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朝
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次の日
俺は賢士の腕の中で目覚めた。
しかも賢士の部屋のベッドの上で。
俺の方を向いてすやすやと寝息を立てている端正な顔を見た途端、昨夜の事が思い出されてじんわりと嫌な汗が出る。
目が覚める前に自分の部屋に戻ろうとそっと筋肉質な腕から逃れて身体を起こした途端に自分の姿が目に入り言葉を無くした。
裸だ。
そして色々な場所に所謂キスマークと呼ばれる跡がある。
風呂場ではなかったはず。
その後湯あたりでふらふらしながら眠ってしまった後に何かがあったと言うことか?!
俺はこっそり出ていこうと思った事など忘れて隣の男を力一杯揺さぶった。
「寝てる間に何したんだよ!」
「ん?」
賢士は薄目を開けて額にかかった髪を無造作にかき上げる。
寝ぼけた顔もカッコいいな。ムカつく!
「なんで怒ってんの?・・ああ」
俺の身体を見て納得したようにうっすらと笑った。
「笑うな!何したか聞いてるんだよ!」
「お前の身体があんまり綺麗だから舐めたり吸ったりした」
「は?!このケダモノ!」
意識のない相手に何してくれてるんだ。
知らないうちに全身を舐め・・ああっ!もう!
恥ずかしくて顔がまともに見られない。
「別にいいだろ。番うんだし」
こともなげに言ってのけベッドから立ち上がった賢士は裸のままキッチンに向かう。
均整の取れたその背中に目を奪われながらも賢士を見る時いつも浮かぶのは彼の恋人の存在だ。
百合さんは平気なのかな。
多分俺は恨まれているだろう。
組長の命令とは言え2人を引き裂いた張本人なんだから。
いつかは百合さんのこと忘れてくれる?
それより他の人を思う相手を俺は本当に愛せるのかな。
あ、やばい。また落ち込んできた。
「夏姫、旅行先は決めたのか?」
突然キッチンから賢士の声がする
「・・まだ」
「じゃ沖縄でもいくか?シーズンオフだし人も少ない。のんびり車で島を回ろう。」
「沖縄?!うん!」
沖縄なんて初めて!
そもそも旅行なんてろくに行った事ない俺にとって沖縄はテレビで見るだけの夢の楽園だった。
「明後日出発するから準備しとけよ」
「わかった!」
先ほどの悩みなど頭から抜けてしまうようなサプライズに俺はうきうきしながらキッチンに向かう。
テーブルにはこの短時間にも関わらず美味しそうなサンドイッチが並んでいた。
「葉っぱ入ってるのやだ。」
「レタスな。わがまま言わずに食え」
「食べたくない。」
「お前な・・」
眉間を押さえて賢士が俺を見た。
「子供生まれたらどうするんだ?一緒になって食べないって言うのか?」
「ゲホッ!!」
子供?!子供って言った?!
生々しい!
真っ赤になった俺を面白そうに眺めている賢士の足を思い切り踏んで誤魔化すように慌ててサンドイッチを口いっぱいに頬張った。
旅行に持って行くものを買いに行きたい。
賢士が仕事に出かけた後でぼんやりそんな事を思っていた。
必要なものは現地で買えばいいだろと賢士は言うけどやっぱり品揃えに関しては地元で買う方がいいに決まってる。
ハイビスカス柄の水着とかホントに着たくないし。
俺は携帯を掴むと田所さんに電話をかけた。
「どうしましたか?姉御」
この呼び方いつまでも慣れない・・。
「買い物に行きたいんですけど」
「買ってきましょうか?お供しますか?」
「良ければ同行お願いします。」
「承知しました。」
お願いしますと伝え通話終了のボタンを押した途端玄関の呼び出しが鳴った。
田所さんは忍者なの?
