ち、  
石の破片が飛び散る。  

三人は肩で息をつく。  
誠也が輝石を拾い上げる。  
「強い魔物だな。  
でも、これなら苦労した甲斐がある。」  

バルドが豪快に笑う。  
「お前らの道具と弓、  
いい連携だぜ。  
もっと奥へ進むぞ。  
宝石が待ってるんだ！」  

ダンジョンをさらに進む。  
二層目に差し掛かると、  
黒鉄の鉱脈が壁に浮かぶ。  
リナが目を細める。  
「これ、武器にしたら頼もしいね。  
最下層は未知だけど、  
ここまででも十分すごい。」  

すると、再び重い足音。  
今度はゴーレムが二体現れる。  
バルドがハンマーを振り回す。  
「俺が一匹引きつける！  
残りは頼む！」  

リナが矢を連続で放つ。  
「援護するよ！」  
矢がゴーレムの目に刺さり、  
動きを封じる。  

誠也が護身用ナイフを握る。  
「俺も行く！」  
素早くゴーレムの足元に滑り込み、  
ナイフで岩の継ぎ目を切り裂く。  
動きが鈍り、  
バルドがハンマーで仕留める。  

三人が息を合わせて二体目を倒す。  
バルドが黒鉄を手に取る。  
「最高の収穫だ！  、  
これで満足だぜ。」  

ダンジョンから出て、  
ノルディアの宿に戻る。  
誠也が輝石と黒鉄を眺める。  
「ここの素材なら、  
何か面白いものが作れそうだ。  
ノルディア、いい場所だ。」  

リナが笑顔を見せる。  
「調査団も来ないし、  
冒険も楽しかった。  
次はどうする気？」  

バルドが肩を叩く。  
「またダンジョン潜ろうぜ。  
お前らの力、  
俺の鍛冶にピッタリだよ。」  

ノルディアの炉の火が揺らめき、  
新たな絆が温かく灯っていた。