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【第二章】愚者王の恋
19.※R18
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「まって! ……お風呂は!?」
「うるさい!! お前が仕掛けたんだろうが!!」
「し、しかけてない!! あ、っや、め……!」
破らないで、という悲痛な声も衣服を引き裂く音でかき消される。先ほど聞こえた《ぶちっ》という音も、伊久磨の腰を抱いていたジェニの両手が服を鷲掴み、一気に背中部分を左右に引き裂いた音だったようだ。
「ジェニッ! 少し落ち着い……」
あ、無理そう。
キングサイズ以上あるジェニの天蓋付きベッド。その中央へ押し倒された伊久磨は、酒で気怠い体をなんとか起こしながら制止を求めた。が、見上げたジェニの瞳は完全に座っていた。
フーフーッ、と獣のような呼吸で歯を食いしばり、ベッド上部へ逃げようとする伊久磨の足首をアザが付きそうなほど強く掴んでは、そのまま手前に引っ張る。態勢を崩して、仰向けになる伊久磨の身体に馬乗りになると、今度は真正面から胸倉をつかまれ――。
「た、たのむ、話を聞い………っ!!」
ビリリリッとつんざく音が室内に響いた。
エガリテが特注で仕立てた正装は、分厚く上等な布地だった。にも関わらず、興奮した男の手により無残にも布切れと化した上、破られたことで肌着を着用していなかった伊久磨の胸部が露になる。
こんな非道な行いをされているのに、それでもジェニとの触れ合いを歓迎するかのように桃色に光る聖痕部分が目につき、慌てて女の子のように胸部を腕で覆い隠してしまった――これでは百歩譲って同意の行為のはずが、見方によっては強姦だ。
「……悪いが、俺はもうこれ以上焦らされるつもりはない」
俺がどれだけ我慢してきたと思ってるんだと、顔面を暗黒色にして凄まれる。決闘でも申し込まれそうな気迫だ。これでもし邪魔が入ったら、確実に相手の息の根を止めそうだ。
男はギラつく瞳で肌を隠す伊久磨に狙いを定めながら、煩わしそうに口で黒革の手袋を外し、上着を乱雑に脱ぎ捨てる。月明かりに照らされて、ジェニの彫刻のような肉体美が目の前に現れた。
特に胸部から腹筋にかけての筋肉の流れは繊細で、芸術的だ。思わず、目を奪われていると顔を近づけられ「人の身体はじろじろ見ておいて、自分は隠すのか?」と揶揄されたことに、耳まで紅潮し、慌てて目を反らす。
「――違っ、…ご、ごめ……!」
「あやまらなくていい」
「あっ……!!」
俺も遠慮せずに食わせてもらうからな、と男は胸元を隠したままの伊久磨の両手首を掴むと、思い切り左右に開かせた。ジェニの目の前に差し出された、胸元の粒と聖痕。
恥ずかしい。期待するようにツンと上をむいてたちあがっていた胸の突起も恥ずかしいし、はやくしてと強請る様に輝く聖痕も全部恥ずかしい。
同じ、男同士の身体なのに。
少し前までは胸をみられることぐらい、なんともなかったのに。伊久磨の部屋でジェニ一緒に過ごすようになった2週間。昼も夜も執拗にいじられすぎた胸の突起は、以前より存在感を増し、男に媚びる様に、すでに淫猥な赤みを帯びていた。
男はそんな伊久磨の胸部をねっとりと観察していたかと思うと――躊躇なく、右側の粒へ噛みつくいた。大きく口を開け乳輪ごと口に含むと、そのままぢゅうっ下品な音をたてて吸いあげた。
「――あ゙、っ、ああ! やッ……だ…!!」
痛烈な刺激に背骨がしなり、派手に身体が跳ねる。それだけで、身体が爆発してしまいそうだった。強い刺激に耐え切れず、やだ、と嫌がる様に身を捩ると、慰めのように肉厚な舌でべろりと舐め上げられた。まるで果実のように粒を甘噛みされ、弄ばれる。
「ん、ンぁ……うゔっ……!」
「声、抑えるなよ」
「ぅ、……んン………」
唇をつけたまま淫靡に喋られる。その肌を焼くような熱い吐息に腰が揺れ、目の前がぼんやりと霞み、目頭が熱くなった。胸元を飾る小さな部位を刺激されただけで、背中に電気が走るかのような鋭い愉悦が全身を駆け抜け、だらしない声がとまらない。
次第に、両胸ともジェニの唾液に塗れ、胸元にたまった男の唾液がつうっと脇腹を伝い落ちる。
その微細な感触にすら、過敏に反応してしまい、女の子のように震えてしまう。
「そのために人払いしてるんだからな」
見せつけるように濡れた突起を舌先であそびながら、所有権を主張するように口に含む。あまりの卑猥さに頭の中が沸騰しそうだ。熱に浮かされ、泣きそうな目でジェニを見つめながら「ア゛、ん、やあだ……♡」と鳴いていると、なぜか眼光鋭くにらまれた。
「……なんだ、その顔」
伊久磨の顔。自身は平凡だと言い張るが、伊久磨はかなり整った顔立ちだ。真面目過ぎるくらい真面目で、清潔感があり、誰に対しても穏やかで優しい男。性欲とは無関係そうに慈愛に満ちている伊久磨の瞳が、強烈な快楽に抗いきれず、熱でどろりと蕩けている。
「な、……にが……?」
無意識に男を誘う瞳の奥には性的興奮を示すように、しっかりとハートマークが浮き上がっている。禁欲的な男の、だらしなく性に乱れた顔。その顔に、ジェニはイラついた様に胸から顔を上げると、吸い寄せられるように伊久磨へと顔を寄せた。
「おい……口開けろ」
「ン、あ……っは、……ぁ♡」
視界が迫力のある美形でいっぱいになった伊久磨は、命令されるがままに口を開け、舌をさしだした。
そこまで命令されていないのに無意識に動いてしまうのは、もうこの男がどうすれば悦ぶのかを、体が覚えてしまっているから。案の定、男は満足そうに笑いながら、伊久磨の手首の拘束を解き、逃げられないように後頭部に手を添え――。
「ん、ぶ、ぐうぅ……ゔ…♡♡♡」
舌を思い切り吸われ、喉奥まで舌を突っ込まれた。キスとはいいがたい、凌辱のような行為。
呼吸ができずに、瞳から生理的な涙が零れる。酸素が足らず、息苦しい。それでも、拘束が解かれた手は抵抗することなく、男に媚びるようにジェニの太い首に腕を回し、自分からも舌を絡めた。
「……ッ♡ ふ、クソが……誘いやがって!」
「んう、うう………♡♡♡」
濃厚なキスの合間にも腹立たしそうに罵りながら、男は片手だけで忙しなく伊久磨のズボンを脱がし、また片手だけで自身のベルトにも手をかけた。衣服を剥ぎ取る手は粗暴なのに、伊久磨の口腔内を味わう舌の動きは甘露を舐めとるかのように丁寧で、優しい。
男の粘っこい唾液を大量に飲まされた伊久磨の身体は、歓喜にびくびくと震えていた。
舌を突っ込まれている喉奥から脳にかけてが、ずっと気持ちいい。陶酔するように夢中でジェニと舌を絡ませていると、いつの間にか下着の隙間から武骨な手が入り込んだ。
「は、ぁ……っ、んン゛ぅ~~~!!?♡♡」
その指先は、熱く潤んできていた伊久磨の局部をぐぢゅんと鷲掴みにし、衝撃で身悶えた。
「ここはもうどろどろだなぁ……後ろ、欲しいか?」
「ッ、ひ、………ぁ、あ゛……♡♡♡」
弓なりにのけ反った背中で苛烈な愉悦に身体を震えていると、微かに持ち上がった尻の隙間にジェニの指先が入り込む。
「あ゛、あ…ッ♡♡ ……だ、め……そこ♡」
「……『だめ』?」
甘く問われながら指先をつぷりとヒクつく窄まりに差し込まれる。
くちゅん、と第一関節ほど挿れられ、抜かれる。また挿れるかと思えば、指を待ってはくはくと震えるその孔の縁を愛おしそうに撫でられ、頭が爆発しそうになった。
「~~~~ッんン゙……ッぁあ゙!!♡♡」
「は……♡ 腰、揺れてるぞ♡」
はしたない声に興奮したようなジェニの言葉で、また体がおかしくなる。
苦しい。気持ちいい。ほしい。止まらない。
男を知らないはずの身体がジェニを欲して、脳と体が飢餓感で鳴き叫び、狂ったように快楽物質を垂れ流しているようだ。
下腹部の奥がずっと甘く痛んで、重苦しい。涙がぼろぼろと溢れて、淫靡に腰が動くのが止められない。
「ジェ、二………」
「なんだ」
「たす、け………ぁ……っ、やん♡♡♡」
ジェニの人差し指と中指が、悪戯にヒクつく後ろの孔に添えられ、くぱぁっと開かされているのがわかる。もう片方の手はぐにぐにと伊久磨のお尻の肉を卑猥に掴んで弄んでいた。
「んっ♡ んんっ♡♡♡」
「……舐めてやろうか?♡」