前回も秒で来てくれた事を思い出す。
急いで玄関に行き二重ロックを解除してドアを開けた俺の前に立っていたのは
二度と会いたくないと思っていた兄だった。
俺は賢士の腕の中で目覚めた。
しかも賢士の部屋のベッドの上で。
俺の方を向いてすやすやと寝息を立てている端正な顔を見た途端、昨夜の事が思い出されてじんわりと嫌な汗が出る。
目が覚める前に自分の部屋に戻ろうとそっと筋肉質な腕から逃れて身体を起こした途端に自分の姿が目に入り言葉を無くした。
裸だ。
そして色々な場所に所謂キスマークと呼ばれる跡がある。
風呂場ではなかったはず。
その後湯あたりでふらふらしながら眠ってしまった後に何かがあったと言うことか?!
俺はこっそり出ていこうと思った事など忘れて隣の男を力一杯揺さぶった。
「寝てる間に何したんだよ!」
「ん?」
賢士は薄目を開けて額にかかった髪を無造作にかき上げる。
寝ぼけた顔もカッコいいな。ムカつく!
「なんで怒ってんの?・・ああ」
俺の身体を見て納得したようにうっすらと笑った。
「笑うな!何したか聞いてるんだよ!」
「お前の身体があんまり綺麗だから舐めたり吸ったりした」
「は?!このケダモノ!」
意識のない相手に何してくれてるんだ。
知らないうちに全身を舐め・・ああっ!もう!
恥ずかしくて顔がまともに見られない。
「別にいいだろ。番うんだし」
こともなげに言ってのけベッドから立ち上がった賢士は裸のままキッチンに向かう。
均整の取れたその背中に目を奪われながらも賢士を見る時いつも浮かぶのは彼の恋人の存在だ。
百合さんは平気なのかな。
多分俺は恨まれているだろう。
組長の命令とは言え2人を引き裂いた張本人なんだから。
いつかは百合さんのこと忘れてくれる?
それより他の人を思う相手を俺は本当に愛せるのかな。
あ、やばい。また落ち込んできた。
「夏姫、旅行先は決めたのか?」
突然キッチンから賢士の声がする
「・・まだ」
「じゃ沖縄でもいくか?シーズンオフだし人も少ない。のんびり車で島を回ろう。」
「沖縄?!うん!」
沖縄なんて初めて!
そもそも旅行なんてろくに行った事ない俺にとって沖縄はテレビで見るだけの夢の楽園だった。
「明後日出発するから準備しとけよ」
「わかった!」
先ほどの悩みなど頭から抜けてしまうようなサプライズに俺はうきうきしながらキッチンに向かう。
テーブルにはこの短時間にも関わらず美味しそうなサンドイッチが並んでいた。
「葉っぱ入ってるのやだ。」
「レタスな。わがまま言わずに食え」
「食べたくない。」
「お前な・・」
眉間を押さえて賢士が俺を見た。
「子供生まれたらどうするんだ?一緒になって食べないって言うのか?」
「ゲホッ!!」
子供?!子供って言った?!
生々しい!
真っ赤になった俺を面白そうに眺めている賢士の足を思い切り踏んで誤魔化すように慌ててサンドイッチを口いっぱいに頬張った。
旅行に持って行くものを買いに行きたい。
賢士が仕事に出かけた後でぼんやりそんな事を思っていた。
必要なものは現地で買えばいいだろと賢士は言うけどやっぱり品揃えに関しては地元で買う方がいいに決まってる。
ハイビスカス柄の水着とかホントに着たくないし。
俺は携帯を掴むと田所さんに電話をかけた。
「どうしましたか?姉御」
この呼び方いつまでも慣れない・・。
「買い物に行きたいんですけど」
「買ってきましょうか?お供しますか?」
「良ければ同行お願いします。」
「承知しました。」
お願いしますと伝え通話終了のボタンを押した途端玄関の呼び出しが鳴った。
田所さんは忍者なの?
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急いで玄関に行き二重ロックを解除してドアを開けた俺の前に立っていたのは
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