悪魔になったらするべきこと?

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悪魔としての格!

アダムの困り事の種

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「ふぅーーーーーーん・・・」

翌日、登校してきたルナにルルイエから託された権能の話をした所虚ろな目でアダムはそう答えた。

「お前さんは、お前さんというやつは」
「えーと、あの、そのう・・・」
「このこのこのこの!!」
「いひゃいいひゃいれふ!」

アダムはカッと目を見開くとルナの頬を両手でつねり倒した。

「お前はビックリ人間でも目指してるのか!この!」
「いひゃいひゃいでふ!」

頬を縦縦横横丸描いてちょんと引っ張るとようやくアダムは手を離した。

「うひーん!」
「悪魔になって悪魔を自在に呼び出せる魔本の権能か・・・もう訳が分からん」

アダムはルナのアンバランスさに頭が痛くなった。悪魔と交信する術を学ぶこと、悪魔そのものになること。そのどちらも魔法使いにとっては終着点、もしくは極致点に至るための前提条件なのだ。
それにあっさりと到達したルナははっきり言って学ぶことがないかもしれない。
実際には知識やら必要なものは山ほどあるが実技のほとんどは多分要らないかもしれない。

「どうしたらお前に穏便な学校生活を送ってもらえるんだろうなぁ」
「遠い目をしている・・・!」
「誰のせいだと・・・」

自分の事で悩んでいると思えないほど他人事なルナにアダムは苦い顔をしたが事実は消えない。いずれ彼女はあらゆる騒ぎの渦中に叩き込まれるだろう。エトナ―とルルイエが把握している以上、外部からの接触は極力避けられるだろうが自分がその中でも最大限の努力を要求されるであろうことは想像に難くない。

「ちょっと校長と話してくる。とにかく、目立たないようにな」
「はぁい」
「一限目までは自習していい。属性の勉強をするからそのつもりでな」
「わかりました」

時刻は朝のHRに近いがルナ達に授業まで自習しておくように伝え、アダムは校長室へ。

「失礼します」

校長室のドアを開けるとまるで構造を無視したかのような広大な空間がアダムを出迎えた。図書館のような本棚の数に実験室を詰め込んだような空間。

「校長、この何か実験でも?」
「おお、ディーン先生か」

現役にして最高峰の魔法使いである校長は当たり前のように空間を操作して自分の部屋を異次元の広さにしている。
この部屋は校長の自室とリンクさせているとされ、空間の置換、拡張、操作という高度な魔法技術を行使できる彼の実力の高さを物語っている。

「君のところのお姫様の為にいろいろとのう」
「フラウステッドの事ですか?」
「ああ、彼女の存在を秘匿するために協力してほしいのじゃろ?ワシだってそれくらい考えとるとも」
「そうでしたか、私はてっきり・・・」

アダムは校長がまた良からぬことを企んでいるのではと勘繰っていたがそうではないようで安心した。

「そんなことより、もうじきクラス対抗の実技大会があるじゃろ。君のクラスはどうするね?」

実技大会、魔法学校が行う実技試験の一環で近隣にある山を教会の許可を得て借り受け、山の頂上まで自力で到達するというもの。各所には先生が待機しており、簡単な問題やアトラクションを設置して待っている。
成績優秀者には商品や学費の免除などが約束されているので毎年多数の参加者がいるのだ。

「そうですね・・・何人かは学費免除を狙って参加するかもしれません」
「厳しいだろうが一年生にも十分可能性はある内容じゃ、もちろん人一倍のガッツが必要になるじゃろうが」
「何事も挑戦する姿勢が大事ですからね」
「うむ、そうじゃろう。そして努力する者に正しい道を示してやるのはワシらの役目じゃ。頼みましたぞ」

校長がルナの事を気に掛けてくれていた事にアダムはホッとした気持ちで頷いた。なんだかんだ言って生徒の事を考えてくれているのだ。そう思ったアダムだったが

「うひー!ルナちゃんのノートが光った!」
「なんでぇ!?」
「うおおお!」

戻ってみると教室が阿鼻叫喚になっていた。アダムはそっとドアを閉めた。
そして深呼吸を繰り返してからドアを再び開けた。

「何があった!」
「問題集を解いてたら突然ルナちゃんのノートが光って革製の本に!」
「どういうことだ!?」
「わかりませーん!ただ、私の問題に「探し物を求めるにはBね!」って答えただけで!」
「そんなことあるか???!」

ノートが革製の本に変化し、ぱらぱらとページがめくられるとページに魔法陣が浮かぶ。

『呼びかけに応じよう』

その言葉と共に現れたのは獅子の頭部を持つ豪奢ない服に身を包んだ悪魔。
毒蛇を携えて威厳たっぷりに佇むその姿勢はまさしく大悪魔のそれだ。

『我が名はヴィネ、第45位の席を持つ大悪魔である。汝、望みを言うがいい』
「あ、はい!じゃあ・・・」
「馬鹿!代償を用意してないだろ!」

聞かれたからと何かリクエストしようとしたルナを遮ってアダムは頭を抱える。

『代償がない?それはどういうことだ?人よ・・・』

ぎろりと視線をアダムに向けたヴィネだったが・・・。本の持ち主を見つけて目を細めた。

『おお、そなたは件の・・・お会いしたかった』
「初めまして、大悪魔ヴィネ様。ここではルナ・フラウステッドとお呼びください」
『そうかね、それが望みならば応えよう。しかし召喚陣を遊びに使うのは感心しない』
「すみません、力がコントロールできなくて・・・」

まるで親戚の子供を叱るおじさんのような声色で優しく語り掛けるヴィネにルナはしゅんとして謝る。

『力、そうか・・・ルルイエの仕業だな。もしくはバエル様の過保護か・・・過ぎた力は枷になるというのに』

ヴィネは溜息をついて恐らくこの事件のきっかけになってしまったであろう二柱を思い浮かべた。
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