「あ、そ、れは……ぁ、……」
おふろ、はいってないから、と小さく鳴くと、それは美味そうだなと耳元で嗤われる。
初心者にはあまりにハードルが高すぎる誘いに「きょうは、だめ」とお願いすると「………なら明日は奥まで舐めてやるよ」と熱い吐息で耳介に噛みつかれた。
「………いいんだろ? 今日は《最後》まで」
静かに問われ、びくんと体がはねる。
正直、確認されるとは思わなかった。
流れ的に、問答無用で最後までされると思っていただけに、ここにきて、この男から《合意》を求められるとは露ほども思わなかった――といったら、怒るだろうか。
怒るだろうな。
霞む視界で彼を見ると、熱に浮かされた瞳はそのままにじっと伊久磨を見つめていた。
金色の髪が、ジェニの額に汗で張り付いている。それをみて、ジェニも人間なんだなと妙な感心をし、ごくりと息をのんでしまった。
「その、もし、僕が………最後までしない、って言ったら」
自分でも「ここまで流されておいて何を今更言ってるんだ」と内心呆れながらも、未練がましく「いつも、みたいに……する、の?」と言葉を続ける。実際、恥ずかしくて死にそうだ。
「……いつもとは?」
わかっているくせに、男が愉し気に尋ね返す。
その声に甘い色気が混ざっているのが、男の手のひらで転がされている感があり、余計に伊久磨の羞恥を煽っていく。
「~~そ、の…ッ…いつも、の……」
「これか?♡」
「ひぃ゛ッ!!?♡♡♡」
しどろもどろになりながらも、「素股で許してくれるんだよね?」的な確認をしようとした時。ぐぢゅんと尻の狭間に強靭なモノを擦り付けられ、全身の神経が爆発したかのように身体が硬直した。
足先までびくびくと打ち震えている間に膝裏を掴まれ、思い切り足を左右に開かされると――。
「あ゙ッ、だ、めッ! なんでいきな、あっ♡♡♡」
「好きなんだろうが! これが!」
「ん゛ひ、ごめ、んぁ、いやッ……あ゛、あンっん゛~~!!♡♡♡」
容赦なく腰を打ち付けられ始めた。ぐち、ばちゅと派手な水音を鳴らしながら無理やり欲望を叩きつけられて、脳の回路が焼けきれそうだ。
これ以上開かないというくらい膝を左右に押し開かれ、尻のきわどい位置を何度も掠めるジェニの生々しい欲望。
「お゛、ねがッ……ゆ、っくりし…っい゛♡♡♡」
「あぁ!? 自分でも腰をへこつかせておいて今更なんだよ!」
「ぁ、っいや、ご、め……あ゙ッ♡ んああ゙ッ♡♡♡」
きもちいい。腰がとけそう。これ、すき♡♡♡
ばぢゅ、ごちゅんと激しい水音を出されながらジェニに逞しい腰を当てられると、本当にシている気分になってしまい――彼とはしてはいけない、と常日頃から戒めのように自分へ言い聞かせてきていた伊久磨だからこそ、疑似セックス行為の破壊力はすさまじく。なけなしの理性を怒涛のごとく押し流していく。
「や、だッ、これ、つよっ……イっちゃ……っぅゔんン゛~~~ッッ♡♡♡」
散々強姦のように腰を使われた上で、ジェニに「おら♡イけよ!」と言われるともう何も考えられなくなるほど気持ちよくて――急激に精管を突き上げる射精感を押さえつけることができず、むせび泣きながら達してしまった。
「ぐッ……!!」
伊久磨が喉をさらけ出しながら盛大に果てた後、間を置かずに、ジェニも苦し気に顔を歪めたかと思うと生暖かい飛沫が顔や腹に散った。
目の前が白く弾け、朦朧とする意識で見下ろすと、伊久磨の下腹部は互いの濃厚な精液で白い海のようになっていた。
「ぁ……あ、は……♡♡」
いつもなら、「恥ずかしい」「やってしまった」と後悔しつつも、心は満たされていたはずなのに。
今日はその光景を目にして、余計に腹の奥深くが《雄》を求めるかのようにきゅんきゅんと切なく騒ぎ出し、未だに勢いの衰えないジェニの雄に目が釘付けになる。
「……っう、……♡♡♡」
「……で? お前は素股だけで終わりにしたいのか?」
「ぁ……ン♡ あっ♡」
いつもと様子が異なる伊久磨に気づいているのか。
ジェニは余韻に打ち震えつつも、物欲しそうに男の欲望をみつめる伊久磨を唆すようにぬちゅぬちゅと腰を押し付けてくる。
普段の伊久磨なら「もう終わりだよ」と「これ以上はだめ」とジェニを諭すのだが、酒と熱と快楽でまともな思考力を欠いた身体では、ろくな抵抗もできず。ジェニの卑猥な戯れに心地よさそうに吐息を吐きながら、うっとりとしていると。
「あぁ、そういえば……」
ジェニが顔を近づけ、思い出したように囁く。
「お前は俺が《ハートのクイーンの力を取り戻す》ためだけに、こちらに戻ってきたと勘違いしているみたいだが……」
「……?」
違うの?
そういわんばかりに、とろけた瞳を向けるとジェニが意地悪く嗤った。
「明日は俺の《生誕祭》だ」
「……?」
「つまり、こちらでは《20歳》になる」
「うん……………えッ!!!??」
なん、て?!?!!?
衝撃の告白に、思わず腕だけの力で起き上がってしまい、ゴツッとジェニに頭突きしてしまった。顔面に伊久磨の頭突きを受けたジェニが思わず「がッ!!」とのけ反る。
「あっ!! ごめん! 本当にごめん!!」
「~~~ッこの!! 貴様……!!」
突然正気に戻った伊久磨に、さすがのジェニも鼻を抑えながら痛みに文句を飲み込み「チッ……!! まだ完全なメス堕ちに至ってなかったか……!!」と下品に吐き捨てているが、それどころじゃない。
「君……20歳になるの!? しかも明日?!」
「そうだ」
「なんで!!?」
「明日が俺の生誕祭だからだ」
「そうじゃなくて!! だってまだ1年たってな……」
「1年待つとは言ったが、何も《あちらの世界で待つ》とは限定していなかった上に、こちらの世界で《あと何か月だ》とも正確に伝えていなかったからな」
「――ひ、卑怯だ!!」
「勝手に勘違いしていたのは貴様だろうが」
こういう時に《時差》というものは便利だ!
そう高笑いするジェニに、違う意味で涙がこぼれそうだ。
そうだ。この男はこういう男だった。
わかっていて、倫理観の狭間で揺れる伊久磨の反応を愉しんでいたに違いない。
わかってしまうと、伊久磨は両手で顔を覆い、はぁ~~と、ひときわ長いため息をついてしまう。ここ最近の自分の葛藤は一体何だったのだ。
「物のついでで教えやるが、確かにこちらの世界の《時間経過は早い》が、全体的にみると人類の寿命に特別大差はない。ここトランプ王国に関しては《平均寿命》は日本とかわらん」
「え?」
物のついでで一番気になっていた詳細を告げられ、手で覆っていた顔を上げてジェニを見る。
「こちらの世界……というか、星だな。そちらの地球より、《自転速度が速い》。だから、単純に日にちの経過は早いがな。……ま、出生地の違いによる体質変化についての研究等はされていないが、俺とお前に関しては、そもそも《魂に耐性がついている》せいで世界線変化による影響は全く受けない。スパーダに関しては降臨した時点で創造神の加護でもついてるだろうしな」
「じゃ、じゃあ、スパーダのクイーンの話は……」
「《恋煩い》だろ」
ジェニの口から飛び出してきたとは到底思えない言葉に耳を疑う。
「一生を誓ったスパーダ領主が不慮の事故で早くに死んだからな――残された夫人は苦しかったんだろ」
「…………そ、っか」
そうか。
そういわれてしまえば、ダノワの証言も全てつじつまが合う。そして《クイーンオブハート》の力を一時的に奪われ、女性となった身に起きた症状にも納得がいった。
アレは全部、恋煩いだったのかもしれない。
特に女性になった時は、ジェニと視線が合いづらく、触れられもしなかった。
2週間べったりだったのが嘘のようにどことなくそっけなくて、一線を引かれているような印象だっただけに、余計に症状がひどかった。
あの時はてっきり、やはり《女王の自分》にしか興味なかったんだと落ち込んでいたが――じゃあ、僕はやっぱり――彼の事が好きなのか?
ボッと、一度は収まっていた顔の熱が再発する。今なら湯気も出せそうだ。
ジェニを見る。
頭突きの痛みがひいたのか、いつも通り怖いくらい整った顔で「なんだ? あ?」とヤクザに眉をしかめている。
――今まで年齢を気にしていたのに、彼が《二十歳》になってしまえば、それもなくなる。
新たに出現した《世界線の問題》も、特に問題ないとなれば――障害が、何もなくなってしまったということか?
