リライトアンダーテイカー

ivy

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勇者→魔王→アンデッド

「それでこの魔王を一体どうするつもりだ?」

「魔王じゃない!この人にはセルヴィスという立派な名前がある!」

……何だこいつ。暑苦しいな。

「じゃあそのセルヴィスはもうすぐ死にそうだが、どうするつもりなんだ?何故ここに連れて来た?」

「……あんたが」

「クレイド、な?」

「……クレイドが葬送士だと聞いて」

「様をつけろ。小童が」

「……クレイド様に助けてもらおうと思って!」

「助けるとは?私は医者じゃない」

「……分かってる。でもあんたはただの葬送士じゃない。運命を変える力を持ってる。そうだろ?頼む。話を聞いて欲しい」

「……お前、名前は?」

「ユイ。ユイ・フェルスター。……この人が魔王になる運命を変えて欲しいんだ。この人は勇者として生きてきた。、その人生を取り戻してあげたい」

「……まあお前の言わんとしている事は、分からなくもない。けれど、魔王になった原因が不明だと私とてどうしてやる事も出来ない。本人に聞こうにも、魔物は人間の言葉を喋れないしな」

「…………」

「あと、そろそろ死にそうだけどどうする?」

「助けて!死んだら勇者に戻れない!」

「まあ、死んでも問題はないが。運命を変えれば魔王の人生は無かった事になる。だから勇者として弔って貰えるぞ。……まあ本人はもう何も分からないだろうがな」

それを聞いてユイは大きな目にじわっと涙を溜めた。

「そんなの嫌だ。セルヴィスはもっと称えられるべき人だ!なあ?!死なせないでくれよ!死んでから讃えられるなんてクソ喰らえだ!」

「……何とも口の悪い子供だな」

「子供じゃない!勇者だ!」

勇者?このちんちくりんが?

「もしかしてこの魔王を討ち取ったのはお前か?」

「……そうだ。まさかセルヴィスだなんて思わなかった」

「ふーん」

めんどくさい。
すごくめんどくさい。
……だが、それ以上にすごく面白そうだ。

ここ暫くとんでもなく退屈だったクレイドは、両手をパチンと合わせて片膝を折った。

「え?なに?」

クレイドの周りに旋風が起こり、彼の白く長い髪が生きているかのように蠢く。

「ユイ!お前が望んだんだ。後で文句を言うなよ!」

「なんて?!聞こえない!」

凄まじい轟音で何も聞き取れない。ユイは精一杯の大声で聞き返すが、既にクレイドは目を閉じて何も聞いていなかった。

威力を強めた風は今や轟々と酷い音を立てて家中を駆け巡っている。それはガラス粒が混ざったようにきらきらと揺らめいていた。

「汝、滅びの帳を越え、忘却の彼方に在る魂よ!今こそ我が名に応えよ!リライト・アンダーテイカー——《葬転ノ契約》、発動!!」

一瞬の閃光。そして魔物の咆哮のような轟。
落雷のようなそれは、ユイから視界を奪う。

「……一体何が起こったんだ」

しばらくして、ようやく目が見えるようになったユイは、慌てて魔王に駆け寄った。だが、その姿は見るも無惨な変貌を遂げていた。

「クレイド!!お前、セルヴィスに何してくれてんだ!!」

「文句は言うなって言っただろ。人間の姿に戻してやったんだ。……まあ死んでから随分経ってるみたいで結構腐ってるがな」

「……なんて姿に……」

セルヴィスは所々が腐り落ち、立派なアンデッドへと変化している。

「まあ魔王の姿よりいいだろ。しかもこのアンデッド、歩くし喋るんだぜ。ほら、セルヴィス挨拶は?」

「……うあ」

「……悪趣味だな!」

「黙れ小童。魔王の体はもう限界だったし、あれだけ傷を負っていたら魔王のままアンデッドには出来ない。過去の姿にするしかないだろ?あのまま死なせてよかったのか?」

「ぐっ!それにしたって!」

そんな二人の攻防戦をよそに、アンデッドセルヴィスは、周りをキョロキョロと見回してからそっと立ち上がる。それに気付いたユイは、セルヴィスに向かって優しく話しかけた。

「僕を覚えてますか?セルヴィス」

アンデッドは首を傾げる。ミシッと音がして首が半分千切れそうになったところを、クレイドがすかさず保護魔法を使って元に戻した。

「あーアンデッドに記憶はないぞ。だからこいつと記憶を探す旅に出て来い。こいつが魔王になった原因が分かったら帰ってこい」

「……そしたら?」

「そしたら運命を変えてやる」

「……」

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