げーむ?

レッドスター赤星

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サン

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 おれは祖母、父と暮らしているが、父とは仕事の都合上最近はまったく会っていない。
 たまに家には帰ってきているそうだが、すでにおれが寝ている頃だそうだ。

「ばあちゃん、おれもう寝るからね」

「あぁ、わかったよ。おやすみ」 

 ばあちゃんには感謝しかない。身体が重いだろうに、ずっとおれの面倒を見てくれているのだから。
 それだけではなく、いつも「おかえり」や今みたいに「おやすみ」と毎日欠かさず言ってくれる。

「……おやすみなさい」

 おれはそんなばあちゃんが大好きだ。

   

■     ■     ■


「ふぅ~、疲れた」

 ばあちゃんには「おやすみ」と言ったものの、現代の日本人らしくおれは真っ暗な部屋でスマホをいじっていた。

 とはいっても、いつものようにゲームで遊んでいるわけではない。
 佐藤さんとMINEで連絡をしあっていたのだ。一年生の頃から佐藤さんとMINEはしていたが、いずれも学校関連の事務的な内容だった。
 だが、今日の『げーむ?』をきっかけに個人的な話をするようになった。時間を無駄にしたと思っていたが、佐藤さんとの距離を縮めるいいきっかけになったかもしれない。

 とはいっても、おれ達は初対面に近い関係だ。あまり踏み込んだ話などすることもなく、そのほとんどが『げーむ?』の内容だった。

「……もう寝よう。いつもより一時間も遅くなった」

 スマホで時間を見てみれば23時56分だった。普段から朝の5時に起きているので、たった5時間しか寝る事ができない。
 憂鬱な気分になるが明日は休みだし、寝坊しても朝ご飯が作れなくなるだけで、悪い影響も少ないだろう。

 
 それからおれが自分の意識を飛ばすのに時間はかからなかった……。



「っ! なんだ、これ?」

 ……はずだった。
 おれは間違いなく寝たはずだ。だというのに何故おれは……。


「学校にいるんだ?」

 太陽のお陰でボロボロだけれど歴史あると一見してわかる学校も、夜になれば恐ろしく見える。
 とても不気味で、見ているだけで心が震えると同時に身体も震える。夜の冷たい風があたり、恐怖によって混乱していたおれの心は冷静になった。

 後ろを見れば門が閉じていて、まるで独房にでも入れらてたかのような錯覚に陥る。夜風によって葉が音を立てて揺れる。
 日常生活の中ではどうでもよかった光景も今となっては何故か注目してしまうのだ。

「ね、猫屋敷くん?」

「っ! 誰だ!」

 不意に背後から聞こえた声におれはバッ! っと勢いよく振り返る。
 
「あ、あの、……佐藤です」

 ビクッと驚いた様子の佐藤さんを見ておれは自分を殴りたくなった。
 いくら気が動転していたとしても女の子を無闇矢鱈むやみやたらにビビらせるのは一人の男として最悪だろう。

「ご、ごめん。許してくれ」

「その……こちらこそ……ごめんなさい」

 佐藤さんが手を前で組みながら下を向いてしまった。場の空気が悪くなっていくのがわかったが、そんなことより今は何故ここに佐藤さんがいるのかが気になった。
 だがそんなおれの疑問なんてどうでもいいというようなタイミングで新たな声がおれにかかってきた。


「零士! なんでおれ達は学校にいるんだ!?」

「……落ち着け優斗。……おれだって分からない」

 優斗の気持ちも痛いほどわかる。今でこそ三人もいるわけだが、おれだって初めは恐ろしくて震えていたのだから。

「え、ないこれ!? なんであたし学校にいるの!?」

「……なにがおきやがった?」


「永井に朝霧さんも……偶然か?」

 まだ時間が経てば人が来るかもしれないが、ここにいるのは『げーむ?』をやった5人だ。これが偶然なのかどうかはわからないが、どちらにせよ気味が悪い。

「ま、愛菜! よかった! 一人じゃ……」

 そう言いながら佐藤さんに抱きつこうとした朝霧さんだが、その途中で何か恐ろしいものを見たかのように静止した。
 その様はまさに異様でおれ達は不審がったが、次第にみんな朝霧さんの見ている先を追いかけた。

「な、なんだよあれ!?」

「が、ガキか!?」

 そこにいたのは……




 ……異様なほどデカい口を大きく歪め、歯茎を丸出しにしておれ達を睨み、血が付着しているなたを肩に担いでいる、おかっぱの日本人形のような少女だった。








 
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