いや! 男同士で年齢差があるのは相変わらずだけど!!
「おい、お前なにまだ悩んで――」
「とにかく! 君がこっちに来たりあっちに行ったりしてもとりあえず体に害はないってことだよね!」
「俺が浮気性みたいな言い方をするな」
お前が勝手にあっちこっちに行くんだろうが、と叱られ、つい「面目ない」と謝ったが、今のは謝る必要があったのだろうか。自分がきたくて来たわけではなく、誘導されたというか、色々仕向けられた感があるというか――と、首をかしげていると「そういうわけで、お前は明日も帰れない」と断定するように指をさされた。
「え!! なんで!?」
「明日は俺の《生誕祭》に出席して、盛大に俺の《妃》として連れまわすからな」
各地方の領主どもや、諸外国のクソッタレも呼んでいる、と頭が痛くなるような言い方で吐き捨てる。
「お前は《俺のモノだ》と知らしめる場になる」
「で、でも、僕はここでは暮らさないんだし……何もそんな……」
「アホか。お前があちらにいようと、唯一降臨した《ハートのクイーン》であることはかわらんのだ。お前を手に入れるために世界線を越えてきそうな馬鹿がでてきてもおかしくない状況だからこそ、あえて大々的に開示する必要がある。何より、こちらの世界は、お前の世界よりも《既婚者》に手を出すことはタブー中のタブーで禁忌だからな」
あぁ、なるほど。それでパラスがあれだけ《既婚者》だなんだと騒いでいたのか、と手を叩いた。
「俺の妃だと公言すれば、《良識のある馬鹿》は手出しできなくなる。脳まで腐った身の程知らずは別だが、それはそれでいい《口実》にはなる――」
社会的にも、物理的にも盛大に抹殺するための素晴らしい口実がなァ、と凶悪殺人鬼の顔で意味深に嗤うジェニ。
なるほど、《本来の目的》はそれなのだろうな、と察して、遠い目になる。
「そういう手合いのウジ虫を殺処分するだけでも面倒なのに、そこに創造神まで余計な手を出し始めたら始末に負えんからな」
「…………」
創造神、アイ。
伊久磨に対しては友好的に見えたが、時折垣間見えたジェニを蔑むような目線や、創造神が手を貸した影響で、巨大すぎる力に暴走し、魂まで傷付きかけたパラスへ救済処置を施すどころかほぼ放置していた様子を思い出し、何とも言えない感情に包まれる。
しかし、創造神のおかげでジェニに出会えたのも事実。
一体、彼女は何がしたかったんだ? と、言葉にできない感情に苛まれていると、「――つまり、俺が何を言いたいかわかるか?」とジェニに問われ、「うん?」と顔を上げる。
「え、ごめん。何が?」
「聞いてなかったのか」
「うん、ごめんね。それで何――」
「《最後までする》という話だ」
へ?
言葉の意味をうまく脳が処理できず、いつもの呑気顔で首をかしげていると、ぽんと肩を押されて、再びベッドに仰向けに転がされた。
それだけでなく、パチンと彼が指を鳴らすと――なぜか唯一残っていた衣服の切れ端も、中途半端に脱がされていた下着やズボンもすべて消え去り、完全に全裸になっていた。
「――ななな、なに!? なんで!? どうして?!!?」
「乱れた姿で恥じらうお前も悪くないが、ここ2週間ずっと着衣だったしな」
初夜なら、これだろう。
男はいやらしく笑うと、再びパチンと指を鳴らし、自身も一糸まとわぬ彫像のような姿になった。
そんな技が使えるのなら、何故最初にそうしない――というか、わざわざエガリテが仕立ててくれた服を裂く必要なかっただろう!と詰りそうになったが、「大体、あの女が仕立てた服を着ているお前を俺がそのままにしておくとでも思ったのか?」と逆に詰られ、「それは確かにそうだな……」と妙に納得してしまっている間に、上に圧し掛かられた。
「…………す、するの?」
「する」
「きょ、今日?」
「そうだ」
「……………いまから?」
「そうだ、何度も言わせるな」
絶対に堕とすといっただろうが、と真顔で見下ろされ、男に圧し掛かられたままの下腹部が疼く。
どうしてこの男は、こうも一瞬で空気を作り変えてしまえるのだろうか。
思わず黙り込むと、ゆっくり腰を動かされはじめ、呼吸が乱れはじめる。
ただ肌を密着させただけなのに。お互いの精液でぬめった体は、すぐに反応し、下半身からダイレクトに脳へと足を開くよう指令を送り出す。
完全復活したジェニのソレを疼きだす下腹部にずりゅ、と擦り付けられて「ぁ……ん……」と甘い吐息が止まらない。
「ん、ん……♡♡」
「……ほしいだろ?」
ナカに、と頬をねっとり舐められながら、親指でぐりぐりと下腹部を刺激される。
きっとなにもかも彼にはバレているのだろう。物欲しそうに彼のモノを見つめていたことも、腹の奥が切なくて涙が止まらないことも―――そこまで考えて、ある一つの《懸念事項》が脳をかすめた。
そうだ。自分は妊娠する《らしい》身体だった。
「んンっ……♡ でも、ひ、避妊、は……?」
「………なんだ、覚えてたのか」
チッと舌打ちする男に、思わず軽蔑の眼差しを向けてしまう。行為の確認はする癖に、一番大事なところを濁して一気に流そうとしたな。
「まぁ、お前がどうしてもというのなら、試しに《コレ》を使ってみても構わんがな?」
言いつつ、男が伊久磨の目の前に右手を出す。
何も持たない手から、手品のように取り出した《コレ》――それは、まさに伊久磨の国で販売され、世界的にも避妊と言えばで有名な――正方形のパウチ。 《スキン》だった。
「な! なんでそれを!! 君が?!!」
「コンビニで買った」
「どこの?!」
「大学前の」
「ひぃいいい!!」
大学前ってよりにもよって僕がよく使うコンビニじゃないかっ!!!
あんなところで買ったなんて、恥ずかしくてもう行けそうにない。
「まぁこれを使ったところで無駄だと思うがな」
「はぁ!?」
「お前、自分の能力忘れたのか」
「能力って…」
自由。
それに一体なんの意味が、と思いつつ恨むようにジェニをジト目で見上げていると。
「そう《自由》だ。それは選択の自由でもある。俺と性交したお前が無意識下で俺の精液を《許可》し、《妊娠を希望》すれば――このゴムをしていたとしても、コイツは存在自体が消える」
「そんなことある!?」
「あるから言っている」
「じゃあなんで買ったの!? わざわざ大学前で!!」
「お前を試すためだ。妊娠は嫌だ、避妊してくれと言うお前が、コレを使って行為したにも関わらず、最終的に自分の意思でゴムを消して妊娠したら?」
最ッ高に愉快だろうが。
スキンの端を咥えてあくどく笑う男の姿に、絶句してしまった。
想像を絶する悪趣味。事前にこうして申告してくれただけ、まだマシなのだろうが――いや、マシなのか?
