悪魔になったらするべきこと?

ファウスト

文字の大きさ
24 / 172
プロローグ

人心地、保護者達のあれこれ

しおりを挟む
二人はそのままエトナ―がいた聖堂へと戻ってきた。途中でエルドにルナを背負ってもらい、そこから追っ手がかかることもなく無事に逃げおおせた。

「なんとか戻ってこれた・・・」
「助かりました、ディーン先生」
「いやいや、生徒を助けるのは教師の務めですから」

エルドとアダムがそんなやりとりをしつつ聖堂の中に入るとマルティナがお祈りをしていて、エトナ―は呑気にも酒瓶を傾けていた。

「おー、帰ってきたな」
「飲んでたのか・・・」
「酔ってないからノーカン」

立ち上がって杖を肩に担いだ姿を見るに足取りはしっかりとしているからなんだかんだでちゃんと待っていたようだ。そしてエトナ―に続いてアルムンドも聖堂のベンチから立ち上がって駆け寄ってきた。

「エルド!無事だったか」
「アルムンド、お前が先生たちを呼んでくれたのか」
「ああ、心配だったんでな・・・その様子だと向こうで暴れたのか?」
「暴れるというほどでもない」

がははと豪快に笑いながら答えるエルド。あれで暴れたつもりないのか、とアダムはどこか遠い目である。
エルドはルナを聖堂に備え付けてあるベンチに寝かせるとマルティナが持ってきてくれた毛布を掛けてあげた。
ルナに怪我がなく、約一名以外ほぼ無傷だったので保護者たちは集まってホッと一息ついたところだった。


『こんばんわぁ・・・』

景色が歪み、そこから滲みだすように金属で刺しゅうを施したローブに身を包んだ女性が現れた。

「ルルイエ・・・!」

どこか呑気な様子のルルイエにエトナ―は杖を取り出して彼女に突き付ける。

「テメエがついていながらなんて様だよ!おおっ?」
「え、何の話?」

きょとんとした様子のルルイエ。当然と言えば当然かもしれないが・・・それがエトナ―の癇に障った

「テメエがお守りをサボったせいでルナちゃん売られるとこだったんだぞこのやろう!」
「え、うそ、いたたた!」

ルルイエをヘッドロックにかけて怒鳴るエトナ―。そんな二人を見てエルドはあたふたするばかりである。

「な、なぜ聖人様がそんなに怒るのですか?!」
「あー、なんというか・・・彼女なら御息女の異変にいち早く気付けたということですよ」
「そうなのですか?彼女が優れた魔法使いということはわかっていたのですが・・・」

アダムはエルドの反応を見て色々と察した。彼は何も知らないのだと。
そしておそらく娘の身に起きている様々な事も。

(どうするべきだろうな・・・)

チラッと二人をみやるとルルイエは器用に首を左右に振り、それを見てエトナ―も黙っとくべきだとアイコンタクトで伝えてきた。どうやらバラすなとのことらしい。ルルイエは完全に私事だろうがエトナ―はこう見えて家族の心情やらを考えられる。一応聖職者だし。

「ん・・・」

アダムは内心でエルドにどういったものかを思案していたがその内にルナが目を覚ました。

「ここは・・・」
「聖堂だよ、気を失っていたみたいだね」

ルルイエが声を掛けるとルナはㇵッとなった顔をして周囲を探るとマルティナを見つけて立ち上がった。

「大丈夫ですか!?」

その場にいる全員が頭に?を浮かべた。しかしエトナ―とマルティナはその意味を理解したのか気まずそうな顔をしている。

「ルナ?なんの話だ?」
「いや、えっと、この人がすごく怯えた顔をしていたから・・・」

エルドは相変わらず良く分かっていなかったがアダムはルナが封印されていた経緯をなんとなく知っていたのでマルティナが犯人であること、しかしながら悪気がなかったことなどを彼女たちの雰囲気から察した。

「気にすんな、ちょいと悪いものを見ただけさ」
「悪いもの・・・ですか?」
「ああ、コイツの術は時々自分の嫌な思い出なんかを思い出させてしまうんだよ」

副作用みたいなもんさ。とエトナ―は言うと小さくなっているマルティナの肩を叩いた。

「そうだったんですか・・・大丈夫ですか?」
「えっ?」

ルナはマルティナの傍に行くと心配そうに彼女を見ている。まだ倒れた時の疲れが出ているのかまだ少し顔色がよくないのがわかったのだろう。

「え?いや、その・・・悪いものを見たって・・・」
「・・・大丈夫です、ほんとうに・・・」

マルティナはあんな目に遭ったにもかかわらず自分を心配してこちらを見つめる瞳に心底申し訳ない気持ちでいっぱいになった。もしかしたら自身は気絶している内に全てが終わっていたから何も言わないだけなのかもしれない。
それでも自分がしでかしたことでこれほどの騒ぎになったことに責任を感じずにはいられなかった。

「ごめんなさい、ルナさん・・・」
「?」
「謝って許されることとは思いませんが・・・」

こてんと首を傾げるルナだったが、マルティナが罪悪感を感じていることだけは理解できたので

「自分の事はいいんです、気にしないでください。私は平気ですからね」

そう言って、彼女の手を取って微笑んだ。マルティナはそれを聞いて瞳を潤ませる。

「いい子だなぁ・・・」
「ほんとに」
「ワシ、体中痛いんだけど治癒の奇跡とか・・・」
「唾でもつけとけ」
「お前さんそれでも聖職者か」
「生憎とな」

マルティナの手を取って彼女を慰めるルナの後ろでルルイエとエルドがほっこり。エトナ―にアダムが愚痴っていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

処理中です...