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悪魔としての格!
魔神は人(悪魔)の心がわからない
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エトナ―は溜息と共におそらくは今目じりを下げてルナの手紙を読んでいるであろう魔界の王に思いを馳せた。
気に掛けている者からの元気を告げる便りは待つ者にとってどれほどありがたいか。
「お前さんはホントに・・・長生きしてるくせに・・・」
『な、なによぉ・・・』
「ガキのままだな」
今回の事、ルナに関しては完全に不運としか言いようがないがエトナーにはそれに対する対策のようなものもなんとなく思いついていた。
「まぁ、なんだ。手紙を送る手段は出来たんだ。後はあの子の運命に任せるしかあるまいよ」
『運命って・・・もう、なによ訳知り顔で』
「お前さんにくっつかれてる時点であの子は手紙に書く事柄にゃ困らんだろう」
それとは別にエトナーはルナの力がまた本人の意識の及ばないところで増大していくことに懸念も感じていた。
あの子は常識的な感覚を持ち合わせてはいるがそれはあくまで子供の範囲だ。それにお人好しの彼女は誰かの危機には躊躇わず力を行使するだろう。アダムの話を聞く限り彼女はもう友人にはその力の一端を見せてしまっている。
心理的な話ではあるが自分のそう言ったことの口裏を合わせてくれる存在や、そんな自分を受け入れる存在が居るという事が自分の情報の秘匿にとっては非常にマイナスに働く。
(子供に情報の秘匿なんてもんをさせること自体がまずもって間違いではあるんだが・・・)
エトナ―の予想ではルナは今の自分の特異性についてはほとんどが「なんだかすごい事」程度の認識しかないだろうと思っている。出会った人間の種類が特殊すぎるのが問題でもある。
自分にしろアダムにしろルルイエにしろこれだけの要素をもってしても彼女にとって自分が常識外れであるという立ち位置を曖昧にしてしまうだけの技量があるからだ。
実際、装備が整えばアダムならルナを殺すことは容易いだろう。完全に消滅させるにはアダムは相性が悪いが、彼女の意識の外から首を掻き切るだけの技量がある。
自分も彼女がいかに聖属性に対して耐性のある悪魔だとしても彼女を封印することも、彼女を生きたまま地獄に落とすことも可能だ。つまるところ対処できる。
ルルイエも同義だ。そもそも彼女はルナを悪魔に変えた張本人であるし、彼女の体に何かしらの細工をしていることは想像に難くない。彼女を気に入っているからこそ優しいがそうでなくなった時の冷酷さを持ってすればルナを服従させることなど容易いだろう。
「あの子は人に恵まれたのもあるよな」
クラスメイトは悪魔になった彼女を見ても微塵も臆することがなかったそうだ。子供の純粋さなのか、それともそれが無知からくるものなのか。もしくは、それが彼女の善性のなせる業なのか。
いずれにしろルナの友達はルナのあの姿を受け入れているのである。それが彼女の自身の立ち位置をさらに曖昧にしてしまっているのもある。
(本来なら悪魔の力を体に宿らせて行使する『悪魔化』も魔法使いの中じゃ特権に近いことなのに彼女はもうすでに悪魔そのものとして力を得ている・・・その事に周囲が気付くのも時間の問題だろうな)
秘匿というベールは既に意味をなさないほどに秘密は膨れ上がっている。周辺から探っても、彼女の能力を探っても、いずれは答えに行きつく。それを隠すために今までそれとなく協力してきたがそれもいずれ破綻するだろう。
『いつまで秘密にできるかしら・・・』
「時間の問題だろうな、空に浮かぶ月を隠すことができないようにな」
『詩的なことを言うのね』
「ヤケクソになってるだけさ、とにかく私達で彼女の所属をはっきりさせとく必要はますます強くなった」
『そうねぇ、とりあえず魔法局には私から』
「教会には私が、学校ではアダムに任せるか」
そうするしかないわよね、とルルイエはそう言いながら杖を振るとそのまま景色に溶け込むように消えていった。
「さて、私もそろそろ動くか・・・」
エトナ―も踵を返し、大聖堂へと向かった。
「よーす、聖人様のお通りだ。道開けろやー」
荘厳な宗教建築の建物。この街に本拠を構える日光教の総本山にして聖人エトナ―が近隣に駐屯する聖なる場所である。古びた修道服を翻して歩くエトナ―に対する反応は綺麗に分かれた。
彼女を見て苦い顔をするもの、そして彼女を見て祈りを捧げるものである。
彼女の評価は綺麗に分かれている。好評か不評、そのどちらかである。その理由に関しては普段の素行の悪さとそれに反比例するような圧倒的な技量。そして深い知識。
曰く、奇跡の体現者。曰く、飲んだくれの破戒者。曰く、八百万の宗教の守護者。曰く、世の果てを見る者。
彼女の活躍は真偽不明なものを含めれば枚挙にいとまがない。歴史書に名前が載っている。石碑に名前が、古文書に名前が、長命種の昔話に名前が、各地の伝説に名前が、建国神話に名前が。
そのような大層な話がごろごろある彼女は普段はそれに胡坐をかいた様に酒場を行き来しては飲んだくれてそこらへんでごろ寝するか、孤児院やほかの地域をふらっと訪れては子供たちの相手をしているかである。