「~~~~………せ、性格が悪すぎる……」
「それこそ今更だろうが」
「うう~……」
もう、なんてことだ。
あまりにも酷すぎて、先ほどのように頭突きしてまで起き上がる気にもなれず、また両手で顔を覆い隠す。
メソメソと体を縮こませる伊久磨の耳に唇を寄せ、質の悪い男は「……で、どうするんだ?」と悪魔の声で囁くのだ。
全て打ち明けた上で、この男は自分に選べと言うのか。
もう答えがほぼ決まりかけた、この状況で。
指の隙間からちらりと男の口元を見ると、その口にはもうスキンがない。
どこかに投げ捨てたのだろうか。まだ答えを出していないというのに。
腹立たしさから、思わず長考する素振りを見せ、渾身の牛歩戦術でもしてやろうかとも思ったが、顔を隠す指先に噛みつかれ、指の隙間に舌を這わされ、完全に勃ち上がった逞しい欲望を揺らされたら「ん、んン……」と鼻にかけた声が漏れ出てしまう。
「伊久磨」
ズル過ぎる。
この低音で囁かれたら、自分が彼に甘くなってしまうことを知っていて、男はいつも、一番重要な局面で名前を呼んでくる。
これまで何度も、これで痛い目にあわされた。
許せない、卑怯だと思うのに、彼に名を呼ばれたらまた自分は許してしまうのだろう。
それくらい、もう身も心も彼に絆されてしまっていた。
「伊久磨、そろそろ顔みせろ」
案の定、耐え切れなくて手を外し、恨めしい顔でジェニを見ると男はわらっていた。
とんでもなく甘い顔で。
「………妊娠、する、かなぁ?」
「したいのか?」
「いまは……その、ちょっと……あっ、あ!」
まだ話している途中だというのに。
いつの間にか背後に回っていたジェニの不埒な指先が、くちゅくちゅと伊久磨の後孔に触れていた。指の腹がぐに、と押し付けられ、互いの吐き出した精液を塗り込んでいく。入るか、入らないかを探る様に悪戯に抜き差しされ、気が狂いそうだった。
「あん、や、だ、……指、だめ……っ」
「……子作りの時期はお前に任せる」
「……ん、ぁ♡」
「今はとにかく抱きたい」
「~~~~~ッンん、ぐ♡♡」
直接的な言葉とともに、長い指がぬぷぷっと内側に入り込んで息が止まる。そのままぐりゅんと内壁を探る様にまさぐられ、「ぐちょぐちょだなぁ?♡」と興奮した吐息を吹き込まれた。
「や、だ、きたな……ぁあ゙♡♡♡」
「……これだけ濡れてるのに、お前まだここがただの《排泄口》だと思ってるのか?」
「ン、んん、ひ……お、あッ♡♡♡」
いいつつ、男がいたずらな指を2本に増やし、くぱぁと中で押し広げだす。
その動きがあまりにも巧みすぎて、男の喋る内容が頭に入ってこない。たまらず男にしがみつきながら「指、ふやさない、で……!!」と泣きついてしまった。
「イイ事おしえてやるよ、お前の聖痕が反応している間は、ココはもう《メスの生殖器》と同じだ」
「っ、ぅあ゛♡♡ は、んン゛ッ♡♡♡」
愛液も出るし、子宮も完成しているみたいだしな、と指を挿れられている手と反対側の手のひらで腹をぐにぐにと押されて「ま、まっで、おなか、おさないでぇ……」と涙が零れた。
ジェニに下腹部を押されると、腹の奥にが熱くうねって、胎内が雄を求めてうごめきだすのがわかる。存在感のある長く男らしい節張った指が2本もはいっているのに、物足りない。
ジェニと出会うまで、自分で触れたことすらなかった部位なのに。中が潤んで、とろけて、指を美味しそうに飲み込んでいるのが嫌でもわかってしまう。
ほしい。奥に、ゆびじゃなくて。
もうどうにもならなくて、自分から媚びるように足を広げてジェニの腰に強請る様に絡ませていくと、突然指を抜かれた。
「あ、……っ、……ん……」
「……どうだ?」
セックスする気になったか?
密やかに囁かれながら、雄を求めるソコにジェニの先端がぐぷ、とあたる。ぬるついて、熱くて、生々しいソレ。
それだけで、「あ♡♡」と顔を綻ばせてしまった。
「あ……で、も、ゴム……してな……♡♡♡」
「いらんだろうが」
「で、も……」
「したくないのか? 俺と」
生ハメセックス、と囁かれて、もうだめだった。
下品すぎる言葉遣いなのに、その言葉を使われただけで呪文のように脳が愉悦に痺れて腹が疼いた。
「~~~っううう♡♡♡」
悪魔だ。同じ男だからわかっているはずなのに。
「……し、たい、です……」
ほしいよ、と蚊の鳴くような声で返すと、孔にあたっているジェニのモノがより質量を増した気がした。
次の瞬間には、全体重をかけて真上から抱きしめられ、唇にかみつかれた。
舌の根が抜けそうなほどぢゅるるうっと吸われると同時に、ぬぐぐっと切っ先が内壁を押しのけて体内へ侵入してくる。
「ンゔ、ぐ、……ぁ、ぁ、……ッ♡♡」
熱くて、かたくて、どくどくと脈打つソレがゆっくりと入り込んでくる。
内臓を押し上げて侵入してくるそれに、身体がひきつり、涙が止まらない。
痛い。無理。大きすぎる、こんなの入らない。裂ける――と、身を固くすると、ぎゅううっと抱きしめられて、違う意味で呼吸が止まる。
慰めるようにお尻の肉を揉まれて、たまらずジェニの背中に爪をたてると、余計に上から圧し掛かられるようにして体重をかけられた。
「んン゙ゔぅ~~~~ッッッ!!♡♡♡♡」
ごぷんッと一番太い部分が入り込んだ瞬間、意識が飛びそうになった。
そして、ソコを通過すると、あとはどんどん中のぬめりをかりて奥へ奥へと侵入してくる――あ、まって。すご、やだ、これ。
どこまで入るんだ?
「ま゙、っで! やだ、じぇ、に、こわ、ッ……あ゙!!♡♡♡」
痛いのに、気持ちいい。裂けそうなくらい縁が引きつれているのに、その痛みすら「もっといれて」といわんばかりに腹の奥が喜んでジェニに吸い付いて飲み込んでいるのがわかる。初めてなのに。
肝心のジェニは名前をよんでも反応してくれない。ずっと獣のような荒い息でフーフーと耳元で歯を食いしばるうめき声が聞こえる。彼の方がよほど苦しいだろうに、全く止まることなく奥へ進み――ばぢゅん、と彼の腰が伊久磨の尻にぶち当たった瞬間。
「お゙ッ………あ゙ッ♡♡♡♡」
声が、でない。目の前が白飛びし、喉を晒すようにのけぞらせてる。当たってる、一番奥に。ずっとジェニのを欲しがってキュンキュン鳴いていた体の最奥に、めりこんでる。
「――挿入れただけで、イッたのか?」
「………っ、♡♡ ぅ……♡♡♡」
やっと聞こえたジェニの声は掠れていた。チカチカする瞳でジェニを見ると、彼も肌を上気させてうっとりと熱にうかされた瞳をしていた。
「……あ、おね、が……まだ、うごかさ、な……あ゙ン!♡♡」
これ以上はいらないというのにぐぷ、ぬぢゅ、と更に奥へと腰を動かされる。抜く気がないと言わんばかりに、奥の奥へ入ろうとして伊久磨の腰を掴んでぐりぐりと腰を押し付けてくる男に、全身が甘美の悲鳴を上げる。
「ア゙ッ♡♡♡ やだ♡♡ も、はい、ら……お、あ゙!!♡」
「………ッ!!」
何度目かの突きで、ジェニが歯を食いしばり、お腹の奥で熱い何かが大量に流し込まれる。
あ、なか。いま、なかだし、され……。
生でしているのだか当然なのだが。その事実にどうしようもなく興奮してしまう上に、とんでもない量の精液が腹の奥に吐き出された後も、ジェニが止まらずに腰を奥へと動かし続けるせいで、おなかの中がかき混ぜられて、ずっと気持ちよくて、脳が痺れっぱなしだ。
そのせいで、ほぼ無意識に「これ♡♡ なか、すき♡♡ あ、ジェニ、も、っと♡♡♡」と、収縮を繰り返す腹の奥にジェニをいれようと、足を絡ませてと強請っていると、腰を掴まれて、ごぢゅんッッと奥を突き上げられた。
「――ぅ、あ゙……ッッ♡♡♡」
「………すきか?」
もう、体内のジェニは最初と変わらぬ質量に戻っていた。誰が見ても美しいと称賛する美丈夫は、キマリまくった瞳で伊久磨を見下ろしながら静かに確認する。
言質をとろうとする拷問官のような、恐ろしい顔。
なのに、そんな凶悪な顔ですら、好きになってしまったもんだから「す、き……ジェニが………っ」と最高に蕩けた顔で伝える。
すると、男は瞳を光らせ、一気に腰を突き上げてきた。
「あ゙ッッ♡♡ や、だ♡♡ はげ、しッッ♡♡♡ こ、われッッあ、ン♡」
「おら!! また出すぞ!!」
「ッ~~~ひ、ぃッッ♡♡」
パンッズパンッと凄まじい音を出しながら、押さえつけられて一方的に腰を穿たれる。
内臓を殴られているかの衝撃なのに、瞳がチカチカして、何も考えられない。
上に興奮したジェニ。背後には、ジェニが長年使用していたベッド。
全方位を、惚れた雄の香りに包まれ、このまま死にたいくらい幸福感に満たされていた。
「い、くま!」
名を呼ばれる。
