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第十八話:迫る黒い影、そして結束する光
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エリオット・アシュフォードの不正を克明に記した証拠書類の写しは、アリアドネの周到な手配とルシアンの機転、そして辺境伯アルフレッドが差し向けた信頼できる使者によって、厳重な警戒の中、バルトフェルド辺境伯とアルバン元王宮薬草管理官のもとへそれぞれ届けられた。
書状を検分した二人の反応は、アリアドネの予想通り、あるいはそれ以上のものだった。
辺境伯アルフレッドは、アシュフォード公爵のあまりの非道と、その強欲さが領民だけでなく、国家の品位をも貶めていることに激しい怒りを表明した。
「許し難い……断じて許し難い暴挙だ!アリアドネ殿、いや、もはや同志よ。このアルフレッド、我が身の全てを賭して、必ずやアシュフォードの罪を白日の下に晒し、正義を執行することを誓おう!」
アルバン元薬草管理官もまた、長年仕えた王宮の、そして貴族社会の腐敗を嘆きつつ、アリアドネの勇気と行動力を称賛した。
「エリオット卿の悪行は、もはや看過できる範囲を越えておる。儂も、薬師ギルドの長老たちや、まだ良識を失っておらぬ一部の貴族たちに働きかけ、側面から君たちの戦いを支援しよう。この腐りきった現状に、一石を投じる時が来たのじゃ。」
こうして、アリアドネ、ルシアン、辺境伯アルフレッド、そしてアルバン元薬草管理官という、立場も年齢も異なる四者の間に、アシュフォード公爵家を断罪するという共通の目的のもと、強固な結束が生まれた。
彼らは極秘裏に連絡を取り合い、入手した証拠の信憑性をさらに高めるための追加調査や、それを公表する際の政治的な影響、そして何よりも効果的なタイミングについて、慎重かつ大胆な戦略を練り始めた。
一方、アリアドネの「瑠璃色の薬草店」の成功と、夫エリオットに関する不穏な噂(鉱山開発被害の件などが、ルシアンの記事によって少しずつ広まり始めていた)を耳にしたリディアは、ついに堪忍袋の緒が切れたかのように、具体的な妨害工作を開始した。
まず、王都の裏社会に通じる悪質な情報屋を使い、「瑠璃色の薬草店で扱っている薬草は、実は品質が悪く、中には有害な成分が含まれているものもある」という根も葉もないデマを、市場の商人や一部の貴族たちの間で流させた。
さらに、懇意にしている王都の衛生監察局の役人に圧力をかけ、「抜き打ち衛生検査」と称して、頻繁に店へ嫌がらせの査察を送り込んできた。
しかし、これらの卑劣な妨害工作は、アリアドネの先見の明と、彼女を支える協力者たちの力によって、ことごとく打ち破られることになる。
悪質なデマに関しては、ルシアンが自身の新聞で「『瑠璃色の薬草店』徹底検証ルポ!驚くべき品質管理と救われた人々の声」と題した特集記事を掲載。
アリアドネが薬草の買い付けから調合、保管に至るまで、いかに厳格な品質管理を行っているか、そして実際に彼女の薬によって健康を取り戻した多くの人々の感動的な証言を紹介することで、デマを一蹴した。
衛生監察局の役人による嫌がらせの査察に対しては、アルバン元薬草管理官が事前にその動きを察知し、旧知の監察局上層部に釘を刺すとともに、その役人自身が過去に行っていた不正行為(特定の業者からの賄賂受領など)の証拠を掴み、逆に役人の首を絞める結果となった。
その役人は顔面蒼白となり、二度と「瑠璃色の薬草店」に近づくことはなかった。
妨害工作がことごとく失敗に終わり、かえって「瑠璃色の薬草店」の評判を高める結果となったことに、リディアはヒステリックなまでに苛立ちを募らせた。
その金切り声のような怒声が、アシュフォード公爵家の使用人たちの間で密かに囁かれるようになったという。
アリアドネは、これらの妨害を冷静沈着に乗り越えながらも、鉱山開発被害者への支援活動を決して止めることはなかった。