こんな有様であるから彼女の姿を見れば拝む者か、普段の酒癖の悪さとぶっきらぼうな態度から苦い顔をする者かに分かれるのである。
気に掛けている者からの元気を告げる便りは待つ者にとってどれほどありがたいか。
「お前さんはホントに・・・長生きしてるくせに・・・」
『な、なによぉ・・・』
「ガキのままだな」
今回の事、ルナに関しては完全に不運としか言いようがないがエトナーにはそれに対する対策のようなものもなんとなく思いついていた。
「まぁ、なんだ。手紙を送る手段は出来たんだ。後はあの子の運命に任せるしかあるまいよ」
『運命って・・・もう、なによ訳知り顔で』
「お前さんにくっつかれてる時点であの子は手紙に書く事柄にゃ困らんだろう」
それとは別にエトナーはルナの力がまた本人の意識の及ばないところで増大していくことに懸念も感じていた。
あの子は常識的な感覚を持ち合わせてはいるがそれはあくまで子供の範囲だ。それにお人好しの彼女は誰かの危機には躊躇わず力を行使するだろう。アダムの話を聞く限り彼女はもう友人にはその力の一端を見せてしまっている。
心理的な話ではあるが自分のそう言ったことの口裏を合わせてくれる存在や、そんな自分を受け入れる存在が居るという事が自分の情報の秘匿にとっては非常にマイナスに働く。
(子供に情報の秘匿なんてもんをさせること自体がまずもって間違いではあるんだが・・・)
エトナ―の予想ではルナは今の自分の特異性についてはほとんどが「なんだかすごい事」程度の認識しかないだろうと思っている。出会った人間の種類が特殊すぎるのが問題でもある。
自分にしろアダムにしろルルイエにしろこれだけの要素をもってしても彼女にとって自分が常識外れであるという立ち位置を曖昧にしてしまうだけの技量があるからだ。
実際、装備が整えばアダムならルナを殺すことは容易いだろう。完全に消滅させるにはアダムは相性が悪いが、彼女の意識の外から首を掻き切るだけの技量がある。
自分も彼女がいかに聖属性に対して耐性のある悪魔だとしても彼女を封印することも、彼女を生きたまま地獄に落とすことも可能だ。つまるところ対処できる。
ルルイエも同義だ。そもそも彼女はルナを悪魔に変えた張本人であるし、彼女の体に何かしらの細工をしていることは想像に難くない。彼女を気に入っているからこそ優しいがそうでなくなった時の冷酷さを持ってすればルナを服従させることなど容易いだろう。
「あの子は人に恵まれたのもあるよな」
クラスメイトは悪魔になった彼女を見ても微塵も臆することがなかったそうだ。子供の純粋さなのか、それともそれが無知からくるものなのか。もしくは、それが彼女の善性のなせる業なのか。
いずれにしろルナの友達はルナのあの姿を受け入れているのである。それが彼女の自身の立ち位置をさらに曖昧にしてしまっているのもある。
(本来なら悪魔の力を体に宿らせて行使する『悪魔化』も魔法使いの中じゃ特権に近いことなのに彼女はもうすでに悪魔そのものとして力を得ている・・・その事に周囲が気付くのも時間の問題だろうな)
秘匿というベールは既に意味をなさないほどに秘密は膨れ上がっている。周辺から探っても、彼女の能力を探っても、いずれは答えに行きつく。それを隠すために今までそれとなく協力してきたがそれもいずれ破綻するだろう。
『いつまで秘密にできるかしら・・・』
「時間の問題だろうな、空に浮かぶ月を隠すことができないようにな」
『詩的なことを言うのね』
「ヤケクソになってるだけさ、とにかく私達で彼女の所属をはっきりさせとく必要はますます強くなった」
『そうねぇ、とりあえず魔法局には私から』
「教会には私が、学校ではアダムに任せるか」
そうするしかないわよね、とルルイエはそう言いながら杖を振るとそのまま景色に溶け込むように消えていった。
「さて、私もそろそろ動くか・・・」
エトナ―も踵を返し、大聖堂へと向かった。
「よーす、聖人様のお通りだ。道開けろやー」
荘厳な宗教建築の建物。この街に本拠を構える日光教の総本山にして聖人エトナ―が近隣に駐屯する聖なる場所である。古びた修道服を翻して歩くエトナ―に対する反応は綺麗に分かれた。
彼女を見て苦い顔をするもの、そして彼女を見て祈りを捧げるものである。
彼女の評価は綺麗に分かれている。好評か不評、そのどちらかである。その理由に関しては普段の素行の悪さとそれに反比例するような圧倒的な技量。そして深い知識。
曰く、奇跡の体現者。曰く、飲んだくれの破戒者。曰く、八百万の宗教の守護者。曰く、世の果てを見る者。
彼女の活躍は真偽不明なものを含めれば枚挙にいとまがない。歴史書に名前が載っている。石碑に名前が、古文書に名前が、長命種の昔話に名前が、各地の伝説に名前が、建国神話に名前が。
そのような大層な話がごろごろある彼女は普段はそれに胡坐をかいた様に酒場を行き来しては飲んだくれてそこらへんでごろ寝するか、孤児院やほかの地域をふらっと訪れては子供たちの相手をしているかである。
こんな有様であるから彼女の姿を見れば拝む者か、普段の酒癖の悪さとぶっきらぼうな態度から苦い顔をする者かに分かれるのである。
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