「お前、が! 俺に、幸せになれと、いったんだ!」
いった。それは覚えている。
もう二度と会えないかもしれないと思った時に、出た言葉だから。
「お前は――、俺が、幸せにする」
律動がぴたりと止まり、ジェニがまっすぐにこちらを見下ろしていた。
その瞳は、熱に浮かされながらも伊久磨をじっと瞳の中に収めていた。
「……だから、おまえも俺から離れるな」
それが俺の《しあわせ》だ、と言わんばかりの言葉。
プロポーズの様なその言葉に、光が瞬いていた視界が一気に晴れる。
熱い情交でむせ返るようなねっとりとした空気に、一陣の風が吹いたかのような衝撃だった。
「愛してる」
「―――うん」
離れないよ。
ジェニの両頬に手を伸ばし、そう誓うように伊久磨からやわらかくキスをすると、また体内で何度目かの熱が散った。
太陽のいない夜、月はまだ輝いていて。
密やかな二人の夜は朝まで続いた。
ーーーーーーーー
次回、最終回。
「まって! ……お風呂は!?」
「うるさい!! お前が仕掛けたんだろうが!!」
「し、しかけてない!! あ、っや、め……!」
破らないで、という悲痛な声も衣服を引き裂く音でかき消される。先ほど聞こえた《ぶちっ》という音も、伊久磨の腰を抱いていたジェニの両手が服を鷲掴み、一気に背中部分を左右に引き裂いた音だったようだ。
「ジェニッ! 少し落ち着い……」
あ、無理そう。
キングサイズ以上あるジェニの天蓋付きベッド。その中央へ押し倒された伊久磨は、酒で気怠い体をなんとか起こしながら制止を求めた。が、見上げたジェニの瞳は完全に座っていた。
フーフーッ、と獣のような呼吸で歯を食いしばり、ベッド上部へ逃げようとする伊久磨の足首をアザが付きそうなほど強く掴んでは、そのまま手前に引っ張る。態勢を崩して、仰向けになる伊久磨の身体に馬乗りになると、今度は真正面から胸倉をつかまれ――。
「た、たのむ、話を聞い………っ!!」
ビリリリッとつんざく音が室内に響いた。
エガリテが特注で仕立てた正装は、分厚く上等な布地だった。にも関わらず、興奮した男の手により無残にも布切れと化した上、破られたことで肌着を着用していなかった伊久磨の胸部が露になる。
こんな非道な行いをされているのに、それでもジェニとの触れ合いを歓迎するかのように桃色に光る聖痕部分が目につき、慌てて女の子のように胸部を腕で覆い隠してしまった――これでは百歩譲って同意の行為のはずが、見方によっては強姦だ。
「……悪いが、俺はもうこれ以上焦らされるつもりはない」
俺がどれだけ我慢してきたと思ってるんだと、顔面を暗黒色にして凄まれる。決闘でも申し込まれそうな気迫だ。これでもし邪魔が入ったら、確実に相手の息の根を止めそうだ。
男はギラつく瞳で肌を隠す伊久磨に狙いを定めながら、煩わしそうに口で黒革の手袋を外し、上着を乱雑に脱ぎ捨てる。月明かりに照らされて、ジェニの彫刻のような肉体美が目の前に現れた。
特に胸部から腹筋にかけての筋肉の流れは繊細で、芸術的だ。思わず、目を奪われていると顔を近づけられ「人の身体はじろじろ見ておいて、自分は隠すのか?」と揶揄されたことに、耳まで紅潮し、慌てて目を反らす。
「――違っ、…ご、ごめ……!」
「あやまらなくていい」
「あっ……!!」
俺も遠慮せずに食わせてもらうからな、と男は胸元を隠したままの伊久磨の両手首を掴むと、思い切り左右に開かせた。ジェニの目の前に差し出された、胸元の粒と聖痕。
恥ずかしい。期待するようにツンと上をむいてたちあがっていた胸の突起も恥ずかしいし、はやくしてと強請る様に輝く聖痕も全部恥ずかしい。
同じ、男同士の身体なのに。
少し前までは胸をみられることぐらい、なんともなかったのに。伊久磨の部屋でジェニ一緒に過ごすようになった2週間。昼も夜も執拗にいじられすぎた胸の突起は、以前より存在感を増し、男に媚びる様に、すでに淫猥な赤みを帯びていた。
男はそんな伊久磨の胸部をねっとりと観察していたかと思うと――躊躇なく、右側の粒へ噛みつくいた。大きく口を開け乳輪ごと口に含むと、そのままぢゅうっ下品な音をたてて吸いあげた。
「――あ゙、っ、ああ! やッ……だ…!!」
痛烈な刺激に背骨がしなり、派手に身体が跳ねる。それだけで、身体が爆発してしまいそうだった。強い刺激に耐え切れず、やだ、と嫌がる様に身を捩ると、慰めのように肉厚な舌でべろりと舐め上げられた。まるで果実のように粒を甘噛みされ、弄ばれる。
「ん、ンぁ……うゔっ……!」
「声、抑えるなよ」
「ぅ、……んン………」
唇をつけたまま淫靡に喋られる。その肌を焼くような熱い吐息に腰が揺れ、目の前がぼんやりと霞み、目頭が熱くなった。胸元を飾る小さな部位を刺激されただけで、背中に電気が走るかのような鋭い愉悦が全身を駆け抜け、だらしない声がとまらない。
次第に、両胸ともジェニの唾液に塗れ、胸元にたまった男の唾液がつうっと脇腹を伝い落ちる。
その微細な感触にすら、過敏に反応してしまい、女の子のように震えてしまう。
「そのために人払いしてるんだからな」
見せつけるように濡れた突起を舌先であそびながら、所有権を主張するように口に含む。あまりの卑猥さに頭の中が沸騰しそうだ。熱に浮かされ、泣きそうな目でジェニを見つめながら「ア゛、ん、やあだ……♡」と鳴いていると、なぜか眼光鋭くにらまれた。
「……なんだ、その顔」
伊久磨の顔。自身は平凡だと言い張るが、伊久磨はかなり整った顔立ちだ。真面目過ぎるくらい真面目で、清潔感があり、誰に対しても穏やかで優しい男。性欲とは無関係そうに慈愛に満ちている伊久磨の瞳が、強烈な快楽に抗いきれず、熱でどろりと蕩けている。
「な、……にが……?」
無意識に男を誘う瞳の奥には性的興奮を示すように、しっかりとハートマークが浮き上がっている。禁欲的な男の、だらしなく性に乱れた顔。その顔に、ジェニはイラついた様に胸から顔を上げると、吸い寄せられるように伊久磨へと顔を寄せた。
「おい……口開けろ」
「ン、あ……っは、……ぁ♡」
視界が迫力のある美形でいっぱいになった伊久磨は、命令されるがままに口を開け、舌をさしだした。
そこまで命令されていないのに無意識に動いてしまうのは、もうこの男がどうすれば悦ぶのかを、体が覚えてしまっているから。案の定、男は満足そうに笑いながら、伊久磨の手首の拘束を解き、逃げられないように後頭部に手を添え――。
「ん、ぶ、ぐうぅ……ゔ…♡♡♡」
舌を思い切り吸われ、喉奥まで舌を突っ込まれた。キスとはいいがたい、凌辱のような行為。
呼吸ができずに、瞳から生理的な涙が零れる。酸素が足らず、息苦しい。それでも、拘束が解かれた手は抵抗することなく、男に媚びるようにジェニの太い首に腕を回し、自分からも舌を絡めた。
「……ッ♡ ふ、クソが……誘いやがって!」
「んう、うう………♡♡♡」
濃厚なキスの合間にも腹立たしそうに罵りながら、男は片手だけで忙しなく伊久磨のズボンを脱がし、また片手だけで自身のベルトにも手をかけた。衣服を剥ぎ取る手は粗暴なのに、伊久磨の口腔内を味わう舌の動きは甘露を舐めとるかのように丁寧で、優しい。
男の粘っこい唾液を大量に飲まされた伊久磨の身体は、歓喜にびくびくと震えていた。
舌を突っ込まれている喉奥から脳にかけてが、ずっと気持ちいい。陶酔するように夢中でジェニと舌を絡ませていると、いつの間にか下着の隙間から武骨な手が入り込んだ。
「は、ぁ……っ、んン゛ぅ~~~!!?♡♡」
その指先は、熱く潤んできていた伊久磨の局部をぐぢゅんと鷲掴みにし、衝撃で身悶えた。
「ここはもうどろどろだなぁ……後ろ、欲しいか?」
「ッ、ひ、………ぁ、あ゛……♡♡♡」
弓なりにのけ反った背中で苛烈な愉悦に身体を震えていると、微かに持ち上がった尻の隙間にジェニの指先が入り込む。
「あ゛、あ…ッ♡♡ ……だ、め……そこ♡」
「……『だめ』?」
甘く問われながら指先をつぷりとヒクつく窄まりに差し込まれる。
くちゅん、と第一関節ほど挿れられ、抜かれる。また挿れるかと思えば、指を待ってはくはくと震えるその孔の縁を愛おしそうに撫でられ、頭が爆発しそうになった。
「~~~~ッんン゙……ッぁあ゙!!♡♡」
「は……♡ 腰、揺れてるぞ♡」
はしたない声に興奮したようなジェニの言葉で、また体がおかしくなる。
苦しい。気持ちいい。ほしい。止まらない。
男を知らないはずの身体がジェニを欲して、脳と体が飢餓感で鳴き叫び、狂ったように快楽物質を垂れ流しているようだ。
下腹部の奥がずっと甘く痛んで、重苦しい。涙がぼろぼろと溢れて、淫靡に腰が動くのが止められない。
「ジェ、二………」
「なんだ」