サラが故郷の店から送ってくる質の高い薬草と、王都で新たに開拓した仕入れルートから入手する貴重なハーブを使い、被害者の症状を緩和するための薬を調合し続けていた。
その活動は、ルシアンの筆によって感動的な物語として新聞に連載され、王都の多くの人々の心を打ち、「顔の無い聖女」「瑠璃色の救い主」といった呼び名と共に、アリアドネの店には彼女の活動を支持する人々からの寄付金や応援の手紙が絶え間なく届くようになった。
その中には、匿名を条件に、鉱山開発の被害状況に関する新たな情報や、エリオットの非道な行いに関する内部告発めいた手紙も含まれており、それらはアリアドネたちの計画にとって貴重な追加証拠となっていった。
ある月夜の晩、アリアドネ、ルシアン、辺境伯アルフレッド、そしてアルバン元薬草管理官の四者は、人目を忍んでアルバン邸の書斎に集まった。
テーブルの上には、入手した全ての証拠書類の写しと、それらを裏付ける数々の証言、そして緻密に練り上げられた計画書が広げられている。
「……準備は整いましたな。」
辺境伯が、静かに、しかし力強く言った。
計画は、こうだ。
まず、ルシアンが自身の新聞で、数日間にわたる連続スクープ記事として、アシュフォード公爵の鉱山開発における不正行為と健康被害の実態、そしてリディアの贅沢な生活の裏にある金の流れを、具体的な証拠と共に暴露する。
その記事が王都中に衝撃を与えるのと時を同じくして、貴族議会の定例会議の場で、辺境伯アルフレッドがアシュフォード公爵エリオットに対する公式な告発動議を提出。
入手した証拠の全てを議会に提示し、徹底的な調査と法に基づく厳正な処罰を要求する。
アルバン元薬草管理官は、薬師ギルドの長老たちや、良識派の貴族たちに事前に根回しを行い、議会での告発動議がスムーズに可決されるよう、世論と議会内の空気を醸成する。
そして、アリアドネは……彼女は、この全ての計画の立役者でありながら、表舞台には立たない。
彼女の役目は、薬草師として、この騒動の中で苦しむ人々がいれば手を差し伸べ、そして、全てが終わった後に、偽りのヴェールが剥がされた王都に、真の癒しをもたらすこと。
「決行の日は、三日後の貴族議会開催日といたしましょう。」
アリアドネの静かな宣言に、三人の男たちは力強く頷いた。
長きにわたる準備は終わり、ついに反撃の狼煙が上がろうとしていた。
書状を検分した二人の反応は、アリアドネの予想通り、あるいはそれ以上のものだった。
辺境伯アルフレッドは、アシュフォード公爵のあまりの非道と、その強欲さが領民だけでなく、国家の品位をも貶めていることに激しい怒りを表明した。
「許し難い……断じて許し難い暴挙だ!アリアドネ殿、いや、もはや同志よ。このアルフレッド、我が身の全てを賭して、必ずやアシュフォードの罪を白日の下に晒し、正義を執行することを誓おう!」
アルバン元薬草管理官もまた、長年仕えた王宮の、そして貴族社会の腐敗を嘆きつつ、アリアドネの勇気と行動力を称賛した。
「エリオット卿の悪行は、もはや看過できる範囲を越えておる。儂も、薬師ギルドの長老たちや、まだ良識を失っておらぬ一部の貴族たちに働きかけ、側面から君たちの戦いを支援しよう。この腐りきった現状に、一石を投じる時が来たのじゃ。」
こうして、アリアドネ、ルシアン、辺境伯アルフレッド、そしてアルバン元薬草管理官という、立場も年齢も異なる四者の間に、アシュフォード公爵家を断罪するという共通の目的のもと、強固な結束が生まれた。
彼らは極秘裏に連絡を取り合い、入手した証拠の信憑性をさらに高めるための追加調査や、それを公表する際の政治的な影響、そして何よりも効果的なタイミングについて、慎重かつ大胆な戦略を練り始めた。
一方、アリアドネの「瑠璃色の薬草店」の成功と、夫エリオットに関する不穏な噂(鉱山開発被害の件などが、ルシアンの記事によって少しずつ広まり始めていた)を耳にしたリディアは、ついに堪忍袋の緒が切れたかのように、具体的な妨害工作を開始した。
まず、王都の裏社会に通じる悪質な情報屋を使い、「瑠璃色の薬草店で扱っている薬草は、実は品質が悪く、中には有害な成分が含まれているものもある」という根も葉もないデマを、市場の商人や一部の貴族たちの間で流させた。
