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新学期
魔法陣とは?その2
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アダムが置いた魔石はどうやら出力自体が弱いらしく魔法陣の光りかたも弱い。
「これでいいんですかね?」
「かまわんさ、全開だと紙やインクが先にダメになることもある」
「そうなるとどうなりますか?」
「風のシンボルが先に消えちまったら一番厄介なことになる。火が出るからな。羊皮紙はすぐには燃えないだろうが部屋と近くのものが燃えるから結果としては変わらん。他が先に消えると魔法陣としての機能そのものを失うから大事にはならないだろうが・・・ま、破損といっていい」
魔法陣は書く際に注意すべき点がいくつかあり、その最たるものは魔法陣の周囲を囲む円だ。
「円の中に世界があり、この中で起こる事を設定し、魔力を持って成すことが魔法陣の機能だ。円が消えちまったら魔法陣は陣ではなくただの文字の羅列になる」
文字に力が宿る場合もあるがその場合は書き手が文字そのものに魔力を籠める必要があるので別の問題になる。
「魔法陣の円が欠けちゃったらどうするんですか?」
「基本的に一から書き直しだな、特に使用中に破損したヤツ」
「使用中に?」
ルナが尋ねる。それにアダムは部屋にある掲示板にチョークを走らせる。
「魔力が魔法陣の文字に残ってることがあるからな。そうなると円が元に戻った瞬間に魔法の発露が暴発する可能性が高い」
「危ないんですね」
図で説明してくれているのでルナとマリーは真面目に聞いていたがティナは集中力切れで明後日の方を向いているしダズは既に船を漕ぎ出している。クロエはじめじめしていた。
「さて、それじゃあぼちぼち服も乾いたろ。実家組は帰る支度しろよー」
アダムはそう言うと自身は教室に毛布を敷き始めた。
「先生そこに泊まるんですか・・・?」
「寮の管理者いないからワシが泊まらんと防犯的に無防備なんだ」
「寮の部屋でもいいんじゃ?」
「先生がいると気を遣うだろ、初日くらい生徒だけで寝泊まりさせてやろう」
それにここは入口に近いしな。とアダムは言うと上着を脱ぎ教卓に引っ掛けて肩を回した。
ティナはそんなアダムの言葉にクロエの姿を思い出していた。
『・・・ふひっ』
にっこにこである。確かにこれは邪魔すると悪そうだ。そうでなくともティナも今日の掃除で疲れたので帰りたいことは帰りたい。
「そうだねぇ、ま、ウチとしてもクラスメイトの邪魔はしたくないし!帰ろうぜー」
ティナがそう言って歩き出したのでルナとマリーもアダムに挨拶をして帰路についた。
「マリーちゃんどこ住み?」
「私?私は町の方ですけど」
「ウチと同じか、まあ慣れるまで一緒にいこうぜー」
「私は丘の方だからちょっと難しいですね」
「合流するとこ決めればいいじゃん。学園の門で待つ?」
「そうですね、それがいいかも」
ティナは別段深く考えていなかったかもしれないがマリーにはその申し出はありがたかった。あんなことがあった都合上一人だと心細いのである。
ルナもまた二人が自分のような目に遭わないか心配だったので一緒に登校しようというティナの提案はありがたかった。マリーもルナもこういった時には相手の迷惑を考えてしまうのでティナのようにあっけらかんと提案してくれるのは貴重かもしれないとも。
「んじゃ、ルナちんまた明日―」
「またあした・・・」
ティナたちと別れてルナは夕暮れの街を出て自宅のある丘の方面へと向かう。交通の便は悪いがその分住宅が大きく、立派なものが多い。エルドはたたき上げの魔法使いだがアリシアの実家がお金持ちなのでルナの自宅もそれなりに立派だ。
「ふんふーん」
ルナはFクラスのメンバーと打ち解けたこと、そして早速魔法の実技の一つである魔法陣の作成に関しての勉強ができたことに上機嫌だった。
魔法学校のある街を抜けて丘を上っていくとふと、見知った顔が道に立っているのが見えた。
「エトナ―・・・さん?」
「よお、今帰りか?ちょいと話そうぜ」
ルナはエトナ―が放つ雰囲気に先ほどの浮ついた気持ちが嘘のように消えていた。
ルナが感じた事のある、強い気配。あの時、命名式で集った大悪魔の雰囲気と同等の威圧感。
「どうした?そんなに、怖い顔してたか?」
怖い顔をしていたわけではない。佇まいも、なにもかもが以前目にしたことのある彼女だ。
それなのに怖い。まるであの時のルルイエのように、自身を取り囲んだ大悪魔達のように。
「わたし・・・なにか、しました?」
重苦しい空気に思わずルナの言葉は途切れ途切れになる。内心では逃げ出したいほどの重圧だ。
「成ったな?お前、才能はあるとは思ったけどよ」
トン、と地面を踏む音と共に彼女の姿が目の前に迫り、ルナは思わず後退った。速いなんて言葉では表現できない移動速度。瞬きする暇すらなかった。
「おっと、逃げるなよ」
杖が地面を叩くと地面から鎖が伸びてルナの体を絡めとった。逃げられるとも思っていなかったがそれでも選択肢を丁寧に潰してくるエトナ―の行動にルナは思わず身を捩った。
「あ、っぐ!」
「地上をうろうろする大悪魔とか聞いたことねえよ。ちょいと調べさせてもらうぜ」