「たす、け………ぁ……っ、やん♡♡♡」
ジェニの人差し指と中指が、悪戯にヒクつく後ろの孔に添えられ、くぱぁっと開かされているのがわかる。もう片方の手はぐにぐにと伊久磨のお尻の肉を卑猥に掴んで弄んでいた。
「んっ♡ んんっ♡♡♡」
「……舐めてやろうか?♡」
「あ、そ、れは……ぁ、……」
おふろ、はいってないから、と小さく鳴くと、それは美味そうだなと耳元で嗤われる。
初心者にはあまりにハードルが高すぎる誘いに「きょうは、だめ」とお願いすると「………なら明日は奥まで舐めてやるよ」と熱い吐息で耳介に噛みつかれた。
「………いいんだろ? 今日は《最後》まで」
静かに問われ、びくんと体がはねる。
正直、確認されるとは思わなかった。
流れ的に、問答無用で最後までされると思っていただけに、ここにきて、この男から《合意》を求められるとは露ほども思わなかった――といったら、怒るだろうか。
怒るだろうな。
霞む視界で彼を見ると、熱に浮かされた瞳はそのままにじっと伊久磨を見つめていた。
金色の髪が、ジェニの額に汗で張り付いている。それをみて、ジェニも人間なんだなと妙な感心をし、ごくりと息をのんでしまった。
「その、もし、僕が………最後までしない、って言ったら」
自分でも「ここまで流されておいて何を今更言ってるんだ」と内心呆れながらも、未練がましく「いつも、みたいに……する、の?」と言葉を続ける。実際、恥ずかしくて死にそうだ。
「……いつもとは?」
わかっているくせに、男が愉し気に尋ね返す。
その声に甘い色気が混ざっているのが、男の手のひらで転がされている感があり、余計に伊久磨の羞恥を煽っていく。
「~~そ、の…ッ…いつも、の……」
「これか?♡」
「ひぃ゛ッ!!?♡♡♡」
しどろもどろになりながらも、「素股で許してくれるんだよね?」的な確認をしようとした時。ぐぢゅんと尻の狭間に強靭なモノを擦り付けられ、全身の神経が爆発したかのように身体が硬直した。
足先までびくびくと打ち震えている間に膝裏を掴まれ、思い切り足を左右に開かされると――。
「あ゙ッ、だ、めッ! なんでいきな、あっ♡♡♡」
「好きなんだろうが! これが!」
「ん゛ひ、ごめ、んぁ、いやッ……あ゛、あンっん゛~~!!♡♡♡」
容赦なく腰を打ち付けられ始めた。ぐち、ばちゅと派手な水音を鳴らしながら無理やり欲望を叩きつけられて、脳の回路が焼けきれそうだ。
これ以上開かないというくらい膝を左右に押し開かれ、尻のきわどい位置を何度も掠めるジェニの生々しい欲望。
「お゛、ねがッ……ゆ、っくりし…っい゛♡♡♡」
「あぁ!? 自分でも腰をへこつかせておいて今更なんだよ!」
「ぁ、っいや、ご、め……あ゙ッ♡ んああ゙ッ♡♡♡」
きもちいい。腰がとけそう。これ、すき♡♡♡
ばぢゅ、ごちゅんと激しい水音を出されながらジェニに逞しい腰を当てられると、本当にシている気分になってしまい――彼とはしてはいけない、と常日頃から戒めのように自分へ言い聞かせてきていた伊久磨だからこそ、疑似セックス行為の破壊力はすさまじく。なけなしの理性を怒涛のごとく押し流していく。
「や、だッ、これ、つよっ……イっちゃ……っぅゔんン゛~~~ッッ♡♡♡」
散々強姦のように腰を使われた上で、ジェニに「おら♡イけよ!」と言われるともう何も考えられなくなるほど気持ちよくて――急激に精管を突き上げる射精感を押さえつけることができず、むせび泣きながら達してしまった。
「ぐッ……!!」
伊久磨が喉をさらけ出しながら盛大に果てた後、間を置かずに、ジェニも苦し気に顔を歪めたかと思うと生暖かい飛沫が顔や腹に散った。
目の前が白く弾け、朦朧とする意識で見下ろすと、伊久磨の下腹部は互いの濃厚な精液で白い海のようになっていた。
「ぁ……あ、は……♡♡」
いつもなら、「恥ずかしい」「やってしまった」と後悔しつつも、心は満たされていたはずなのに。
今日はその光景を目にして、余計に腹の奥深くが《雄》を求めるかのようにきゅんきゅんと切なく騒ぎ出し、未だに勢いの衰えないジェニの雄に目が釘付けになる。
「……っう、……♡♡♡」
「……で? お前は素股だけで終わりにしたいのか?」
「ぁ……ン♡ あっ♡」
いつもと様子が異なる伊久磨に気づいているのか。
ジェニは余韻に打ち震えつつも、物欲しそうに男の欲望をみつめる伊久磨を唆すようにぬちゅぬちゅと腰を押し付けてくる。
普段の伊久磨なら「もう終わりだよ」と「これ以上はだめ」とジェニを諭すのだが、酒と熱と快楽でまともな思考力を欠いた身体では、ろくな抵抗もできず。ジェニの卑猥な戯れに心地よさそうに吐息を吐きながら、うっとりとしていると。
「あぁ、そういえば……」
ジェニが顔を近づけ、思い出したように囁く。
「お前は俺が《ハートのクイーンの力を取り戻す》ためだけに、こちらに戻ってきたと勘違いしているみたいだが……」
「……?」
違うの?
そういわんばかりに、とろけた瞳を向けるとジェニが意地悪く嗤った。
「明日は俺の《生誕祭》だ」
「……?」
「つまり、こちらでは《20歳》になる」
「うん……………えッ!!!??」
なん、て?!?!!?
衝撃の告白に、思わず腕だけの力で起き上がってしまい、ゴツッとジェニに頭突きしてしまった。顔面に伊久磨の頭突きを受けたジェニが思わず「がッ!!」とのけ反る。
「あっ!! ごめん! 本当にごめん!!」
「~~~ッこの!! 貴様……!!」
突然正気に戻った伊久磨に、さすがのジェニも鼻を抑えながら痛みに文句を飲み込み「チッ……!! まだ完全なメス堕ちに至ってなかったか……!!」と下品に吐き捨てているが、それどころじゃない。
「君……20歳になるの!? しかも明日?!」
「そうだ」
「なんで!!?」
「明日が俺の生誕祭だからだ」
「そうじゃなくて!! だってまだ1年たってな……」
「1年待つとは言ったが、何も《あちらの世界で待つ》とは限定していなかった上に、こちらの世界で《あと何か月だ》とも正確に伝えていなかったからな」
「――ひ、卑怯だ!!」
「勝手に勘違いしていたのは貴様だろうが」
こういう時に《時差》というものは便利だ!
そう高笑いするジェニに、違う意味で涙がこぼれそうだ。
そうだ。この男はこういう男だった。
わかっていて、倫理観の狭間で揺れる伊久磨の反応を愉しんでいたに違いない。
わかってしまうと、伊久磨は両手で顔を覆い、はぁ~~と、ひときわ長いため息をついてしまう。ここ最近の自分の葛藤は一体何だったのだ。
「物のついでで教えやるが、確かにこちらの世界の《時間経過は早い》が、全体的にみると人類の寿命に特別大差はない。ここトランプ王国に関しては《平均寿命》は日本とかわらん」
「え?」
物のついでで一番気になっていた詳細を告げられ、手で覆っていた顔を上げてジェニを見る。
「こちらの世界……というか、星だな。そちらの地球より、《自転速度が速い》。だから、単純に日にちの経過は早いがな。……ま、出生地の違いによる体質変化についての研究等はされていないが、俺とお前に関しては、そもそも《魂に耐性がついている》せいで世界線変化による影響は全く受けない。スパーダに関しては降臨した時点で創造神の加護でもついてるだろうしな」
「じゃ、じゃあ、スパーダのクイーンの話は……」
「《恋煩い》だろ」
ジェニの口から飛び出してきたとは到底思えない言葉に耳を疑う。
「一生を誓ったスパーダ領主が不慮の事故で早くに死んだからな――残された夫人は苦しかったんだろ」
「…………そ、っか」
そうか。
そういわれてしまえば、ダノワの証言も全てつじつまが合う。そして《クイーンオブハート》の力を一時的に奪われ、女性となった身に起きた症状にも納得がいった。
アレは全部、恋煩いだったのかもしれない。
特に女性になった時は、ジェニと視線が合いづらく、触れられもしなかった。
2週間べったりだったのが嘘のようにどことなくそっけなくて、一線を引かれているような印象だっただけに、余計に症状がひどかった。
あの時はてっきり、やはり《女王の自分》にしか興味なかったんだと落ち込んでいたが――じゃあ、僕はやっぱり――彼の事が好きなのか?
ボッと、一度は収まっていた顔の熱が再発する。今なら湯気も出せそうだ。
ジェニを見る。
頭突きの痛みがひいたのか、いつも通り怖いくらい整った顔で「なんだ? あ?」とヤクザに眉をしかめている。
――今まで年齢を気にしていたのに、彼が《二十歳》になってしまえば、それもなくなる。
新たに出現した《世界線の問題》も、特に問題ないとなれば――障害が、何もなくなってしまったということか?