さらに、懇意にしている王都の衛生監察局の役人に圧力をかけ、「抜き打ち衛生検査」と称して、頻繁に店へ嫌がらせの査察を送り込んできた。
しかし、これらの卑劣な妨害工作は、アリアドネの先見の明と、彼女を支える協力者たちの力によって、ことごとく打ち破られることになる。
悪質なデマに関しては、ルシアンが自身の新聞で「『瑠璃色の薬草店』徹底検証ルポ!驚くべき品質管理と救われた人々の声」と題した特集記事を掲載。
アリアドネが薬草の買い付けから調合、保管に至るまで、いかに厳格な品質管理を行っているか、そして実際に彼女の薬によって健康を取り戻した多くの人々の感動的な証言を紹介することで、デマを一蹴した。
衛生監察局の役人による嫌がらせの査察に対しては、アルバン元薬草管理官が事前にその動きを察知し、旧知の監察局上層部に釘を刺すとともに、その役人自身が過去に行っていた不正行為(特定の業者からの賄賂受領など)の証拠を掴み、逆に役人の首を絞める結果となった。
その役人は顔面蒼白となり、二度と「瑠璃色の薬草店」に近づくことはなかった。
妨害工作がことごとく失敗に終わり、かえって「瑠璃色の薬草店」の評判を高める結果となったことに、リディアはヒステリックなまでに苛立ちを募らせた。
その金切り声のような怒声が、アシュフォード公爵家の使用人たちの間で密かに囁かれるようになったという。
アリアドネは、これらの妨害を冷静沈着に乗り越えながらも、鉱山開発被害者への支援活動を決して止めることはなかった。
サラが故郷の店から送ってくる質の高い薬草と、王都で新たに開拓した仕入れルートから入手する貴重なハーブを使い、被害者の症状を緩和するための薬を調合し続けていた。
その活動は、ルシアンの筆によって感動的な物語として新聞に連載され、王都の多くの人々の心を打ち、「顔の無い聖女」「瑠璃色の救い主」といった呼び名と共に、アリアドネの店には彼女の活動を支持する人々からの寄付金や応援の手紙が絶え間なく届くようになった。
その中には、匿名を条件に、鉱山開発の被害状況に関する新たな情報や、エリオットの非道な行いに関する内部告発めいた手紙も含まれており、それらはアリアドネたちの計画にとって貴重な追加証拠となっていった。
ある月夜の晩、アリアドネ、ルシアン、辺境伯アルフレッド、そしてアルバン元薬草管理官の四者は、人目を忍んでアルバン邸の書斎に集まった。
テーブルの上には、入手した全ての証拠書類の写しと、それらを裏付ける数々の証言、そして緻密に練り上げられた計画書が広げられている。
「……準備は整いましたな。」
辺境伯が、静かに、しかし力強く言った。
計画は、こうだ。
まず、ルシアンが自身の新聞で、数日間にわたる連続スクープ記事として、アシュフォード公爵の鉱山開発における不正行為と健康被害の実態、そしてリディアの贅沢な生活の裏にある金の流れを、具体的な証拠と共に暴露する。
その記事が王都中に衝撃を与えるのと時を同じくして、貴族議会の定例会議の場で、辺境伯アルフレッドがアシュフォード公爵エリオットに対する公式な告発動議を提出。
入手した証拠の全てを議会に提示し、徹底的な調査と法に基づく厳正な処罰を要求する。
アルバン元薬草管理官は、薬師ギルドの長老たちや、良識派の貴族たちに事前に根回しを行い、議会での告発動議がスムーズに可決されるよう、世論と議会内の空気を醸成する。
そして、アリアドネは……彼女は、この全ての計画の立役者でありながら、表舞台には立たない。
彼女の役目は、薬草師として、この騒動の中で苦しむ人々がいれば手を差し伸べ、そして、全てが終わった後に、偽りのヴェールが剥がされた王都に、真の癒しをもたらすこと。
「決行の日は、三日後の貴族議会開催日といたしましょう。」
アリアドネの静かな宣言に、三人の男たちは力強く頷いた。
長きにわたる準備は終わり、ついに反撃の狼煙が上がろうとしていた。
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