鎖が軋み、ルナを釘付けにした。そうして身動きの取れないルナの額にエトナ―は手を置いた。
「これでいいんですかね?」
「かまわんさ、全開だと紙やインクが先にダメになることもある」
「そうなるとどうなりますか?」
「風のシンボルが先に消えちまったら一番厄介なことになる。火が出るからな。羊皮紙はすぐには燃えないだろうが部屋と近くのものが燃えるから結果としては変わらん。他が先に消えると魔法陣としての機能そのものを失うから大事にはならないだろうが・・・ま、破損といっていい」
魔法陣は書く際に注意すべき点がいくつかあり、その最たるものは魔法陣の周囲を囲む円だ。
「円の中に世界があり、この中で起こる事を設定し、魔力を持って成すことが魔法陣の機能だ。円が消えちまったら魔法陣は陣ではなくただの文字の羅列になる」
文字に力が宿る場合もあるがその場合は書き手が文字そのものに魔力を籠める必要があるので別の問題になる。
「魔法陣の円が欠けちゃったらどうするんですか?」
「基本的に一から書き直しだな、特に使用中に破損したヤツ」
「使用中に?」
ルナが尋ねる。それにアダムは部屋にある掲示板にチョークを走らせる。
「魔力が魔法陣の文字に残ってることがあるからな。そうなると円が元に戻った瞬間に魔法の発露が暴発する可能性が高い」
「危ないんですね」
図で説明してくれているのでルナとマリーは真面目に聞いていたがティナは集中力切れで明後日の方を向いているしダズは既に船を漕ぎ出している。クロエはじめじめしていた。
「さて、それじゃあぼちぼち服も乾いたろ。実家組は帰る支度しろよー」
アダムはそう言うと自身は教室に毛布を敷き始めた。
「先生そこに泊まるんですか・・・?」
「寮の管理者いないからワシが泊まらんと防犯的に無防備なんだ」
「寮の部屋でもいいんじゃ?」
「先生がいると気を遣うだろ、初日くらい生徒だけで寝泊まりさせてやろう」
それにここは入口に近いしな。とアダムは言うと上着を脱ぎ教卓に引っ掛けて肩を回した。
ティナはそんなアダムの言葉にクロエの姿を思い出していた。
『・・・ふひっ』
にっこにこである。確かにこれは邪魔すると悪そうだ。そうでなくともティナも今日の掃除で疲れたので帰りたいことは帰りたい。
「そうだねぇ、ま、ウチとしてもクラスメイトの邪魔はしたくないし!帰ろうぜー」
ティナがそう言って歩き出したのでルナとマリーもアダムに挨拶をして帰路についた。
「マリーちゃんどこ住み?」
「私?私は町の方ですけど」
「ウチと同じか、まあ慣れるまで一緒にいこうぜー」
「私は丘の方だからちょっと難しいですね」
「合流するとこ決めればいいじゃん。学園の門で待つ?」
「そうですね、それがいいかも」
ティナは別段深く考えていなかったかもしれないがマリーにはその申し出はありがたかった。あんなことがあった都合上一人だと心細いのである。
ルナもまた二人が自分のような目に遭わないか心配だったので一緒に登校しようというティナの提案はありがたかった。マリーもルナもこういった時には相手の迷惑を考えてしまうのでティナのようにあっけらかんと提案してくれるのは貴重かもしれないとも。
「んじゃ、ルナちんまた明日―」
「またあした・・・」
ティナたちと別れてルナは夕暮れの街を出て自宅のある丘の方面へと向かう。交通の便は悪いがその分住宅が大きく、立派なものが多い。エルドはたたき上げの魔法使いだがアリシアの実家がお金持ちなのでルナの自宅もそれなりに立派だ。
「ふんふーん」
ルナはFクラスのメンバーと打ち解けたこと、そして早速魔法の実技の一つである魔法陣の作成に関しての勉強ができたことに上機嫌だった。
魔法学校のある街を抜けて丘を上っていくとふと、見知った顔が道に立っているのが見えた。
「エトナ―・・・さん?」
「よお、今帰りか?ちょいと話そうぜ」
ルナはエトナ―が放つ雰囲気に先ほどの浮ついた気持ちが嘘のように消えていた。
ルナが感じた事のある、強い気配。あの時、命名式で集った大悪魔の雰囲気と同等の威圧感。
「どうした?そんなに、怖い顔してたか?」
怖い顔をしていたわけではない。佇まいも、なにもかもが以前目にしたことのある彼女だ。
それなのに怖い。まるであの時のルルイエのように、自身を取り囲んだ大悪魔達のように。
「わたし・・・なにか、しました?」
重苦しい空気に思わずルナの言葉は途切れ途切れになる。内心では逃げ出したいほどの重圧だ。
「成ったな?お前、才能はあるとは思ったけどよ」
トン、と地面を踏む音と共に彼女の姿が目の前に迫り、ルナは思わず後退った。速いなんて言葉では表現できない移動速度。瞬きする暇すらなかった。
「おっと、逃げるなよ」
杖が地面を叩くと地面から鎖が伸びてルナの体を絡めとった。逃げられるとも思っていなかったがそれでも選択肢を丁寧に潰してくるエトナ―の行動にルナは思わず身を捩った。
「あ、っぐ!」
「地上をうろうろする大悪魔とか聞いたことねえよ。ちょいと調べさせてもらうぜ」
鎖が軋み、ルナを釘付けにした。そうして身動きの取れないルナの額にエトナ―は手を置いた。
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