いや! 男同士で年齢差があるのは相変わらずだけど!!
「おい、お前なにまだ悩んで――」
「とにかく! 君がこっちに来たりあっちに行ったりしてもとりあえず体に害はないってことだよね!」
「俺が浮気性みたいな言い方をするな」
お前が勝手にあっちこっちに行くんだろうが、と叱られ、つい「面目ない」と謝ったが、今のは謝る必要があったのだろうか。自分がきたくて来たわけではなく、誘導されたというか、色々仕向けられた感があるというか――と、首をかしげていると「そういうわけで、お前は明日も帰れない」と断定するように指をさされた。
「え!! なんで!?」
「明日は俺の《生誕祭》に出席して、盛大に俺の《妃》として連れまわすからな」
各地方の領主どもや、諸外国のクソッタレも呼んでいる、と頭が痛くなるような言い方で吐き捨てる。
「お前は《俺のモノだ》と知らしめる場になる」
「で、でも、僕はここでは暮らさないんだし……何もそんな……」
「アホか。お前があちらにいようと、唯一降臨した《ハートのクイーン》であることはかわらんのだ。お前を手に入れるために世界線を越えてきそうな馬鹿がでてきてもおかしくない状況だからこそ、あえて大々的に開示する必要がある。何より、こちらの世界は、お前の世界よりも《既婚者》に手を出すことはタブー中のタブーで禁忌だからな」
あぁ、なるほど。それでパラスがあれだけ《既婚者》だなんだと騒いでいたのか、と手を叩いた。
「俺の妃だと公言すれば、《良識のある馬鹿》は手出しできなくなる。脳まで腐った身の程知らずは別だが、それはそれでいい《口実》にはなる――」
社会的にも、物理的にも盛大に抹殺するための素晴らしい口実がなァ、と凶悪殺人鬼の顔で意味深に嗤うジェニ。
なるほど、《本来の目的》はそれなのだろうな、と察して、遠い目になる。
「そういう手合いのウジ虫を殺処分するだけでも面倒なのに、そこに創造神まで余計な手を出し始めたら始末に負えんからな」
「…………」
創造神、アイ。
伊久磨に対しては友好的に見えたが、時折垣間見えたジェニを蔑むような目線や、創造神が手を貸した影響で、巨大すぎる力に暴走し、魂まで傷付きかけたパラスへ救済処置を施すどころかほぼ放置していた様子を思い出し、何とも言えない感情に包まれる。
しかし、創造神のおかげでジェニに出会えたのも事実。
一体、彼女は何がしたかったんだ? と、言葉にできない感情に苛まれていると、「――つまり、俺が何を言いたいかわかるか?」とジェニに問われ、「うん?」と顔を上げる。
「え、ごめん。何が?」
「聞いてなかったのか」
「うん、ごめんね。それで何――」
「《最後までする》という話だ」
へ?
言葉の意味をうまく脳が処理できず、いつもの呑気顔で首をかしげていると、ぽんと肩を押されて、再びベッドに仰向けに転がされた。
それだけでなく、パチンと彼が指を鳴らすと――なぜか唯一残っていた衣服の切れ端も、中途半端に脱がされていた下着やズボンもすべて消え去り、完全に全裸になっていた。
「――ななな、なに!? なんで!? どうして?!!?」
「乱れた姿で恥じらうお前も悪くないが、ここ2週間ずっと着衣だったしな」
初夜なら、これだろう。
男はいやらしく笑うと、再びパチンと指を鳴らし、自身も一糸まとわぬ彫像のような姿になった。
そんな技が使えるのなら、何故最初にそうしない――というか、わざわざエガリテが仕立ててくれた服を裂く必要なかっただろう!と詰りそうになったが、「大体、あの女が仕立てた服を着ているお前を俺がそのままにしておくとでも思ったのか?」と逆に詰られ、「それは確かにそうだな……」と妙に納得してしまっている間に、上に圧し掛かられた。
「…………す、するの?」
「する」
「きょ、今日?」
「そうだ」
「……………いまから?」
「そうだ、何度も言わせるな」
絶対に堕とすといっただろうが、と真顔で見下ろされ、男に圧し掛かられたままの下腹部が疼く。
どうしてこの男は、こうも一瞬で空気を作り変えてしまえるのだろうか。
思わず黙り込むと、ゆっくり腰を動かされはじめ、呼吸が乱れはじめる。
ただ肌を密着させただけなのに。お互いの精液でぬめった体は、すぐに反応し、下半身からダイレクトに脳へと足を開くよう指令を送り出す。
完全復活したジェニのソレを疼きだす下腹部にずりゅ、と擦り付けられて「ぁ……ん……」と甘い吐息が止まらない。
「ん、ん……♡♡」
「……ほしいだろ?」
ナカに、と頬をねっとり舐められながら、親指でぐりぐりと下腹部を刺激される。
きっとなにもかも彼にはバレているのだろう。物欲しそうに彼のモノを見つめていたことも、腹の奥が切なくて涙が止まらないことも―――そこまで考えて、ある一つの《懸念事項》が脳をかすめた。
そうだ。自分は妊娠する《らしい》身体だった。
「んンっ……♡ でも、ひ、避妊、は……?」
「………なんだ、覚えてたのか」
チッと舌打ちする男に、思わず軽蔑の眼差しを向けてしまう。行為の確認はする癖に、一番大事なところを濁して一気に流そうとしたな。
「まぁ、お前がどうしてもというのなら、試しに《コレ》を使ってみても構わんがな?」
言いつつ、男が伊久磨の目の前に右手を出す。
何も持たない手から、手品のように取り出した《コレ》――それは、まさに伊久磨の国で販売され、世界的にも避妊と言えばで有名な――正方形のパウチ。 《スキン》だった。
「な! なんでそれを!! 君が?!!」
「コンビニで買った」
「どこの?!」
「大学前の」
「ひぃいいい!!」
大学前ってよりにもよって僕がよく使うコンビニじゃないかっ!!!
あんなところで買ったなんて、恥ずかしくてもう行けそうにない。
「まぁこれを使ったところで無駄だと思うがな」
「はぁ!?」
「お前、自分の能力忘れたのか」
「能力って…」
自由。
それに一体なんの意味が、と思いつつ恨むようにジェニをジト目で見上げていると。
「そう《自由》だ。それは選択の自由でもある。俺と性交したお前が無意識下で俺の精液を《許可》し、《妊娠を希望》すれば――このゴムをしていたとしても、コイツは存在自体が消える」
「そんなことある!?」
「あるから言っている」
「じゃあなんで買ったの!? わざわざ大学前で!!」
「お前を試すためだ。妊娠は嫌だ、避妊してくれと言うお前が、コレを使って行為したにも関わらず、最終的に自分の意思でゴムを消して妊娠したら?」
最ッ高に愉快だろうが。
スキンの端を咥えてあくどく笑う男の姿に、絶句してしまった。
想像を絶する悪趣味。事前にこうして申告してくれただけ、まだマシなのだろうが――いや、マシなのか?
「~~~~………せ、性格が悪すぎる……」
「それこそ今更だろうが」
「うう~……」
もう、なんてことだ。
あまりにも酷すぎて、先ほどのように頭突きしてまで起き上がる気にもなれず、また両手で顔を覆い隠す。
メソメソと体を縮こませる伊久磨の耳に唇を寄せ、質の悪い男は「……で、どうするんだ?」と悪魔の声で囁くのだ。
全て打ち明けた上で、この男は自分に選べと言うのか。
もう答えがほぼ決まりかけた、この状況で。
指の隙間からちらりと男の口元を見ると、その口にはもうスキンがない。
どこかに投げ捨てたのだろうか。まだ答えを出していないというのに。
腹立たしさから、思わず長考する素振りを見せ、渾身の牛歩戦術でもしてやろうかとも思ったが、顔を隠す指先に噛みつかれ、指の隙間に舌を這わされ、完全に勃ち上がった逞しい欲望を揺らされたら「ん、んン……」と鼻にかけた声が漏れ出てしまう。
「伊久磨」
ズル過ぎる。
この低音で囁かれたら、自分が彼に甘くなってしまうことを知っていて、男はいつも、一番重要な局面で名前を呼んでくる。
これまで何度も、これで痛い目にあわされた。
許せない、卑怯だと思うのに、彼に名を呼ばれたらまた自分は許してしまうのだろう。
それくらい、もう身も心も彼に絆されてしまっていた。
「伊久磨、そろそろ顔みせろ」
案の定、耐え切れなくて手を外し、恨めしい顔でジェニを見ると男はわらっていた。
とんでもなく甘い顔で。
「………妊娠、する、かなぁ?」
「したいのか?」
「いまは……その、ちょっと……あっ、あ!」
まだ話している途中だというのに。
いつの間にか背後に回っていたジェニの不埒な指先が、くちゅくちゅと伊久磨の後孔に触れていた。指の腹がぐに、と押し付けられ、互いの吐き出した精液を塗り込んでいく。入るか、入らないかを探る様に悪戯に抜き差しされ、気が狂いそうだった。
「あん、や、だ、……指、だめ……っ」
「……子作りの時期はお前に任せる」
「……ん、ぁ♡」
「今はとにかく抱きたい」
「~~~~~ッンん、ぐ♡♡」
直接的な言葉とともに、長い指がぬぷぷっと内側に入り込んで息が止まる。そのままぐりゅんと内壁を探る様にまさぐられ、「ぐちょぐちょだなぁ?♡」と興奮した吐息を吹き込まれた。
「や、だ、きたな……ぁあ゙♡♡♡」
「……これだけ濡れてるのに、お前まだここがただの《排泄口》だと思ってるのか?」
「ン、んん、ひ……お、あッ♡♡♡」
いいつつ、男がいたずらな指を2本に増やし、くぱぁと中で押し広げだす。
その動きがあまりにも巧みすぎて、男の喋る内容が頭に入ってこない。たまらず男にしがみつきながら「指、ふやさない、で……!!」と泣きついてしまった。
「イイ事おしえてやるよ、お前の聖痕が反応している間は、ココはもう《メスの生殖器》と同じだ」
「っ、ぅあ゛♡♡ は、んン゛ッ♡♡♡」
愛液も出るし、子宮も完成しているみたいだしな、と指を挿れられている手と反対側の手のひらで腹をぐにぐにと押されて「ま、まっで、おなか、おさないでぇ……」と涙が零れた。
ジェニに下腹部を押されると、腹の奥にが熱くうねって、胎内が雄を求めてうごめきだすのがわかる。存在感のある長く男らしい節張った指が2本もはいっているのに、物足りない。
ジェニと出会うまで、自分で触れたことすらなかった部位なのに。中が潤んで、とろけて、指を美味しそうに飲み込んでいるのが嫌でもわかってしまう。
ほしい。奥に、ゆびじゃなくて。
もうどうにもならなくて、自分から媚びるように足を広げてジェニの腰に強請る様に絡ませていくと、突然指を抜かれた。
「あ、……っ、……ん……」
「……どうだ?」
セックスする気になったか?
密やかに囁かれながら、雄を求めるソコにジェニの先端がぐぷ、とあたる。ぬるついて、熱くて、生々しいソレ。
それだけで、「あ♡♡」と顔を綻ばせてしまった。
「あ……で、も、ゴム……してな……♡♡♡」
「いらんだろうが」
「で、も……」
「したくないのか? 俺と」
生ハメセックス、と囁かれて、もうだめだった。
下品すぎる言葉遣いなのに、その言葉を使われただけで呪文のように脳が愉悦に痺れて腹が疼いた。
「~~~っううう♡♡♡」
悪魔だ。同じ男だからわかっているはずなのに。
「……し、たい、です……」
ほしいよ、と蚊の鳴くような声で返すと、孔にあたっているジェニのモノがより質量を増した気がした。
次の瞬間には、全体重をかけて真上から抱きしめられ、唇にかみつかれた。
舌の根が抜けそうなほどぢゅるるうっと吸われると同時に、ぬぐぐっと切っ先が内壁を押しのけて体内へ侵入してくる。
「ンゔ、ぐ、……ぁ、ぁ、……ッ♡♡」
熱くて、かたくて、どくどくと脈打つソレがゆっくりと入り込んでくる。
内臓を押し上げて侵入してくるそれに、身体がひきつり、涙が止まらない。
痛い。無理。大きすぎる、こんなの入らない。裂ける――と、身を固くすると、ぎゅううっと抱きしめられて、違う意味で呼吸が止まる。
慰めるようにお尻の肉を揉まれて、たまらずジェニの背中に爪をたてると、余計に上から圧し掛かられるようにして体重をかけられた。
「んン゙ゔぅ~~~~ッッッ!!♡♡♡♡」
ごぷんッと一番太い部分が入り込んだ瞬間、意識が飛びそうになった。
そして、ソコを通過すると、あとはどんどん中のぬめりをかりて奥へ奥へと侵入してくる――あ、まって。すご、やだ、これ。
どこまで入るんだ?
「ま゙、っで! やだ、じぇ、に、こわ、ッ……あ゙!!♡♡♡」
痛いのに、気持ちいい。裂けそうなくらい縁が引きつれているのに、その痛みすら「もっといれて」といわんばかりに腹の奥が喜んでジェニに吸い付いて飲み込んでいるのがわかる。初めてなのに。
肝心のジェニは名前をよんでも反応してくれない。ずっと獣のような荒い息でフーフーと耳元で歯を食いしばるうめき声が聞こえる。彼の方がよほど苦しいだろうに、全く止まることなく奥へ進み――ばぢゅん、と彼の腰が伊久磨の尻にぶち当たった瞬間。
「お゙ッ………あ゙ッ♡♡♡♡」
声が、でない。目の前が白飛びし、喉を晒すようにのけぞらせてる。当たってる、一番奥に。ずっとジェニのを欲しがってキュンキュン鳴いていた体の最奥に、めりこんでる。
「――挿入れただけで、イッたのか?」
「………っ、♡♡ ぅ……♡♡♡」
やっと聞こえたジェニの声は掠れていた。チカチカする瞳でジェニを見ると、彼も肌を上気させてうっとりと熱にうかされた瞳をしていた。
「……あ、おね、が……まだ、うごかさ、な……あ゙ン!♡♡」
これ以上はいらないというのにぐぷ、ぬぢゅ、と更に奥へと腰を動かされる。抜く気がないと言わんばかりに、奥の奥へ入ろうとして伊久磨の腰を掴んでぐりぐりと腰を押し付けてくる男に、全身が甘美の悲鳴を上げる。
「ア゙ッ♡♡♡ やだ♡♡ も、はい、ら……お、あ゙!!♡」
「………ッ!!」
何度目かの突きで、ジェニが歯を食いしばり、お腹の奥で熱い何かが大量に流し込まれる。
あ、なか。いま、なかだし、され……。
生でしているのだか当然なのだが。その事実にどうしようもなく興奮してしまう上に、とんでもない量の精液が腹の奥に吐き出された後も、ジェニが止まらずに腰を奥へと動かし続けるせいで、おなかの中がかき混ぜられて、ずっと気持ちよくて、脳が痺れっぱなしだ。
そのせいで、ほぼ無意識に「これ♡♡ なか、すき♡♡ あ、ジェニ、も、っと♡♡♡」と、収縮を繰り返す腹の奥にジェニをいれようと、足を絡ませてと強請っていると、腰を掴まれて、ごぢゅんッッと奥を突き上げられた。
「――ぅ、あ゙……ッッ♡♡♡」
「………すきか?」
もう、体内のジェニは最初と変わらぬ質量に戻っていた。誰が見ても美しいと称賛する美丈夫は、キマリまくった瞳で伊久磨を見下ろしながら静かに確認する。
言質をとろうとする拷問官のような、恐ろしい顔。
なのに、そんな凶悪な顔ですら、好きになってしまったもんだから「す、き……ジェニが………っ」と最高に蕩けた顔で伝える。
すると、男は瞳を光らせ、一気に腰を突き上げてきた。
「あ゙ッッ♡♡ や、だ♡♡ はげ、しッッ♡♡♡ こ、われッッあ、ン♡」
「おら!! また出すぞ!!」
「ッ~~~ひ、ぃッッ♡♡」
パンッズパンッと凄まじい音を出しながら、押さえつけられて一方的に腰を穿たれる。
内臓を殴られているかの衝撃なのに、瞳がチカチカして、何も考えられない。
上に興奮したジェニ。背後には、ジェニが長年使用していたベッド。
全方位を、惚れた雄の香りに包まれ、このまま死にたいくらい幸福感に満たされていた。
「い、くま!」
名を呼ばれる。
「お前、が! 俺に、幸せになれと、いったんだ!」
いった。それは覚えている。
もう二度と会えないかもしれないと思った時に、出た言葉だから。
「お前は――、俺が、幸せにする」
律動がぴたりと止まり、ジェニがまっすぐにこちらを見下ろしていた。
その瞳は、熱に浮かされながらも伊久磨をじっと瞳の中に収めていた。
「……だから、おまえも俺から離れるな」
それが俺の《しあわせ》だ、と言わんばかりの言葉。
プロポーズの様なその言葉に、光が瞬いていた視界が一気に晴れる。
熱い情交でむせ返るようなねっとりとした空気に、一陣の風が吹いたかのような衝撃だった。
「愛してる」
「―――うん」
離れないよ。
ジェニの両頬に手を伸ばし、そう誓うように伊久磨からやわらかくキスをすると、また体内で何度目かの熱が散った。
太陽のいない夜、月はまだ輝いていて。
密やかな二人の夜は朝まで続いた。
ーーーーーーーー
次回、最終回。
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